入れる理由と入れない理由。
FALL OUT BOYのタトゥーにまつわるあれこれ。

4月に行われた恵比寿LIQUID ROOMのみのプレミアム・ギグに続き、
サマソニ出演で再来日したFALL OUT BOY。恵比寿でのライヴも
『LIVE IN TOKYO』として作品化され、発売中だ。ライヴを観た人
ならばわかると思うが、まさに今の彼らは絶好調。活動休止を経て、
さらに巨大化したことを堂々と見せつけてくれた。
今回はピート・ウェンツ(vo,b)とパトリック・スタンプ(vo,g)にライヴ
の手応えも聞きつつ、タトゥーに関して、「入っている人」と「入ってい
ない人」の両側面から語ってもらった。

――まずライヴ、すばらしかったですね。二人とも、自分では手ごたえはどうでしたか?
パトリック「僕たちもいいものにできたと思っているよ。みんな、最高だった。特に今日は
METALLICAやLINKIN PARKが控えていただろう? ああいったコアなファンが多いバンド
の前にやるのは、正直プレッシャーだった。みんな、僕たちのことなんか観たくないんじゃ
ないかってね。でも、そんなことは全然なくて、受け入れてもらえた。すごく力の入ったプ
レイができたよ」
ピート「そうだね。今日は特によかったと思う。SUMMER SONICはいろんな人がいるし、
何か起こるかわからないものさ。だから緊張というか、ちょっと落ち着かない面もあるんだ
よね。でもライヴが進むにつれて、どんどんよくなっていったと思う」

――でも、FALL OUT BOYだってコアなファンがいるじゃないですか。今日もみんなが一斉
にタオルを振り回したりして、FALL OUT BOYならではの空間ができていたと思います。
パトリック「もしそうだとしたら、うれしいね(笑)。ファンのみんながああやって盛り上がって
くれること自体が、僕たちにとってはスペシャルなことだよ。本当にうれしかった」
ピート「これまで、このSUMMER SONICには何度も出てきたけど、出始めのころは屋内の
小さなステージだった。でも何度も日本に来るたびに新しい言葉を覚えて、新しい友だちもで
きて…とても自然にバンドの評価が上がっていったように思えるんだ。だからこうして野外の
メイン・ステージにも出演できるようになったわけだよね。ムリヤリ、何か裏工作をして出させ
てもらったわけではないから、すごく光栄なことだよね」

――今年4月に恵比寿LIQUID ROOMで行ったプレミアム・ライヴが『LIVE IN TOKYO』とし
てCD/DVD化されています。これに収録されているライヴ、今日のマリン・スタジアムのライヴ、
どちらも甲乙つけがたいですが、バンドとしては、どんな会場でのライヴがやりやすいですか?
パトリック「それぞれに良さがあるんだよね。一概にどちらともというのは難しいなぁ」
ピート「THE ROLLING STONESがいい例なんだけど、例えば彼らはスタジアムで何万人も
集めたライヴをやった次の週に、数百人規模の小さなライヴハウスにも出たりする。なかには、
大きな会場のライヴでしかできないようなバンドもいるけど、彼らはどんな会場でも、自分たち
を的確に表現できるんだ。そういうバンドになりたいと思っているし、リスペクトしているよ。それ
に日本も含めて、いろいろな国ですごく小さなライヴハウスで下積みを経験してきたからね。
その頃の気持ちを忘れたくないんだ。どんな会場でやるにも、その頃のことを思い出しながら
ステージに上がることは意識しているよ」

――それにしても、これだけの暑さと日差しで、
タトゥーは大丈夫なんですか? あまり日焼けし
てはいけないと聞いたことがあるんですけど…。
ピート「あんまり強い刺激や日差しにあたると、
色を入れたところが膨れて、けっこう大変なこ
とになってしまう人はいるみたいだね。オレは
体質のおかげか、特にケアしなくても大丈夫
なんだ。ちょっとかゆくなったりはするけどね」
パトリック「アンディ(・ハーレー/ds)は全身
に入っているからね。今日もステージに上がる
前に、日焼け止めをひたすら塗りたくっていた
よ(笑)」

