元EVANESCENのジョン・ルコンプ(g)が
絡んだ新バンド、NoMaRaが日本デビュー!

今年初頭のある日、知人よりNoMaRaの新EP『…And
So It Begins』を手渡された。80'sハードロックと、曲に
よってコーティングされてるモダンロックテイストの“サジ
加減の妙”に響いた。元EVANESCENCEで、最近は
MACHINAで知られるジョン・ルコンプ(g)と、ケリー・
バージ(vo)の主導・先導による5人組だ。新EPは本国
アメリカでのライヴ会場でしか購入できない。オフィ
シャルサイト
でメールオーダーを受けつけてはいるも
のの、国外からは申し込めない。そこで若干枚数独占
輸入し、8/7にタワレコ限定でGrindHouse recordings
より発売することを決めた。ケリーに聞いた。



――今回は初めてのインタヴューなんで、基本的なことを中心に聞きます。
アメリカのどこで生まれ育ち、今はどこに住んでるんです?
「生まれたのは中東部オハイオ州の北部、エリー湖のそばのノーウォーク
という小さな町。父親はスポーツの監督もやる教師、母親は病院で働いて
た。監督を親に持ったから当然のようにオレも練習や大会に明け暮れる生
活だった。そんな経験もあり、早くからハードワークの大切さを学んだと思う。
子供の頃は引っ越しが多かったけど、どこにいってもわりとすんなり溶け込
めたよ。あれから何年も経った今もオレはオハイオに住み、14歳と16歳の
子どもの父親でもある。ツアーに出たりなど音楽活動のないときには自分
の会社Intrinsic Interventionsの仕事をしてる。実は薬物の検査をしてる
会社なんだ。ジョン(・ルコンプ/g:元EVANESCENCE、現EVEN DEVILS
DIEほか)とオレはしばしば薬物治療の裁判所を訪れ関係者の話を聞いた
り自分たちの経験を伝えたりしてるんだよ」

――音楽を、そしてロックを聴き始め、傾倒し始めたのはいつ頃のことでした?
また、そのきっかけは?
「ロックがオレの血となり身体を流れるようになったのは10代の頃。オレの
母親は世界一だ。彼女に連れられていった初めてのコンサートが『FAIR
WARNING』(81年)のときのVAN HALENだった。そこからすべてが始まっ
たと言っても過言じゃない。オレは自分の空想の世界でデイヴィッド・リー・
ロス(vo)だった。そうやって80年代のロックバンドに夢中になり、だから今
回のEPにある“Tesla”という曲はオレの人生に最大のインパクトを与えた
80年代ロックへのトリビュートの意味を込めたものなんだ。あの時代は今
と違って、好きなバンドについて知ろうとしてもなかなか情報が手に入らな
くてね。そういうことで好きな気持ちがより高まったってこともあっただろう。
バンドの情報を知るには音楽誌を読み漁るか、ファンクラブに手紙を書くか
ぐらいしか手がなかったから、好きなバンドに対する気持ちや想像力はど
んどん大きくなったものさ。現在はSNS全盛の便利な時代になったけど、
その一方でそういう想像力といったものが失われてしまったように思う。昔
を懐かしみつつ、そういう時代を経験しててよかったと思う。紙媒体を貫い
てるGrindHouse magazineは立派だと思う。感謝してるよ!」

――ケリーはシンガーですけど、楽器をプレイしたことってあります?
「オレは自分の身体が楽器。オレが持つ才能は歌詞とメロディを作ること
だけ。それ以外の技術や才能はすべてジョンに任せてる。彼こそNoMaRa
を支える本物のミュージシャンだ。昔、ドラムやギターに挑戦したこともあっ
たけど、オレには難しすぎた。シンガーとしても、オレの歌は粗削りで未熟だ。
そんななかで、自分がアーティストとして成長するためのヴォーカルレッスン
の重要性や、楽器を担当するほかのメンバーがやってるのと同じように自分
の喉を使い日々の練習を重ねることが大事だとわかったよ」

