前回の来日から2年強…ピート・ウェンツが近況を語る!

FALL OUT BOYが再来日した。単独東阪計3公演のチケットが瞬く間にソールドアウトになるなど、相変わらずの人気っぷりだ。東京公演2日目の開演前にピートに話を聞いた。

――約2年ぶりの来日だけど、調子はどう?
「上々だよ。うん(笑)。アトランタ(US南部)からヨーロッパ経由できたんだ。遠回りでね。今じゃ時差ボケもないし。よくわからないけど、なんかうまく作用してる気がするね(笑)」

――前回の来日んとき、髪の色がピンクだったよね。
「うん、ピンクだったね。桜に合わせてね。今年はまだ桜が咲いてないようだから、髪はまだ黒ってわけ(笑)」

――今回は髪の色何色でくるかなって、スタッフと話してたばかりでね(笑)。
「そうなんだ(笑)。で、スタッフとの賭けには勝てたの?誰が勝ったの?」

――オレは黒でくるって言ってた(笑)。
「じゃキミの勝ちだ(笑)」

――2回連続でピンクはねーだろって(笑)。
「そうだね。同じ色で2回はこないさ(笑)。それじゃ退屈だから」

――約1年半前にリミックス盤『MAKE AMERICA PSYCHO AGAIN』を出したじゃない。発売タイミングでパトリック・スタンプにインタヴューしたんだけど、その作品を作り、発売する意図について彼は「新しい作品を作る際、ここんとこずっと同じような取り組みの仕方をしてたからなにかを変えたかったんだ。外部の人のアイディアとか意見とかを取り入れてね」って言ってたんだけど、ピートも同じような考えだったのかな。
「うん、そう。そしてもうひとつ…『SAVE ROCK AND ROLL』(2013年)の後、『PAX AM DAYS』(2013年/日本盤未発売)というパンクロックEPをライアン・アダムスをプロデューサーに迎えてと出したんだ。あれもオレたちの受けた影響の一面だけど、オレたちはいろんなところから影響を受けてる。だから あのリミックス盤もオレたちが受けたヒップホップからの影響を表してる。あのリミックス盤に参加してくれた人たちのなかには、少なくともオレたちのファンにとっては新進気鋭の連中だったから、彼らを知る機会を与えることができたのはよかったね。たとえばミーゴスは当時まだビッグじゃなかったし、初めて聴いた人も多かった。そういう連中にプラットフォーム(=その名や存在を知ってもらう機会)を提供することができたのはナイスだった。大切なことだからね。オレたちにとって、若手アーティストたちにプラットフォームを提供することは重要なことなんだよ」

――もう次の作品制作を始めてるって聞いたけど、リミック盤をやったことでリフレッシュでき、なにか新しい感覚で今回の曲作りができてるとかってある?
「そうだね…いつもなにかしら新しいことに取り組んでるっていう感覚もあれば、なにもやってないような感覚もあるけど、オレ自身は最近特に映画とかヴィジュアル的なものに刺激を受け取り組むことが多いね。リミックス盤が面白かったのは、オレたちの曲や音楽を他人の観点から見ることができたから。曲を丸投げしたら、とてもクールなものにして戻してくれたんだ」

――今、その次作制作のプロセスはどの段階にあるの?
「まだあまり、っていうのが正直なところでね(笑)。オレたちはなんでも先延ばしにするタイプだから。締め切りがスゴくタイトにならないと勤勉にはならない(笑)。そういうときだけ勤勉になるんだ」

――てことは、発売は今秋か年末ぐらいかな(笑)。
「どうだろうねぇ(苦笑)。それまでにエンジンがかかってればの話、だけどね。そうなってるといいけど」

――途中4年間ほど活動休止期間があったとは言え、今年で結成16年だね。結成したときここまで長くやれると思ってた?
「Oh my god! そんなことは思いも寄らなかったよ!それにオレたちはヒューズのついた爆弾みたいなものだったから、いつかは爆発するだろうと思ってたけど、まだ爆発してなくてよかったよ。危うくそうなりそうだったことは何度かあったけど、なぜか大丈夫だった。まだ爆発していないんだよ(笑)」

