新ミニ作リリースとツアーが決定! 
G-FREAK FACTORYの次なる一手に備えよ!!

5月17日に、渋谷CLUB QUATTROでのワンマン公演「FINAL
ENCORE ONE-MAN SHOW ~Sound Of Survival~」を、大成
功のうちに終了させたG-FREAK FACTORY。そのステージに
て新ミニ作『fact』のリリースと、新たなツアーを発表するという
サプライズもあった。今回はその制作にまつわることを、茂木
洋晃(vo)が語ってくれた。
今月末発行のGrindHouse magazine Vol.84と併せて読めば、
『fact』がいかなる作品なのか。バンドがシングル『EVEN』以降
の経験をどのように血肉としているのかがわかるはずだ。

――新作『fact』のリリースを発表しましたね。新作では『S.O.S』と、その後のツ
アーでの経験が、どんな形で生かされているんでしょうか?
「ライヴをたくさんやって思ったのは、たった1曲が入るか入らないかで、その場
の空気がいい方向にも悪い方向にもガラっと変わってしまうということ。だからこ
そ慎重に曲を作って、セットリストを組まなきゃいけないんだよね。たとえばだん
だんフロアが温まってきたときに、もう1回ぶっこんでたたみかけるのか、それと
もふと抜きの瞬間を作るのか。その抜きの瞬間も、やる曲によってまったく変わっ
てくる。ここでこの曲をやるとこんな空気になるんだ、とか、発見はたくさんあっ
たね。足し算と引き算が永遠に続いているようで、例えば“ちょっと明るいのが足
りないかな”という感覚になったら、じゃあそれは明るいんだったらどんな明るさ
なのか。そういう考え方をしながら、考えを詰めていったかな」

――例えば「こういう曲がほしい」とか、「こういった要素を加えたい」と感じた部
分もあったのでは?
「歌がなくても成立するような、もう少しやわらかい空間だね。それはG-FREAK
FACTORYの第4、第5の魅力として、あってもいいと思った。それと、オレはルー
ツロック・レゲエが欲しかった。その曲をライヴでやるかどうかはともかくとして、
高いクオリティのそれが引き出しのひとつとしてあれば、ほかの曲を表現するの
に生きてくるんじゃないかと思って」

――以前から「新作はレゲエはレゲエに、パンクはパンクに振り切ったものに
なる」と話していましたよね。
「それぞれのベクトルを、もう一歩先に育てていくことがやりたかったから。でも、
以前のオレたちだったら、どこかにひとつのところに寄せていたかもしれない。
ツアーをやってきた後のレコーディングだったから、“激しい曲が盛り上がるから、
それを中心にしよう”とやっていたと思うんだけど、周りのスタッフや10-FEETの
TAKUMAなんかが、“今あるものを育てていく方が、お前たちらしいよ”って言っ
てくれて。今までだったら、そこは気付けなかった。ライヴを続けているだけだと、
瞬発力があってお客さんが食いついてくる、熱量をフロアに落とせるような曲を
メインで作っちゃったと思うんだよね。でも、せっかく『S.O.S』であそこまで散ら
かしたんだから、それを育てればいいんじゃないか。これを続ければいいんだっ
て。そんな何気ない一言がすごくパワーになったし、このままでいいんだって思
えた。だから最終的に今日はレゲエの曲だけ、今日はたたみかけるようなロック
だけでやる、っていう日も来るかもしれないよね」

――作詞には相当苦労したそうですね。それはテーマなのか、書き方なのか、
どんなところで苦労したんでしょう?
「両方だね(笑)。今回は全部日本語で書いたんだけど、そうなるとより直接的に
なるんだよね。英語だったらもっと簡単にはめられると思うんだけど…でも日本
語で勝負したかった。とはいえ、なかなかやっかいで、ちょっとやそっとじゃ太刀
打ちできるような代物じゃなくてさ(笑)」

――大枠というか、根っこの部分はこれまでと変わらないと思いますけど、何か
変化はありましたか?
「『S.O.S』よりも後に得たヒントが入っていく感じだね。今回は全部書き下ろしだ
から。『S.O.S』を出して以降も、日本はガラリと変わったよね。それこそ半年くら
いのサイクルで、どんどん変わっていく。だから感覚を追いつけていくのは容易
なことじゃないと思うんだ」

