笠原健太郎が前フル作
『EMOTIONS』以降を振り返る part 1!

Northern19がいよいよ通算5枚目の最新フル作『DISCOVERY』
を6月25日に発売する。それを前に復習・予習という意味も兼ねて、
笠原健太郎(vo,g)にここ2年間を振り返ってもらった。今回、その
第1弾をお届けする。

――最新フル作がまさに発売間近だけど、今、前フル作『EMOTIONS』を振り
返ってみてどう思う?
「つい最近のことだったんですけど、『EMOTIONS』を久々に通して聴いたんで
すね。そしたら謎のテンションを強く感じて(笑)。なんだか謎ながらスゴいテン
ションがずっと作品を貫いてる。収録曲はさまざまだったりするし、勢いをスゴく
出した曲もあれば、逆にバラードっぽい曲もあったりで明確な振り幅があるんで
す、あの作品には。それからそういうテンションというか、緊張感みたいなものを
感じるっていうことは普通あんまないことで。ちょっとカオスっぽくもあったりして
(笑)。今考えてみても、そういう作品をあのときによく作ったなと。あの作品のツ
アーサイクルから離れ、いろいろなことを忘れた頃に聴いたら、よくこんな展開
の曲が作れたなとか。ものスゴく細部までこだわって作ったと思うし、隅々まで
練られてるとも思う。たぶんバンド的にも、そういう勢いがあったと思うんですね。
4枚目のフル作に賭ける熱量がそのままそれに出てると思うし、ツアーをやって
てもとにかく前のめりだった。根拠のない自信が強くあったというか(笑)。もっと
言うと、あの作品の曲作りをしてた2011年がそのエネルギーを作ってたというか
貯めてた年だったと思うんです。それを遡っていくとその前のフル作『SMILE』
(2010年)とかの話にもなってきちゃうんですけど。とにかくバンドの自我ってい
うか、Northern19っていうのはどういうバンドでどういうことをやりたいのか、そう
いう貪欲さや攻撃性みたいなものが、ちょっとわかりやすく出たと思うんです、
『EMOTIONS』は。音にしろ全体の感じにしろ、野心みたいなものがスゴくあふ
れてたなと思います」

――じゃあ、当然発売に伴うツアーにも満足したと?
「当時は…してましたね。ライヴ一本一本の充実度も高かったし。ようは、前に
どういうことをやってたか、それを受けてどう変化していくかってことの繰り返し
なんですよね。少なくともボクたちはそうだと思う。『EMOTIONS』んときはそれ
までの反動、『SMILE』まできた流れがあり、じゃあ次はどうなんだっていうとこ
ろがすべてにわかりやすく出てたと思います」

――井村知治(b,vo)も馬場豊心(ds,cho)
も健太郎と同じ想いなのかな?
「どうでしょう…。だけど、ボクのなかでは
『EMOTIONS』ぐらいからみんなの想い
がスゴく揃ってきた気はします。それまで
も決して揃ってなかったわけじゃないん
ですけど、よりそれが強固なものになっ
たっていうか」

――ツアー中とか、バンドのなかでよく
話しをする?
「イヤ、そんなには。ベタベタする感じも
ないし、必要以上にワイワイっていうわ
けでもないんで。曲を作るときはボクが
主軸になるんですけど、どういうことを
ボクがやろうとしてるのかってことを理
解しようとしてくれてるし、信頼してくれ
てるなといつも感じる。たぶんボクにし
ても、バンド活動とかメンバーのことと
かの全体を見ながら次はこういうことを
Northern19でやりたいとなり、それが
音楽に反映されてると思うんです。だか
らそんなに話し合って次はこうだとか言
い合わなくても、年々合わさってきてる
感じがしてる感じがします」

――作曲も作詞も全曲、クレジット上じゃ健太郎になってるじゃない。馬場や井村
のアイディアも反映されたりするの?
「どっちかで言うとほとんどボクがやってます。ただ今まではボクが一部分の、た
とえばサビの弾き語りだけを投げ、ちょっとずつ膨らませていくという感じだったん
ですけど、それがだんだん…それだと時間もかかっちゃうし、けっこう苦労も多い
んですね。それはそれで、納得のいく充実したものができてはいたんですけど、
やっぱりどんどん変わってきて。ボクもこのメンバーとだったらたぶんこうくるだろ
うなみたいなのがちょっと読める部分もあったりするんで。そこを先読みし、ボクが
一足先に作ったりとか(笑)。逆に、ここは普通にいったらこうだと思うけど、だけど
どう思う? っていうときもある。ケースバイケースで曲によって違います。だから
そこはあんま決まっていないといったら決まってない。これはこういうものだって
いう感じでボクが最初から提示したものをやってもらう場合もありますし、逆にこ
こはどうしようかなと思ってるんだけどって投げてやってもらったヤツが斬新でそ
こから広げるときもあるし」

――井村や馬場から自分たちももっと深く
曲作りに関わらせてよ、っていうような意見
は出ないの?
「今まではないですね(笑)。そこはありがた
いって思ってます」

――それが、さっき言ってた信頼というもの
の表れなのかな?
「はい。で、もしアイデアがあったら言っても
らってもイイとボクはいつも思ってて。それを
基にボクが広げるっていうパターンも全然あ
りだと思うんですね」

