ヘヴィロックのその先へと進み続ける
DEFTONESが、『GORE』で見せた境地とは?

最新作『GORE』をリリースし、5月から本格的なツアーをスタートさせるDEFTONES。ヘヴィな要素をキープしつつも、シューゲイザーやポストロックの影響や、実験的な要素を過去最高に取り入れた作風は、ファンをジワジワと虜にしている様子だ。昨年デビュー20周年を迎えながらも、さらなる進化を目指すバンドからセルジオ・ヴェガ(b)がインタヴューに応じてくれた。



――まずは8枚目となる新作『GORE』リリースを迎えての心境を教えてください。
「DEFTONESが8枚もアルバムを作れるというのは、それだけ長きにわたってたくさんの人たちに関心をもってもらえているということだよね。それってすごいことなんだ…と実感しているよ。まずなによりも、俺たちは親友どうしでこのバンドをやっていて、そんな俺たち自身が感じている楽しさがみんなに伝わって、そこがいいと思ってもらえているんじゃないかな。それに、みんな社交性もあるしさ(笑)。実際に会って話をすれば、俺たちが地に足のついた人間で、いつも自然体で楽しんでいることがわかってもらえると思うよ」

――すでに8月までのツアーが組まれており、ソールドアウトの公演も少なくありません。バンドのコンディションはどうでしょうか?
「実はテキサスで短いツアーをして帰ってきたばかりなんだ。いつも公演前はリハーサルに十分時間を取るから、あまりオフを取る時間もないけどね。だから今後のツアーに向けての準備はしっかりできているし、各地のみんなには期待していてほしいね」

――2015年に、DEFTONESは『ADRENALINE』でのデビューから20周年を迎えましたね。何か感慨深いものを感じたり、昔を振り返ったりはしましたか?
「ははは(笑)! 君に言われて今振り返ってみたんだけど、ほとんどはいい思い出ばかりだよ。もちろんバンドとして辛い時もあったし、チ(・チェン/2013年に他界)を失ったときは本当に悲しかった。今でも彼がいないのは寂しいけど、彼の魂は永遠に俺たちと共にあるんだ」

――改めてDEFTONESの全てのアルバムを聞き返してみると、作品ごとにサウンドの幅が広がりつつも、芯の部分は変わらないように思います。こういった感覚はSLAYERなんかに近いですよね。「自分たちらしさ」と「新しい要素」のバランスは常に心がけているのでは?
「音楽を制作する上で、俺たちは決めごとをしないんだ。作品は、メンバーそれぞれ持ち寄ったアイディアが集まってできるものだからね。お互いにアイディアを交換し、足りない部分を補ったり、自分には考えもつかなかった方向に進むこともある。そのプロセスは楽しいし、その中でみんながこれだ! と思うものが生まれれば、それがDEFTONESの曲になるんだ」

――DEFTONESはもちろん大きなファンベースを持っていますが、ミュージシャンやアーティストからの人気が本当に大きいと思います。それこそメジャーなアーティストだけでなく、アンダーグラウンドなシーンからも支持されている、数少ないバンドですよね。自分たちがほかとは違う、特殊な立ち位置にいると自覚していますか?
「俺たちは人からカッコよく見られたいとか、人気者になりたいと思って音楽をやっているんじゃない。それをみんながわかってくれているんだと思うよ。心から音楽を愛し、この仲間たちと共にあることに幸せを感じている。さっきも言ったように、俺たちはバンドというものを自然体で、心から楽しんでいるんだ。だからDEFTONESのアートには、ポジティヴなエネルギーがあふれた、リアルなものなのさ」

――新作からのリード曲“Prayers/Triangles”を聴いたとき、『SATURDAY NIGHT WRIST』(2006年)と『KOI NO YOKAN』(2013年)の流れを組んだ作品になるのかと予想していました。実際にアルバム全体を聴いて、従来のヘヴィな要素を残しつつも、よりアトモスフェリックな要素が強いものになりましたね。
「俺たち自身が、こうしたいと思い描いていたようなものは全然ないんだよね。ただただ制作は楽しかったよ。5人全員がエキサイティングだと感じるものを作るのはいつも大変だし挑戦でもあるけど、そこにこそ醍醐味があるんだよね。だからコンセプトとか、何か意味があるとか、そういったものは一切ない。例えばアートワークのイメージと『GORE』というタイトルは対照的なものに映るだろうけど、アルバムを手に取る人によって受け取り方は全く違ってくると思う。なんらかの感情が生まれるだろうとは思うけど、俺たちがこういうものだと決めつけるつもりはないんだよね」

