これぞKAMIKAZEメタル!? GUNSHIP666が、
痛快作でそのポテンシャルを強烈にアピール!

Angry(vo,b)いわく「俺たちがかっこいいと思えるものを持って
きて、かっこいいドラムや気合いの入ったヴォーカルを入れる
だけ。それだけでしかないし、これしかできない」。だが、それ
がいい。トリオとなったGUNSHIP666が、満を持して発表した
ニューアルバム『KAMIKAZE FUCK YOU』で、圧倒的なパワー
を伴って爆走。メタル内の瑣末なジャンル分けがどうでもよくな
る痛快作で、随所には剛柔の妙も息づいている。Masami(g)と
2人に話を聞いた。



――2010年にHellSex(ds)さんが加入し、Angryさんがベースを兼ねる3人組
になってから、この新作『KAMIKAZE FUCK YOU』がリリースされるまで約4年。
作品発表までにそれだけの時間がかかったのは、ツイン・ヴォーカル体制の5
人組から現布陣へと変わり、まずはバンドとしての土台を固めてからということ
だったんでしょうか。
Angry「もはやメンバー・チェンジというより、新しいバンドを作るのと変わんない
状況だったからさ。ベースも探したんだけど、誰もやるヤツがいなくて“だったら
自分がやる”と。俺だって歌いながらベースを弾くなんてやったことがなかったし」
Masami「ドラムも新しくなったGUNSHIP666と一緒に成長していくようなスター
トだったし、バンドとしてトレーニングを積む期間が必要だったんです。この3人
で音を鳴らすにはどんな方向性がいいのか。それを見つけるまでに時間もかか
ったし、新曲を作りはじめたのもバンドのベクトルがハッキリしてからのこと。そう
なると作品までこれぐらいの時間はかかっちゃいますよ」

――なるほど。
Angry「俺としてはひとりでやろうが10人でやろうが、そんなに心構えは変わらな
いんだけどね。状況に合わせてこういったバンドをやろうなんて器用な真似はでき
ないし、結局やることはひとつ。このバンドでの役回りも5人から3人になって単純
に忙しくなっただけで、基本的に変わったって感覚はない。そもそも簡単にバンド
仲間を集められるわけじゃないからさ。今いるドラムの前にも何人かとやってみた
けど、叩けても格好悪かったり、なんか気が合わなかったりしたんだよね。俺とし
ては、テクニックよりそいつの向いている方向とか気持ちとかのほうが大切だから
さ。それこそ3人ともSLAYERが来日したら行くし、PANTERAでもそう。“これこそ
がメタルでしょ”って部分が一致してるんだよね」
Masami「バンドは人間関係なんで。逆にこの3人でやることによって、最小人数
でもスゴい音の塊が出せるんだってことを確信した部分もあります」

――3人にそれだけの絆があると。
Angry「誰かが死んだら、次は解散だから。とかいって、俺だけクビになったりし
て(笑)」

――ハハハハ(笑)。個人的に『KAMIKAZE FUCK YOU』は、MACHINE HEADみ
たいなオルタナ以降のメタルを踏まえつつ、MOTORHEAD meets DISCHARGE
といった爆走ロックンロールな要素もプラスされた印象があるのですが。
Angry「MOTORHEADやDISCHARGEはまったく意識してないけど、“KAMIKAZE”
とか言っておきながら暴走しなくてどうするってのはあるよね。そもそも何っぽくし
ようなんて考えてないし、俺らの場合、作っていくうちに勝手にオリジナルなものに
なっていくんだ。そういった意味では“デスメタルがやりたいんだ”ってやろうとする
んじゃなく、気付いたらデスメタルになっていたってほうが正しい気がする。今作
も真面目な人たちに“こんなのメタルじゃない”と言われたら、喜んで“メタルじゃな
いです”って返してやりたいし。逆に“メタルだ”って言われても、“じゃあ、それでいい
です。好きにしてください”って感じだし(笑)。まあ、GUNSHIP666の骨幹になって
るのは、PANTERA的 なものだと思うけど。ファンキーなメタルとでも言うのか」

――それは今作からも伝わってきますよ。
Angry「『KAMIKAZE FUCK YOU』にしたって…前作だって『KAMIKAZE』(2007年)
だったんだし、そういうことしかできないんだよ。実際、SLAYERだってずっと同じこ
としかやってない(笑)。それこそ俺自身がバンドを通して言いたいのは“KAMIKAZE”。
そうやってアメリカを常に見ているんだ。俺はメタルでアメリカ人にひと泡吹かせて
やりたい。そういった意味で“KAMIKAZE”と言っているわけで、あいつらに日本人も
凄い! と思わせたいんだ」

――GUNSHIP666は、2001年から何度もアメリカでライヴを行ってますよね。
そうすると日本人としてのメタル観というか、日本人としていかにメタルをプレイす
るかってことを逆に意識したりということは?
Angry「それはない。日本だろうがアメリカだろうが“俺ら”という意識以外は」

