デンマークの国民的トリオ、
DIZZY MIZZ LIZZYがLOUD PARKに連続出演!!

1994年にセルフタイトル作でデビューし、国民的な人気を誇ったものの、1998年に解散。それぞれの活動と期間限定の再結成を経て、2014年に正式に再結成した、デンマークのトリオDIZZY MIZZ LIZZY。プログレッシヴ・ロックやオルタナティヴ・ロックの要素も持ち合わせた独自のハードロックは、ここ日本でも高い人気を誇っている。2015年に続き、今年もLOUD PARKに連続出演した。しかもおよそ20年ぶりのアルバム『FORWARD IN REVERSE』を引っ提げてだ。改めてバンドの軌跡を探るとともに、今後についてティム・クリステンセン(vo, g)とソレン・フリス(ds)に話を聞いた。

――はじめに約束してください。新しいアルバムまで、今度は20年も待たせないと。10年ならまだしも、20年は長すぎます。
ティム&ソレン「(笑)」
ティム「そんなに長くは待たせないよ。今回のLOUD PARKでツアーが終わるし、その後はスタジオ作業の予定を組んでいる。少し休みを取ったら、作業を開始するつもりだよ」

――2014年から2015年、再結成したバンドにどんな刺激がありましたか?
ティム「2010年に再結成ツアーをやった時は、ただ懐かしさに浸っていた。あれは期間限定での再結成だったけど、その時に種が蒔かれたんじゃないかと思う。あの後、僕たちはまたそれぞれの道に戻っていったけれど、数年してみんなにまたやりたいって気持ちが芽生えたんだ」
ソレン「そう、でも次またやるならノスタルジーに浸るだけじゃなく、それ以上のものをやろうということになった。新作も必要だとね」

――そうして作られた最新作『FORWARD IN REVERSE』は、個人的にDIZZY MIZZ LIZZYの最高傑作だと思っています。楽曲がより洗練され、インストゥルメンタル・ナンバーがバンドに新たな局面をもたらしていますね。ファンからの反応はどうですか?
ティム「ファンが俺たちに新曲を期待してくれてるなんて思いもしなかったんだよね。なのに本国(デンマーク)ですごい反響があってさ。日本でもいい反応だったし」
ソレン「前の作品からは、もうかなり時間が経っていたからね」
ティム「そう。だからみんな、知っている昔の曲が聴ければいいのかなって思っていた」
ソレン「それでもいいから、と新曲を出してみたら、俺たちの考えが間違っていたことに気づかされた。それでさらに新曲を書こうとなったわけさ。それがまたシングルになり、これにもまたいい反響があった」

――再結成を決めた当初はメンバーお互いの気持ちにズレはありましたか?
ソレン「集まってまた一緒にプレイしてみて、音楽をやるという意味でのばらつきは感じなかったよ」
ティム「音楽面でもパーソナルな面でも、俺たちみんなが成長した。それぞれが違う人間だってことをわかった上で、お互いを受け入れるということも昔に比べたらうまくできるようになった。それが再結成の成功の秘訣じゃないかな」

――では、バンドとしての一体感やグルーヴを取り戻すまでに時間はかからなかった?
ティム「少しずつだね。2010年は14年ぶりのツアーだったし」
ソレン「あの時は2~3ヵ月ぐらいかかったかな。でも意外と勘は鈍ってなかったよ。お互い古い付き合いだからやり方が骨の髄までしみこんでいるというか、DNAに組み込まれているようなものなんだ」

――そもそも、DIZZY MIZZ LIZZYの3人はどうやって知り合て、バンド結成に至ったんでしょうか?
ティム「俺とベーシストのマーティン(・ニールセン)は学校のクラスメイト、ソレンは違う学校だったけど、近所に住んでいたこともあって、共通の友だちを通じて知り合った。バンドは結成からずっとこの3人。ほかのメンバーの出入りは一切ない。ごくごく初期の頃にシンガーを何人か試したことがあったぐらい。最初は俺、自分で歌うのが嫌だったからさ」

