より分かりやすく、さらには未来の
デジタル・ロックにチャレンジした2ndミニ!!

THE GAME SHOPの2ndミニ・アルバム『FUTURE GAME』が、
好調だ。本作は販路限定で7月にリリースされた1stシングル
『HYBRID GAME』完成直後から制作はスタート。7曲入りのコ
ンパクトなフォーマットにバンドの「今」を刻みつけた意欲作と
なり、コラボレーションやリミックスを含め、彼ら流のハイブリッ
ドなクラブ・ロックを改めて示した。KIMITO(vo)が語ってくれた。

――ズバリ『FUTURE GAME』を制作するにあたって、青写真として考え
ていたこととは?
「そうですね。今ある感覚と自分たちが学んで吸収したものをそのまま再
現しようと考えました。そして少し先の未来の音楽を予想しながら、その
進化に対しても挑戦したところがあります」

―― 8月には代々木競技場敷地内で開催された「EXTREME ROCK」
も出演していましたよね。夜な夜なのクラブといった密室ではなく、炎天下
でのエクストリーム・スポーツとのコラボレーションはいかがでしたか?
「最高でしたね!! 野外、エクストリーム・スポーツ、それにドラムンベース
はまさにクロスカルチャー。そういった意味では、自分たちにもマッチした
イベントだったと思います。実際、今作を制作するにあたってもいろいろと
ヒントをもらってますしね」

――タイトル曲は、持ち前のレトロ・フューチャーな味わいや猥雑なスリリ
ングさが息づくとともに、より幅広い層に受け入れられるようなポピュラリティ
のあるベクトルへと向かっていった気もします。やっぱり“FUTURE GAME”
は表題曲なだけに、アルバムを総括するというか、作品全体の鍵を握る曲
だったりするのでしょうか?
「“FUTURE GAME”は、この作品を作るにあたって最初に完成した曲で、
今のTHE GAME SHOPにとっての解答になってるんです。より分かりや
すくベース・ミュージックとロックをミックスさせると同時に、未来のデジタ
ル・ロックに対しても挑戦している、という意味で。そもそもベース・ミュー
ジックは、ルーツに立脚して直感的に生まれたビートを、現代音楽として
化学的、理論的に再現した分かりやすい体感音楽。全身で感じながら踊
れる最高の音楽だと思います。事実、このバンドを始めたのも、ロック好
きな自分たちがアガれるベース・ミュージックなら、バンド・シーンの中で
も面白いことができると考えたからなんです」

――続く“BIT FUNK”には、ROBERT GLASPER EXPERIMENT(現代ジャ
ズ・シーンを代表する気鋭ピアニストによるグループ)にも通じるハイブリッド
で未来志向なジャズ・フィーリングを感じたりも。そこらへんはどうでしょう。
「まさにそのとおりです(笑)。ROBERT GLASPER EXPERIMENTからは
大きな刺激を受けてます。来日公演も観に行きましたが、感動で涙が出た
くらいです。加えて、この曲はElectro Deluxe(フランス出身のクラブ・ジャ
ズ・バンド)からもヒントをもらってます。ダンス・ミュージックのルーツは、
ジャズ、ファンク、レゲエ。そしてダンス・シーンの未来は、ルーツ音楽と
現代音楽の融合と衝突にあると思うんです」

――“Everything is OK”は、ポジティヴなメッセージが強く心に訴えかけて
きます。バンドの熱き魂に触れられる楽曲とでも評すればいいのか。
「そうなんですよ! THE GAME SHOPの音楽はほとんどがポジティヴで前
向きなメッセージを発したもの。この曲はタイトルどおりに“今は失敗の連続
でも、それがきっといつか成功に繋がる。今を信じて共に生き抜こう”と歌っ
ています」


――そして踊り疲れた明け方に心に染みそうなのが“Nothing is possible
(DJ T-AK/THE GAME SHOP)”。この曲を聴いたら、さらに朝までもうひと
踏ん張りできそうな気がします。
「自分としても、そこに繋がってくれたら嬉しいです(笑)。DJ T-AKは自分た
ちの師匠であり、最高のライバルなんです(98年にロンドンに渡り、老舗ドラ
ムンベース・クラブ、ハーバルで初のレジデントDJとして活躍。現在は東京
を拠点にDJ/プロデューサーとして活動)。ベース・ミュージックの本場であ
るロンドンでずっとプレイしてきた考えや経験は、自分たちにとっても貴重。
そんなT-AKと0を1にする美学をぶつけ合っての共同作業から生まれたの
がこの曲なんです」

