通算7枚目の新作をレーベル移籍し、
超緊急サプライズリリース!!

たぶん欧米のバンドじゃ前代未聞の出来事と言っていいだろう、AVENGED SEVENFOLDが所属レーベルを電撃移籍し、事前情報一切なしに通算7枚目の新作『THE STAGE』を発売した。なぜ、そうしたサプライズに打って出たのか、さらにはより進化をとげた新作の作風に、シニスター・ゲイツ(g)が語ってくれた。



――通算7枚目の新作『THE STAGE』を、事前に情報を一切出さないまま緊急サプライズ発売してから、1ヵ月近く経つね。
情報を出さなかったのは、その方がファンにとってエキサイティングになると思ったから。以前は色んなことを試していたんだけどね。何をやってるんだか全然分からないけど、どう見てもスタジオで撮った写真を上げて、6ヶ月後にアルバムを出すとか。でもそういうのってアルバムへの期待をしぼませてしまうような気がするし、みんなもっとユニークなことをやり始めているから、俺たちも何かやりたいと思ったんだ。今はすごくイイ気分だよ。ファンも新作を気に入ってくれているみたいだし、早くツアーに出たくてウズウズしているんだ。

――今回は8年も在籍したWarner Brothersから離脱して、Capitol Recordsに移籍してのリリースだね。A7Xは人気や実績を考えるとWarner Brothersの顔のひとつだったと思う。話せる範囲でかまわないんだけど、なぜ移籍を決めたの?
別にクレイジーなことになっているわけじゃない。Warner Brothersから、俺たちがよく知っているスタッフがほとんどいなくなってしまってさ。それで振り回されているような感じがあったんだ。昔はボスからして素晴らしかったし、自分たちがこのレーベルのプライオリティなんだって実感があったんだ。でも、代わる代わる入って来る新スタッフたちは、みんな俺たちが好きで来たわけじゃなかった。それはそれで構わないし、それで俺が傷つくなんてこともないけれど、自分たちをプライオリティにしてもらえるところに行く必要があった。俺たちが所属していることを認めて、トップからして俺たちのために一生懸命やってくれる人たちとやりたかったんだ。もちろん、Warnerにも素晴らしい人たちはいて俺たちのために頑張ってくれたけど、最終的にはトップのサポートがなければ上手くいかないからね。今はCapitolも俺たちもワクワクしている。驚くほどいい感じだし、これからが楽しみだよ。

――新作の制作に入る前に、エレン・イラハイからブルックス・ワッカーマンにドラマーが交代したね。ブルックスはBAD RELIGION、INFECTIOUS GROOVES、THE VANDALSなどを渡り歩いてきた、とても名の知られたドラマーで、おそらくアナタたちより年上でしょ (笑)。なぜ彼を迎えたの?
父親的存在の人が必要だったからね。演奏を教えてくれるような人が…ってのは冗談で(笑)。俺たちのツアーマネージャーがブルックスと大親友で、パンクロックのシーンとの関わりも深いんだ。それで、もし興味があるなら話してみるけど…と言ってくれて、紹介してもらった。確かにブルックスの方が少し年上だけど、実は同世代なんだ。INFECTIOUS GROOVESの『GROOVE FAMILY PSYCHO』(94年)でプレイしてた頃、アイツは16歳、俺たちは14歳でさ。とにかくすごいドラマーだよ。今回のアルバムでも素晴らしいアイディアをいっぱい出してくれた。アイツがこのバンドにいることが嬉しいよ。

