ときに切迫感すら覚え、とき緩やかで実に心地よい緊張感…
このポテンシャルは凄まじいの一言につきる!!




かのKING CRIMSONが最新ライヴ3CD+映像DVD or Blu-ray『ラディカル・アクション~ライヴ・イン・ジャパン+モア ※原題:RADICAL ACTION (TO UNSEAT THE HOLD OF MONKEY MIND)』を発売した。昨年末6度目の来日をはたし、東京公演6連発ソールドアウトなる快挙を堂々やってのけ、名阪はもちろん高松公演も行うなど計10公演実施したときを含む、2015年のワールドツアーの模様が満喫できる観応え、聴き応え十分な作品だ。もともとライヴ盤の多作なバンドだけど、今作はそのなかでもかなり秀逸な出来だと言える。

デビュー作『クリムゾン・キングの宮殿 ※原題:IN THE COURT OF THE CRIMSON KING』(68年)でカウンターパンチを喰らったかのような大衝撃を受けて以来、長くKING CRIMSONにハマり、『ポセイドンの目覚め ※原題:IN THE WAKE OF POSEIDON』(70年)、『太陽と戦慄 ※原題:LARKS’ TONGUES IN ASPIC』(73年)、『RED』(74年)とオリジナル活動期7作品を聴きあさってた時期がある。その後81年の初来日公演を体験したものの、なにが要因だったのかはわからないけど次第に彼らとの間に距離を置くようになり、近年は時折思い出したように作品を引っ張り出しては聴く、ぐらいの程度に留まってた。だけど今ライヴ盤を観聴きするや、再度かつての「熱」が頭をもたげ、こみ上げ、並行して上記7作品ほかを改めて繰り返し聴くようになった。
当時の思い出が次々と蘇ってきた。そして、自分はKING CRIMSONという唯一無二の存在のいったいどこに魅かれてたのかを考えてみた。どこかに必ずや「ブレのなさ」はあるのだけど、それでも作品ごとに作風が変わり、ベクトルを向ける先も異なるというのには当初翻弄されっぱなしで、方向性や展開が見えず、読めずで、これにはかなり戸惑ったものだけど、そのうち慣れっことなり(笑)、そういうバンドなんだと悟り、逆に大きな魅力だと感じるようになった。さらにグレッグ・レイクの歌声が好き(なかでもデビュー作収録曲“Moonchild”は特筆に値する)、ジョン・ウェットンの歌声も好き、メロトンの音色が好き、ロバート・フリップのひしゃげたギター音が好き、突如顔を出すアヴァンギャルドさも堪らん…と挙げてたら枚挙にいとまがないくらいなのだけど、一番は作品一枚を通して漂う独特な緊張感、そしてビート、グルーヴだということに気づいた。



あらゆる類の緊張感を否応なしに味わわされる。なかでもメンバー同士が高度なテンションの下しのぎを削るようにプレイを応酬してるときの緊張感には超絶なものがある。鋭角的で肌がピリピリするほどだ。RAGE AGAINST THE MACHINEのブラッド・ウィルク(ds)が、かつてこういうことを言ってた。

「オレたちのライヴ、リハーサル、そしてレコーディングじゃメンバーみな正面衝突するような感じでプレイする。まさに真剣勝負さ。時折互いに頭に拳銃を突きつけ合ってるような錯覚に陥ることすらある(笑)。そうした強い緊張感はそういうところから生まれ、放たれるんじゃないかな」

ロバート・フリップ(g)をはじめ、自分はこれまで一度もKING CRIMSONに取材したことはないのであくまでも憶測の域を脱しないのだけど、ブラッドの言う正面衝突するような感じでプレイするというのは、KING CRIMSONにも言えるんじゃないかと思う。ヴァイブ、雰囲気などは近いものがある。激しく、音数の多い曲、パートに特にそれが顕著だ。この鋭角的な緊張感はPINK FLOYD、YESなどの同じくプログレッシヴロックの始祖たちの緊張感とは明らかに趣の違うものだ。

そしてビート、グルーヴ。TOOLのアダム・ジョーンズ(g)が以前KING CRIMSONについてこう語ったことがある。 「改めて言うまでもなく、KING CRIMSONは大好きだよ。すべてが革新的で斬新だった。いろんな面でかなりインスパイアされたし、学びとったことも少なくない。特にビート、そしてその展開は最高の一言につきるね」
MESHUGGAHのトーマス・ハーケ(ds)はこう言ってた。

「自分にとって、またバンドにとってKING CRIMSONの存在はとても大きいよ。ものスゴく刺激を受けたしね。それを経験したか否かじゃ、今現在のバンドの音楽性は違うものになってたかもしれない、とまで言えるほどさ」

ビートがときに四方八方に飛び散り、ときにあちこち這い回り、またときに一体となって突進してくる。そうかと思えば、突然静寂、美麗の音世界へと導かれていく。起伏の激しさと、穏やかさ、優しさが完全に共存共栄していき、比類なき音世界を構築していくさまは実にすばらしい。KING CRIMSONが後世に残した音楽的影響は計り知れなくデカい。今ライヴ盤でも“Larks’ Tongues In Aspic Part One”“The Talking Drum”“Easy Money”“21st Century Schizoid Man”でのビート、グルーヴの応酬はスリリングで、思わず釘づけにされてしまうほどカッコいい。
今ライヴ盤で初めてKING CRIMSONを聴き、そのスゴさをいやというほど味わったという人には、遡る形でオリジナル活動期に残された7作品、そしてライヴ盤『USA』(75年)もお勧めだ。

ここにある最新グループ写真に納まるメンバーはみな気品漂う中年紳士のように映る。が、しかし、実際彼らがやってることは極めて先鋭的なことなんである。


 KING CRIMSON
 『RADICAL ACTION (TO UNSEAT THE HOLD OF MONKEY MIND)』
 発売中