『ヒトリセカイ×ヒトリズム』に続く最新シングル『太陽の月』早くも発売!

通算7枚目のフルアルバム『thread』から4年近くもオリジナル音源的音沙汰のなかった10-FEETが、昨夏発売のシングル『アンテナラスト』を皮切りに精力的に新音源を出してる。そして、最新シングル『太陽の月』がいよいよ発売される。京都大作戦 2017開催前の6月下旬に話を聞いた。

――京都大作戦 2017が終幕した直後に新シングル『太陽の月』が発売されるね。『アンテナラスト』から『ヒトリセカイ×ヒトリズム』とここんとこ短いサイクルで新音源を出してるじゃない。今回の『太陽の月』の曲作りのプロセスはいつ頃からスタートしたの?前作フルアルバム『thread』(2012年)から『アンテナラスト』(2016年)までに長い時間がかかった背景を前回の取材で話してくれたけど、実は『アンテナラスト』よりも『ヒトリセカイ×ヒトリズム』の方が先にできてたということだったよね。今回の『太陽の月』はどうだったの?

TAKUMA(vo,g)「3曲目の“少し眠っていたんだ”は実は『thread』の頃からある程度できてたんですけど、“太陽4号”と“月 ~sound jammer せやな~”は今年の4月ぐらいから取りかかった感じですかね」

――当たり前だけど、曲作りは計算通りにいくものじゃないじゃない?いいものがふっと浮かぶときもあれば、なにも浮かばず全然うまくいかないときもあるでしょう、クリエイティヴィティ(=創造性)ってきっとそういうものだと思うんだ。“少し眠っていたんだ”が『thread』制作時からあったということは、世に出るまでにずいぶん時間が空いたことになるよね。時間が空いたものを今世に出す、作り手側からするとそれがいつのアイディアであったというのはあまり関係ないこと?

TAKUMA「まったく関係ないわけじゃないですけど。単純にその曲の作風が今の自分たちに合ってるかどうか、今書いてるほかの曲たちとひとつの作品に入って一緒に彩れるかどうかということやと思うんです。ある程度のところまで録った曲のストックはけっこうたくさんあるんですけど、一緒に彩れない曲もあると思いますし。それは彩ろうとしてる作風にもよるんですけど。たとえばラップ主体だとか、レゲエ主体だとか、へヴィソングだとか、どの傾向かによっても変わると思います。今の10-FEETやここ何作か出してるフルアルバムの流れで、特にシングルで考えると今回の3曲目っていうのはけっこうハマりがよかったんじゃないかなと思います」

――“アンテナラスト”はTAKUMAのヴォーカルからいきなり始まり、歌詞の言葉ひとつひとつがハッキリ聴き取れる曲だったよね。『ヒトリセカイ×ヒトリズム』もそうだけど、ここ数枚のシングルを聴いて『thread』や『Life is sweet』や、それ以前と比べると歌詞に対する想いや歌詞に込める想い、曲における歌詞の持つ意味合いが断然上がってきてるように感じるんだけど、意識の変化とか、取り組む姿勢とかに変化とかあった?

TAKUMA「イヤ、そうしなくちゃというのは特になかったですけどね。歌詞は、同じ意味合いのことを言ってても表現は違ってないといけない。音楽というものを作品にしてリリースするとき、音楽と歌詞というワンセットやと思うんですよ。楽曲のコード進行がまったく同じものというのは実際たくさんありますし、これはアリやと思うんですね。同じコード進行だと意識されないための工夫があればコード進行が同じことにはならないと、極端な話ですがボクはそう思いますし、それを同じと思わせないのがアレンジと呼ばれるもの。同じコード進行、同じ明るさ、同じノリみたいなものを肉付けで変えていくのも音楽の面白さだと思う。だけど言葉だけは、接続詞や形容詞という当たり前にスタンダードなものを除き、ある程度決まった表現がまったく同じになるとそこにスゴく目がいくし耳もいくものだと思うから、その楽曲によくも悪くも影響がある。そこは音楽よりデリケートやと思うんですよね。だからより広がりや深みがあったり、個性的であったり衝撃的であったり、そういう歌詞作りを作っていくほどに掘り下げていかなくちゃいけないなと思いますし、より個性や世界観、テーマというものをしっかりと明確に表現できるようにしていかなければあかんなと。歌詞に関しては音楽より目に見えて違いがあるというものが必要になってくるのかなと思うんですよね。音楽にも同じぐらいこだわってますけど、表面上に違いがより表れてくるのは歌詞なのかなと思います。そういう意味で、より違う表現、違う想いをそこに込めなくちゃいけないという意識がどんどん高まっていく必要があるのかもしれないですね。まあそれも音楽とテーマによると思うんですけど」