――今年の2月に、40数年ぶりの記録的な豪雪が
ありましたよね。あれも天災と言える被害がありまし
たけど、ああいったことも作詞の際に頭にはあった
のではないでしょうか?
「2011年に震災があった直後、東北に行けなかっ
た自分がいたんだ。自分のなかで何も準備ができ
ていないとか、いろんな理由をつけて、東北に行か
なかったんだよね。で、あの雪の日、規模は違うと
はいえ…地元の群馬も大変な積雪ななか、数10
キロを歩いて帰ったんだ。その道中、普通に家族
旅行で来ていた人なんかにも会ったんだけど“この
先の道はどうなっているんですか?”なんて聞いて
くるわけ。トラックの運転手なんかは無線で情報交
換ができるけど、一般の人はとにかく情報がない。
その恐ろしさといったらなくてさ。“この先は危ない
から、できればUターンしたほうがいいですよ”って
教えたり、地元で立ち往生している人たちに炊き出
しをしたりしたんだけど、そのときに、少し報われた
気がしたんだ。やっと人の役に立てたなって。その
ときに思ったのが、もうメディアで情報操作はできな
くなってきたなっていうこと。本当のことが飛んでい
く時代になったから統制もとりにくいだろうし。自由
が自由を呼ぶから、今までデタラメだったことが、
バレてきたんじゃないかな。だからこれからどうな
るのか、また人は昔の姿に立ち返ることができる
のか。難しいけど、やりがいのある時代だと思う」

――以前から感じていたことですが、そういった現代社会に警鐘を鳴らす歌詞
や、バンドの生身だけで勝負しているサウンドは、スタイルは違えどRAGE AG-
AINST THE MACHINE(RATM)に通じるところがあると思います。
「たしかに、社会的なことに関してはRATMという、いい教科書があるよね。でも
オレたちとしては、もっと暮らしの中にある、身近に感じられるようなところをやり
たいっていう気持ちがある。RATMがリアルタイムで活動していた頃とは時代も
違うし、年齢も重ねてきたし、絶対に感覚が変わったと思うから。誰も、こんなに
も先が見えない時代になるなんて、思ってもみなかったよね」

――今回の収録曲は全部新曲ですが、ツアーの合間を縫っての制作やレコー
ディングは、かなりキツかったのではないでしょうか?
「レコーディングのときは、今年はスタジオで元旦を迎えるのはやめようって話し
たんだよね(笑)。でも、もうたまっているアイディアなんかなかったからさ。再録
の曲もないし。“ここが滞っているから、とりあえずストックしてある持ち曲を先に
やろう”っていうこともできないし。“できるかできないかじゃなくて、やるんだよ!”っ
てね(笑)」

――でも、追い詰められたからこそ、テンションが高くなってできた部分もある
のでは?
「追い詰められないとできないんだと思う(笑)。この日までにこれをやんなきゃい
けないっていうのがあるから、何としてでもやろうってなるんだよ。実際、歌詞を
本腰入れて仕上げているときのほうが、普段見落としていることを拾えるんだよ
ね。普段は立てているつもりでも、アンテナが立ってないんだよ。オレたちは、普
段は仕事をして、週末にバンド活動をやるっていう感じだよね。だから月曜日は
ライヴをやったせいでモードがバンドのところにいっているし、体は疲れているけ
ど、頭はギンギンに冴えている状態。“このチャンスを逃しちゃなんねえ”って、そ
の勢いで書いちゃう」

――疲れで余計なことを考えられないからこそ、根底にあるものが表出するん
でしょうね。
「そう、普段は眠っているんだね。本当にいいと思えるアイディアって、頭の中で
ギターもベースもドラムも、全部鳴っているんだよ。“これだ!”っていう完全な状態
で。でもそれもメモって残しておかないと、忘れてしまう。そのまんまUSBとかに
保存できればいいのにね」

――バンドとしてでも、人としてでも、これからどんなことを成し遂げたいですか?
「オレたちは、たくさんの人からとんでもない恩をもらっているから、その恩返し
をどうやろうかっていうのは、メンバーともよく話している。もらってばっかりは
さすがにね(笑)」

――その「返さなきゃ」っていうのも、義務感からくるものではなくて、人としても
らったものはしっかりと返したい、という当たり前の気持ちですよね。それが音
源にもライヴにも、ハッキリと出ているんだと思います。
「最終的には、人と人でしかないからね。テクニックはやっていけば自然と磨か
れるものだけど、人間力というものは、自分から磨いていかないとならないじゃ
ない? 汗とか匂いとか熱とかは、直接届けないと伝わらないはずだからさ」



文・望月裕介/text by Yusuke Mochizuki
photography by HayachiN


シェア