今BFMVはもっともいい状態にある! 
とマットは言い切った!

MONSTER ENERGY OUTBURN TOUR 2016で再来日したBULLET FOR MY VALENTINE。最新作『VENOM』発売後2度目の来日だ。マシュー“マット”タック(vo,g)の体調不良により東京公演は後半に差しかかった頃突然終演となってしまったけど、実は開演前には、マットはそんなことをまったく感じさせないくらい元気だった。ここにマットとマイケル“パッジ”パジェット(g,vo)のインタヴュー記事をお届けする。



――MONSTER ENERGY OUTBURN TOUR 2016での再来日だけど、すでに名古屋と大阪でやってみてどう?
マット「ファンタスティック! 昨秋出たOzzfest JAPAN 2015のときも楽しかったけど、その参戦前に大掛かりなツアーをやってたからクタクタだった。だから今回戻ってこれて長いセットができて嬉しいよ」
パッジ「同感だね。Ozzfestのときはみなボロボロだった。それでも楽しかったけど、今回ヘッドラインツアーができてよかったよ。特に今回のセットリストは、オレたちにとってもファンにとってもこれまでとは違うものなんでやってて面白いよ」

――Ozzfestのとき同様、今回もマイケル“ムース”トーマス (ds)は同行してないね。どういう理由で?
マット「彼は奥さんのもとにいるんだ。子どもがいつ生まれてもいい状態だったんで、彼はスタンバイしてるところなのさ。心ここにあらずって感じで、プレイにも影響が出てたんで、オフをとるように言った。家に帰った彼は“ありがとう、ありがとう”と言ってたよ。それでジェイソン(・ボールド)が代わりを務めてるんだけど最高だね。喜んでやってる人とそれほどでもない人との違いはプレイを聴けばすぐにわかる。だけど今、ムースはずっとハッピーだし、人生においてとてもエキサイティングな時期にある。はたから見ると変かもしれないけど、彼が元に戻るまでに時間が必要なだけ。子どもが産まれたらムースも元に戻るだろうから大丈夫さ」

――日本だと習慣、風習的になかなかそうはいかなくてね。「これは仕事だ!」みたいなのが暗黙の了解にあって、奥さんの出産という理由で仕事を長く離れるのは、なかなかスムーズにはいかない。だけどムースの話を聞くとさすが欧米で、奥さんが出産を控えてるからというのは仕事から離れる正当な理由とされる。とは言え今回も前回もサポートドラマーがきてるわけだけど、プレイ面、パフォーマンス的に支障はないと?
マット「誰でもいいってわけじゃないけど、オレはジェイソンのことを以前から知ってるし、ツアーも一緒にやったことがあるんで当然の選択だった。彼は世界に通用するドラマーだから、彼ならちゃんと仕事ができることがオレたちにはわかってたんだよ」

――ムース以外のメンバー、加入したばかりのジェイミー・マサイアス(b,vo)やほかのメンバーも、その件に全員賛成してると?
マット「あぁ、クルーもみんなね」

――ジェイソンはマットのプロジェクト、AXEWOUNDにも参加してたよね。それ以前はPITCHSHIFTERのメンバーで、それなりに知られた存在じゃない。彼には事前にライヴ時のセットリストを渡し「これやっておいてね。覚えておいてね」という感じでヘルプをお願いしたの?
マット「そう、ムースを家に帰す2日ほど前にジェイソンに連絡し、彼のスケジュールが空いてるかどうか確認したところOKだったんで、“じゃこのリストの曲を覚えてくれる?”って頼んだ。彼はプロだからそれだけで済む。バンドも観客も彼を認め、ライヴがちゃんと機能することはわかってたし」