――主にどういうアーティストを聴き、影響を受けました?
「幅広いジャンルから影響を受けてるわけじゃない。音楽嗜好は聴き始めた
頃から今も変わってなくて、MOTLEY CRUE、POISON、RATT、TESLAな
どの80’sロックバンド。今だってメインストリーム系のロックが大好きさ。
SHINEDOWN、PAPA ROACH、BUCKCHERRYみたいな80’sロックの
精神を未来に伝えていこうというようなバンドも好き。それでも、もっとオー
プンマインドな姿勢で自分の子どもたちが聴いてるようなポップミュージッ
クも聴いてみようとは思うんだけど…ああいう音楽は頭に残らない。地元
が一緒で今売り出し中のTWENTY ONE PILOTSっていうバンドがいるん
だけど、彼らは好き。テイラー・ジョセフ(vo)にはインスパイアされることも
あるよ。彼には自分の音楽で人の心を動かす力がある」

――NoMaRaはケリーのリーダーバンドであり、ケリーが中心人物という
イメージあります。そのバンド名にはどんな意味があり、いつ、どういうプロ
セスで結成したんです?
「多くの音楽と同じように、NoMaRaの音楽も人生の経験や人間関係の失
敗といったところから生まれてる。FUTURE LEADERS OF THE WORLD
(F.L.O.W.)でツアーしてたフィル(・テイラー/vo)に会い、オレたちは意気投
合し連絡を取り合うようになった。ある日オレは突然思いついてフィルに連
絡し、曲作りを手伝ってくれないかと頼んだんだ。その頃フィルはジョンとも
つながってて。そしてそれがちょうどジョンがEVANESCENCEを辞めた直
後で、タイミングとしては完璧だった。で、オレたち3人は1年ぐらいかけて
デビュー作『NoMaRa』(2008年/日本盤未発売)を作った。それからオレが
友人のTESLAのトロイ・ルケッタ(ds)に連絡したら、彼はNoMaRaの音楽
をとても気に入ってくれて、バンドを組みライヴ活動をするよう勧めてくれた。
そんな経緯があり、オレはサンフランシスコでトロイの息子トロイ・ジュニア
と会った。彼もまたスゴいドラマーでね。それから彼の友だちも誘いライヴ
の予定を組んだんだ。この頃も確かに活動自体は楽しかったけど、バンド
としての結束力は弱かった。メンバーそれぞれの住む町が遠く離れてたこ
ともデカかった。始めて1年も経たないうちに活動を止め、布陣を見直し、
再びジョンと一緒に作品作りをしたんだ。このときフィルは自分のソロ活
動で忙しかった。オレもソングライターとしてまたパフォーマーとして成長
してたし、ジョンは相変わらずスゴいリフやメロディを鳴らしてくれた。この
とき初めてNoMaRaで真剣に活動していくことを考えたんだ。バンド名は、
ボツになった“Not Mara”という曲からとったものなんだ。この曲は自分の
パートナーのことを悪者にするけれど、本当の悪魔は自分のなかにいる
ということを歌った曲。戦わなければならないのは他人とじゃなく、内なる
自分だということなんだ」

――NoMaRa結成当初、ハードロック、メタルをやろうと思ったことは間違
いないと思いますけど、より具体的にどういうスタイルを目指しました?
「NoMaRaはアクティヴロック・バンドだ。現実の生活、愛、憎しみ、人間関
係といった多くの人々に共感を持ってもらえるようなテーマを歌い、音楽を
作ることが目標だった。人々の生活に活気を与えられるような音楽を作りた
いと思ってる。ライヴで演奏して観客を引きつけられる音楽こそ、オレたちが
目指すもの。聴いた人の頭のなかでずっと鳴ってる、イヤなことがあっても
それを吹き飛ばす、そんな音楽を与えられるバンドになりたい。そして音楽を
聴いたらぜひライヴに足を運びたいと思わせたい。世界中の街を訪れ、その
土地と人々とNoMaRaの音楽を共有したい。聴き手が自分の世界に浸れる、
そんな時間を与えられる音楽を作りたいと思ってるよ」

――『NoMaRa』も聴きました。今回のEPとはニュアンスもタッチもヴァイブ
も違いますね。やはりこれはNoMaRaの音楽が成長、進化してるということ
でしょうか?
「その通りだよ。『NoMaRa』はオレにとって初めて制作した作品だったし、
それが音に出てる。あのときはまだ自分を表現するということに十分な自
信を持ててなかった。作りながら“家に帰りたい”とか“やり直したい”とか考
えてばかりだった。だけどあれでもひとつのアート。経験不足ながらも当
時のオレというものを、弱点も含めてよく示した作品だと思う。だからこそ、
今回のEPでの成長ぶりがスゴいと思う。ジョンとのコンビもよいものになっ
た。今回のEPは次のフル作に向けてのテイスティングのようなもの。悪い
曲は1曲も入っていない。すべてラジオ向きで、かけてもらえばよい結果が
期待できるハズだ。NoMaRaの音楽は今の音楽リスナーの耳には新鮮に
聴こえる、ユニークなものだと自負してる。音楽市場から求められる限り、
NoMaRaは音楽を提供し続けていくよ」

