前回のロングなワールドツアーが
効きに効き、新作が絶賛好発進中!

通算6枚目となる新作『SEAL THE DEAL & LET’S BOOGIE』が好調な出足を見せてるVOLBEAT。前作『OUTLAW GENTLEMEN & SHADY LADIES』(2013年)発売でサマソニ参戦や東阪の単独ツアー実践と2度も来日したにもかかわらず新作の日本盤発売が見送られたのは残念でならないけど、それでもマイケル・ポールセン(vo,g)は来年また日本にいきたいと言う。彼に話を聞いてる最中、新しいベースのキャスパーも参戦してくれた。



――新作を発売し、すでにツアーにも出、ヨーロッパ各国で開催されてるフェスなどに参戦してますね。まさに絶好調でしょう?
「うん、イイ感じだよ。各国のチャートパフォーマンスもとてもよくて、まったくの想定外だったよ。自分たちが強力な新作を作った確信はあったし、こういう作品を作ったことを誇りに思ってるけど、こんなに早く、こんなにもイイ結果が出るなんて思いも寄らなかったよ」

――その手応えはライヴでも感じてます? 観客の反応が前よりよくなったとか。
「そうだね。場所にもよるし、フェスなのか自分たちのライヴなのかによっても違うけど。オレたちはセットリストをどうするかにあたり、どんな状況でやるかを強く意識してる。まぁ最終的にはみんな同じ目的でライヴにきてるし、オレたちも観客に対する目的も同じだから違いはそんなにはないけど。世界中にすばらしいフォロワーやファンがいてくれる。場所によって多少の差はあるけど最終的にはいつも楽しくやれてるよ」

――昨年アンダース・コルホルム(b)が脱退しました。長く一緒にやってきた彼になにがあったんです?
「実は結成当時はオレとジョン(・ラーセン/ds)の2ピースだった。だけどアンダースはその後すぐに加入したから、デモ制作あたりからずっと一緒だった。確かにつき合いは古い。オレたちはツアーの合間にも会い、いろんなことをじっくりと話すんだ。前回のツアーはどうだったか、今度はどういうふうに変えるかとかね。そうしてコミュニケーションを取り合ってても、ときにすべてがちゃんと噛み合わないといけない時期に互いの着地点を見つけられないことがある。人間関係と同じだよね。うまくいかないなら互いにしがみつくより離れた方がいい。ときには友情を友情のまま残しておくためにも、仕事としてのコラボはやめた方がいいってこと。最終的には合理的な理由で別れたんだ」

――両方にとってハッピーな結果になってよかったですね。そして後任のキャスパー・ボーイ・ラーセンはどういう経緯で加入したんです?
「それならキャスパーに直接訊いてみる? 今オレの真横にいるからさ」(キャスパーに電話を代わる)
キャスパー「ハロー! VOLBEATに加入できてハッピーだよ!」

――確か以前はVOLBEATの前座を務めてたバンドにいたんですよね?
キャスパー「そう、別のバンドで前座を務めてたことがあるよ。それより前の10年ほど前に、アンダースの代役としてヨーロッパツアーに参加したこともあるんだ。それにマイケルともジョンとも90年代からのつき合い。デスメタルをやってた頃さ。だから後任に、って声をかけてくれたんじゃないかな」

――古いつき合いなんですね。だとしたらアナタの加入はごく自然な成り行きと?
キャスパー「そうだね…このバンドのメンバーになることはオレがかねてから望んでたことでもあったんだ。とは言え、アンダースの脱退を望んでたわけじゃないけど、最終的にいい形で加入することができたと思うよ」 ――実際一緒にやるようになり、ライヴでの呼吸の取り合いとかどうです?相性はバッチリ?
キャスパー「ああ、いい感じさ。もちろん新しいバンドに入るときは、ほかのメンバーがステージ上でどういう動きをするかとかを観察しないといけないけどね。リハーサルルームに立ってるのとステージ上とじゃ全然違うから。だけど最初の何回か一緒にやったらなんとなく体得してきた気がしてるよ」(マイケルに戻る)



――前作を振り返り、今音楽的に、また歌詞的にどう捉えてます?新作の作風とはだいぶ違いますから。
「そうだね。前作が大成功したから、あのスタイルや歌詞を今回踏襲するんじゃないかとよく訊かれたよ。確かにそうする手もあったけど、だけどそれだとチャレンジにならない。すでにやったことだから。もしかしたらもっと後になってまたやるかもしれないけど、今のオレたちは新しいもの、フレッシュなことをやってみたかった。新しいソウルを探求してね。とは言いつつ、新作にも前作といくつか共通点があるのは間違いないと思う。前作は少しソフトな面もあったしものスゴくヘヴィな曲もあったけど、新作はもっとロックな作風だと思う。ヘヴィなサウンドやギター、ディストーションは残ってるけど。最終的にはやっぱりVOLBEATらしさが現れてると思う。どの曲にも。それがすべてさ。オレたちにはデビュー作『THE STRENGTH/THE SOUND/THE SONGS』(2005年/日本盤未発売 )からシグネチャースタイルと言えるものがかなりある気がするけど、そこから進化して曲作りや演奏、ライヴも巧くなってきた。それが新作には現れてると思うね」