――例えば来日公演のオープニング・アクトに日本のバンドが付いたりすると、決定
的なパワーの違いを感じたりもしますが。
Angry「いや、俺らの場合、向こうに負けないパワー感が勝手に出ちゃってるから。
要は気合い。やっぱり気持ちで演奏してるヤツが勝つんだよ」
Masami「音のパワーってグルーヴによって生まれるものなんです。そういった意味
でうちの武器はグルーヴ感なんで」



――今作のミキサーにスターリング・ウィンフィールドを起用していますが、理由は
やっぱりPANTERAやDAMAGEPLAN、HELLYEAHに関わっていたから?
Angry「PANTERAファンが彼とやることに何の問題もないでしょ? それ以外の特
別な理由なんてないですよ(笑)」

――じゃあ、プロデューサーのマイキー・ドーリング(元SOULFLY、現SNOT、CH-
ANNEL ZERO)は?
Angry「彼の場合は…今作を作る1年ぐらい前かな。YouTubeか何かで俺らの映像
を観て、向こうからアプローチがきて。マイキーとは好きな音楽も一緒だし、いちいち
説明しなくても伝わる部分がある。だからやり取りも早いし、それまでの経験がある
から信用もできる。音作りもどこか変わっていて、独特のセンスがあると思う」
Masami「ダメだと思ったら“じゃあ、次”って切り替えも早いし」
Angry「もしくは“ビールでも飲み行こう!”と(笑)。日本だったら“何とかここまでは仕上
げよう”って話になるけど、それが一切ない。だけど、そういったやり方のほうがサウン
ドもファンキーになると思うんだよね。逆に早いときはスパスパ進んじゃって、ドラムな
んか1日で録り終えちゃったし」

――ラフな雰囲気の中での作業だったと。
Angry「そうだね。逆に俺だけが真剣になってて、“KAMIKAZE”になっていたぐらいだ
から(笑)。やっぱり気持ちを集中させないと“ヴァーーー!”といった声は出ないから。
それこそ200キロぐらいのものを持ち上げてるぐらいの気持ちでやらないと(笑)」

――ひとりでかなりの声を使い分けていますよね。ブルータルに叫ぶときもあれば、
歌心を感じるときもあったりして。
Angry「それは腹痛の日と頭痛の日で声が違っただけ(笑)。まぁ、それは嘘としても、
特に意識して使い分ける感じはないです。うまくはないけど、頑張っているだけで(笑)」

――“DEVIL INSIDE”は、2011年に起きた東日本大震災後の人々の心模様を歌っ
たものだとか。
Angry「俺、実家が石巻なんですよ。それでなくてもみんな不安だったと思うし、特に
俺の場合は被災地に家族がいたからなおさら。そういった具合に日本全体が不安で
グルグルになっている中、政府はさも大丈夫であるかのような嘘をついていたじゃない
ですか。あの状況は、今から思い返しても気持ち悪い。3.11みたいなときって、みん
なが冷静さを保とうするんですよ。それが普通の精神状態で、平静を装うとすればす
るほど内側に怒りが溜まってくるわけ。そういう風に“ふざけんなよ!”って気持ちをごま
かすかのように平静を装うこと、それが俺に言わせれば“DEVIL INSIDE”ということに
なる。あのとき、誰の心の内側にも政府に対して“嘘つけよ!”って言ってる悪魔の部分
があったと思う。でも、その一方ではしょうがないって冷静さを保とうとする気持ちもあ
ったわけで、そういった状況からあの歌詞が生まれたんです」

――また多彩なギター・リフやソロも印象的ですよね。
Masami「やっぱり、メタルはリフが格好良くないとダメだと思うんで、満足できるもの
が生まれるまでは詰めますね。ソロも、本音を言えば聴いている人が歌えるようなも
のを弾きたいんです。聴いているうちに熱くなってきて、一緒に口ずさんじゃうソロっ
てあるじゃないですか。そういうのっていいと思うし、確かにそこらへんの意識はあり
ますね」

――ソロも曲によってフラッシーなものもあれば、情感的なものもあって。
Masami「ギター・ソロとか間奏って歌詞がないですけど、目をつぶって聴いたときに
映画のワンシーンのような絵が浮かんだりとか、聴いている人が何かを思い描いてく
れたら嬉しいと思います」

――実際、トータルではディスク上を爆走する印象がある一方、ソロ・パートでは曲
調がメランコリックになったり、ミドル・テンポになったりと叙情的に展開が変わる曲も
散見できます。ヴォーカルも含めて、剛柔の妙のある仕上がりですよね。
Masami「もちろんそういった展開が好きなのもありますし、自分としては爆走的な部
分だけで終わるんだとしたら、面白みをあまり感じないんです。それに私がいいと思う
アルバムって、全部の曲が良くできているものが多いんですよ。例えばJUDAS PRI-
ESTの『BRITISH STEEL』やAC/DCの『BACK IN BLACK』、GUNS N’ROSESの
『APPETITE FOR DESTRUCTION』だったりと。もちろん作る側として曲を飛ばされ
るのも嫌なんで、みんなが最後まで大事に聴いてくれるというか、全10曲ともいい曲
として終われるアルバムを作りたいという気持ちもありました」


text by Tsunetoshi Kodama


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 GUNSHIP666
 『KAMIKAZE FUCK YOU』
 Gout Records
 GR-1 / 発売中