まさに絶対的な出来栄えを誇る、
HONE YOUR SENSEのアルバムに迫る!!

これを聴いて「かっこいい」と思えなきゃ、うそだ。東京を拠点
とするHONE YOUR SENSE(HYS)の初フル作『ABSOLUTE
SENSES』は、そう断言できるアルバムだ。2014年のメタル作
のベスト筆頭株。メロディック・デスメタルを下地にしつつ、メタ
ルコアもジャーマンメタルも、果てはジャズまで飲み込んだ、
硬派で凶暴なのにキャッチーで、腰と頭をグイグイ揺さぶって
くるのだ。今回はメンバー全員だけでなく、サポートながらそれ
にとどまらない活躍を見せるドラマー、田浦楽(CRYSTAL LAKE
ほかでもプレイ)も参加。現在の充実に感謝しつつ、今後への
野心にも燃える彼らを、ぜひ体感してほしい。



――アルバム『ABSOLUTE SENSES』、素晴らしい内容だし、セールスも好
調だそうですね。リリース直前に行った渋谷Cycloneでのレコ発企画もソール
ドアウトしましたし、バンドの勢いはかなりのものではないでしょうか。
Toru Bara(vo)「これから、もっといろんな人に聴いてほしいし、知ってほしい
ですね。今、僕たちをかっこいいと思ってくれた人たちが、周囲に広めてくれた
ら最高にうれしいです。今は、前EP『TRI-JOLT』に対する反応が出てきたのか
なと思うんですよ。こうしてアルバムを出したことで、これからどうなっていくの
かが楽しみですね。レコ発は、ウェブでの予約や前売りだけで、EPのときのラ
イヴをかなり上回っていたので、すごくうれしかったです」
Satoshi Matsushima(b)「安心した…という気持もありますね」
Kenta Baba(g)「正直、予想以上だったよね。驚いています」

――バンドの結成からこれまでの経緯を、ザックリと教えてもらえますか?
Kousuke Matsuzaki(g)「結成は2006年か7年くらいですね」
Satoshi「結成してからは長いんですけど、メンバーがいなくて活動ができない
時期もありました。やっぱりそんなに大きなシーンではないから、メンバーを集
めるのは大変だし。実際、ドラムも楽がサポートとしてやってくれるようになって、
もう4年になりますからね。ヴォーカルもBaraが入ったのが2年半前だから、そ
こからが本当のスタートだった感覚がしますね。いい感じに積み重ねてこられ
たかと思います」

――サウンド的には、AT THE GATEや初期のIN FLAMESとか、いわゆるメロ
ディック・デスメタル…それもヴォーカルではなく、ギターがメロディを鳴らすタ
イプのバンドからの影響を強く感じます。
Kousuke「そうですね。やっぱりそのあたりのバンドは聴いてきました。楽もそ
うだよね」
「もう、小学校のころから大好きでございます(笑)」
Kousuke「世代は違うんですけどね。同じ時期に聴いていたみたいで」
Satoshi「軸として、そういったメロデスは間違いなく全員にあると思います」

――2012年にコンテストを勝ち抜いて、ドイツのWACKEN OPEN AIRに出演し
ましたよね。その後のEPの内容のクオリティの高さもあって、アルバムへの期
待感やハードルは相当高かったのではないでしょうか?
Bara「ハードルはものすごく上がりましたね(笑)」
Satoshi「やっぱりEPを出したからにはライヴもやらなきゃいけないし、それと並
行して曲作りもしてながらで…いつ終わるんだろうと思いました」
Kousuke「あれがWACKENに出たバンド? なんて目で見ている人もいましたか
らね」

――アルバムとして、どんな青写真を描いていたんでしょう?
Kousuke「コンセプトというわけでもないんですけど、アルバムを通して聴いたと
きに、面白いと思えるものにしたい気持ちがみんなにあって。僕とKentaくんが曲
を作っているんですけど、何曲かできたら、じゃあそれらとは違った曲を次は作ろ
う…とやっていった感じですね」
Kenta「好き勝手に作ったよね。別にふたりで話し合ったこともないですし。たぶん
お互いに好きな曲を書いていったんだと思います。僕はKousukeみたいな曲を作
ろうと思ってもできない。だから、バラエティのあるものになることは、なんとなくわ
かっていたと思います」