――この16年間を振り返るといろんなことがあったと思うけど、どこかのタイミングでFALL OUT BOYを、そしてロックンロールをやっててよかったと思ったことってあった?
「ロックンロールは恐らく、この惑星で最高のもののひとつだと思う。オレの人生を何度も変えてくれた。演奏することもすばらしい。人々と自分たちをつなげてくれるし、世界中を回ることもできる。そして音楽はオレを救ってもくれたし、悪い状態のときよりよい方向に導いてもくれた。そういうことができるものって、ほかにそんなにないから。だから重要だと思う。間違いなく。同時にスゴい頭痛のタネでもあるけど(笑)。ロックンロール、そしてFALL OUT BOYのおかげで、オレの人生は面白いものになってるんじゃないかな」

――結成時は10代後半、もしくは20歳そこそこだったからFALL OUT BOYっていうバンド名でもよかったわけだけど、今もう37歳なわけだから正しくはもうboyじゃないじゃん(笑)。まあBACKSTREET BOYSとかTHE GET UP KIDSとかほかにもいるんだけど…。
「確かにもうFALL OUT MANだよな(笑)。あまり響きは似てないけど、そっちを名乗ってみてもいいかも知れないな(笑)」

――なんかしっくりこないなあ(笑)。その長い活動キャリアにおいて6枚の作品を残してきてるよね。ピートが思うに、どの作品が個人的にベストアルバムかな?
「うわぁ…ベストアルバムかぁ。みんな(=ほかのメンバー)挙げる作品が全然違うだろうからなあ。それにどの作品もその時々のスナップショットみたいなものだからさ。子供のときの自分が後になって同じようなことをやってみようと思っても無理なんだよね。全然違うものができてしまう。だけどオレがよく考える2枚は…まずは『INFINITY ON HIGH』(2007年)ね。スゴくヘンな作品だったから(笑)。その前の『FROM UNDER THE CORK TREE』(2005年)が成功してたからなにをやってもよかったんだろうけど、オレたちはヘンなものを作ったんだ(笑)。面白いことをやったと思うよ。“この曲はラジオ向きかどうかわからない”とかよく言われたのを憶えてる。だけどヘンだってわかってても、オレたちはそれが好きだったんだ。もう1枚は『FOLIE A DEUX』(2008年)だね。アーティストをやってると、ときに物事をハードな方向に持っていきすぎて真逆のことをやってしまうことがある。『FOLIE A DEUX』はそういう作品だったと思う。スゴく楽しい思い出がある作品だからオレは大好きだけど、パトリックはもっと違うことをやればよかったと思ってるかもしれないね。その2作品についてはよく考えるよ」




――ちなみにオレのフェイバリット作を言わせてもらうと、『FROM UNDER THE CORK TREE』と、『AMERICAN BEAUTY/AMERICAN PSYCHO』なんだ。
「へー、それは興味深いね」

――理由は極めてシンプルでさ、好きな曲がくさん入ってるから(笑)。
「わかるよ、そう言うのも」

――仕事的にもGrindHouse fmっていうラジオ番組を長くやってるんだけど、その2作品には番組でかけやすい曲がいっぱいあるしね。
「だろうね。そういえばアメリカのラジオを聴いてたら、今でも『FROM UNDER THE CORK TREE』の曲がよくかかってることに気づいたよ。だからキミが言ってることはよくわかるな」

