まさに入魂、渾身の一作! ヘヴィネス、
アグレッションに突き動かされる新作を聴くべし!

ジェイソン“ジェイ”ジェイムズ(vo,b)が脱退と、デビュー後初のメンバーチェンジを断行したBULLET FOR MY VALENTINEが5枚目となる新作『VENOM』を発売した。後任として迎えられたジェイミー・マサイアスのことはもちろん、今現在のバンドについてマシュー“マット”タック(vo,g)に語ってもらった。



――現在USツアーのただ中だね。新作『VENOM』発売を待つことなくツアーに出てるけど、ブラジルから始まり南米諸国を廻り、USツアーに突入してるという流れだね。南米はメタル人気が根強いし、しかもBULLET FOR MY VALENTINEっていうこともあり、かなり盛り上がったことは想像に難くないよ。幸先のいいツアーになったんじゃない?
「うん、最高さ。オレたちにとって2度目の南米ツアーとなったし、もう何年もこっちではプレイしてなかったこともあり観客たちは強烈でクレイジーだった。ホテルにも出待ちのファンが100人くらいいたんだよ(笑)。すばらしい場所だしエネルギーに満ちたライヴをやるにはもってこいの国だったよ」

――ベースがジェイミー・マサイアスに代わった新布陣での初ツアーだろうから、多少ナーバスになったりした?
「みんな彼を受け入れてくれてるし、上手くいっている。オレたちとも上手くやれてるし、ジェイから入れ替わったと言えどもまったく問題なく役割を果たしてくれてる。仕事もきちっと決めてくれるし、ステージでの存在感も十分備わってる。ここまでのツアーじゃそんな感じだし、新曲にもイイ手応えが返ってきてるよ」

――ジェイミーを迎えての初のライヴっていうのはもう地元とかでやってるんだよね?
「何回かやったよ。けっこうインディペンデントな団体が運営するCamden Rock Festivalというのに出たけど、今回のツアーがしっかりしたライヴなんだ。まだ新作が出てないなかで始めたツアーとしては、今回が一番規模のデカいものと言えるだろうね。そんななかで久しぶりの国に戻ってこられたこともありホントに嬉しく思ってるよ」

――新作発売ばかりだけど、今の心境は? やはり新布陣での新作っていうこともあり、いつもとは違う感覚とか想いとかがあるとか?
「ある意味じゃそうだと言えるね。ジェイミーは作曲に関与してなくて、オレとパッジ(g/マイケル・パジェット)でやった。だからいつもとは違ったし、ちょっと困難を感じるようなところもあった。ある意味新しい経験でもあったので、特別なものになってるとも言えよう。新作が最強の作品になってることは間違いないし、ファンが絶対に気に入る一枚になるハズさ。“No Way Out”や“You Want a Battle? (Here’s a War)”はライヴで特に反応がイイし、オレたちの熱いエネルギーが封じ込められてる。とにかく特別で、みんなを長らく待たせたぶんイイ作品ができたと思ってる。間が開いたぶんまるで新たなスタートを切ったように、フレッシュななにかが始まったように感じるところもあるだろうし、だからこそより一層エネルギーを感じてもらえると思う」

――話を聞いていく上でどうしても切り出さなきゃいけないのがジェイの脱退なんだけど、どういう事情、背景があったの? 彼は若くして家族を持ってたから、家族と一緒にいたい、もうツアーには出たくないとかの理由だったのかな?
「あまり深いところまで触れる気はないけど、オレは今もなおジェイをリスペクトしてるし、BFMVとしての見解も同じだ。ある時点でジェイがバンドの一員として続けても上手く歯車が回らなくなってきた。ただ決別するような別れ方じゃなく何ヵ月もかけてしっかり話し合い、作曲も行っていく過程でジェイがBFMVを離れた方がイイだろうという結論に達した。BFMVが始まった日からずっと兄弟のように過ごしてきたのに、彼がBFMVから興味を失ってしまったことには非常に残念に思うところもある。だけどこのままバンド活動を続けていくことが彼にとってもよくないことともわかってた。これ以上は語らないけど、オレたちと彼の間にはリスペクトが今もあるということは知っておいてほしいね」