――なぜ歌うのが嫌だったんですか?
ティム「まだ14歳で自信もなかったし、何よりギタリスト志望だったからね」
ソレン「でも、ティムが思い描くものを他の人では表現できないからね。自分が思うように表現できるのは自分しかいないのだから、自分でやるべきだと言ったんだ」

――楽曲からは、プログレッシヴ・ロック的なものもあるし、クラシックロックからの影響が見てとれます。どんな音楽を聴いて育ちましたか?
ソレン「BLACK SABBATHやIRON MAIDEN…。俺はいまも現役のへヴィ・メタル野郎さ(笑)」
ティム「今はスラッシュやデスメタルが好きで聴いている。小さい頃はTHE BEATLESやTHE DOORS、ほかにもKING CRIMSONなんかを聴いていたよ。実は数週間前、彼らのライヴを観たけど素晴らしかった。すごくインスパイアされた。機会があったらぜひ観るべきだよ」

――2015年のLOUD PARKで、初めてDIZZY MIZZ LIZZYを観た人もいたと思いますが、すごくタイトなパフォーマンスに驚かされたはずです。加えて、ライヴとCDとで、サウンドにほとんど違いがないようにも思えます。
ソレン「そうだね。CD音源に、ライヴで再現できないような要素はほとんど取り入れていない。非常にシンプルで作り込みのないサウンドなんだよ」
ティム「この3人組が生み出すサウンドは、スタジオで起こるものをそのまま封じ込めたドキュメンタリー的なものなんだ。ライヴとレコーディングは別物と考えているけど、結局このバンド自体がとてもベーシックでピュアだから、レコーディングとライヴのサウンドがとても近いものになるんだろうね。もちろん曲によってはヴォーカルのハーモニーやギターフレーズを重ね録りしたり、メロトロンを使ったりするところもあるけれど」

――スタジオライヴのような感覚でレコーディングも行っているということですか?
ソレン「レコーディングはドラムから始めるけど、演奏はメンバーみんなで揃ってやるよ」
ティム「例外もあるけど、大体はソレンのドラムトラックの上に重ねて、全体をレコーディングしていく。デンマークでは“lagtage”というんだけど、なんて説明したらいいかな…何層にも重ねた誕生日ケーキみたいな、そんな感じのレコーディングテクニック(笑)! 手法としては古いやり方だけど、みんなで一緒に演奏することで、お互いの様子がわかるんだ」

――そういうレコーディングが、最近は少なくなってきていると思います。メンバーのひとりはロサンゼルスに、もうひとりはニューヨークに住んでいて…それぞれで自分のパートをレコーディングし、音源ファイルをメールで送り合って作る、なんて感じですもんね。
ソレン「俺たちには向かない方法だな。お互いの顔を突き合わせて、バンドのエナジーを感じながらでないと無理だ」
ティム「その通り。音源のファイルのやり取りだけで済ませるのは、すごく冷たい感じがするよね」

――プロモーターからの公演オファーもひっきりなしだと思います。今後長期のツアーや、アメリカやイギリス上陸の予定はありますか?
ティム「いまのところはないね。実は、アメリカやイギリスでは、これまで一度も作品がリリースされていないんだよ。デビュー作の時に売り込もうとしたけれど、上手くいかなくて諦めた。そのうちお互いにうんざりするようになって、バンドも解散してしまった。いまもアメリカや他の国にも行ってみたくないわけじゃない。でも、そうするためにはレーベルなりプロモーターなりの援助が必要だ。申し訳ないけれど、僕たちももう若くはないからね。機材車に乗って、自分たちの音楽を無理矢理聴かせて回るなんてことはできないよ。でも今回日本に呼んでもらえたように、もし他の国でも援助を得られるならよろこんで行きたいと思うよ」


text by Glenn Williams
translation by Miwa Matsumoto
photography by ©LOUD PARK All Rights Reserved.