PUNKSPRING 2015で同じステージに立った
FALL OUT BOYとMAN WITH A MISSION
の対談が実現!


PUNKSPRING 2015終演から2日後、FALL OUT BOYから
パトリック・スタンプ(vo,g)とピート・ウェンツ(b,vo)が、MAN
WITH A MISSIONからはJean-Ken Johnny(vo,g)が都内
某所で一堂に会した。当日、自分は司会・進行役を務めた
わけだけど、さぁ始めようとしたところ、こんな感じで両者の
話はすでにスタートしてた。

ピート「オオカミにしては行儀がイイんだね(爆笑)」
Jean-Ken Johnny「Thank you (笑)!」
パトリック「ホントにオオカミが目の前にいる (笑)」
Jean-Ken Johnny「頭ガオオカミ、身体ガ人間ノ究極ノ生命体ダカラネ」
ピート「なんか精霊がいそうだな。オオカミの精霊(笑)」
パトリック「だな(笑)」
ピート「RISE AGAINSTのティム(・マックルラス/vo,g)に警告されたんだ。“気を
つけろ、オオカミは怖いぞ”ってね(笑)」
Jean-Ken Johnny「FALL OUT BOYニ関シテハ、僕ハモウ、メチャクチャ音源
ヲ聴イテタ側ナンデ。ステージ上トハマタ違ッテミンナ気サクナ人タチデ」
ピート「それはよかった(笑)。余談だけど、息子が学校の劇でオオカミ役をやっ
たんだよ。あれは見てて面白かったよ」

――今朝方TVの生番組に出たじゃない。ああいうロック番組じゃない一般の番組
でライヴをやってみて、どうだった?
ピート「まあ、時差ボケが役に立つことのひとつだよね(笑)。アメリカからくると朝
早く目が覚めてしまいやることがない。なにせ外はまだ真っ暗だから(笑)。だから
オレたち的には都合がイイんだ」
パトリック「オレたちはどこでもプレイできる。ああいう番組に出るのもまったく抵
抗ないし。楽器を渡され“すぐプレイして”って言われても全然平気さ。まぁ演奏前
のインタビューの方はスゴく疲れたけど。好きな食べ物を訊かれ“カツ”じゃなくて
“クツ”、つまりシューズって答えちゃったからね(笑)。ちゃんと知ってたのにさ! 
“オレらしくない”と思った(笑)。だからああいう番組じゃプレイする方がトークする
より得意だよ」
Jean-Ken Johnny「FALL OUT BOYジタイガ、パンクトカロックトカジャンルニ囚
ワレズニ世界中ヲ席巻シテルト思ウンデスケド、ヤッパリ、日本デネ、アアイウ音
楽ヲ発信スルメディアッテイウノガ、何ダカンダイマダニテレビガモットモ強イト思
イマス。ナノデ、ソウイッタ番組ニデテ、ヨリ多クノ人タチニ届クッテイウノハ、正直
イチファントシテモノスゴク嬉シイコトデス。ソウイウノニ抵抗ヲ感ジテシマウバンド
モイラッシャイマスケド、ソウイウ番組二出テ演奏スルトイウコト自体スゴイデカイ
コトナノデネ。タダ、彼ラガ言ウヨウニ、演奏シタ方ガ楽ナンダッテイウノハ、僕モ経
験アルノデ、ソノ通リダト思イマス(笑)」
ピート「ありがとう。イイこと言ってくれるオオカミだな(笑)。ところで、このオオカミ
はオレにとっちゃ映画『ネバーエンディング・ストーリー』(85年)に登場するグモル
クを思い出させるんだ。アイツが出てくると子ども心にとても怖かった覚えがあるよ」
Jean-Ken Johnny「確カ悪役ダッタンダヨ」
ピート「まあそうだね。本当の悪役は違うけど、グモルクは悪役に仕えてたから」
パトリック「確かにちょっと怖かったよな」
Jean-Ken Johnny「僕モ仕エヨウカナ」
ピート「 (爆笑)」

