6年ぶりの再来日で再びPUNKSPRINGで
大熱演を繰り広げたface to face!

face to faceの中心人物トレヴァー・キース(vo,g)に取材するようになってからかれこれ20年以上の月日が経つ。通算2枚目の『BIG CHOICE』(95年)で正式日本デビューし、その後実現した初来日したときが最初だった。それから20年以上の間、face to faceは一度解散し、トレヴァーはいくつかのプロジェクトをやってた。そしてface to faceを再結成し、PUNKSPRING再参戦で再来日した。あちこち巡り巡って帰るべきところに帰ってきた、というような想いがある。トレヴァーは相変わらず饒舌だった。

――日本にきたのは6年ぶりだね。PUNKSPRINGで神戸、東京でライヴをやったけど、どうだった?
「ステージに上がる前はなにを期待したらいいのかわからなかったよ。前回の来日から間が空き過ぎたからね。だけど最初の神戸じゃ驚いた。思ってたよりずっとよかったからね。久々だったし、前回日本にきて以降も作品は何枚か出したけど、日本盤がリリースされたのかどうかもわからない(笑)。日本で活動してなかったにも拘らず、このバンドのことを知ってくれてる人がまだいるとわかって嬉しかったよ」

――今回のセットリストはどのようにして組んだの?
「昨年はアメリカだけで一連のライヴをやったんだ。ひとつの街で3回連続ライヴを、各日初期3作品を全曲やった。それをずっとやってきたんで、それがある程度曲作りに影響を及ぼした。だから新作『PROTECTION』はその90年代初めのパンクロック・スタイルになった。それで今回のセットリストを組むとき、初期の作品からの曲と新作からの曲をやったらどうかと思ったんだよ。初期の作品と新作の間は20年も空いてるけど、スゴくしっくり収まる。新旧の曲をいい感じにミックスすることが狙いだった。95年から2016年に飛ぶんだから、ものスゴいギャップを埋めてることになるよね(笑)。だけど、いい感じの流れになってると思う。40分のセットだし、9枚目の新作を出したばかりだから各作品から曲をやるのはなかなか難しいから」

――新作スゴくいいね、とても気に入ってるよ。原点回帰のようで『DON’T TURN AWAY』(92年)や『BIG CHOICE』(95年)あたりの頃を彷彿とさせる、直線的なメロディックパンクだね。再結成後、『LAUGH NOW, LAUGH LATER』(2011年)じゃ再度パンクロックから離れ、UKニューウェイヴ寄りのサウンドを出してた。それが新作じゃまた基本に立ち返って…。
「オレたちには最初の3枚の作品で達成したことから離れた時期があった。97年~98年の頃には、オレたちがやってたようなメロディックパンクがやたらと増えたんで、そこから抜け出したくて『IGNORANCE TO BLISS』(99年)を作った。その後またパンクロックに戻ったけど、スゴくシンプルなスタイルに戻ることについて、オレたちの頭に不思議なブロックがかかってたというか、タブーがあったんだ。オレたちはうまいプレイヤーだから、オレたちの幅広さと成長を示したいんだという気持ちがあったんだろう。だけど実際のところface to faceのスペシャルなところは、シンプルさとエナジーだった。だから“また初期のような作品を作ろうじゃないか”と思うようになったんだよね。最初の3枚の作品とまったく同じというわけじゃないけど、今の音楽スタイルで起きてることを無視してたことは確かさ(笑)。“今が90年代だったらどうなってただろう? どんな作品がふさわしいんだろう?”というのが、新作を作ったときに俺たちが採ったアプローチだったんだ」

――今回の来日に合わせてDVD『DOCUMENTARY & LIVE』(2002年)を久しぶりに観たのね。特にドキュメンタリーがものスゴく面白かった。舞台裏の話とか、バンドの内情とか。当時のネガティヴなこともいいことも洗いざらい語ってて、とても興味深かったよ。
「あのドキュメンタリーはもう、10年以上も前のことだよね。あれから10年経った今現在までのドキュメンタリーも作れそうさ(笑)。これは旅だよ。25年間音楽をやってきたけど、オレたちは最初からずっと同じメンバーだったバンドじゃない。そして、こういうバンドは山ほどいる。ずっと同じメンバーでやっていくのはとっても難しい。だけど元メンバーとはいまだに関係があるし、相変わらず会っているし、一緒になにかやったりもしてる。わからないけど、今のオレは人生をより大きな視野でとらえてるんだと思う。期間の長さにこだわらず、音楽をやり、自分が作った音楽をみんなが評価してくれて、CDを買い、ライヴにきてくれるというのはとても特別なことだから、オレはそれを前よりもっとありがたく受け入れるようになったんだ。そしてこれは贈り物なわけだから、怒ったり、競って成功しようと思わないようにしてる。過去のことについて、キミが言ったようにDVDじゃ困難な時期についても話をしてるけど、そのほとんどは記憶から消えてるんで、オレの頭のなかじゃネガティヴなこととして残ってないんだ。最近じゃ柳に風と受け流してるよ(笑)」

