“よき90年代”を思わせる最新ソロ作は必聴!


時間になり取材部屋に通されると、思いも寄らなかった、実に意外な光景が目のなかに飛び込んできて、ちっちゃく動揺した。ロブ・ゾンビはソファに腰かけ、なんと裁縫仕事をしてた。Gジャンにパッチワークを縫いつけてたのだ…。

94年5月、ロブはWHITE ZOMBIEを率いて初来日した。PANTERAのサポートアクトとしての来日で、東京4公演、大阪1公演、神奈川1公演の計6公演を行った。通算3枚目で、メジャーデビュー作となった『LA SEXOCISTO :DEVIL MUSIC VOL.1』(92年)発売から2年以上経った頃のことで、当時WHITE ZOMBIEとPANTERAは同じマネージメントに所属してた背景から実現したカップリングだった。その来日中に自分にとっての初のロブとの対面取材が実現したわけだ。取材中、ロブはずっと黒のサングラスをかけてたことから表情の細かな変化などはなかなか掴みにくかったものの、総じて気さくで饒舌な印象を得た。実はこれ以降、ロブとの対面どころか、電話取材すら実現していない。LOUD PARK09参戦でソロとして来日してるけど、このときは自分が海外出張で日本を留守にしてたためライヴすら観れてない。こういう仕事に就いててこう言うのもなんだけど、自分にとってロブはなんだか遠い存在のような気かしてならない…。

4枚目『ASTRO-CREEP:2000-SONGS OF LOVE, DESTRUCTIO AND OTHER SYNTHETIC DELUSIONS OF THE ELECTRIC HEAD』(95年)を出した頃、WHITE ZOMBIEは本国アメリカで相当ビッグな存在になってた。ヘッドラインツアーに出れば、アリーナ級の会場を使い、まるでオモチャ箱をひっくり返したようなステージセットを組み、特効をバンバン打ち上げるなどド派手なパフォーマンスを繰り広げるなど、かなりの人気を博してた。もしかしたら、その時点でロブのなかに10数年やってきたWHITE ZOMBIEに対してやり終えた感があったのか、それともなにかほかに理由があったのかはわからない。98年に突如WHITE ZOMBIEの解散宣言をするや、と同時にロブは『HELLBILY DELUXE』を出し、一転ソロ活動に打って出る、という前代未聞のことをやってのけたのだ。WHITE ZOMBIEは押しも押されぬスーパーヘヴィロックバンドの座に君臨してただけにこのなんの前触れもなかった解散宣言は当時大変な話題になり、ロブのソロ活動の船出に大きく、強い追い風となった。『HELLBILY DELUXE』はUSチャート初登場5位をマークし、300万枚以上売る大ヒット作となった。

WHITE ZOMBIEの女性ベーシスト、ショーン・イスルートが解散から何年か経った後、リーダーバンド、FAMOUS MONSTERで来日したときに話を聞く機会に恵まれた。ロブを、そしてWHITE ZOMBIEをこう語ってた。

「WHITE ZOMBIEに関するすべてのこと…音楽、アート、ビジュアルなどは全部ロブがコンセプトを考えてたわ。もちろん私たちもアイディアは出したりもしたけど、基本はロブなの。解散、そしてロブがソロ活動をするということは事前に聞いてたけど、実際はあまりにも唐突に起きたのよ(苦笑)」

ロブがWHITE ZOMBIEとしての活動にピリオドを打ち、ソロ活動へと転身していく経緯、そしてそれが公になったときの衝撃や、ショーンの証言からなんとなくロブの人となりが浮かび上がってくるだろう。

「ロブは現在、新作映画の撮影に入っており、取材に応じる時間が割けない」という明確な理由で取材しにくくなり始めたのは、ソロ3枚目『EDUCATED HORSES』(2006年)の頃からだったと記憶する。その後ソロ作が発売されるたびに電話取材のリクエストはするも、一度たりとも形になってない。最新ソロ作『THE ELECTRIC WARLOCK ACID WITCH SATANIC ORGY CELEBRATION DISPENSER』がいよいよ発売の運びとなるけど、今回は明確な理由はなく、ただただ一言、「取材は難しい」との本国のレコード会社からの返答だった。ここまでくるともう、「いったいいつになったら取材ができるんだろ…」と夜空を見上げるしかない(苦笑)。

最新ソロ作は一聴しただけで大のお気に入りになった会心作だ。もう、どこをどう切ってもロブ・ゾンビワールドで、頭っから最後まで大全開しっぱなし。まさにロブのやりたい放題だ。曲1曲1曲が非常にコンパクトにまとめられてて(1、2分台の曲がほとんど)、次から次へと繰り出されてくるようなスピード感があるし、曲によってはWHITE ZOMBIE後期のそれを想起させるニュアンス、タッチ、ヴァイブを放ち、テンションが上がる。WHITE ZOMBIEが好きな人、90年代中盤以降のヘヴィロックが大好物な人にも気に入ってもらえる作風だ。それにしてもだ、アルバムタイトル原題も、曲タイトルも長いしで、なかなか覚えられないというのはいかがなものか(笑)。ジョン5(g)、ピギー・D(b)、ジンジャー・フィッシュ(ds)とバック陣の2/3が元MARILYN MANSONになってから今作で2枚目だ。

余談だけど、冒頭の続きだ。時間となり取材部屋に通されるや、思いも寄らない光景が目のなかに飛び込んできたアーティストがもうひとりいる。HOUSE OF PAINのエヴァーラストだ。ソファに座り、両ひざでadidasのスーパースターの片方を挟み、ヒモを通してた。これにもけっこうヨジれた(笑)。



text by Hiro Arishima




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 ROB ZOMBIE
 『THE ELECTRIC WARLOCK ACID WITCH SATANIC
 ORGY CELEBRATION DISPENSER』
 4/29発売