メタルシーン随一の巨大バンドとなった
FFDPが語る、ファンとの関係性とは?

米軍基地の慰問等で日本を訪れていたものの、FIVE FINGER
DEATH PUNCHが日本のファンを前にして本格的なライヴをや
るのは、KNOTFEST JAPAN 2014が実に5年ぶりのことだった。
数万人規模の会場を完全に掌握したライヴはまさに完璧で、
待たせただけのことはある、最高のひとときだった。終演後、
短い時間ながらゾルタン・バソリ(g)とジェイソン・フック(g)の
ふたりに話を聞くことができた。

――日本の観客を前にしてライヴをやるのは、もう5年ぶりになるん
ですよね。
ゾルタン「長すぎだよね(笑)。ぶっちゃけ、あんなにもたくさんの人た
ちが俺たちの曲と歌詞をしっかりと知っていて、歌ってくれるとは思わ
なかったよ。もちろん以前から日本からのインタヴューを受けたりし
ていたから、知名度が少しずつでも上がっているとは思っていた。でも
このライヴで、俺たちの存在が日本でも浸透していることが証明され
たよね」
ジェイソン「日本にはもっと早くに来たかったけど、なかなか実現しな
かったのは申し訳なかったと思う。にも関わらず、こんなにも強固な
ファンベースができあがっていたことは、本当にうれしいよ。待たせて
しまったぶん、これからはもっと日本に来ないとな」

――日本の観客は、ほかの国と比べてなにか違いはありましたか?
ゾルタン「うれしいことに、俺たちのファンは世界中でどんどん増えて
いるんだけど、あまり国によって違いは感じないかな。みんなすごく熱
心で、忠実で、献身的なんだ。今日もファンのなかには、俺たちのシン
ボルの手形をフェイスペイントにしている人がけっこういたしね。俺は、
ファンというのは国によってではなく、バンドによって違うと思うんだ。
バンドによっては、バンド名やロゴなんかをタトゥーにするファンがいな
いだろ? でも俺たちのファンは、バンドにまつわるものをタトゥーに入
れたりする。俺たちのことを、誇りに思ってくれているんだ」
ジェイソン「みんなが俺たちのライヴに本当に熱狂して、受け入れて
くれた。もしかしたら、5年も待たせてしまったおかげで、みんなのなか
にいろんなものがたまっていたのかもしれないな(笑)。それが今日、
爆発したんだ」

――それにしても、数万人を相手にした、大きな規模でのライヴをやり
慣れていますよね。まさかアイヴァン(・ムーディ/vo)が隣のステージ
まで行くとは思わなかったです(笑)。
ゾルタン「アメリカでは、もっと大きな会場でやることも多いからね。そう
いったところでのやり方は心得ているつもりだよ。単純にステージが大き
ければ、俺たちも大きく動かなければいけないし、みんなにしっかりとエ
ネルギーを届けなければいけない。それはいつも考えている。アイヴァン
は、ファンがクラウドサーフをしているなかに入っていって歌うことも多い
んだ。そこにあるものはなんでも使うよ。ヒモや手すりにターザンみたい
にぶら下がったりとか(笑)。とにかく印象付けることが大事なんだ」

――後半では観客を何人かステージに上げていましたけど、あれはよ
くやるんですか?
ゾルタン「わりとよくやるね。というのも、俺たちのファンは年齢層がすご
く幅広いんだ。70歳くらいの人から、6歳くらいの女の子もいる。そういう
子が俺たちの曲を大声で歌っていて、ビックリすることも多いよ(笑)。でも、
そういった子たちがモッシュでもみくちゃにされてやしないか心配になっ
てさ。だから小さい子はステージに上げて、脇の方で見せてあげるように
した。それが始まりなんだ。でもそうしたら、大人がうらやましがるんだよ
(笑)。それで、ファンはステージに上がって、バンドといっしょに歌ったら、
一生に思い出になるんだと気付いたし、素晴らしいことだと思ったんだ。
だからほかの大人も上げるようになった。でも小さい子をステージ脇に
避難させることも続けているから、最近は“うちの子を上げてください!”っ
てアピールする親もいるくらいさ(笑)。俺ももし若いころにMETALLICA
やIRON MAIDENのステージに上げてもらったりしたら、本当に忘れら
れない経験になっていたと思う。それをみんなに提供したいんだ」

――それともうひとつ、ライヴが終わった後、フロアにピックをたくさん投
げていましたよね。受け取った人は思い出になると思いますけど、ピック
のストックは大丈夫ですか(笑)?
ジェイソン「バケツいっぱいに用意しているから大丈夫さ(笑)。むしろ、
ステージじゃなくてスマートフォンばかり観ているやつには、ピックを投
げつけてやるんだ(笑)」
ゾルタン「今日は次のバンドのライヴが始まってしまうからあまりしな
かったけど、自分たちがヘッドライナーのときは、ライヴが終わった後、
もっと大量のピックをみんなに配るんだ。それだけで5分くらいかかる
かな(笑)。せっかく来てくれたみんなに、なにかお返しがしたくてさ。そ
のために大量にストックしているのさ(笑)」

――長い下積みを経て少しずつのし上がってきたバンドだからこそ、ファン
がいかに大切かがわかっているというわけですね。
ジェイソン「そう、俺たちはファンがいてくれたからこそ、ここまで来るこ
とができたんだ。それに、俺たちがやっているのは、本当にちょっとした
ことでしかない。それで喜んでもらえるんだから、お安いご用さ」
ゾルタン「俺たちがファンのことを忘れたら、ファンも俺たちを忘れてしま
うに決まっているよ。もちろん音楽も大切だけど、ピックを渡して、握手を
するだけであんなにも喜んでもらえるんだからさ。それはコミュニケーショ
ンとして、簡単ではあるけど大切なことだよね」


text by Yusuke Mochizuki
translation by Mariko Kawahara


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