――逆に後で「この作品ここんとこをこうすればよかったなあ」とちょいと反省した作品ってある?
「どの作品にも好きな部分はあるし、1年くらい経ってから「ここを修正しよう、この曲を外そう」なんてやれればいいのにな、ともいつも思ってるよ(笑)。だけど嫌いな作品はないね。いじくり回す時間がありすぎると、ときには泥沼状態になってしまう。色がありすぎてそれらを全部混ぜてしまうと泥みたいな色になってしまうのと同じようにさ。そうするとGUNS N ROSESの『CHINESE DEMOCRACY』みたいになっちゃう(笑)。GUNS N ROSESは史上最高のバンドだけど、あの作品を出すのにあんなに時間がかかったろう?なにしろ時間がかかりすぎ。あり得ないね、作品を1枚出すのに10年以上もかかるなんて。どこかで完成させ、出さないと」

――パトリックがMAN WITH A MISSIONと“Dead End In Tokyo”をやったね。
「うん、聴いたよ。パトリックが聴かせてくれたんだ」

――“FOB色”が出てるけど、サビになると完全にMAN WITH A MISSIONの世界になるんだよね。そのへんスゴくわかりやすい。
「あぁ、言いたいことはスゴくよくわかるよ」

――パトリックはこれまでにプロデュースとか曲提供とかけっこうやってきてるけど、ピートはそういうのはやらないよね。
「やらないね。オレにとってはあまり強い魅力を感じないんだ。オレはPANIC! AT THE DISCOらとレーベル、Fueled By Ramenをやってるし、俳優もやったりしているけど、制作に関しては…オレとパトリックで他人のために曲を一緒に書くことはあるけどさ、スタジオで。だけど、自分じゃそういうのがスゴく得意とかまあまあ得意だとか思ってないんだ。そんなに向いている気がしないんだよね」

――下の男の子がもう、2歳半になるね。やっぱ将来はタトゥー入れて、スケボーやって、パンクロック聴いて、そしてやって…ってことを望んでる?
「えーと…(笑)。8歳になる上の息子はいつも…タトゥーは嫌いだって言ってるよ(笑)。だけど好きなタトゥーもあるんだよ、彼のために入れたヤツ。だけどわからないなぁ。子供って反抗するものだと思うし。親父がタトゥーを入れてパンクロックをやってたら、子供は数学者にでもなるんじゃない?(笑) 反抗するって言ってもオレとは違うやり方になるだろうね」

――なんとなく、だけど、ピートって決して自分の子供になにかを強要するってことはなさそうな気がするんだよね(笑)。
「そうかもね。オレにとって親の仕事ってのは導くことだと思ってる…特に男の子の場合は。最前線にいてもらう必要もないけど、最後部にいられるのもなんだかなという感じだし、なにかしら真んなからへんにいてもらいたいんだ。スティーヴ・ジョブスみたいになってもらおうとは思わないけど、殺人犯を育てるのは嫌だよ(笑)。その中間くらいがちょうどいいんじゃないかな(笑)」

――やはりいい父親になりたいって思う?
「あぁ。オレの仕事のなかで世界一重要だと思ってるよ。それまでオレは責任なんて負ったことがなかった。20代全部何なんの責任も負わずに過ごしてきた。その逆だよね、今は。ロックバンドにいると、誰も自分のやってることなんて気にしないから。みんなオレたちが遅刻してきて、酔っ払って、クソみたいな出で立ちになってることを期待するわけだからさ。それがみんなの期待なんだ。わかるだろ?だから面倒を見ないといけない相手ができたのはオレにとってスゴくいいことだったんだ。自分のなかに思いやりの気持ちや忍耐みたいな、新たな感情が生まれてきたから。それまでのオレは扱いにくいヤツだったこともあると思うけど、人間が柔らかくなったと思う」

――だね、確かに柔らかくなったと思うよ(笑)。子供のことだけじゃなく、ほかにも責任があることがいくつもあるわけだし。まさに責任重大(笑)。
「せ、責任がたくさん…(言いよどむ)ありすぎるんじゃないかな、たぶん(笑)」






文・有島博志
通訳/翻訳・丸山京子、安江幸子