――新作は非常に興味深い作風だね。これまでの作品同様、A7Xらしさをちゃんと維持しつつも、新しいことをやっているけど、今回はよりヴァリエーション豊かな作風で、表現の仕方もこれまでとは異なっているね。
そう言ってくれるのは嬉しいね。(日本語で)アリガトウゴザイマス! 確かに今回は全然違うんだ。まぁ毎回インスピレーションの元は違うんだけど。今回のアルバムは、音楽的にはよりクレイジーさを大事にしたね。にはよりクレイジーさを大事にした。MR. BUNGLE(FAITH NO MOREのマイク・パットンがかつてやってた奇想天外バンド)とかクラシック音楽とか、とにかく今までよりもワイルドな発想で変なものを取り入れていった。そうしたらうんと面白くなったんだ。このアルバムのエネルギーは、他の作品よりもずっとビッグなものになったと思う。しかもより誠実だ。驚くようなプロセスで、驚くようなタイプの音楽を実験しながら作っていった感じだった。とても面白かったよ。

――レーベル移籍やメンバーチェンジは、作品に影響していますか?
うーん…レーベルの移籍は関係ないと思うね。曲を書いたのは移籍前だし。でもブルックスが入ったおかげで、ソングライティングに対する今までとは違ったアプローチを知るようになったんだ。アイツの音楽へのアプローチはとてもユニークだし、とても興味深いものの考え方をする。俺があることをやろうとすると、アイツはその反対に進もうとする…みたいなことがあるんだ。それも大抵はうまくいったし、もしそこではまらなかったとしても、別の曲で試してみようと考えることができた。アイツはそんな感じに、ユニークなプロセスのインスピレーションを与えてくれたんだ。ほかにもコードやアレンジ、オーケストレーションなんかに関してもアイツはクールなアイディアをいっぱい持っていた。色んな意味でグレイトだったよ。

――“Sunny Disposition”にも驚かされたよ。サックスが入ってて、これまでにない響きを放ってるね。サックスに限らず、ホーンって音色や存在感が強いから、ユニークな化学反応が起こってると思う。
実はこの曲にはFISHBONEのアンジェロ・ムーア(vo,sax)とウォルター・アダム・キビーII(trampet)が参加してくれてね。彼らは俺にとってオールタイム・フェイヴァリットのひとつだし、そんなアイドルが2人も来てくれて、本当にクールなパッセージをやってくれたよ。これはヴォーカルがちょっとR&B風な感じで歌っているし、グルーヴもブラックミュージックっぽさがある。でも、ああいうことをやるなんて、我ながら笑っちゃったよ。今じゃ俺のお気に入りのひとつだけどね。俺たちとしてはコミカルなエネルギーから生まれたような気がする。みんな笑いながらやってて、面白かった。おかげでとてもユニークなヴァイブができた。そのヴァイブが根を張ると今度はホーンセクションがやってきて…そこにソフトなR&Bヴォーカル風の声が入る。そのダイナミクスがとてもクールだと思うんだ。

――“Exist”は15分以上もある、A7X史上最長の曲だね。
元々マットはこの曲をインストゥルメンタルにしたがっていたんだ。不思議だろう(笑)? アイツはサウンドトラックみたいな感じの曲を作ろうとしていたんだよね。でも俺はヴォーカルを入れたかった。クラシック音楽で言うところのシンフォニーみたいな感じになると思ってね。それでみんな意見が一致したんだけど、最終的にはとても魅力的な、全員が誇りに思えるようなものができたと思う。インストゥルメンタルの要素もありながら実はそうではない。俺にとって面白いのは、初めてこの曲を聴くとどんどん進んでいって、もうインストゥルメンタルは飽きたなと思ったら、ご褒美にヴォーカルが入ってくるところなんだ(笑)。その部分を聴くと、むしろA7Xの伝統的な曲という感じなんだけどね。だから俺的には、普通の曲に長いイントロがついているような感じなんだ。

――M.シャドウズのヴォーカルもさらに強化されてるね。声色、歌唱法も新作の作風同様、相当ヴァリエーション豊かになっていると思う。
そうだね。アイツは頑張ってたよ。恐らく俺たちの世代では一番色んな声のヴァリエーションが出せる人間のひとりになったんじゃないかな。アイツはテクニックのことをあまり考えなくても、伝えたいことを伝えることのできるヤツなんだ。俺たちにとって大切なのは曲のエネルギーで、しかるべきエネルギーをしかるべき感情のときに出すことが大事だからね。テクニック的に完璧を求める曲よりも、俺たちは多少アラがある曲を選ぶ。その方が感情を表すことができるからね。

