笠原健太郎が前フル作
『EMOTIONS』以降を振り返る part 2!

Northern19がいよいよ通算5枚目の最新フル作『DISCOVERY』
を6月25日に発売する。それを前に復習・予習という意味も兼ねて、
笠原健太郎(vo,g)にここ2年間を振り返ってもらった。今回、その
第2弾をお届けする。

――『WINTER, WINTER』(2012年)をもって四季折々シングルもシリーズ
を終え、昨年ミニ作『FOR EVERYONE』を出したよね。ド頭の“GO”はとても
勢いのある、Northern19お得意いのファストチューンで、続く“SOS”は一転、
マイナーキーで、じっくり聴かせるちょっとテンポダウンなナンバー…。実に
イイ感じで始まる今作はバンドキャリア初のミニ作だけど、今振り返ってみて
この作品はキャリア上どういう立ち位置にあるものなのかな?
「まず、昨年がバンド結成10周年の年だったんですね。それまで所属してた
レーベルも離れ、環境を一新する時期でもあったんです。だから新しくスター
トを切るよっていうことの宣言というか、手始めの、名刺代わりじゃないですけ
ど、そういう作品でした。で、その作品を作るための、こういうのにしたいという
アイディアみたいなものがいっぱいあった。だけど、それが逆にボク的にはス
ゴく難しくて。『WINTER, WINTER』を出しツアーも終えた後、いきなりあの作
品の制作だったんで時間があまりなかったということもあったんですけど、ボ
クとしては苦労した作品でした。新しい第一歩を踏み出す第一弾の作品として
“こういう作品にしたい、こういう曲を入れたい”という気持ちがあり、それに向け
て作ると決めちゃうと逆に難しくて。だからたとえば“GO”にしても、“新しい方向
へいきたいんだ、そういう曲を作りたいんだ、作ろう、だけどうーん…難しい”っ
ていう(苦笑)。そういうのがけっこうありましたね」

――バンドにとってレーベルって後ろ
盾であり、活動していく上での足場だ
とも思う。とても大切な“拠り所”だよね。
前レーベル所属時代に「日本のメロ
ディックパンク・シーンにNorthern19
あり!」と言わしめただけに、現在所属
しているWIRED ReCORDSに移籍し、
状況が落ち着くまでの間、不安だった
んじゃない?
「いえ、楽観的でしたよ。もちろん不安
もありましたけど、冷静に考え、レーベ
ルがどこであれ、基本はNorthern19
がいて、自分たちがどうするかが一番
大事だと思ってたので。ボクたちは自
信を持って制作やライヴをやっていくだけだって、そこを再確認しました。確かに
どうなっていくんだろうって、わりとギリギリまでわからなかった部分もありました
けど、だけどなんとかするしかないって。結局どうこうなってよく転ぶも悪く転ぶも
被るのは自分たちだから。そこはもう、堂々としていなきゃと思ってました」

――レーベルの件が落ち着くまでの間、先が見えなくなったときもあっただろうし、
気持ちが混沌とするときもあったと思うんだ。さっきも言ったとおり、“GO”はとても
勢いのある曲じゃない。そうした状況/環境から一日も早く飛び出したいっていうこ
とからあの曲が『FOR EVERYONE』の1曲目になったと言える?
「うーん…そうとも言えるし、そうじゃないとも言える、っていう感じですかね(苦笑)。
実際そんなに大変な状況/環境でもなかったんで。10年間やってきて、自分たち
自身も新しい台に踏み出したかったっていうところもあったんで、そんなにネガティ
ヴには捉えてなかったですね」

――つまり結成10周年を迎え、ひとつの区切りをつけ、次の10年に向かって走り
たい、前に進みたいということの方に気持ちが向かってたんだろうね。
「そうですね、とにかく先を見たかったですね」

――さっき『FOR EVERYONE』は
事前に作風が明確で、アイディアも
たくさんあった、って言ってたよね。
つまりあの作品は10周年記念、加
えて新しい第一歩であり、自分たち
で新しい10年間のドアを開けていく
というコンセプトがはっきりしてるの
に、なんで一番難しい作品だったん
だろう?
「いや~、だからこそハードルが上
がっちゃったんですよ。10周年記念
作品で、これからバンドはこういくぜ
と示す作品、ということは1曲目はこ
ういう感じがイイな! …うーん、みた
いな(苦笑)。今までこういうアプローチはやったよなとか、そういう細かいものが出てきちゃったりして、それも
ボクのよくないところ。今回の『DISCOVERY』はその経験を踏まえ、そのへんはうまく落し込めた気がするん
ですけど」

――『FOR EVERYONE』が難産だったからこそ、『DISCOVERY』の曲作りは逆に
肩の力が抜け、リラックスしながらできんじゃない? 大変だったぶん会得したものも
多く、それもちゃんと反映することができたっていう…。
「そうですね、ボク的には。ただ今回も時間的にはけっこうかつかつだったんですよ
ね。それでも『FOR EVERYONE』んときに会得した感覚とか気持の落ち着き方とか、
あと具体的にはツアー中の移動日でもオフ日でもパッと思いついたメロディをすぐ
携帯に録る。そういうことは昔もやってたんですけど、それを常にやっていくように心
がけた。そういうものがスゴく生きましたね。やっぱり作ろうと思って作っても、なかな
かイイものって降ってこないんです。ボクはそういうタイプで。トイレで用をたしてると
きとか、寝ようと思って布団をかぶった瞬間とか、そういうときにバンッてくるんです。
そういうバンッときたものって絶対正しいんですよね。前にこのアプローチはしたとか、
このコード進行は使ったとか、このメロディ感はやったとか、そういうものを越えた、こ
れしかないっていうよさがあります。そういうものをなるべく多く作品に入れたいと思っ
たから、常に携帯に録るようにした。そういうものって聴き直したり改めてギターで弾
いてみても、やっぱりイイって思うんですよね。そういうのが今回いっぱい入ってる。
あとは変にこねくり回したり固定概念に縛られずに、イイ意味で勢い重視で全体を作
っていったんですね。それもスゴくよかったと思います。だから『DISCOVERY』はス
ゴくストレートな作風だと思うし、と同時にキャッチーだと思うんですね」


この続きは、現在発行中のGrindHouse magazine Vol.84掲載の
笠原健太郎のインタヴュー記事で。『DISCOVERY』の話が中心だ。



文・有島博志/text by Hiro Arishima


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