――PITCHSHIFTERがかつて大好きだったんだ。イギリスでメンバーと会ったことがあるし、Ozzfestのフロリダ公演でライヴも観たこともあって。ジェイソンとは会ったことがないけど、J.S.クレイドン(vo)が病気で長いこと活動休止になってると、以前ちらっとほかのメンバーから聞いたことがあってね。今PITCHSHIFTERは今どうしてるんだろう?
マット「詳しくは知らないけど、バンドはもう何年も前から活動してないよ。ジェイソンはかなり若い頃にあのバンドにいた。音楽の世界で彼が足跡を残したのがPITCHSHIFTERだった。それ以降もいろいろやってきたけどね。セッションワークをずいぶんやってきてたし、イカしたバンドと一緒に作品をたくさん作った。イケてるドラマーが必要になったらジェイソンに連絡すればいいのさ(笑)」

――名古屋と大阪公演のセットリストを見たけど、新作『VENOM』を1曲目から最後まで順番にやってるね。終盤にこれまでの代表曲を続けて、みたいな流れになってる。これは意外だったし、ファンの間でも賛否両論でしょう。
マット「これまでになかった、もっとスペシャルなことを日本のファンのためにやりたかったんだ。8月にSUMMER SONICで戻ってくるし、同じようなセットにはしたくなかった。当然SUMMER SONICにはオレたちのファン以外の人たちも大勢いるから、そのときはもっといろんな曲が入ったオールラウンドなセットになる。だから今回のファンのためにはそれとは違う、スペシャルなものにしたかったってわけ。つまり2回の日本のライヴを意識してのことだったんだ」

――BFMVのようにキャリアの長いバンドだと出した作品もいっぱいあるから、セットリストを組むのも大変でしょ。パッジも新作収録曲を1曲目から最後までやるっていうのに賛成?
パッジ「うん。ギタリストとして新作の曲をたくさんをやれるのは楽しいよ。過去4枚の作品をずっとやってきたわけだから、違うことをやるというのは新鮮なこと。次回来るときには別のセットで、代表曲もたくさんやれるしね。新作には、今回の来日までプレイしたことのなかった曲が3曲あったんで、リハーサルで新しくやる曲を覚えられたのもよかったよ。そういったことすべてに興味をそそられ、オレの心を掻き立てたんでよかった」

――新加入のジェイミーだけど、パッジがプロデュースしたバンドの元メンバーだったそうだね。
パッジ「そう、彼らのデモをオレが手がけたんだ。ジェイミーは当時REVOKERというバンドのシンガー兼ギタリストだった。ジェイミーとは9、10年前からずっと友だちなんだけど、ある日“デモをプロデュースしてくれないか?”と頼まれてさ。それからさらに仲よくなった。オレたちにベーシストが必要になったとき“あいつを試してみたらどうかな”っていうアイディアが閃いた。彼はオレの友だちだから馴染みがあるし、歌えてベースも弾けるからすばらしいと思い、オーディションし、加入してもらうことになったんだよ。バッチリだったよ」

――昔からよく知ってたんでバンドへの溶け込みも早かった、と前回のインタヴューでマットが言ってたよ。新作を出してから少し経つけど、ジェイミーは今じゃもう本当にBFMVの一員として、しっかりと溶け込んでるのかな?
パッジ「そう思う。彼は本当にやる気満々さ。ライヴでもバッチリだし、とてもクリエイティヴでもあるから音楽や歌詞を書くのも好きなんで、それが今後このバンドの役に立つことは間違いないよ」

――だいぶ前の話になるけど、マットは以前ノドの手術を受けてるよね。当時は「まだ違和感があり、歌い方も違うし、筋肉の動き方も異なるんでこれに慣れなきゃいけない」と言ってたけど、もうそれに慣れることはできたのかな?
マット「あぁ、今はこれまでにないくらいベストな状態さ! いまだにシンガーとして学んでるし、もっとうまくなろうともしてる。ギターと違い、ヴォーカルは気候や湿気に対してずっと敏感だけど、今じゃずっと楽しくやれてるよ。慣れるまでには時間がかかったけどね」