――加えて、これまでのどの作品よりもアナタがギターソロを弾きまくってるように思えるんだけど、気のせいかな?
うん。集中すると、自分の音以外なにも聞こえなくなって、とにかく速く激しい曲を弾こうって気になるんだ。メンバーがソロをやめろって言ってきても聞こえない(笑)。だからアルバム全体でソロを弾きまくっているんだよね。

――前2作『NIGHTMARE』(2010年)と『HAIL TO THE KING』(2013年)は、メタル畑じゃないプロデューサー、マイク・エリゾンド(エミネムほかとの仕事で知られる)と組んだけど、今回はセルフプロデュースでありつつ、ジョー・バレッシ(TOOLほかとの仕事で有名)とやってるね。これにはどういう背景があるの?
正直言って、俺たちが指名して選んだという相手ではないんだ。でもその方がうまくいくことがあるって分かったね。とにかくとても貴重な経験ができた。オープンマインドでいるのは大事だね。というのも、ジョーは俺が今まで出会った中でも最もクリエイティヴな部類に入る人だったんだから。時には自分の守備範囲をはるかに超えたところの人と組むこともある。例えばマイク・エリゾンドはヒップホップ系だろう? そういう人と組んだらユニークだし、今までとは違ったものができるだろうってことで組んだ。ジョーはもっと俺たちの世界に近い人だけど、ブッ飛んだよ。たとえば“Higher”という曲では、ものすごく非オーソドックスなアプローチだった。ヴォーカルだけでなく、ギターも色んなエフェクトを使って、今までやったこともないようなことをやった結果、ああいうものすごくユニークなテクスチャの曲ができたんだ。今回はジョーという素晴らしい人の前で、愚直に取り組むことができて本当にラッキーだったし、良かったと思う。彼の主な役割は、俺たちのアルバムのエモーションやエネルギーを作り上げることにあったんだ。それができれば他人と繋がることができるしね。それを彼は教えてくれたんだ。俺たちは、このアルバムが自ら語ることのできるアルバムだって考えているんだ。今までよりもオーガニックで、俺たちの心から発信できているアルバムだと思う。歌詞的には『NIGHTMARE』が一番オープンで正直な作品だと思うけど、今回は歌詞が一番情熱的で、ソングライターとしての俺たちの情熱も一番反映できたものになったと思う。

――新作のタイトルにはどんな意味があるの? 
タイトルはファースト・シングルになった1曲目から来ているんだ。ふさわしいイントロ曲がほしいと思ってね。文字通り、後に続く曲のためのステージを作ってくれる曲なんだ。このアルバムは、俺たちのことを歌っている作品だね。レンズを通して、俺たちの生き方を覗き込んでいる。レンズの反対側に誰がいるかは誰にも分からない。もし反対側に誰かがいるとすれば、それはもしかしたらテクノロジー的にとても進歩した人々で、逆に俺たちを覗いているのかも知れない。人生の中で生じる疑問が色々混ざって、最終的にベーシックで原始的なものに回帰していく…そういう考えはシェイクスピアのフレーズにも出てくるんだよね。タイトルとして素晴らしい、決定的なものになるとメンバー全員が思ったんだ。

――日本のファンにメッセージを。日本にはいつ頃来られそう?
みんなの揺るぎないサポートにとにかく感謝している。日本に行くと、まるで俺たちがずっとそこにいたかのように、みんなの一部として扱ってもてなしてくれる。そしてA7Xの進化ひとつひとつを受け容れてくれるんだ。みんな俺たちがそれまでとは違うことをやることを理解してくれて、俺たちと同じように情熱を傾けてくれる。そういう姿勢に心から共感している。日本には、本当にそろそろ行きたいよ。何とか実現させるようにしたいね。


text by Hiro Arishima
translation by Sachiko Yasue