――あのドキュメンタリーで特に印象深かったのは、アナタが「自分はファンやオーディエンスに対して責任があるから、メジャーレーベルにいかないといけない」という趣旨の発言をしたこと。そして、その後アナタたちはVictory Musicに移籍した。当時パンクロックバンドはメジャーレーベルに対しネガティヴに捉える風潮が強かったから、ファンからはセルアウトしたと思われたでしょう。
「そうだよ。それでオレたちはずいぶん叩かれた。当時オレには理解できなかったけど、今は違う。当時は確かに“魂を売り渡す”っていう概念があったけど、今はそんなこと言うヤツは誰もいない。みんなただ、金を儲けたいだけさ! 当時のオレたちは不安だった。レーベルに魂を売り渡したと思われたくなかったんで、チケット代をスゴく安くし、6ドル、8ドルでやってた。するとインディレーベルにいるパンクロックバンドが、チケット代を15ドルに引き上げだした。魂を売り渡したハズのオレたちの方がパンクロックの倫理を実践し、チケット代やTシャツ代を安くしてたんだ。だけど面白いのは、何世代もの人間が音楽の世界に入ってきたわけだけど若い世代、新しい世代は魂を売り渡すことやパンクロック倫理をもう気にしちゃいない。別世界なのさ(笑)」

――face to faceの活動休止と解散後、アナタは自身のプロジェクトTHE LEGION OF DOOM(TLOD)をやったじゃない。ある日、CDショップで働いてた知り合いから「面白い作品が入荷したよ」と呼び出されてね。それが、THE LEGION OF DOOMの『INCORPORATED』(2007年/日本盤未発売)だった。で、聴いたらマッシュアップでビックリしたのを覚えてるよ。あのとき、なぜああいうマッシュアップをやったの?
「当時のオレはメロディックパンクだけをやることにうんざりしてたんだ。THE LEGION OF DOOMの片割れで友達のチャド(・プリンマン/レコーディングエンジニアとして知られる)にはとても才能があり、コンピュータープログラミングができたし、オレにはアイディアがあったんで2人でコラボし、他人の音楽をマッシュアップしたんだ。ユニークだったのは、ああいった異なるジャンルの音楽を取り上げマッシュアップしてた連中は、当時ほかにいなかったということ。オレたちが思いついたアイディアで、とても楽しかったし、いいアーティスティックなチャレンジだった。パンクロックの世界以外で、また別の形でアーティスティックになれたんで最高だったよ。あの頃、オレはソロ作『MELANCHOLICS ANONYMOUS』(2008年/日本盤未発売)を出したり、いくつかプロジェクトをやってみた。どれもすばらしかったけど、結局face to faceにはスペシャルなものがあり、ほかのプロジェクトじゃ達成できないものがこのバンドにはあることにみんなが気づき、また一緒にやることにしたんだ」

――face to faceを再結成し新しい作品を作るとき、逆にソロ作やTLODでやったことからなんらかの影響ってあった?
「ほかのプロジェクトがクリエイティヴな面でface to faceに影響を及ぼしたとは思わないけど、これだけは言える。オレのクリエイティヴな心がすっきりしたんで、メロディックパンクロックに戻ったとき新鮮な気持ちで取り組めたんだ。パンクロックに戻ってきたことが、新しくてエキサイティングに思えたんだよ。口直しのようなもので、寿司を食った後にガリを食うようなものかな(笑)。オレにはパンクロックの寿司にまた戻る準備ができてたんだよ」

――今後の予定は?
「実は、新作発売に伴う活動はアメリカじゃたいしてやってないんだ。ライヴを2回やっただけ。新曲をプレイするのは、ここ日本が3度目、4度目だったんだ。新作のツアーは、今年の秋から冬まで続くんじゃないかな。新作が出てからしばらく経てば、ファンは曲を覚える時間があるから。今回は新作発売に伴う大規模なツアーは予定しなかった。とりあえず新作を出したかったわけで、もうちょっとのんびりしてからツアーのことは後で考えようと思ったのさ(笑)。だけど日本と同じように、パンクロックにおけるアメリカの市場じゃ特にオレたちの時代のバンドは賢いライヴのやり方にしないといけないんだ。ツアーを成功させるには、すばらしいパッケージにすることが重要なんだけど、それがちょっと難しいんだな。ほとんどのバンドはレベルが同じだし、みんな同じ額のギャラを欲しがるんで、みんなを集めてパッケージにするのはちょっと厄介なんだ。だけどオレはそれを実現させるべく頑張ってる。そうしないと、この新作発売に伴う、オレが求めてるようなタイプのツアーで成功を収められないからね」



text by Hiro Arishima
translation by Mariko Kawahara
photography by (C)PUNKSPRING All Rights Reserved.


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