――ジェイミーはもう完璧にBFMVの一員になってるし、マットのノドの状態も最高ということで、今バンドはスゴくいい状態にあるわけだね。
マット「とってもいい状態にあるね。特にクリエイティヴな面とパフォーマンス面は、これまでになく強力だ。さらに自信がついた。新作のような作品を作り、それとずっとつき合ってきたんで、みなより自信がついたんだと思う。その効果がライヴにも出てるよ」

――じゃSUMMER SONICも楽しみだね。
マット「そうだね。音源デビューから10年経ち、ようやく今回はスゴくいいスロットでやれそうなんで、オレたちにとってスゴい瞬間になればと思ってるよ。一流のメタルバンドとして、オレたちの地位を不動のものにできればと思ってる。UKやドイツだけじゃなく、ここ日本でもオレたちの地位を確立させたいんだ。雑誌の表紙にも何度もなったし。ここまでくるのに10年かかったけど、今オレたちはそういうレベルにいると思うんで、SUMMER SONICでさらに駆け上がりたいね」

――SUMMER SONIC参戦は今回で3回目だけど、1回目のときはムースが急病で、東京は出演をキャンセルし大阪のみ出たんだよね。2回目のときはMETALLICAがヘッドライナーだった。今回はなにを一番期待する?
マット「毎回が新しい経験さ。屋内ステージのヘッドライナーを務めたこともあったし、BABYMETALの前に出たこともあった。最高だよ! だからそれぞれの経験が違う。どんどん規模がデカく、よくなっていくんだからすばらしいよ。いつかはメインステージのヘッドライナーを務められればと思ってるんだ」

――初めてSUMMER SONICに出たときBFMVにとって初来日だったじゃない。それなのに大阪だけやり東京はキャンセルというのは自分たちで納得いかなかっただろうし、悔しかったんじゃない?
マット「そうだね。初の日本だったから一生の思い出になった。だけどムースは文字通り、病院のベッドにいて点滴をされたりしてた。仕方ないよね。それでも楽しかったことに変わりはない。オレはいろいろ経験しすばらしいときを過ごしたよ。常になにかが起こってたんで退屈することなんてなかったんだ」

――東京公演の当日、当時の日本のレコード会社の担当者から朝いちに「もしかしたら今日BFMVがライヴをできないかもしれない」という連絡が入ったのを今でも覚えてるよ。その後「今病院連れてってます」「今治療を受けてます」って何回も連絡があり、最終的に東京は出演キャンセルになった。スゴく残念だったよ。
マット「オレたちだってそうさ。せっかく遥々やってきたのにプレイできなかったんだからとても残念だったよ」

――後でムースのことをボコボコにしたとか(笑)?
マット「いろんなものにつらくあたったよ。あの頃のオレたちは若かったし、スゴくエキサイトしてた。ほとんどは自らが招いた愚かな行動だったけどね。当時のオレたちはああいう移動に慣れてなかったんだ。時差ボケとか、バーとか。そういったものが組み合わさって、残念ながら最悪の結果になってまった。イライラしちゃったんだ(笑)。今でもハメを外すときもあるけど、今のオレはもっと大人しくしてるよ」

――あのとき、日本にくる前、洞窟でPVを撮影し、それで体が冷えてしまい、その影響からムースは体調を崩したというのが公式の発表。それと、ただ前日に飲み過ぎたというもうひとつの説もあった。いったいどっちだったの? もう時効だろうから(笑)。
マット「実は、どっちも本当なんだ。あのPV撮影のとき彼は息苦しくなったんだよ。肺感染症にかかったんだ。それから飛行機に乗ったんで容態はさらに悪化した。それなのに彼は飲みに出かけた。そしてライヴをやったんだけど呼吸がまともにできなかった。つまり病気でもあったんだけど酒のせいでさらに悪化したんだ。これが事実さ」



text by Hiro Arishima
translation by Mariko Kawahara
photography by Horita Yoshika