――人間誰しも歳を重ねれば円熟味やベテランぽさが出て、ひとつの取り組みとかに対してもそれまでよりも一歩も二歩も深くなったりするものじゃない。ここ最近の3枚のシングルからそれをスゴく感じるのね。ひとつひとつの言葉の響きがエモい(笑)。いい歳の取り方をしてるロックバンドだなと思う。『ヒトリセカイ×ヒトリズム』のアートワークがそれまでのイメージと違ってたけど、今回の『太陽の月』のアートワークもまたちょっと違う。こういう言い方が正しいかわからないけど、10-FEETのクリエイティヴィティ面においての新たなスタート、もしくは次のステージへリーチしてるところ、という気がするんだけど?

TAKUMA「どうですかね…今まで自分たちのなかでありえた表現、どの作品のなかにも見えてたそういう片鱗、そういうものを持ってここ10年間ぐらいやってたと思うんですけど。作品の作り方とか自分たちがいいと思ってるものは…最初からそんなに変わってないかな。自分らがいいと思ってるもの、よしとしてるもの、こういう作品が作りたいな、こういうことがやりたいなというものは実はあんまり変わってない。やりたいことは常にいくつかあって、そのうちのどれかを表題曲とかシングルという形で選んでただけ。どのシングルもアルバムも新しいことをやってるんですけど、どの曲が表題曲になっても今のボクたちであるということを、最近特にメンバー同士が共有できてる。そのなかでどこを一番表面に見せるかということ。そのどこを見せるかによって自分たちのいる場所や、周りに対する影響というか、その意思が届くことによって影響があると思う。そういうことも含めて音源作りなのかなと実感してますね」

――『アンテナラスト』はタイトル曲がミッドテンポのスローな感じだったけど、カップリング2曲がそれとは正反対の激しいアッパーな曲だったよね。続く『ヒトリセカイ×ヒトリズム』でもカップリング2曲はアッパーな感じだった。カップリングに表題曲とは違うヴァイブを放つ曲をということは選曲の段階から意図してること?

TAKUMA「どうでしょう?単純にその曲にどういう力があるのか。音楽的に力があるのか、ハッピーなのか、歌詞に力があるのか、いろんな力があると思うんですけどそのなかでも今一番届くものを今回の3曲に選んだつもりなんですね。どれも微妙に方向が違うだけでなにかしら力を持ってる楽曲ということには変わらないんで、最近は3曲入りのシングルが多いですけど、できれば3曲全部を表題曲にしたいなというのはいつもありますね。だからどれを表題曲にするかを毎回悩んでます(笑)」

――『太陽の月』に同名の曲はないじゃない。シングルと言えば表題曲がそのまま作品タイトルになるものだし、10-FEETも以前はそうだったけど、シングルに対する感覚が変わった?単純にシングルというものじゃなくてミニアルバムという感覚?『ヒトリセカイ×ヒトリズム』もそうだったし。

TAKUMA「そういうのは前からけっこうありましたね」

――“太陽4号”の4号って?

TAKUMA「太陽4個目。太陽を純粋さや自分の心、感情や感覚みたいなものにたとえて、もう4周ぐらいして4つ目ぐらいや、みたいな」

――そういうことね。シングルに対する感覚が変わってきたということだけど、どういうふうに変わってきたの?

