人生最良の時を迎える中、未知の領域に足を
踏み入れようとライヴ録音で制作された3作目!!

約3年ぶりの新作『INTO THE WILD LIFE』を提げたツアー直
前、「新作に込めたエネルギーやエモーションを観客に向け
て解き放ったらどうなるのか。考えただけで興奮してくる」と
電話取材で最初から熱っぽかったリジー・ヘイル(vo,g)。たし
かに、今作はこれまでの経験、特にこの3年間での躍進を踏ま
えつつ、ライヴ録音にこだわる等攻めの姿勢でHALESTORM
の“今”を刻みつけた充実の1枚となっている。



――ズバリ、アルバム制作前に青写真として考えていたことは?
「このアルバムでの目標は、音源でのHALESTORMとライヴでの自分たちの
ギャップを埋めることだったわ。私たちの活動の9割はツアー。だから、ほとん
どの人たちが最初にHALESTORMの音に触れるのはライヴなの。それで、私
たちは今作に人間味とライヴパフォーマンスの要素を取り入れようと思ったの。
要はステージでのその瞬間ごとのエモーションを、同じようにスタジオ・アルバ
ムに刻みつけたかったのよ。それでどうしたかと言えば、心地好く作業ができる
ものをすべて投げ捨てたの(笑)。プロデューサーも新しくしたし、レコーディン
グに対する考え方や録音場所も一新。ベーシック・トラックはすべてライヴ録り
したわ。ナッシュヴィルにある美しい教会で4人が輪になってね。以前は教会だっ
たところなんだけど、今はスタジオになっていて、そこがまた何とも言えない雰
囲気なの。それぞれの曲をまるでステージで演奏するようにレコーディングした
ことは、とても良かったと思う。オートチューンを使ったり録音素材を切り貼りす
るんじゃなく、4人が一緒になって曲を作り上げていく感じがいい方向に作用した
んじゃないかしら」

――どうしてナッシュヴィルの元教会でレコーディングすることに?
「それはプロデューサーのジェイ・ジョイス(ボブ・ディランの息子、ジェイコブ率
いるTHE WALLFLOWERSなどとの仕事で知られる)と出会って、彼が教会を
買ったからなの。本来、教会を買うには聖職者にならなきゃいけないんだけど、
彼は特に信心深いわけじゃないから教会をスタジオに変えてしまったのよ(笑)」

――Oh my god(笑)!! ジェイとはどういうきっかけで知り合ったの?
「そうね。とにかく過去2作とまったく違うアプローチでやろうにも、誰にプロデュー
スしてもらったらいいのか分からなかったから、まずはいろいろな人と会ってみた
の。そんな中、レーベルの友だちが勧めてくれたのがジェイ。“君たちがやって来
た方向性と彼は違うけど、きっと合うはず”と言われてね。それでジェイと会ったん
だけど、彼は最高。まさにイカれた才人だった(笑)。ジェイはエリック・チャーチや
LITTLE BIG DOWNといったカントリー・アーティスト、そのほかにもCAGE THE
ELEPHANTといったオルタナ・バンドを手がけた人としてお馴染み。必ずしも私た
ちが注目していた存在ではなかったけど、実際に会ってみたら、私たちがやりたい
ようにアルバムを作るのに即したクレイジーさを持っていたのは彼だけだった(笑)」

――そもそもが罰当たりだからね(笑)。
「このアルバムに対するアプローチは、怖いものだったわ。4人のライヴとパフォー
マンスをベースに、お互いの決定的瞬間をとらえるには、自分を信じないといけな
いの。それで“オートチューンを使ったり、曲を切り貼りしたり、あるいはコーラスを
何度も何度も録ったりしない。あくまでライヴ・パフォーマンスとして最初から最後
まで1曲を通しでレコーディングする”と言うと、ジェイも妥協を許さなかった。ちょっ
とでも手を抜こうものなら“俺たちが話し合った時のことを覚えているかい?”と言っ
て14回目のテイクで誰かがミスったとしても、また一から通しでやり直さ直さなけ
ればならなかった。どう考えても、頭のおかしなレコーディング・スタイルよね(笑)。
だけど、ジェイはHALESTORMの持ち味を最大限に引き出してくれたし、私たち
も自分たちが刺激的に感じるものをスタジオで追い求めたの」



