ヒリヒリした疾走感を放つdummy-xDが、
その力をアピールする限定シングルをリリース

ポストロック/マスロック由来のシャープネスと、ニューウェ
イヴを通過した耽美性をあわせ持ち、硬質かつデリケートな
サウンドを繰り出すdummy-xD。先日5月のライヴリポートを
お届けした彼らは、7月1日に限定シングル『異』をリリースし、
次へのステップへと足をかけんとしているところだ。そんな
彼らのこれまでとこれからについて、アンクー(vo,g)に対面
して話を聞いた。



――まずdummy-xDというバンド名の意味と由来を教えてください。また、ロゴの横にたたずんでいるキャラクターも気になります。
「響きでつけたんですよね。意味とかは全然なくて…dummyっていう言葉がかっこいいと思ったので、そこに何かくっつけようと。このキャラクターは僕が描きました。最初のシングルのジャケットのために描いたキャラクターをずっと使っています。最初、ジャケットを描いているときにどんなものにしようかと考えながら、ふと自分の似顔絵なんかを描いていたんです。そうしたらいつのまにかこういう風になって、自分みたいだなと思って。それで採用しました」

――初期から、サウンドの方向性は固まっていたんでしょうか?
「初期はまったく違う音でしたね。電子音がいっぱい入っていて、もっとピコピコした感じでした。ロックとファミコン…ゲームが好きなので、それを合わせた様な音楽をやろうとしていましたね。スーパーファミコンとか。あとはAPHEX TWINとか、ああいったアーティストもすごく好きなので、そういった要素もあったらいいなと思って。グリッチされた感じの音楽でしたね。今は逆に電子音はまったく使っていないんで、真逆です」

――電子音を排除し、今のスタイルになったきっかけは?
「よりライヴ感を出したかったんです。それと、音楽って、結局は音符の組み合わせでできているから、言ってしまえばパズルになっていると思うんですよね。それをデジタルでやると、完全にピースが思ったとおりにキッチリはまる。でもそれを人力でやると、歪なもの同士を当てはめようとするから、難しいんですけど、それがうまく組み合わさったときにはより気持ちがいいんです」

――特に影響を受けたバンドやアーティストを教えてください。
「JOY DIVISIONですね。ポスト・パンクとかニューウェイヴが一番。ただ僕は2000年以降のリバイバルとされている音楽は、あまり聴いていないんです。70年代、80年代の音楽ばかりで、周りには同じようなものを聴いている人はあまりいなかったですね。一通りパンクとかを聴いて、16歳くらいのときにはパンクバンドをやっていました。その後エレクトロをめちゃくちゃ聴いていたんです。その影響がすごく出ているのかなと思いますね」

――その最初のバンドも、ポスト・パンクやニューウェイヴの影響下にあるものだったんですか?
「そのときはDISCHARGEみたいな、もっとハードコア・パンクでした。僕の地元の名古屋は、当時はハードコアが主流だったので、そこに加入した感じで。その頃にライヴハウスにいる人たちはもっと年上だったから、その人たちから教えてもらった感じですね。そこからニューウェイヴっぽい、『NO NEW YORK』(1978年にリリースされたコンピレーション作)に入っているようなバンドに近いスタイルへと移っていきました」

――どの曲もデリケートで、うっすらと影のあるメランコリックな雰囲気がありますね。自分たちの持ち味として、意識している部分はありますか?
「それは意識したことないですね。曲作りはギターからできることも、歌詞からできることもあるし、ふと頭に浮かんでくることもあるし…けっこう最後まで作りこんでからメンバーに聞かせることが多いですね。今はギターの(高麗)匠が作る曲もありますけど、同じような感じです。匠が作ってきた曲も、歌詞とメロディをつけるのは今のところ僕なので、それでdummy-xDの曲として仕上がっているんだと思います」