――『NoMaRa』はもう7年前の作品ですね。先ほども言ってましたけど、
プロデュースや作曲のクレジットにはジョンの名前があります。
そしてMACHINA、F.L.O.W.のフィルの名もあります。そんな前からその
2人とは知り合いで、活動も一緒にしてたというのは、少々驚きです(笑)。
「そう、人生ってホントにタイミングが大事なんだ。ジョンとフィルはNoMaRa
の初期からオレのそばにいてくれた。逃げることもできただろうに(笑)、自
分たちの名声を捨てることも覚悟でオレに力を貸してくれたんだ。そして今、
ジョンとは同じバンドで活動してる。自分の夢を信じ続け、そして進んで新
しい場所へ出ていき、人と知り合い人脈を広げることが大事さ。人生、この
先になにが待ち構えてるか誰にもわからないんだから」

――今回のEPをケリーは音楽的にどういう作品だと捉え、そのセールス
ポイントはどういうところだと思います?
「セールスポイントは余計な飾りのない、直情的な、メロディックなギター
リフ満載のロック作品だというところ。冒頭から聴く者を引き込み、股間を
蹴り上げ、笑顔にする作品だ。巷にあふれる個性のないバンドとは違う、
NoMaRaのサウンドだ。ライヴの際にファンと会って話すと、それぞれが
違う曲をお気に入りだと言ってきたり、たとえに出してくるバンドもさまざま
なんだ。それだけユニークな音楽をNoMaRaが作っている証拠だと思う
から、そう言われるとスゴく気分がイイよ」

――今回のEP発売後、コンスタントにライヴ活動も行ってて、早くも次作
も完成間近だと聞きました。次作じゃNoMaRaの音楽はどう進化し、成長
するんでしょうか?
「こっちで今回のEPを出したのが今年1月。そのタイミングでツアーをした
んだ。TESLAとの共演ツアーのほか、自分たちだけでもライヴをやった。
今ってライヴをやるにも金がスゴくかかる。音楽ファンが昔ほどライヴに
足を運ばなくなってしまったからね。今はYouTubeで観る方が楽って人
が多いんだろうね。また、いざライヴをやるって言っても圧倒的に宣伝が
足りないから、もっと名の通ったバンドでも地方にいくと100人にも満たな
いお客さんの前で演奏することだって珍しい話じゃない。それは音楽ファン
がライヴを観たくないっていうんじゃなく、ライヴがあるってこと、バンドが
今自分たちの街にきてるってことを知らないからなんだ。GrindHouseの
イイところは、日本でバンドの存在を広め、来日に向けてファンの期待を
煽るようなやり方をしてるところだと思う。先にEPを発売したのは、まずな
にかアクションを起こし、その反応を見たいと思ったからさ。それにレコー
ディング前にライヴで新曲の手応えを見ることもできる。また、ライヴご
とに違う観客の反応や感情を受けて曲に新らたな要素が吹き込まれる
かもしれない。もしもうフル作をレコーディングし発売してたとしたら、その
機会は失われてしまってただろ? フル作用の曲はもうほぼ揃ってる。
今回のEPの作風からそれほど離れたものじゃないと思う。直情的かつ
笑顔にシンガロングできて日々の疲れを吹き飛ばすようなロック作品に
なるよ」

――日本のファンにメッセージを。
「オレからのメッセージはシンプルさ。まずはEP『…And So It Begins』を
聴いてほしい。大音量で聴き、大勢の友だちと一緒にライヴ会場で盛り上
がる自分をイメージしてほしいな。NoMaRaの時代がやってきた。オレた
ちについてきてくれ。オレたちはみんなと同じ目線にいる、地に足のついた
バンドだ。NoMaRaと一緒にロックアウトしよう!」


text by Hiro Arishima
translation by Miwa Matsumoto


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 NoMaRa
 『...And So It Begins』
 GrindHouse recordings
 GHRI-1007 / 7月8日発売