――なるほど。
「こういう考え方もできるわ。私たちは曲がすべて書き上がってからレコーディン
グをスタートさせたわけじゃなく、スタジオ入りした時点で完成していたのは8曲
ぐらいだったの。そういった意味では、スタジオであれこれやって、デモにはな
いその場の発想から生まれたプレイを聴くことのできるのもこのアルバムなの。
それこそここで自分が前に出るべきかどうなのかためらっている瞬間とか、とん
でもない新しい発想に演奏が熱気を帯びる瞬間とかが録音されているわ。例え
ば“Scream”なんかには、リンジー・スターリング(クラシックをベースに、ゲーム
『ゼルダの伝説』やディズニー作品の音楽もカバーするハイブリッドなヴァイオ
リニスト)の“Shatter Me feat. Lizzy Hale”で彼女とコラボしたヴァイヴやフィーリ
ングが息づいていると思う。それに、ジェイは何曲かでキーボードとオルガンも
弾いているの。4人でプレイしていると部屋の向こうからユニークな演奏が聞こ
えてきて、振り返ったら彼がノリノリで鍵盤を弾いているのよ(笑)」

――実際、濃密な録音風景が目に浮かぶようなドキュメント感のある作品だよね。
ヴォーカル録りだけは別で行ったようだけど、やはりそれも1曲を通す形でレコー
ディング。よりダイナミックで情感豊かに響いてくる。
「ありがとう! ヴォーカルに関してもベーシック・トラック同様、ライヴをするように
歌おうとしたわ」

――ところで、『INTO THE WILD LIFE』というアルバム・タイトルにはどんな意
味が込められているのかな。
「いちばんシンプルで楽しい説明は、“HALESTORMがとんでもない次元に突入
していく”ってことかしら。ジョー(・ホッティンジャー/g)、ジョシュ(・スミス/b)、
アージェイ(・ヘイル/ds)、そして私の4人でバンドを始めてもう12年。弟のアー
ジェイとはもう18年にもなるわ! 実際、私の人生はHALESTORMを作ってから
のほうが長くなってる。振り返ると長い道のりだったわ。だけど、この3年間で多
くのことを達成することができた。何度か世界中をツアーした。(前作『STRANGE
CASE』収録の)“Freak Like Me”“Love Bites”は、米アクティヴ・ロック・チャート
でNo.1になった。さらに“Love Bites”では、グラミー賞のベスト・ハード・ロック/
メタル・パフォーマンス部門を受賞。すべてがこのバンドで起こるなんて思いもよ
らなかったことよ。だから、そうした現状をちょっとアルバム・タイトルにも反映させ
てみたの。要は楽しんでやろうってことよ。いい意味でよく分からない状況になっ
てきたけど、私たちは後先を考えずに前進しているの。そういったメンタリティは
歌詞やアルバム全体のムードにも表れているんじゃないかしら。だって今の私
たちは、人生最良の時を過ごしているんだから」

――タイトルは自信の表れというわけだ。
「もちろん“未知の世界に足を踏み入れてみよう”“心地好いと思えるものをすべて
捨てて、飛び込んでみよう”といったメンタリティで今作に臨んだことは、これまで
ずっと話してきたとおりよ。それは勇気について語った歌詞が多いことにも繋がっ
ていると思う。確かに、あなたも指摘したように、今の私たちには自信がある。そう
いった意味でアルバムの大きなテーマは、自分たちが経験してきたことを踏まえ
つつ、今の自分たちを表現することだったと言えるわ」

――最後に、最新アルバムに伴うツアーで来日予定は?
「もちろん! これまで2010年のLOUD PARKでしか日本に行けてないのが不思
議なくらいだけど、先週も日本ツアーについて話し合ったわ。それこそ日本公演
が、このアルバムをリリースしての目標。それが実現したら本望よ。だから、情
報はちゃんとチェックしておいてね」


text by Tsunetoshi Kodama
translation by Mariko Kawahara


シェア

 HALESTORM
 『INTO THE WILD LIFE』
 Warner Music Japan
 WPCR-16417 / 4月15日発売