――音源を聴くと、とても繊細でナイーヴな印象ですが、ライヴだとむしろ激しい側面が強調されているように感じました。音源とライヴ、それぞれ表現するものは別個で考えているんでしょうか?
「どうですかね。音源といっしょのことをやろうとしているつもりは、自分ではあるんですけど。でもライヴでのアレンジとして、新しくイントロをつけ加えたりとかはしていますね。ライヴをやるんだから、もちろん音源よりもかっこいいと思ってもらいたいし、そういう意味で改良はしています。意識はしていなくとも、激しくなっちゃうのかもしれないです。わからないですけど(笑)。でも、もちろんステージでは全開でエネルギーを放出しようとしますよね。それはレコーディングよりもライヴのほうが伝わりやすいから、より激しく感じるのかもしれないですね」

――7月1日に、枚数限定でシングル『異』をリリースします。購入者対象で池袋の手刀にてワンマンライヴも行いますが、その意図は?
「やっぱり、もっとたくさんの人たちに自分たちの音楽を聴いて、ライヴを見に来てほしいと思ったからです。実はワンマンはこれが初めてで、既存の曲をやりつつ、新曲もやろうと思ってます」

――これまで、THE TEEANGE KISSERSやdip、THE JUNEJULYAUGUST等、異ジャンルかつキャリアも長いバンドと自主企画で共演してきた印象です。そういったバンドから影響を受けて、曲作り等に反映されることはありますか?
「演奏面ではありますね。先輩のバンドと対バンさせてもらうことが多いんですけど、やっぱりすごいんですよね。それを見ると、僕たちも負けてられないなって思いますし。でもそれは主にアンサンブルの部分なので、自分の作る曲に対バンから影響されるようなことは、あまりなかったです。そう意識してきたわけではないですけど。対バンの人に、ときどき“このバンド、かっこいいよ”と聴かせてもらったCDから影響を受けたことはありますけど、それはいろんな作品があったので、どれと特定はできないです」

――これまではシングルやEPの発売が続いていましたが、今後フルアルバムへの動きも気になります。
「アルバムについて、来年早々に出せるように頑張り始めたところです。僕は特にどういう方向性…と考えて作ってはいないんですけど、どの曲も同時期に作るから、どこかしら共通したコンセプト的なものは出てくると思います。それと、僕は音源を作品だとは思ってるんですけど、どちらかというと日記のような感覚なんです。結局僕の歌詞は比率として物語より実話が多いから。それと影響の話で言うと、匠は僕にはないセンスをたくさん持っているので、彼の作る曲にはすごく影響を受けますね」

――同じ作曲者として、どのような違いがあると感じますか?
「僕はとにかく、かっこいいギターリフや歌詞のフレーズを思いついたら、そこから作っていくんですけど、匠は建築家や設計士のようにというか…早い段階で曲の全体が俯瞰で見えているような感じがするんです。プロデューサーっぽいのかな。あと曲の精神年齢が高いというか、大人ですね。激しい曲もあるんですけど、同じコンセプトの曲…たとえば冷たくて、疾走感のある曲を僕と匠がそれぞれ作ったとしても、匠の曲には子どもじみたところがないというか…オシャレな感じがします。たぶん、匠も最初はひとつのきっかけから作っていくと思うんですけど、最終的な着地のさせ方が上手ですね」

――アルバムに収録される予定の曲は、これまでと比べるとどんなアプローチになっているんでしょう?
「抽象的な言い方になっちゃいますけど、これまでは曲というパズルを作るのに、細かいピースがものすごくたくさんあったんです。それぞれのピースが小さいから、ひとつだけだと何がなんだかわからないけど、カッチリはまったときに初めてこういうものだったのかとわかるような感じで曲を作っていたんですけど…。今はひとつひとつのピースをもっと大きなものにして、作るようにしています。もう少しわかりやすい絵を描こうとしている感じですね。もちろん全体でひとつの絵になるんですけど、ピースごとでも何か見えてくるようなものになっていると思います」


text by Yusuke Mochizuki


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 dummy-xD
 『異』
 moopeeRecords
 dxd-005 / 発売中