――新作でのベースとスクリームヴォーカルパートは、新加入のジェイミーが? それともマットが?
「オレがやった。どの作品でもすべてアグレッシヴなヴォーカルはオレがやってきた。みんなジェイがやってたと思ってるようだけど、それらはすべてオレだよ。彼がオレのパートを学びライヴでやってくれてたんだ。ジェイミーも驚異的な声を持ってるんで、ライヴじゃ問題なく今まで通りジェイがやってくれてたパートを担当してくれてる」



――ジェイミーとはどうやって知り合ったの? 最終的にジェイミーに決めた理由は?
「パッジがオフのときに若手バンドのレコーディングやプロデュースを行ってて、彼が手伝ったバンドのひとつでプレイしてたんだ。だから交友関係がすでにあり、ジェイが辞めたときジェイミーに“BFMVのオーディションに参加してみないか?”と持ちかけたんだ。送ってくれたオーディションテープもよかったし、ロンドンのスタジオでのライヴオーディションにも参加してもらった。で、グレイトなプレイをしてくれたし、こちらからなにかを注文するなんてこともなかったよ。ホントにいいヤツだし、ウェールズ出身というのももうひとつのボーナスみたいなものだった。同じウェールズという街で一緒に育ってるというのも納得のポイントだった。才能あふれる男で文句なしさ」

――今回は初期2作のプロデューサー、コリン・リチャードソン(MACHINE HEAD、FEAR FACTORYほかとの仕事で高名)と再タッグを組んだけど、それには単純に5枚目にして原点回帰なんていうこと以外にも理由があるんじゃない?
「プロデューサーに干渉されずに作品を作りたいという思いがあったんだ。コリンとはともに歩んできた過去があるから、過度に邪魔されずにやりたいことができると信じてた。だからこそ、まだプロデューサーの重要性をそこまで意識してなかった頃の自分たちのやり方で挑めたんだ。オレたちがどういうことをやるべきかという具体的なアイディアを持つプロデューサーたちとやってきたこともあるけど、もっとピュアでヘヴィ、アグレッシヴな作品を今回作りたかったんだ。コリンはそういう意味で干渉せずにやりたいようにやらせてくれた。彼はそういうオレたちの一部になりたがってくれて、それが最高な結果に導いてくれたと言えるね。オレたちの目指す音を見事キャプチャーすることに成功したんだ」

――プロデューサーとして、かのテリー・デイト(PANTERA、LIMP BIZKITほかとの仕事で有名)と組むことも考えた? そういう話が聞こえてきたけど…。
「リストには挙がってたけど、仕事を実際にすることはなかったよ。一度じっくり話し合うことはあったけど、結局はコリンとやることになった。だからその話は部分的にはウソじゃないってレベルだね(笑)」

――過去4作品でここまでのところ音楽的にやれることはすべてやってきたという想いがあるし、マットもそういうふうに感じてるところもあると思うんだ。今回の5枚目でマットはどういう音楽的方向に進みたいと思ったの?
「さっきも言ったけど、超アグレッシヴで超ヘヴィにしたいと思ってたよ。前作『TEMPER TEMPER』(2013年)はしっかりと練ったソリッドな作品だったけど、エネルギーとアグレッシヴさに関してはまだまだやれるところがあったと思ってた。曲はよかったけど、もっとエッジの効いたものをファンは求めてたと思うし。ヴォーカルももっとアグレッシヴで、初期の頃のオレたちをみんな求めてたんじゃないかな。だからヘヴィなものを作ろうとしたし、“No Way Out”みたいに超ヘヴィな曲も生まれた。こういうスタイルの曲を作るためにたくさんのアイディアを試してきたし、その結果新作につながったんだ」