――また、“Cross Culture”はエレクトロなヒップホップ調の好曲。KIT(関
東を中心に活動するデジタル・ロック・バンド、MeloiksigNのヴォーカル)
がフィーチャリングされていますが、参加のきっかけは?
「彼とは腐れ縁。いつか一緒に何かやろうぜってずっと企んでました」

――この後はリミックスの2曲ですが、1stミニ『CONTROL GAME』(2013年)
にも4曲のリミックスが収録されていますし、リミックスがバンドの作品として
重要な位置を占めているように見受けられます。
「そうですね。リミックスはクラブ・ミュージックならではの文化。お互いの
リスペクトとセッションによって1が2になるというか、いろいろな奇跡が生
まれたりします。今作について言えば、“Brain Control (Seiho Remix)”は
自分たちの中にはない感覚だったので感動しました」

――よりディープにドープでダビーなベクトルへ向かった仕上がりになって
ますよね。
「むしろ美しさすら感じました」

――“CHOKKAN ROCK(Dubscribe Remix)”はどうです? ロックが持つ
ダイナミズムをより前面に押し出した印象があり、逆にロック・バンドとして
のTHE GAME SHOPの根っこの部分に触れられた気がしました。
「ですね! Dubscribe(浜崎あゆみのリミックスやテレビゲームへの音楽
提供等で知られる)が“CHOKKAN ROCK”を引き立ててくれました。彼の
攻撃的なウォブル・サウンド(ダブステップ等でよく使われる、低くウネるよ
うなサウンドのこと)はむちゃくちゃ迫力があって日本人離れしてるので、
あえてこの曲を彼にオファーしました」

――ところで、バンド名はもとより、これまでの作品では、タイトルに必ず
「GAME」という言葉が使われてますよね。この言葉に対するこだわりと、
『FUTURE GAME』という題名に込められた思いを教えてください。
「GAME、その心は遊び、夢、自由といった感じですね。まさにテレビゲー
ムがその世界で、『FUTURE GAME』は未来を夢みる遊び心から作り出
す未来像といったところです」

――『FUTURE GAME』制作中のエピソードについても訊かせてください。
「“Everything is OK”のギター録りの時、MeloiksigNのメンバーが自宅ス
タジオに遊びにきてくれたんです。それでKENJIRO(g)は彼らがガン見す
る中でレコーディング。みんなの前で緊張したのか、100テイクも披露して
くれました(笑)」

――ハハハ(笑)。これはちょっといやらしい質問かもしれませんが、今作を
リリースすることで、バンドとして何が成し遂げられたと思います? 加えて
『CONTROL GAME』発売時に「ベース・ミュージック等を知らない人たちへ
の窓口になれたらと思ってこのミニ・アルバムを制作した」と語っていました
が、前作、今作とでそういったクラブ・ミュージックがどこまで浸透させられ
たと思ってます?
「まぁ、『CONTROL GAME』に対する反応は、ロック・シーンでは新しいもの
好きやデジタル・ロック好きからのものが多く、クラブ・シーンでもそれほど著
しいものとは言えませんでした。そんな中、今作はジャンルや偏見を少し取っ
払うことができたんじゃないかと思ってます。実際、もっとポップなものを好
む層やクラブ・シーンの人たちなど、前回より幅広いリスナーが“聴きやすかっ
た”と言ってくれてますし」

――東名阪で開催された『FUTURE GAME』レコ発ツアーも、意気込んだラ
イヴが印象的でしたよ。
「今回のツアーは多くの人たちに支えられ、THE GAME SHOPの現状がある
んだということを痛感させられました。それこそファイナルの大阪ではアドレナ
リン全開のライヴができたと思います。そして自分たちの欠点や改善点も明
確になったような気がします。基本的に楽曲とライヴは別物と考えているの
ですが、ステージを重ねていくことでその選別の答えも少しずつ見えてきた
ようにも思います」

――年末、さらには来年の活動に期待してます!


text by Tsunetoshi Kodama


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