――面白みと言えば、曲のなかにシャッフルやスウィングなんかのリズムが出
てくるんですよね。しかもそれが、パートとして挟み込んだものではなくて、メタ
ルのリフとして鳴らされている。このアプローチは驚きました。
Kenta「シャッフルを取り入れている曲は、僕が作ったものですね。もちろんIN
FLAMESなんかも好きなんですけど、ブライアン・セッツァー(STRAY CATSほ
か)とか、EXTREMEなんかのハードロック、それにジャズのビッグバンドなんか
も好きで影響を受けているんです」
Bara「貼り付けたみたいにジャズパートを入れたバンドは、たくさんいますよね。
そうではなくて、メインのリフにジャズっぽいリズムを取り入れているのは、自分
たちとしても面白いと思ってやっています。そこに注目してもらえると、うれしい
ですね」

――でも、こういったリズムのニュアンスは出そうと思って出せるものではない
ですよね。しっかりとそういった音楽やリズムへの理解がないと、できないと思
うのですが…。
Bara「そういう意味でも、楽のドラムの貢献が大きくて。シャッフルのノリをちゃ
んと出してもらえて、かつブラストビートなんかも叩いてもらえるとなると、なか
なか次のドラマーが見つからないんですよ(笑)」
「僕自身、ハードロックから音楽に入ったんですけど、小学校高学年のとき
に、村上ポンタ秀一さんに弟子入りして、ジャズやフュージョンにどっぷりで、
鍛えられた時期があったんです。そういった音楽の王道はひととおり聴かせ
てもらったし、今も好きだから、ガチっと合うんじゃないかなと思いますね。でも、
僕自身サポートをやらせてもらうことで、みんなといっしょに成長できたのは確
実だし、テクニックも、グルーヴも、総合的な能力も上がったと思います」
Kenta「前のドラマーとも、シャッフルはやっていたんですけどね。ただ、初め
てあわせた時点で楽が断然上をいっていましたから(笑)。ドラムの音が大き
すぎて、僕らもアンプのヴォリュームを上げたのを、今でも覚えていますよ(笑)」
Bara「正式なメンバーみたいな感じでやってくれているのがありがたいですね。
こうしたらいいんじゃないか、という意見も出してくれるし」
「単純に楽しいからやっているんですけどね(笑)。僕自身、HYSが大好きな
ので、ファンとしてまた違った視点から見ることができる部分もあると思うんで
す。いい意味でサポートだから…という扱いをせずにやらせてくれるので、すご
く幸せですね。だから今回のアルバムは、僕としても集大成のひとつの作品です」
Satoshi「レコーディングにも時間がかかったけど、その前の準備にもっと長い
時間をかけてやってきたし、それがいい感じでまとまったというか、過不足なく12
曲に込められた感じはしますね」



――ブラストビートやブレイクダウンのほかに、そういったメタルではなかなか
ないリズムで、絶妙な加速度がついているんですよね。しかもギターリフや
ヴォーカルもキャッチーだから、徹頭徹尾激しくても、一気に聴けるアルバム
になっていると思います。
Kousuke「狙ったわけではないですし、何が原因かはわからないんですけど、
キャッチーという血があるんですよね」
Satoshi「リフが口ずさめるのがいいよね。ブルータルなデスメタルなんかは
ドドドド…ってなっちゃうけど(笑)」
Kousuke「自分でリフを作っているとき、浮かんだものがアリかナシかってい
う、単純なジャッジがまずありますよね。そこでアリだったものがキャッチーな
わけで。だから、もともとそういう感覚があるんだと思います」
「KousukeさんもKentaさんも、ふたりともその感覚はありますよね。ニュア
ンスは違うんだけど、それが合わさることでHYSになっているというか、どちら
もHYSなんです」

