藤田タカシ、15年ぶりの活動再開、
そして『No More Pain…』復刻、新作を語る!

唯一無二の存在と言っても過言じゃないロックバンド、DOOM。15年ぶりに活動を再開し、長らく絶版だった『No More Pain…』を復刻したばかり。藤田タカシ(vo,g)に活動休止状態に入る前までの話をしてもらったインタヴュー記事は、GrindHouse magazine Vol94にすでに掲載した。今回はその続編で、活動再開から新作『Still Can’t The Dead』までの話を聞いた。



DOOMを休養してる15年ぐらいの間はいろんなことをやってたじゃない。そのひとつにTHE MAD CAPSULE MARKETSのライヴサポートでギター弾いていたり。DOOMってあまりにも個性が強く、集団としても突出してたから、その後の藤田タカシ個人としての音楽活動は大変だったんじゃない?当然、あまり気の進まないこともやっただろうし。その15年間はどこを心のよりどころにしてたの?
「いろんなサポートをやらせてもらいましたけど、自分の音を信じてる、そこ以外ないですよ。自分の音を信じ、自分の音を必要としてくれてるから、そういうサポートの仕事がきたりするんだと。なかにはちょっと違うこともありました。だけど自分の音を必要としてきてもらってるんだってことがやっぱり自信だったし、自分でもそれを信じてきたからこそ、今もなおこうしてやってられるんじゃないかなと思ってます」

――15年間の休業から活動再開するというときマネージャー氏に「なぜ今?」と聞いたら、「以前シーンの最前線で活動してたもののその後休止し、しばらくしてそのバンドたちが次々に活動を再開してるけど、なにかひとつ足りないと思ったらそれがDOOMだと気づいた」って(笑)。で、活動再開の話をしたって言ってたけど、それって本当なの?
「本当もなにも、話を聞いたのはUNITEDの横山(明裕/b)のお通夜の席でですよ(笑)。そのときにはもう話がDOOMの復活祭みたいになってて、去年1月のライヴの話も決まってた。JURASIC JADEのhizumiちゃんとかCASBAHの羽鳥くんから出るんだよね?という話をされて、なにそれ? って(笑)」

――そのときどう思った(笑)?
「泡くいましたよ(苦笑)。やる予定じゃなかったんで。やる予定じゃなかったんだけど、だけどなにかやらなきゃとは常に思ってたんですね。自分も50歳過ぎてたんで、前にも言った50歳を過ぎたら好き勝手にやりたいという話のなかでのそういう話だったんで、そういうタイミングなんだなと思って。横ちゃん(=横山明裕)しかり、諸田(耕一/b)にしろ自分たちの仲間にしろ、最近亡くなっていく人が多い。それを考えたら自分もそう長くはねえなと。片足を棺桶に突っ込んじゃってるような年齢だし、やらずにこのままおっ死ぬよりは、結果を残せるかどうかわからないけどやることやって笑って死にたいなと。身辺整理しながら(笑)」

――UNITEDもDOOMも出始めの頃はホント尖ってた。そして、当時はそれがめちゃくちゃカッコよかった。ひとつのムーブメントのような連帯感もあったし。あの時代と、今じゃすべてが違うよね。誰でも簡単に音楽を作れて、すぐネットで公開もできちゃう。あの時代はDOOMみたいにメジャーレーベルと契約できるバンドは特例中の特例で、まだまだ自分たち自身で制作費をねん出し頑張らなければならなかった。今まったく違う環境になり、しかも音楽市場は非常に厳しい、そのなかでの活動再開から『No More Pain…』復刻を経ての新作発売。それなりの覚悟が必要だったんじゃない?
「まあそうですね。常に崖っぷちなんで、オイラは(笑)。常に覚悟はしてるんですけど。そのぶん、ハンパなことはやらないし、もちろん音の安売りもしたくないし」

――昨年2度ライヴを観たけど諸田さん在籍時代を観てるからやっぱりベースに目がいってしまう。新ベースの古平崇敏(元CASBAH)に落ち着くまでにどのくらい時間がかかったの?
「活動を再開するまでにスゴく時間がなかったんで(笑)。横ちゃんのお通夜から横フェス(横山明裕追悼ライヴ)の話があったのがおととしの7月。そのときはまだベースが決まってない状態で。DOOMのトリビュートをやってるバンドと交流があり、今の古平ももともとDOOMのお客さんだったんですね。彼のフレットレスベースのプレイも見てるし、PAZZ(ds)と頻繁にセッションもしてたんでPAZZから話してみてくれと。それで(一昨年)8月にリハーサルを3回やり、横フェスで15分プレイしました(笑)。横フェスは後づけだったんですけどね」

