KsEのフロントマン、ジェシーの語るハードコア・マインド!!

新作『INCARNATE』を携え、実に10年ぶりにLOUD PARKに出演したKILLSWITCH ENGAGE(KsE)。メタルコアのパイオニアとして、安定感のある素晴らしいステージを披露してくれた。今回はメンバーのなかでも、特にハードコアからの影響が強いジェシー・リーチ(vo)に、ライヴ前に話を聞く機会を獲得。フロントマンとしてオーディエンスを引っ張る彼のルーツに迫ったが、受け答えはすべて丁寧かつ誠実。音楽はもちろんのことだが、この真摯さこそがKsEが愛される所以と実感した。

――2013年のFUJI ROCK、2014年の単独、そして今回と、ここのところコンスタントに日本に来てくれていますね。
ものすごく光栄だし、興奮しているよ。日本は以前から大好きな国だし、こうしていろんな人たちと音楽をシェアできるのはうれしいことだからね。

――そういえば、KsEがLOUD PARKに出演するのは2006年の第一回以来ですが、ジェシーは初めてですね。
基本的には、どんなフェスであろうと好きなようにやらせてもらってるよ。とはいえ、幅広く…とは考えているよ。俺たちもたくさんのアルバムを出してきたし、いろいろなフィーリングの曲があることが持ち味だからね。それを様々な形で表現できるようにはしているつもり。でもお客さんが何を求めているのかよりも、自分たちがどうしたいかを優先するようにしているよ。

――新作『INCARNATE』のツアーでもあるわけですが、やはり新しい曲が多めのセットリストになるんですか?
そのバランスを取ったね。俺たちとしてはもちろん新しい曲をやりたいけど、今回はフェスだからおなじみの曲をやる必要もあると思う。そこをいい感じでミックスしていきたいんだ。

――その『INCARNATE』の曲をライヴで演奏してきて、かなり体になじんできたのではないでしょうか?
ツアーはノンストップでやってきたからね。これだけオファーをもらえるっていうのは、ありがたいことだよ。こういう仕事をさせてもらって、感謝している。でもこの作品を制作しているときは、俺にとっては暗くてつらい時期だったんだ。でもだからこそ、自分にとってベストに近いいい歌詞が書けたと思う。振り返ってみると、あれから自分も変わったなって思うよ。いろんな感情を発散することができた、言ってみればセラピーのような感覚だったね。

――ジェシーはバンドを一度脱退して、その間はハワード・ジョンソン(/現DEVIL YOU KNOW)が務めていました。彼が在籍していた頃のKsEは、その声量やパワーを生かして、どんどんサウンドのスケール感が大きくなっていったように思うんです。でもジェシーが復帰してからは、そのスケール感をキープしつつ、サウンドを改めてシェイプアップしたというか、研ぎ澄ましたように感じるのですが…。
面白い意見だね。たしかにバンドは少しずつ変化や成長をしてきているとは思うけど、俺とハワードは、声の質が違うからね。あいつはバリトンだったけど、俺はもう少し高いテナーだし。だから声のカラーによる違いは大きいと思う。でも、俺自身もスタイルやフォーマットにこだわりすぎるようなことはしたくないんだ。いろいろなことに挑戦したいし、今のバンドはそれができる状態にあると思う。ジャンルの間にある壁というか、バリアのようなものを取っ払っていきたいね。ひとつのレッテルを貼りきれない様な、ソフトなものもあればアグレッシヴなものもあって、それをバランス良く表現できるようなバンドになりたいんだ。

――ステージでのジェシーを見ると、たとえばCRO-MAGSとかBAD BRAINS、7 SECONDSとか、オールドスクールなハードコア・パンクのパッチやTシャツをよく身につけていますよね。やはり自分のアイデンティティはハードコアにあるという自負があるんでしょうか?
もちろん! 俺はいまだにハードコアキッズだし、死ぬまでそうだと思うよ(笑)。ハードコアこそが、俺を育ててくれたカルチャーだからね。学生の頃、学校にはあまり友だちがいなかったんだけど、そんななかで自分の仲間を探していたら、行きついたのがパンクロックやハードコアのシーンだったんだ。だから俺にとって本当に大切なカルチャーだし、死ぬまでそこに属していたいと思う。どこにも収まりきらないというか、普通の社会には馴染みきれない人間で敢えていたいと思うし、そういう自分のことは大事にしていきたいね。

――ハードコアといっても様々ですよね。スカンジナビア、UK、日本もそうですけど、アメリカも東と西でかなりスタイルが変わってきます。特に思い入れがあって、影響を受けたのは?
そうだなぁ…やっぱりアメリカの北東部のニューヨークやボストンの、自分が育った街とその周辺のハードコアには思い入れが強いね。ほかの地域のハードコアに比べると、より怒りに満ちていて、ヴァイオレンスなものだと思う。特にニューヨークはかなりやばくてさ、ライヴに行って、フロアでボコボコにされている人を何人も見てきた。自分も生き残るのに必死だったよ(笑)。やっぱりその辺が、俺にとってはなじみの深いシーンだね。でもだんだん年を重ねることで、FUGAZIなんかの、いわゆるワシントンDCのシーンにも興味を持つようになったよ。ニューヨークほどアグレッシヴではないけれど、より幅広くて、エモーションやインテリジェンスが感じられるんだ。大人になった証拠なのかな。でもやっぱり、一番好きなバンドはBAD BRAINS。それはずっと変わらないね。

――ニューヨークやボストンのハードコアといえば、ストレート・エッジ(ドラッグやアルコール等を断つ、禁欲的なライフスタイル)が有名ですよね。あぁいう、自分を律するマインドにも影響は受けました?
俺もストレート・エッジになったことがあるよ。まぁ6ヵ月でやめたけど(笑)。なかなか難しくてさ。だからライフスタイルというよりも、結局のところは音楽に惹かれていたんだと思う。バンドでいうとEARTH CRISISやSTRIFEなんかがやっていることには、かなり影響を受けたよ。たしかに自分を律することは大切だし、目指すものを実現させるためには、いろんなことに耐えながら頑張ることも必要だと思う。そういう意味ではGOLLIRA BUSCUITSはすごく好きだったね。もう、ほかのバンドに比べると笑っちゃうくらいメロディアスだし、暴力的な感じもなくてポジティヴだったからさ。どうやったらあんな人になれるのか、そういったことも学んできたのかもしれないな。


text by Yusuke Mochizuki
translation by Kazumi Someya
photography by ©LOUD PARK All Rights Reserved.