――ラスト3曲“Astrominer 3000”、“Dial 666”、“No One Can Stop My Wrath”
の流れがたまらないですね。どれだけギターを泣かせるんだっていう(笑)。
Kousuke「メタル好きな人はみんなそこに反応してくれるんですよ(笑)」
Bara「このクサさがたまらないってね(笑)。“No One~”のエモーショナルなメロ
ディは、最後に狙って入れたんです。しかも、この曲だけフレーズを繰り返さな
いで、どんどん展開していくんですよ」

――それと、いろんな要素が入っているし、相当にテクニカルだけど、変に難解
じゃないし、プログレッシヴになっていないんですよね。わかりやすくて、ダイレ
クトな楽曲の魅力だけで勝負に出ている印象で。
Bara「これも、“ここまでにしよう”っていう勇気ですよね。4分前後にまとめようっ
ていうのがよかったんじゃないかな。ほかにもかけ合いのコーラスでもっとキャッ
チーにしてみたりとか。ギターのメロディのある曲なら、もっとキャッチーに、若
い子たちにもヒットして、ライヴで盛り上がってもらえるようにできるかというのは
常に考えていますね」
Kousuke「1曲のなかにいろんなものを全部まとめるんじゃなくて、その要素が
分かれた、Aという曲とBという曲があればいいんじゃないかっていうスタンスな
んですよね」
「もしかしたら、全部4拍子だからかもしれないです。J-ROCKとかJ-POPと
同じ拍子のなかでやっているから、バラエティ豊かに感じられるんだと思います」
Bara「難しく聴こえないのがいいのかもしれないね。でもよく聴いたらメタラーも
納得のテクニックが入っていて、めちゃくちゃ難しいっていう(笑)」
「最初にサポートドラムの誘いをもらったときは、あんまりテクニカルで難しい
イメージは持っていなかったんですよ。すごくうまいバンドだけど、まぁ大丈夫だ
ろうと。でも改めて聴き直してみると、めちゃくちゃ難しかったです(笑)」
Satoshi「曲作りのなかで、ヴォーカルは最後に作ることが多いんですけど、キャッ
チーになるようにというのは意識していると思いますね。ノリだったり、周りのビート
を崩さないようにしているし。それとシンガロングする言葉が曲のタイトルになって
いたりとか、そういうこだわりはあるよね。名曲の、タイトルがサビで、それだけ覚
えていればいっしょに歌えるような、そういうキャッチーさというのも、一番こだわっ
たところですね」

――アルバムタイトルの意味は?
Satoshi「バンド名にある“SENSE”とひっかけたいというのがあったんです。それ
で前後につく言葉を探していて、“絶対的(Absolute)”くらい言ってもいいんじゃな
いかというノリもあって(笑)」
Bara「でもHONE YOUR SENSEというバンド名からして“感覚を研ぎ澄ませろ”
という意味なので、それだったら、研ぎ澄ませた絶対的な感覚を見せよう…とい
うことです(笑)」
Satoshi「自分たちは間違っていないっていう自信から来ていま
すね」

――これからのツアーで、また新しいリスナーの開拓が楽しみですよね。
Satoshi「HYSがきっかけで、普段はメタルコアを聴いているキッズたちが、もっと
伝統のメタルなんかを掘り下げるようになってくれたらうれしいですね」
Kousuke「若い子たちはギターでメロディを弾くという感覚をあまり知らないと思う
ので、“何これ!?”と驚いてほしいです」
Bara「今はどちらかというと、メタルコアやハードコアのシーンでやらせてもらうこ
とが多いので、もう少しメタルの方にも活動の場を広げてもいいかなと思いますね」
Kousuke「ギターソロを弾くバンドが多いところでやっても面白いかもしれないで
すね。誰もモッシュしないでヘッドバンギングをしているような(笑)」
Bara「でもなんだかんだでが曲はキャッチーだし、シャッフルとかもあるからノリも
いいじゃないですか。だから逆にメロコアやパンクとやっても、面白いんじゃないかな」


text by Yusuke Mochizuki


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 HONE YOUR SENSE
 『ABSOLUTE SENSES』
 Garimpeiro Records
 GR-34 / 発売中