茂木洋晃が語る、『S.O.S』にまつわるあれこれ。
そしてこれからはどう動く?

実に9年ぶりとなるフルアルバム『S.O.S』に伴うツアーを終了
させ、追加公演となる5月17日の渋谷CLUB QUATTROでの
ワンマン公演「FINAL ENCORE ONE-MAN SHOW ~Sound
Of Survival~」を控えたG-FREAK FACTORY。今回は『S.O.S』
と、その前後のことを茂木洋晃(vo)に振り返ってもらった。
もちろんバンドは「これから」に向けて、さらに闘志を燃え上
がらせているところ。今後の動向にも、ぜひ注目していてほしい。

――昨年の夏にリリースした『S.O.S』に伴うツアーが、3月29日の渋谷eggman
公演でとりあえず終わりましたけど、一息つけました?
「いや~、まったくついてないね(笑)。というか、一息のつき方がわからなくなって
いるくらい(笑)。ツアー中、いろんなバンドと触れて、感化されることも多かったし、
ここで止まったらコイツらに追いつけないなって思わせてくれたので、それはうれ
しいことだったね。いっしょにやったどのバンドもすごいライヴをやるから、その上
をいかなきゃ食われてしまう。今までとはわけが違うなって感じた」

――トータルで、どんなツアーだったと思います?
「自分たちはまだまだやれるというか、まだやることがたくさんあるということを、現
実として思い知らされた。『S.O.S』のリリースまですごく時間が空いてしまったこ
ともあって、昔行ったことがある地域でも、ほとんど“はじめまして”と同じような感
覚だったから。もっといろいろなところに、積極的に行かなきゃって思ったね。でも
オレたちのことをずっと応援してくれていた人たちとも触れあえたから、それはす
ごくうれしかった。大昔のオレたちのツアーTシャツを着てライヴに来てくれた人が、
ひとりやふたりでもいてくれたんだよね。“これ、いつのTシャツ!?”なんて話したりも
して」

――やはりアルバムをリリースしてのツアーということで、それまでのライヴとは
感覚がまったく違ったと思います。変化したこととして、どんなことがありますか?
「とにかく、限界値は広がったね。精神面も身体面も、ここまでっていうマックス値
は確実に上がったと思う。とはいえ、ライヴでは毎回自分の持っているものをすべ
て出し切ってはいるものの、“これでどうだ、この野郎!”っていう、満身創痍なところ
までは、まだいけていない。それはメンバー全員が感じていて、ツアーの移動の車
の中でも“こんなもんじゃねえよ”って、みんなが言っていた。もしかしたら一生でき
ないのかもしれないけど、そこを目指さずにはいられないものなんだよね」

――会場の空気等いろんな要素が複合的に作用しますし、ライヴの雰囲気やテ
ンションというのは難しいですよね。
「例えばサッカーみたいに、時間いっぱいで決着しなかったら、PK戦までやって
勝ち負けを決めるようなものでもないからね。音楽はそういったところがすごく抽
象的で、トンネルのなかみたいなもの。ライヴっていうのは、演奏ももちろんだけ
ど、フロアの絵までもがパッケージされるんだと思う。フロアの絵に助けられる部
分もあるし。だから、アウェーに挑みたいね(笑)。自分たちがヘッドライナーのツ
アーは、ほぼホームになるでしょ? これがアウェーに行ったときにどれだけ通用
するのかも確認したい。工夫もするだろうし、気付かされることも多いだろうしね」

――単発でライヴはやっていたけど、長らく
音源を出していなかったバンドが、音源を出
してライヴをやることで「シーンに復帰するこ
とができた」と感じることは多いですよね。そ
ういった感覚はありました?
「やっぱり、音源があるからこそライヴに来る
人たちがいるんだよね。音源を聴いたうえで、
そのバンドを観るかどうかを決めるっていう
人が、予想以上に多かった。オレたちは知ら
ないバンドにこそ好奇心が刺激されたし、観
たいと思っていたから。だけど今は、その感
覚とは真逆になっていたことをすごく強く感じ
たね。だから音源を出せるのなら、絶対に出
すべきだと思うようになった。オレも“新しい音
源を出しなよ”って以前はずっと言われていた
けど、その理由がわからなくて…単純に売れ
るとか、そういうことを言っているんだと思っ
ていた。でもそうじゃなくて、バンドの名前が
広がっていくか、観てもらうことができるのか、
なんだよね。観てもらわないことには土俵に
も立てないし、勝負にもならないから」

――今振り返ってみて、『S.O.S』という作品をどう思っていますか?
「気に入っています。いい意味で散らかっているし、9年間やり続けた曲と、
9年かかって生まれた新しい曲が混在していると思う。これまでで一番いい
ものなのは間違いない。この次は、それぞれがもう一歩成長したものにし
ないといけないし、もっと振り切れると思う。けど、そのためには日々そこに
意識が向いていないとダメだし、ライヴも振り切っていないと、何の意味も
ないんだよね」

――『S.O,S』をリリースする前の9年間だけでなく、それ以前にも解散
の危機を迎えたり、紆余曲折がありましたよね。今の茂木さんにとって、
G-FREAK FACTORYとはどんな存在ですか?
「今はまた、生きがいになったね。これなんだって思う。『S.O.S』を出すま
での9年間は、自分のことしか考えていなかった。自分では休んでいたつ
もりはなかったんだけど、世に出ていなかったら休んでいたも同じなんだ
よね。だけど今は生きがいだし、そのオレたちのやっていることを、生きが
いと感じてくれている人もいる。これって、すごいことだよね。それがまた
合わさって、ほかの人たちの間で新しい生きがいができて…だから続け
られるんだと思う。正直、解散した方がいい時期なんていっぱいあったけ
ど、なんでそうしなかったのかと考えると、群馬にいたからじゃないかな。
天然だから続けられたというか(笑)。東京のように時間が早く流れていっ
て、いろんなものが露骨に見えている場所にいたら、つぶれてしまってい
たと思う。でも群馬にいたからこそできているし、仲間がいるんだなっていう
のは、今でも思うね」

――最後に、5月17日の渋谷CLUB QUATTROでの追加公演「FINAL
ENCORE ONE-MAN SHOW ~Sound Of Survival~」への意気込みを
聞かせてください。
「いやぁ~…もう、想像もつかないんだけどさ(笑)。なんというか、群馬っ
ぽさというか、地方のバンドっぽさを出したいと思うね。しかも熟年の。い
ままであそこ(CLUB QUATTRO)でやってきた人たちは、洗練されたと
いうか、かっこいいものをやってきたと思うんだけど、オレたちはかっこい
いことをやりにいこうとは思ってない(笑)。ぺったんこになってでもやって
やるぜってね。そういうものができたらいいな。楽しみだけど、おっかなく
もあるね(笑)」


文・望月裕介/text by Yusuke Mochizuki
photography by HayachiN & Masanori Naruse


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