――で、話を戻しますけど(笑)、ああいう一般の番組に出ると平気で的外れな質問
をされるでしょう。どうやってかわすんです?(笑)
Jean-Ken Johnny「アー…マァドウナンデスカネ、僕ラノバンドハ、逆ニ楽シムヨ
ウニシテマスケドネ。的ハズレナ質問ガ来タラ、的ハズレナコト答エテ、相手モ巻
キ込ムトイウカ(笑)」
全員「(爆笑)」
Jean-Ken Johnny「テレビはメディアデモアリマスケド、ヒトツノエンターテイメント
デモアリマスノデネ。質問サレテル側ガアンマリ構エナイデ、適当ジャナイデスケ
ド、ソレヲ楽シムヨウニシテマス」
ピート「そうだね。あの、質問とかのぎこちなさにはすばらしい“禅”があるよ。“これ
はただの狂った状態だ、なにも入ってない”みたいな。オバマ大統領が当選したと
き、祝宴のひとつでプレイしたときのことを思い出すね。そのときカニエ(・ウェスト)
もプレイしたんだけど、カニエが大統領のスーツの埃を払っててさ。それを見てて
“スゴい瞬間に居合わせちゃったな。fuckin’なくらいクレイジーだ”と思ったよ」

――アメリカって大統領のそういう記念式典によくロックバンドが出るじゃない。日本
だとそういう場合、だいたいスゴーく有名なベテラン歌手か、またはアイドルが出る。
まあアイドルやベテラン歌手が悪いわけじゃないけど…2020年の東京オリンピック
の開会/閉会セレモニーとかにはぜひ、ロックバンドが出てほしくて。
Jean-Ken Johnny「ハイ。自分タチトシテモ、ロックバンドニ出テホシイッテノガアリ
マスケレドモ、アル意味デネ、日本ノ中デソコマデノ市民権ッテイウンデスカ、ソレヲ
手ニシタロックバンドッテ、結構少ナイト思ウンデスネ。ソレコソFALL OUT BOYハ、
ダイブ前ニ市民権ヲ得テイルジャナイデスカ。ソウイウ国ナノカモ知レマセンケレド、
ソコマデ文化ヲ、音楽シーントイウモノヲ、日本デモ変エテイカナケレバナラナイノカ
モ知レナイシ、バンド自体ノ意識モ変エナイトイケナイト思ウンデス」
ピート「そうすべきだよ。ご存知の通り、アメリカじゃなんでもデカくてバカげ過ぎて
るから、年に40くらい祝宴がある。ロックのヤツもあれば年寄りのヤツもあるし、文
学のヤツもある」
パトリック「まさにあの、オバマ大統領が当選し祝宴があった晩、これは誇張でもな
んでもないんだけど、2時間の間に11件もの祝宴が催されてた。大統領とファース
トレディはまず1件にいき伝統的なアメリカのマーチバンドの演奏に合わせ5分くらい
踊り、それから車に乗り市内の別のところにいき、今度はカニエの演奏に合わせて
踊らないといけなかった。オレたちはそういうのに出たんだ」
ピート「マジで怖いのが、シークレットサービスから説明を受けるってこと。(物々し
い口調で)“大統領がきたとき走った人は全員潜在的に攻撃対象になります”って。
ステージ上でなにかマズいことが起きて走ったら攻撃されるんだよ」
パトリック「つまりあちこちにスナイパーがいるってことさ。クレイジーな話さ」

――まあそうした状況はともかく、やはり大統領の近くでプレイできるなんて光栄な
ことでしょう。
パトリック「うん、スゴく光栄だよ」
ピート「大きな栄誉だよ。それにクールだったし。あのときの選挙はそれまでとは違
う希望、変化が感じられたし」

――MAN WITH A MISSIONは“スポーツの殿堂”とも言えた国立競技場が解体され
る前の音楽イベントに出てますよね。これまた、とても光栄なことで。
Jean-Ken Johnny「ソウデスネ。嬉シイ、アリガタイコトデスネ。ソレコソ、国ヲ代表
スルヨウナアーティストサント一緒ニ我々モ出サセテイタダイテ。アル意味、何カ、
ソウイッタ式典トカ、スゴク伝統ノアルバショニ出ルッテイウコトハ、ソノバンドトシテ
モ、ソウイウ立チ位置ダッテ認メテクレタッテコトダト思イマスンデ。ソレコソ2020年、
何カアレバゼヒトモ。マァソレマデニ生キテレバノ話デスガ…」
全員「(爆笑)」