――“No Way Out”はまさにそのスクリームヴォーカルの始まり方からしてBFMV新章を強く印象づけるね。
「ある意味そうだね。だけどスクリームも普通のヴォーカルパートもライヴでオレが歌ってるんで、ジェイミーとヴォーカルを分かち合ってるよい例とまでとはいかないかな。とはいえ、今までやってきたメロディックなのとアグレッシヴなヴォーカルを混ぜた曲であるのは事実さ。思い返せばパッジとジェイでスクリームを担当した曲も今までいくつかあったし、いろいろな形でやってきた。ライヴでのスクリームをジェイミーに担当してもらうイイ例は“Broken”かな。ライヴじゃジェイミーに多くの部分を任せることになるし、特に“V”にはオープニングトラックを飾るに相応しいアグレッシヴさがあると言えるよ」 ――新作を聴いて少し驚いたんだけど、もちろんBFMVの音楽、作品であることに変わりはないけど、以前とはタッチもニュアンスもヴァイブも違うように感じるんだ。前とは違う方向にベクトルを向けてる、というか。
「それはあるだろうね。前作のプロデュースを務めたドン・ギルモア(LINKIN PARKとの仕事であまりに高名)は彼が思い描くオレたちの姿と、音楽的に進むべき方向をしっかりと持ってて、それを素直に突き進む形となった。確かにそれはそれで上手くいったけど、商業的な作品になったような気がする。もちろんヘヴィでオレたちらしいエッジの効いたサウンドではあった。そういったドンが作り出してくれたものを意識せず、そこから離れ作曲やレコーディングを行っていったんだ、今回は。どういうサウンドに聴こえさせたいのかとか、世のなかがオレたちに思うイメージを無理に意識せずに作っていった。ルーツに戻るためにコリンと一緒に方向性やサウンドについて議論し、どうやって作っていくかをレコーディング前から固めてた。前作が失敗したわけじゃないけど、前作に比べヘヴィでエッジの効いた、スラッシーでエキサイティングなものにしたかったんだ。前作は設定した目標や曲がすでにあり、それを上手く実現させることに念頭を置いた作品でもあった。だからポップさや耳触りのいいサウンドに仕上がったんだ」

――新作のタイトルは直訳すると毒液、悪意,恨み,激しい憎しみだけど、込めた想いはまさにそのとおりなの? 前作のtemperは怒りだったけど。
「結果から言えばできた曲を集めての作品ということになったけど、これはオレたちにとって5枚目の作品だから『VENOM』に決める前は単に『V』(=5)と呼んでた。途中からこのVにはvalentineの意味もあると気づいたし、“Venom”という曲もできた。アートワークも『VENOM』を象徴するようなものができ上がったから、これらは偶然みたいなものだけどタイトルをそうすることにしたんだ。結果的にはすべてがつながったような気がするよ。これまでの作品は全てキーとなるトラックのタイトルをそのまま作品タイトルに持ってきてたし、今回も“Venom”がキートラックとなってるのは事実。さまざまな偶然が重なってるけど、このタイトルには然るべき理由があるのさ」

――新作を介してファンにもっとも伝えたい、一緒に共有したい音楽的なこと、歌詞的なこととは?
「歌詞的なテーマといったものはないかな。オレはソングライターとして自分の納得するものを書いたという感覚だね。今までメッセージを散りばめたものを書いてきたことはないけど、しいて言えば今回は自分のダークな一面をキャプチャーしたようなものと思ってる。自分が10代の頃に学校で虐められ経験したツラい過去をソングライターとして形にしたのが始まりで、ミュージシャンとして成長していく過程でいろいろなサポートを得て曲を書いてきた。そのとき自分が感じてるフラストレーションや散々な経験を歌詞にしてきたけど、多くの内容を曲にしてきたわけじゃない。だからメッセージがあるとしたらオレの今までの人生で起こってきたネガティヴな経験が基となってる」

――11月にOzzfest JAPAN 2015参戦で再来日するね。
「正直なところ、あんまりまだ考えてないんだ。しばらくツアーに出てなかったっていうのもあるし、まだ話をするには早いかな。もちろん新作からの曲をたくさん披露するし。日本にはしばらくいけてないから、またいけることに興奮してるよ。日本の友達にも会いたいし、ジェイミーにとって初めての日本でもある。新作を引っ提げて自分たちらしい姿を見せるさ。超エネルギッシュでヘヴィなセットリストを組んでファンと一体となりたいね。特別なプロダクションといったものをやることはないだろうけど、4人の野郎どもがベストをつくしてファンと一緒に楽しめるものにしたいと思うね」



text by Hiro Arishima
translation by Tomohiro Moriya


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 BULLET FOR MY VALENTINE
 『VENOM』
 8月19日発売