――『No More Pain…』再発盤は好調なセールスを記録してるようだし、新作も出すことになった。マネージャー氏の悪の誘いに感謝しつつ、話に乗ってよかったなという感じにはなってる?(笑)
「やっぱりあのときに話がなかったらわからなかったですよね、今どうなってるかって。それまでスゴく呑気にしてたのかもしれないんで、そうしてハッパをかけてくれる人がいた方が(笑)。10年ぐらい前からやれやれとケツは叩かれてたんだけど、あのタイミングでそういう話が出てきたっていうことは、天からのお告げじゃないけど(笑)、まあそういうことなんだなと思って」

――『No More Pain…』は長く絶版だったけど、昔の音源を復刻するということに抵抗はなかった?
「全然なかったです。ただリマスタリングに関しては、今の音源の技術力には頼りたいなと思った。発売することに関しては全然抵抗はなかったですね」

――『No More Pain…』復刻盤、リパッケージという言葉がぴったりだね。そして昔のアナログ盤に比べて音の粒が立ってると思った。オリコンのインディチャートで4位にも入ったって聞いたよ。時代がまた来た、なによりの証拠だね(笑)。
「いやいや(笑)。不思議でね。なんか不思議でしょうがないですね」

――新作を出すことは最初から考えてたの?
「もちろん動くにあたっては作らなきゃいけないなというのはあった。結局ライヴをやるにしても新しい音源がほしいとはずっと思ってたんで。じゃないとライヴをやる意味もないのかなと。昔はライヴのための音源であるという考えがあったんで」

――ずいぶん前から活動再開用のDOOMの曲やリフ、メロディといったものはある程度はあったの?
「そうですね、自分的にはちょっとずつ構築してはいた。だけどやっぱり時間はかかりますよね」

――久方ぶりの新作とは言え、どこをどう聴いてもDOOMだね。メンバーが変わろうが、時代も流れようが変わらない。同時に焼き直しなんかじゃないところもスゴいと思った。以前のDOOMらしさがありつつ、どこかしらで今の空気をちゃんと吸ってる。昔はやってなかったアプローチがちょこちょこ入ってるし。曲を作ってるときやレコーディングしてるとき、多少なりとも今の時代というものを意識した?
「うーん…たぶん意識しちゃうといやらしくなっちゃうだけなんで。あえて意識しなかった部分もあります」

――1曲目“Introduce 99s Life…Getting Lies”のイントロが静かなイメージで始まるけど、同期を使ったりもしてるじゃない。以前のDOOMにはああいうものはなかったよね。無意識のうちにそういうものが入ってて、もともとのDOOMらしさと共存共栄していくのが理想だと思う。今回はやりたいことをとことんやったっていう感じ?
「そうですね。いつもそうなんだけど、やっぱり時間がなくて。ヴォーカルやギターをかぶせてからドラムのPAZZや古平が初めてこういう曲だったんだとわかったような状況だったんで(苦笑)。結局、最終的に色づけするのはオレですから」

――前に比べると音が多少丸くなった、っていう印象があるのね。前は突拍子もないフレーズや展開ばかりだったけど、今は熟年の年輪というものが刻まれた人間しか出せない音、曲というのが増えた気がする。
「だってね、“No More Pain…”は弾けないですよ、今(笑)。速いし、なんだこの展開はっていう。自分でやったんだけど(笑)。自分で感心する。そういう意味じゃ新作はDOOMだけど落ち着いてるかもしれないですね」

――インストの曲のギターソロがどこかで聴いたフレーズだって気になってて、ジミ・ヘンドリックスの“All Along The Watchtower”(邦題“見張り塔からずっと”)だと思い当たった。あくせく走り回ってたバンドが大人になり、ブルースとかジミ・ヘンドリックスからの影響が出てた。自分のルーツというものをこれまでの作品以上にストレートにかつ素直に出してるのが、新作じゃない?
「かもしれないですね。今までのどの作品より一番藤田色というか、オレの色が出ちゃってるかもしれない。こればっかりはわからないですけど」

――曲作りのプロセスなどは以前と変わらず、PAZZや古平さんのアイデアを取り入れながらまとめていったんだよね?
「変わってないんですけど、今回そのプロセスはレコーディング中でした(笑)。現場で。もちろんプリプロみたいな形ではやっていたんですけど、また現場で変わっちゃったりもしてたんで。だからほかのメンバーもどういう形になるか想像もつかなかった。最終的に、ああこうなるんだって(笑)」

――そういう状況でレコーディングしながらも、なにかしらこだわるところはあったと思うし、気を配った部分もあったと思う。それはどういうところ?
「気を配るというのももちろん大事だったんですけど、緊張感だけは失いたくなかった。ある意味ドラムのPAZZにしろ古平にしろスゴくプレッシャーはあったかもしれないです」