――アメリカの音楽市場と、日本のそれの形態は全然違う。日本には邦楽ファン、
洋楽ファンというふたつの層が存在し、そして分かれてる。邦楽ファンの人たちは
洋楽を聴かないどころかその存在も知らないみたいなところすらある。アメリカは
国の成り立ちから超移民国家なわけだけど、やはりドメスティックな音楽しか聴か
ないというような層がいて、そういう風潮も強いのかな?
パトリック「音楽が広がっていく上で、間違いなくそういうことがカギになるよね。
アメリカはみんないろんなところからきてるから、アメリカンカルチャーの一部
として受け入れられた後は…たとえばリアーナはアメリカ人じゃないけど、もう
アメリカンカルチャーの一部になってるだろ? そしたら“in”なんだよ。アメリカ人
は自分たちがドメスティックだと感じるものしか聴かない。だけどそれはどこか
らやってきててもイイんだ」
ピート「そうだね。だけど異国情緒があるものが好きな人たちも大勢いるんだ。
シャキーラとか」
パトリック「決して彼女がアメリカンカルチャーに受け容れられてないってこと
じゃないよ。ワールドミュージックとして聴かれてるわけじゃないから」
ピート「アメリカについて極めてリアルな話をしようか。アメリカって“オレたちは
世界中のいろんなところにいる”と思ってるんだよなぁ(苦笑)。みんなアメリカン
だ、みたいなさ(笑)」
パトリック「“アメリカが世界だ!”みたいなね(笑)」
ピート「フェスティバルは長い間アメリカじゃビッグじゃなかった。フェスもDJもね。
初めて日本にきたとき、この国にはインターナショナルミュージックにあふれてる
と思ったよ。それがJ-POP、ドメスティックな音楽寄りになった。オレたちがここで
やるときは…その観客はミックスのような気がする。まあ正確にわかるほどここ
にいないから、本当のところはわからないけど。だけどなによりも“キミたち、イギ
リスの『KERRANG!』誌で見たことある”というような感覚になるんだ。“『AP』誌
でも見たことあるな”とか。そういう雑誌の割れ目から抜け出てきたような感じ」
パトリック「アメリカじゃいったん入り込むことができたらあとは大丈夫だよ」
ピート「浸透することが大事なんだよね。fuckin’なくらい大変なことだけど」

――MWAMは邦楽と洋楽の間にそびえたつ壁を崩そうと、ZEBRAHEADとスプ
リットEP『Out Of Control』を5月20日に発売するのね。
ピート「すばらしいことだね。オレたちもコラボしたいアーティストがたくさんいる
よ。実際フランス人のDJセバスチャンとはやったよ。あっちのダンスミュージック
シーンってクールで、DJたちはオレたちが聴いて育ったパンクロックのDJみた
いなんだよ。ああいうコラボはアーティストをなによりもビッグなブレイクスルー
につなげてくれる。たとえばSTROMAEってヤツがいて、大好きだからいずれな
にか一緒にやってみたいんだ」
パトリック「子どものとき音楽を聴いたりレコードを買ったりしてると、多くの人た
ちにはなんでも聴いてみたくなる時期っていうのがあるんじゃないかな。ジャンル
的な意味でね。それに意外な組み合わせのふたつのバンドが一緒にツアーして
ると、それが目を開かせてくれることもある。てクールだと思うんだ。スプリット作
品からインスピレーションをもらうことも多いしね」
ピート「オーセンティックならね。オーセンティックでないことをやってると、互い
に好き合ってもいないじゃないか、なんてことになる」
Jean-Ken Johnny「モチロン邦楽ファント洋楽ファンのクロスオーバーも大事
デスケド、 ヤッパリ自分タチトシテモ海外デ何カ活動スルトキニスゴク効果的
トイイマスカ、何カ方法ハナイカナトイウ風ニ考エテ。アト、ZEBRAHEADモベ
ストアルバムヲ出スッテコトデ、日本ノミンナニ…勿論モノスゴイ人気ナンデス
ケドネ、日本デ。マタモウヒトツ何カ届ケルモノハナイカナミタイナコトヲ話シテテ。
ホント、タマタマナンデスケド、共通ノ知人ガイマシテ、彼ニ話シタトコロ、何カス
プリットミタイナノモ面白カッタリスルンジャナイ? ナンテ話ニナッタンデ、スゴイ
最適ダナト思イマシタ」
ピート「イイね。とてもクールな話だよ」

