華麗に、ポップに、激しく…デジタルロックの
新たな刺客、The Cackoo登場!!

カラフルなプログラミングと鋭角的なバンドサウンドを融合させた、突き
抜けるようなポップさとヘヴィさを放射するThe Cackoo(ザ・カッコー)。
ミニアルバム『Schwarzwald』でデビューを飾る彼らのサウンドには、
抜群の瞬発力と即効性が宿っている。かと思えば、作品のコンセプト
プロット(物語の設計図)も作る等、独特のアートセンスも見せる彼ら
に、電話で話しを聞いた。



――初めてThe Cackooの名前を聞いて、どんなバンドなのかと調べたものの、
写真は逆光でメンバーの顔がわからないし、非常にミステリアスな印象でした。
「自分たちとしては、音楽はもちろん、写真も大事なアートの一環だと思っている
んです。単純にカッコいいなと思えるものがニュー・ウェイヴと呼ばれるバンドた
ちで、作品がツボなので。自分たちの希望を伝えて、デザイナーやカメラマン、ス
タイリストの方々の力を借りて作られたアートワークとなっています」

――バンド名の由来はなんですか?
「1975年のアメリカの映画『カッコーの巣の上で』から取りました。カッコーは巣
を作らないで、ほかの鳥の巣に卵を産みつけて育ててもらう(托卵)習性があり
ますよね。そこに、鳥のなかのアウトサイダーみたいなものを感じて。言葉とし
てもあんまりハードには聞こえないから、バンド名だけだと、どんな音楽性かが
わからないと思ったんです。それと、カッコーの鳴き声はさみしさを感じる響き
らしいんです。松尾芭蕉の俳句にも出てきますし、“閑古鳥が鳴く”の閑古鳥は
カッコーのことらしいんです。調べてみると、いろんな面白い意味があることを
知って、面白かったんですよね」

――作曲は、どのようにやっているんですか?
「楽曲は、最初のデモの段階から、かなり細かいところまで作り込んでおくんで
す。ただ各個人のパートやアンサンブルに関しては、基本的にメンバーに一度
投げるようにしています。たとえばですが、すべてのパートが入った音源といっ
しょに、ベースの音だけを抜いた音源を渡す。それで各自、自分のパートを考え
るんです。それを全員でスタジオに集まって、ジャムをして調整していく。楽曲制
作では、そのときの自分たちの持っているスキルや引き出しを使っていけばいい
と思います。もちろんプレイヤーとしては経験を積んで、新しいテクニックを身に
つけることは重要ですけど、それはバンドを続けていくなかでそれぞれが身につ
けて、そこからバンドの枝葉を広げていけばいいんじゃないかって思いますね。
それと、メールでデータのやり取りをして進めたりだけではなく、スタジオでのジャ
ムを大切にしているんです」

――バンドサウンドと、プログラミングが混ざり合ったスタイルが特徴ですね。
作曲の際は、バンドサウンドを土台として作り、そこにプログラミングを乗せて
いくんでしょうか? それとも、また違った作り方が?
「全部を一気に作りあげていきますね。ものすごく細かいところまで突き詰めてい
くので、作業は常に必死です(笑)。よくインタヴューで“急にメロディが頭に降って
きて…”なんて言うアーティストもいますけど、自分たちはそういうタイプではないの
で。とにかく必死になって、納得できるポイントまで近づいていく形です」

――デビューミニ作『Schwarzwald』は、攻撃的でアグレッシヴでありつつも、
メロディはすごくポップで分かりやすい作風ですよね。
「今回はバンドとして最初の作品ということで、小細工はなしで、ポップでうるさ
いものを意識しましたね。The Cackooというバンドの入り口になるように、ハー
ドなところとポップなところ、同期とバンドサウンドが戦っているような感じを目指
しました。結果、過去にやっていた音楽が一切匂わない作品になったし、今頑
張って音楽を作っているという証明にもできました」

――『Schwarzwald』という作品タイトルの意味は?
「ドイツにある森林や山地の名前で、日本語にすると黒い森という意味なんです。
入口が暗い森で、そこから抜け出したとき、立っているのは光のなかなのか闇の
なかなのかは、自分の選択次第だ…という童話があって、そこからインスピレー
ションを受けました。これをプロットにもしているので、作品と併せて読んでもらえ
たらうれしいですね」

――歌詞も楽曲のタイトルも、日本語と英語が混在していますね。
「歌詞をすべて英語にするという選択肢は、最初からありませんでした。日本語
が好きなので。日本語を使ってメロディに乗せると、和音だったり音階だったり、
どこかしらに歌謡曲のテイストが出てくるんです。そういう、日本ならではのメロ
ディって、洋楽のメロディで感じられる“泣き”とは違って、独特なんですよ。それ
を大事にしたかった。楽曲の方向性的に、日本語がなかなか着地しなくて、難し
かったですね。内容的には、あまり明るいものではありません。狭い世界のこと
を書いていますけど、言葉ひとつのフックだったり響きだったりを工夫して、聴い
た人が自由に受け取れるように、あまり意味を限定しないで書くようにしています」

――“疾走するこの衝動で境界線を飛び越えていく”“kiritorisen”というタイトル
の曲がありますね。サウンドの方向性と相まって、いろいろな壁や障害を乗り
越えて、切っていこうという気概を感じました。
「まさにその通りですね。例えば“疾走する~”で言うと、バンドというのは、最初
に衝動で始めるじゃないですか。例えば憧れたバンドがいたりとか。自分が音
楽をやるうえで、そういう衝動は大事にしたいんです。それで“境界線を飛び越
えていく”という言葉を使っています。また“kiritorisen”のなかには、“自分の旗
を立てる”という一節があります。ジャンルの境目をなくして、自己を確立しよう、
という思いですね。僕たちは“いいものはいい”という考え方なんです。例えば本
だったりCDだったりについて、もちろん音源のデータや電子書籍も便利だし利
用もするけど、現物の趣や色気を大事にしたいと考えていて。最近、音楽が売
れないと言われますけど、こうして音楽をシーンの真ん中でやれている人間で
ある限り、それを言うつもりはないんですよ。それこそ、最初に音楽をやり始め
たときの衝動は嘘だったのか、という話しになると思いますし。自分でやりたく
てバンドを始めたのに。音楽は大好きだし、絶対に消えないと信じています。何
かをやるときに、夢を持ってやるのと、最初からあきらめてやるのとでは、まった
く違うじゃないですか」

――その思いを持っての、今後の活動予定を教えてください。
「このミニアルバムでの作風は、これからのライヴでいったん終わらせるつもり
でやります。ライヴも何本かありますけど、音源とライヴ、それぞれの良さがあ
ると思うので、それを表現していきたいですね」


text by Yusuke Mochizuki


シェア

 The Cackoo
 『Schwarzwald』
 Natural Hi-tech Records
 NHCR-1127