――そんな現場じゃ緊張感はあるに決まってるよ(笑)。歌詞的にはどう?前に書いてた歌詞は尖がってて毒を吐いてるイメージがあったけど。
「昔はそうだったけど、今回は理想、想像の世界かもしれないですね」

――やっぱり丸くなったんだ?(笑)
「うーん、そうすかね?大人になったと言えば大人になったのかもしれないけど」

――それでもほかのロックバンドと比べたら十分変だから(笑)。だけど、そこがDOOMの真骨頂なわけじゃない。
「うん。今回バンドとして、プロトゥールスでのレコーディングが初だったんですよ。だから絶対コンピューターには負けたくなかった。そこが一番で、プロトゥールス上の符線には絶対頼らなかったんです。レコーディングじゃテープローリングの前にクリックを決め、そのクリックを頭だけ聴き、それにPAZZが拍を取って1,2,3で始めた」

――レコーディング機材は飛躍的に進化したよね。いい音が録れる時代になったけど、アナログレコーディングで作品を作ったKORNみたいなロックバンドも多い。久しぶりに自分のバンドでレコーディングに入ったとき、今のスタジオの環境は斬新だった?それともそれで説得力があって生々しい作品ができると思った?
「後者ですね。パソコンを操る職人には絶対に頼りたくなかった。プレイヤーとしての職人魂が三人三様あって、その上でのレコーディングなんで。とにかくPCには負けたくなかったですから。プレイするのはオレたちで、PCを扱う人間は単純にまとめ役。だからオレたちの出す音をそのまま録ってくれ、表現してくれと。そのための道具としか捉えてなかった」

――今の音源って綺麗な音像を念頭において作られることが主流だけど、それって自然発生したものじゃない。外面はよく聴かせることができるけど、そういうものが音楽をダメにしてるとも思う。技術は便利だけど本質をダメにしてしまうよね。どんな音楽であろうと人間が作ったぬくもりがないと人の心は動かせない。
「同感ですね。確かに今の人たちはいろんな意味で上手いとは思うけど、上手い以上のものはなにも感じない。スピリッツは感じないし、ソウルな部分もまるっきり感じない。ああ上手いねというだけで終わってしまう。だったら家でCDを聴いてた方がいいと思っちゃう」

――ロックって絶対にライヴだと思うんだ。ミスろうがチューニングがあってなかろうが、吐き出される音に感じるものがあればいい。それがロックの醍醐味だよね。この間観にいったイベント、Noise Slaughter Vol.7はスゴく楽しかった。BB、COCOBAT、DOOMというアンダーグラウンドなるものの解釈がそれぞれ違うバンドが3組出演してて。ああいうのをもっと若い人たち観てほしい。あれが本当のリアルな空間だし、観ててカッコいいから。
「面白いと思うんですよ。面白いか面白くないか、カッコいいかカッコ悪いか、それしかないと思う。そして最終的には好きか嫌いかしかない」 ――Noise SlaughterVol.7で観たような世代のバンドとか、MINOR LEAGUEとかは、観てて緊張感がある。ああいうのも若い人たちも観て、受け継いでくれないと。外見だけ取り繕ったような綺麗なものが当たり前だというような状況は変えなきゃいけない。だからDOOMの本格的な復活は楽しみだし、もっと暴れてめちゃくちゃにしてくれないかなと思ってるよ(笑)。
「オレからしてみれば、おじさんの戯言じゃ済まないようにしないと(笑)。オレが本物かどうかはわからないですけど、自分は本物だと思ってやってるんで。それをどうアプローチしていけるか。結局は受け手と買い手なんで」

――本物であるからこそ初めてリアルになれる。レーベル名にもリアルという言葉を使っているけど、本物であるからこそリアルという言葉に重みがあるし説得力もある。DOOMと同じような経緯で復活したANTHEMとも最近また一緒に仕事をしてるけど、それはやっぱり柴田直人が本物だからなんだよね。
「直人さんのことはANTHEMの前身バンドの頃から知ってるんですよ。高校時代から府中とかの市民会館でよくイベントをやってて、その頃に出てもらってたんです。去年ANTHEMを観にいきましたけど、直人さんはあのときから変わってないですね」

――DOOMが世に出た当時は欧米でスラッシュメタルがいい感じだったじゃない。PRONGなどもそうだけど、スラッシュメタルの域に留まらず、ノイズを入れたり、ラップを噛ましたり、ファンクに寄ったりといろんなことをしてた。だけどそういうものとDOOMは全然違ってたよね。スゴいな、よくできるなと思ったよ。
「だけど、あの頃の曲は今弾けないですよ(笑)。なにやってんの!? って感じですよね(笑)」


text by Hiro Arishima


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