――確かに根っ子にあるVOLBEATらしさはブレてませんね。とは言うもののロカビリー風、西部劇風のテイストはかなり後退しました。
「まぁオレたちの音楽にはいろんなスタイルがあるから。新作を作り始めたとき…うまく言えないけど、オレたちにはロカビリーもあればメタルもある。それは昔からだから、それを最初からやり直した感じかな。やり直してみたら、ロックのサウンドが前面に出てきた。いいフックやメロディがあってね。自分が心から感じるものを曲にしないといけない。それは強く意識してるよ。自分の心の赴くままに作ってみて、5曲くらいできたところで“よし、今回はロックな作風になりそうだな”と思った。次作はどうなるかわからないけど。たぶん1~2年内に新曲を書き始めるんだろうけど、その時点でなににインスパイアされてるかわからないから。もしかしたら次は映画音楽風になるかもしれないし、もっとロックな作品になるかも知れないし…それこそがVOLBEATなんだ。あらゆるスタイルを取り入れてるから。この時点じゃ自分たちの旧作を紐解き、自分で自分にインスピレーションを与えることもできると思う。オレたちにはシグネチャーサウンドがあるからね。…どうやって曲を書くかについてはオレはあまり考えないんだ。どう感じながら書くかが重要だから」

――感情の赴きに従って書くということは、リスナーたちになにかを音楽的に、また歌詞的に伝えたいなど、そういう意識はなかったですか?
「なかったね。オレに必要なのは、オレ自身がハッピーになれる曲を書くことだから。オレの心を動かしたり、オレになにかをもたらしてくれる曲を書くこと。ファンやメディアをハッピーにさせるためになにかを捏造しなければならないなら、オレはほかの仕事を探すさ。自分の音楽の奴隷になることは断然拒否する。オレが満足しなければならないし、オレが自分の生業を好きでないといけないんだ。バンド全体としても、自分たちのやってることを好きでなければいけない。それができたら、あとはファンやリスナーがそれを気に入ってくれることを願うしかない。今はどうやらそれがうまくいってくれてるらしい。セールス的にもとても早くいい結果が出たから。最終的にはオレたちもファンもハッピーなんだよ」

――つまり、ファンもアナタのハートについてきてる、ということですね。すばらしいですね。
「そうだね。もちろんそうでない人たちもいるけど、彼らの意見もリスペクトしてるよ。全員が“これぞ最高傑作!”と思ってくれる作品がひとつしかないっていうのはイヤだから。ファンがそれぞれの意見を持ってることが嬉しいんだ。どの作品にもなにかがあるってことだから」

――内容的には違うでしょうけど、新作のタイトルやジャケはこれまでの一連の流れを汲んだものになってます。今回のテーマとは?
「全体にストーリーがあるわけじゃないけど、オレが最近気になっていじり回してるテーマはいくつかある。歌詞はヴードゥー的なものがけっこう織り込まれてる。オレ自身はスピリチュアル作品のように捉えてる。オレたちは宗教的じゃないけど、スピリチュアルな世界は信じてる。だからそういう内容の曲もあれば、リアルな内容のものもある。たとえば“Marie Laveau”はニューオーリンズのヴードゥーの女王のことを歌ってる。彼女はスピリチュアルな力を使い、自分の死んだ父親を蘇らせようとする。“Gates Of Babylon”はバビロンの女王を歌った曲。“Mary Jane Kelly”は切り裂きジャックの最後の犠牲者を題材にしてる。と言っても切り裂きジャックのことを歌ってはいないけどね。そういう曲は世間に山ほどあるから、もういらない。被害者の方に注目を向けるべきときだと思ったんだ。“The Loa’s Crossroad”にもヴードゥー的な要素がある。ちょっと“Marie Laveau”とつながってる面がある。2つでひとつのストーリーになってるわけじゃなく、かなり違う内容だけどね。 今回のジャケには、それらのキャラクターがいくつか登場するんだ。Marie Laveauもいるし悪魔もいる。そして一番前に出てる男は、世界中のどこにいようと、どんなスピリチュアルな信条を持ってようと、自分のために自分の信じるもののために、自分自身の悪魔と闘わないといけないってことを意味してるんだ」

――ぜひ、また日本にきてくださいね。
「VOLBEATはとにかく日本をツアーするのが大好きなんだ。何回かいったけどいつもとても楽しくてさ。日本いきはオレたちが心から楽しみにしてることなんだ。今もしょっちゅう日本に行ったときの話が出てくるし。だから絶対にまたいきたい。なんとか来年またいきたいね。そのときまだファンがいてくれることを願うし、みんなにまた会えるのを楽しみにしてるよ!」



text by Hiro Arishima
translation by Sachiko Yasue
photography by Nathan Gallagher