――曲や歌詞を書いてる最中、未完成型の
をメンバーに聴かせたり見せたりするタイプ? それとも完成するまでは一切出さ
ないクチ(笑)?
「うーん(苦笑)、曲によりますかねえ。今回はある程度かっちりしたデモを作って
持っていったんです、彼らに。それを一気に“こんなのできたよドサドサドサ”みた
いに(笑)」

――『EMOTIONS』の発売に伴う活動に一区切りついた頃、シングル『WINTER,
WINTER』(2012年)を出したよね。Northern19お得意の、四季折々のシリーズ
最終章だったわけだけど、四季を題材とした一連のシングルを出そうと思ったきっ
かけってなんだったの?
「もともとはですね、ライヴ会場限定で売る『SUMMER CHILDREN』(2009年)を
作ったことにあるんです。2009年に海外のバンドと一緒にツアーを回ろうという話
が出たんですけど、そのときスプリット作を限定で出して一緒にツアーを回るはず
だったのが、急遽そのバンドが来日をキャンセルしたんです。だけど会場は押さ
えてるからツアーはしなきゃいけない。じゃあ、もう自分たちの名義でやっちゃおう
ぜっていう話に。それが始まりで、夏に出るから夏盤、みたいな季節ものにしちゃ
おうかっていう発想からそうなったんですね。そこから始まり、だけどその後も続
けようとは実は思ってなかったです(笑)」

――で、結果的に夏に出したから秋も、秋も出したから冬も…っていうふうに続
いていったわけ?
「そういうことです(笑)」

――じゃあ、フル作を作るときよりユルい感じで作ってた作品だったりする?
「そのとおりです。だけどそれをやったらスゴくよくて。各作品に1曲ずつカヴァー
が入ってるんですけど、ボクたちはほぼそこでしかカヴァー曲を披露してない。
カヴァーっていうのもスゴくやりたかったことだし、それがやれて、作品を出しツ
アーを回ることで、そこからまた次の作品までの間のフックにもなるし、とっかか
りにもなるしで。スゴくメリットが多かった。やってみたらとても面白かったし、夏
から春、秋、冬ときましたけど、どの作品も今聴いても思い入れがあります」

――なにしろ季節シング
ルなわけだから、春っぽ
い曲を書こうとか冬っぽ
い歌詞にしようとか、地元
の新潟の雪景色を思い
浮かべたりとかってあっ
たのかな?
「ありました、ありました。
ただ、冬に出すということ
はその曲を夏に書くわけ
ですよ。自分は夏を過ご
してるのに冬のことを想
像しながら曲を作るって
いう(笑)。“うわー、どうし
よう!”みたいなのはしょっちゅうありましたけど、だけどそれで自分の曲作りの幅を広げられた気も
する。ボクは四季を通してやれたことに達成感じゃないですけど、誇りというか、とてもいいアプロー
チができたなと自負してます」

――最近は異常気象により四季折々ってのがだんだん崩れてきてるけど(笑)。
「そうですね(笑)。『WINTER, WINTER』収録曲“SNOWBLIND”は本当に冬っ
ぽい曲。意外と日本の冬の曲ってエモめのしっとりした曲が多いんですね。だ
けど海外の冬の曲ってもうちょっとハッピーで明るいんですよね」

――それは、間違いなくクリスマスがあるからだよ(笑)。
「そうですよね。やっぱ冬と言えばクリスマスとかハッピーニューイヤーとか、そ
ういうイメージだなと思って作ったのが、あの曲だったんです」

――カヴァーの選曲はどういう基準で決めていったの?
「やっぱり人がいままでにさんざんカヴァーしてきた曲は選びたくないんですね。
だから選曲はけっこうシビアでした(笑)。かと言って、人があんまり知らないよう
な“通”なアーティストのカヴァーを演ってもなんか違うなっていう。そこが難しい
ところだったんです。だから冬のときは“SO SICK”ってNE-YOのカヴァーを演っ
たんですけど、それなんかは“よっしゃ! キたっ!”みたいな(笑)。あのカヴァーは
メロディや曲全体の流れはほとんど変えずにうまいことアレンジがハマり、バッ
チリだと思って。あと『SUMMER CHILDREN』に入ってるT-SQUAREのカヴァー
はインストなんですけど、夏盤を作ろうとなったときに、その曲のメロディが昔っ
から夏のイメージで。やるならこれをやりたいと思って。それまではカヴァーっ
て演ったことなかったですから」

――T-SQUAREが初めてだったんだ?
「そうです。初のカヴァーがインストってい
う(笑)。前例がないですね(笑)」

――じゃあ、次はCARCASS(UK産デスメ
タルバンド)のカヴァーだ(笑:右の“WISH”
のPVでの健太郎のTシャツ参照)。
「ははは、CARCASSのカヴァーはちょっと
練習が必要ですね。展開とかそう簡単には
覚えられないですから(笑)」




近日、part 2をup予定! レーベル移籍、初ミニ作『FOR EVERYONE』(2013年)に
ついて健太郎が回想します。お楽しみに!



文・有島博志/text by Hiro Arishima


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