――昨年末、ロサンゼルスでFOBのライヴを観てるんですよね?
Jean-Ken Johnny「Almost Acoustic Christmas(註:ロスのラジオ局KROQ主
催ライヴイベント)二出タジャナイ? 僕、ソコニイマシテ。ソレマデハイツモFOBノ
音楽ヲCDデ聴イテタケド、会エルトシタラキット日本ダロウナト思ッテイタカラ。デ
モFOBノ本国デ観ルコトガデキタカラ本当ニ良カッタヨ」
ピート「嬉しいね」
Jean-Ken Johnny「ヤッパリ違ウノカナ? アメリカデヤルノハホームナ感ジガス
ルノカナ。ソレトモ関係ナイ?」
ピート「一番ホーム感があるのはシカゴだね。そこで育ったし、最初の経験を得た
し、このバンドが今みたいになった場所だから。だけど世界中でプレイできるのは
クールなことだよ。観客もエネルギーも全然違うから。初めて日本でプレイしたと
きは、曲の合間に観客が死んだように静まりかえっちゃってさ。“ゲッ、なにをやっ
ちゃったんだろ”と思ったよ(笑)」
パトリック「オレたちのこと嫌いなのかな? なんて思ったしね(笑)」
ピート「だけど学んだんだ。オレたちがまたプレイし始めると“ヘイ!”なんてみんな
叫んでる。曲にまったく違うヴァイブが生まれたね」
ピート「その合唱はイイ例だね。カルチャー的に、あぁこの国にいるんだってわか
るものがあるんだ。日本にいるんだなって実感するのはそれさ。世界中のどこも
そういう特徴があり、観客から特定のリアクションがある。その国の“観客言語”を
話せるようになると、居心地もよくなるよ。ロスのクラブやAlmost Acousticには何
度も出てるけど、東京の方が中西部アイダホ州ボイジーよりプレイした回数が多
いんじゃないかな。アメリカ国内でも、日本ほど居心地がよくないところもあるし。
キミたちはどうなの?」
Jean-Ken Johnny「日本デヤルノハ気楽ダヨネ。フランスヤ台湾ニ行クトキハ確
カニ違ウ感ジガスルケド、イイ意味デ違ウンダ。オーディエンスニ歌ヲ届ケヨウト
スル感覚ガ違ウッテコトデネ。僕ガ言イタカッタノハ、君タチヲアメリカデ観タノハ
アノトキガ初メテダッタカラ、オーディエンスヲキャッチシタリ、彼ラトコミュニケー
トスルノガヤッパリ本国ノ方ガ簡単ナノカ、ソレトモ海外ノ方ガウント楽ナノカッテ
思ッテサ」
ピート「そうだな…オレたちにとってはアメリカでやる方が少し楽かな。キミたちも
日本でそうだと思うけど、みんなが知ってる前提のものに頼ることができるからね。
こういうものと一緒に育ったとか、ニュースで観たとか。そういうのは海外だとちょっ
と大変だけど、そのへんは即興でなんとかする。そうだな、なんて言おうかな…
“コイツ朝食に靴を食ったんだゼ”みたいな(笑)」
全員「(爆笑)」
ピート「そうすると一気に”in”になれるんだ。そういうことをやると、自分で自分の
居場所を作ったような気になる。今は日本にくると、それぞれお気に入りの場所が
あるんだ。新宿のロボットレストランに行く機会もあったしね」
Jean-Ken Johnny「本当ニアンナトコロガ好キナノ? クレイジージャナイ(笑)」
ピート「人に説明すると“fuckin’なくらいあり得ない”って言われるけどね(笑)。ス
ゴくハイテクなロボットがいるんだぜ、80年代のハイテクだよ! なんて話をする
んだけど(笑)」
パトリック「アメリカでロボットレストランの映像を1秒くらい使うCMがあるんだ。
みんなあれを観て“今の何だ?”って言ってるよ。クレジットカードのCMかなんか
なんだけどさ。(註:実は旅行会社のCM)」



text by Hiro Arishima
translation by Mika Nakamura & Sachiko Yasue


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