――パトリック以外の全員、昔よりもタトゥーは
明らかに増えていますよね?
ピート「ジョー(・トローマン/g)は定期的に入
れているみたいだね。アンディもたまにかな。
もうけっこうな量が入っているから、どれが増
えたのかわからないけど(笑)。オレは最後に
入れたのは1年半くらい前になるかな。この日
本人の彫り師に入れてもらったやつも、気に
入っているよ。これから息子がもう少し成長
して絵が書けるようになったら、彼が書いた絵
を入れたいなと思っているんだ」

――逆に、パトリックは入っていないようですね。何か
ポリシーが?
パトリック「実は、僕はお尻がタトゥーで埋め尽くされてい
てね…というのは冗談だけど(笑)。タトゥーは昔からいいな、
いつか入れたいなとは思っていたんだけど、いつのまにか
タイミングを逃しちゃってさ」

――そんなこと言って、実は痛いのがイヤだとか…。
パトリック「いやいやいや、そんなことはないよ(笑)。もう
少し細かく説明するよ。僕はバンドのなかで一番年下な
んだけど、こういうラウドな音を出すバンドに入って、作品
をリリースし始めたとき、みんながタトゥーを入れるように
なった。そのとき、自分はまだ若いし、とりあえずはいいか
なと思っていたんだ。で、そろそろ自分もなにか入れてみ
ようか…と思った頃には、いつのまにか周りの人全員に
タトゥーが入っていて。なんとなく、それで冷めちゃったん
だよね。みんなのマネをしているように思われるのがイヤ
だったのかも。決して痛いのが恐いわけではないよ(笑)」

――ピートはさっき、息子さんの絵を入れたいと言ってい
ましたけど、やはりどのタトゥーにも意味があるんですか?
ピート「なんて言ったらいいのかな。自分の人生の節目に、
それを象徴するもの入れることもあったけど、逆にそのとき
自分に起こったことを忘れないために、体に刻みつけたも
のもある。それぞれに違った意味、アプローチがあるんだ。
なんとなくで入れたこともあるしね」

――では最後に、タトゥーが入って
いる人と入っていない人、それぞれ
の立場からアドバイスを。
ピート「アメリカでは州によって違うん
だけど、18歳、もしくは21歳にならない
とタトゥーを入れてはいけないと法律で
決められているんだ。でも、オレは25歳
まで待ったほうがいいと思う。オレが初
めて日本に来たときは、タトゥーが入っ
ているだけで驚かれたものだけど、何度
も来ているうちに、少しずつ変わってき
たように感じるよ。ファッションタトゥーが
浸透してきているみたいだね。でも、あま
り深く考えないで入れるのは避けたほう
がいいよ」
パトリック「タトゥーを入れるなら、最初
は小さなものから試してみるのがいいと
思うね。アンディも、ピートも、ジョーも今
でこそたくさん入っているけど、みんな初
めてのタトゥーはちいさなものだった。ノリ
で入れるのはよくないから、最初に入れる
ときもしっかりと考えて、入れた後もこれが
自分のスタイルなんだと思えるなら、そこ
から増やしていけばいい。アンディは、ずっ
と同じアーティストに入れてもらっているん
だ。その人とは息が合っているし、メッセージも込められている。それに僕が今まで見てきた人たちでは、
小さなものから始めた人ほど、強い信念を持っていると思う。ノリでいきなり大きなものを入れた人は、
後悔しがちなんだよね。まぁ、増やしていくとひとつくらいはヘンなものが混ざったりもするし、あまり深く
考え過ぎて思いつめるのもよくないのかも(笑)」


文・望月裕介/text by Yusuke Mochizuki
translation by Tamiko Kawasaki (Universal International)


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