TAKUMA「ミニアルバムです、今回のは。ミニアルバムでいいと思います。前回の作品もそうですけど。ミニアルバムで、どれかをMV製作するパイロットソングに選ばなあかんのやったらこれです、という気持ちはたぶん毎回変わってないですね」

――2曲目“月 ~sound jammer せやな~”ではオートチューンを使ってるね。10-FEETが自分たちの作品にオートチューンを使うのは初めてだと思う。声色の処理をしないでこれまでやってきたのが10-FEETだと思うし、『アンテナラスト』ではTAKUMAの生の声が訴えかけてくる曲だった。それと真逆のことをやってるわけだけど、この曲でオートチューンを使おうと思った理由は?

TAKUMA「この曲では今まで避けてきたことを全部やりました(笑)。4つ打ちもオートチューンも。オートチューンは『springman』(2002年)のコーラスパートの処理でちょっとだけやったことがあるんですけど、その頃はロックバンドでオートチューンを使う人がいなかった。R&Bでのみ聴けたから、それをメロコアでやったら面白いんじゃないかといってやったんですけど、それから使う人がけっこう出てきたんでボクたちはやらなくていいんじゃないかなと。4つ打ちも“ライオン”が若干4つ打ちっぽいんですけど、それもこんなにスタンダードになる前にやったんで。スタンダードになってからは、ボクたちはあえてやらなくてもいいんじゃないか、そんなに上手くもないし、と思ってたんです。それをあの曲じゃ全開で遊んだ感じです。歌詞もメッセージ性なしでいこうぜと(笑)。やらなかったことを全部やろうって」

――この曲、第一聴時とてもインパクトあったよ(笑)。

TAKUMA「ありがとうございます。音楽的に存分に楽しませていただきました(笑)」

――だけど『springman』でオートチューンを使ってたなんて全然気づかなかったよ。

TAKUMA「それは、オートチューンというアプローチじゃなかったから。まあオートチューンだけどヴォコーダーというか」

――これまでやらなかったことを意図的にやるのは、TAKUMAが言うように本人たちからするとスゴく楽しいことだと思う。あえて避けてきたことを1曲に封じ込めてみた、NAOKIはやってみてどうだった?

NAOKI(b,vo)「録ってるときは楽しいんですけど。新鮮さもありますしね。そのなかにちゃんと遊び心があればいいかなという感じでした。あえて感というか」

――KOUICHは?

KOUICHI(ds,cho)「スゴく新鮮でしたね。これに英詞がバチっとハマればいわゆるカッコいい曲になると思うんですけど、あえてこういう歌詞にすることで10-FEET感が出てるかなと」

――“太陽4号”はこれまで以上にスローテンポな曲だから最初聴いたときはちょっと驚いたよ。だけどやっぱりどこをどう切っても10-FEET以外の何者でもないという結論にどの曲を聴いても達するのね。京都大作戦 2017が終わって出す今回のシングル、たくさんの10-FEETファン、ロックファンが聴いてくれると思うんだ。彼らに一番伝えたいことをシンプルな言葉で言うとなにになるかな?

TAKUMA「一言で、みたいな感じですか?」

――聴きどころというか。

TAKUMA「3曲とも何回も聴いてほしいですけどね。聴きどころ…全部ですかね」

NAOKI「当然全部ではあるんですけど、さっきも話に出たミニアルバム的な感覚というか、3曲すべてカラーが違う。ボク自身がリスナーとしていろんなアーティストのCDを聴くときに、似たような曲が続いているとボクはあんまり楽しくない。いろんな側面があるから流れで聴いたときに、聴いたときの感情の変わり方がある。そんなミニアルバム的な感覚の作品やと思うので、何度も聴いてほしいと思いますし、何度も聴けるものになってるとも思います」

KOUICHI「これを聴いてビックリする人もいるかもしれないですけど」

――ええ、私もそのうちのひとりでした(笑)。

KOUICHI「ボクたちで選んでこのシングルを出しているんで、そのすべてをいろんな人に受け止めてほしいですね」




文・有島博志
協力・松本美和