――フランク(・デルガド/dj,key)のサウンドメイキングは、あくまで楽曲を独特の空気感で包み込むような感覚で使われていますよね。サンプラーの使い方によっては、もっと激しく、ヘヴィなサウンドを作れると思うのですが、やはり激しい要素はギターやドラムで表現して、シンセイサイザーが曲を支配するようなことがない手法にはこだわりがあるんですか?
「いやいや、意図的なものは何もないよ。メンバーそれぞれに自分のスタイルがあるからね。フランクもごく自然に、自分なりのサウンドを作りだしてはいるけど、それは曲に合うかどうかを考えた結果なんだ。変に意識してシーンの流行りに合わせるようなことをしたら、俺たちらしいものではなくなってしまうしさ」

――チノ(・モレノ)のヴォーカルは、『KOI NO YOKAN』から、明らかに抑揚が大きくなったように思います。より大きなメロディを歌うことは念頭にあったのではないでしょうか?
「さっきのフランクのサンプラーについてもそうだけど、作為的なものは新鮮味に欠ける…というのが俺たちの持論なんだ。俺たちはいつもアイディアに対して有機的に反応するようにしている。エイブ(・カニンガム)のドラムのフレーズに対して、俺はベースをどう弾くか…みたいな感じでね。そうやってお互いのアイディアやプレイに反応し合って、エキサイティングなものを作りあげていく。ここ最近の曲に対して、チノも必要だと思ったから、以前よりもアップダウンの激しいメロディを歌っているのかもしれないね。メンバー全員、昔よりもミュージシャンとして成長しているわけだしさ」

――“Phantom Bride”ではALICE IN CHAINSのジェリー・カントレル(g)がゲスト参加していますね。彼は味わい深いギターを弾きますし、楽曲の空気感に華を添えていると思います。それに、DEFTONESの曲にギターソロが導入されたのは初めてのことですよね。ジェリーはキャリア的にもあなたたちの先輩にあたる人物ですし、いろいろと学ぶことも多かったのでは?
「ジェリーは付き合いやすいし、一緒にいて楽しい人だよ。あれだけのキャリアと実績がありながらも、ちっとも偉ぶったところがないしね。むしろ、自分の演奏を俺たちが気に入るかとすごく心配していたくらいだよ。でもさ、気に入らないわけがないだろ(笑)? 素晴らしいミュージシャンが、最高のプレイをしてくれて本当にうれしかったね」

――既にいろいろな人から聞かれていると思いますが…ギターのステファン(・カーペンター)が、新作の制作にかなり後ろ向きだったこと、バンド内で自分が孤立していることを語っていましたね。ほかのメンバーからのアイディアが自分に合わないと感じていたそうですが、今回の制作はどんな流れで行われたんでしょうか?
「う~ん…ステファンはそれほど孤立していたわけじゃないと思うよ。今回のアルバムの曲作りにおいても、彼の力は大きいからね。DEFTONESは制作を始めるとかなりペースが早いんだけど、それは曲を書くメンバーが多いからなんだ。出てくるアイディアが多い分、今回も50曲分はボツになったんじゃないかな。それによって、制作中にステファンがヘコむことがときどきあったよ。だから俺たちは、ただ曲を書くために集まって、作業が終わったらすぐに帰る…というような感じじゃなくて、まずなによりも俺たちは友だちなんだということを忘れないようには意識したね。俺たちは友情で繋がっている。そのことを心に刻んでレコーディングに取り組んだおかげで、今はみんながハッピーだよ」

――わかりました。『SATURDAY NIGHT WRIST』以降は作品ごとに日本に来てくれているので、今回も楽しみにしているファンも多いと思います。最後に、日本のファンに何か一言メッセージをお願いします。
「ヘーーイ、日本のみんな! 俺たちはみんなが大好きだ! いつもサポートしてくれて、本当にありがとう。もちろん、また日本には行きたいと思っているよ。次に行ったときは、いっしょにヴィーガン・フードを食べようぜ!」



text by Yusuke Mochizuki
translation by Miwa Matsumoto


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