持ち前のダスト節を軸に、メロディック・パンクの
楽しさとさらなる可能性を示す8作目!

dustboxが2月8日、YU-KI(ds)加入後初のフルアルバム『Thousand Miracles』を発売。ストレートなメロディック・パンクあり、彼らには珍しいマイナー調、さらにはモータウン風、打ち上げの様子が目に浮かぶ曲ありと、バラエティ豊かな全13曲が収められている。そして楽しさの中にはバンドのポジティヴな勢いや懐の深さが息づき、酸いも甘いも噛み分けた「今」も刻み付けられている。そんな8作目を3人がわちゃわちゃ(?)語ってくれた。



――2016年はdustboxにとってどんな1年でした? まずは2月に現ラインナップでのミニアルバム『skyrocket』の発売がありましたが。
YU-KI「俺にとって初めてのワンマン(5月12日に赤坂BLITZで行われた“skyrocket Tour 2016 Final~Night of the 3 Mini Albums~”もありましたよね」
JOJI「だったら、大型のツアー(skyrocket Tour 2016)も初めてか。YU-KIもちょっと練習したらひととおりのことができたんで、すぐにライヴをやらせましたしね(笑)。それこそ去年に限らず18年間ずっとライヴをやっている感があります」
SUGA(vo,g)「そういった意味では、去年もがむしゃらでしたね(笑)。確かに、YU-KIとライヴを重ねていく中でバンドのグルーヴがどんどん良くなっていく感覚はありましたけど」
JOJI「自分としては、YU-KIの面白さがライヴのお客さんとかに伝わってないのが残念。やっぱり最初は、ビビってバンドに入ってくるじゃないですか。俺らは地元の先輩だし、第一印象が恐いってイメージもある。それが今では、舐めた口ぶりであれこれ言ってきますからね。それがまた面白い。それまでは俺ぐらいでしたからね、SUGAのことを小馬鹿にできるヤツなんて(笑)」
YU-KI「アハハハ(笑)」

――新たな名刺代わりとして『skyrocket』は、dustboxの変わらない部分と、新たな一面を見せる内容になっていました。その後はもちろんツアー。そんな昨年の活動を踏まえ、制作前にこの『Thousand Miracles』をどんな作品にしたいと考えていました?
JOJI「『13 Brilliant Leaves』(2006年)のようなバラエティに富んだ音源にしたいという気持ちはありましたね。実際、あれはジャンルに関係なく当時やりたかったことを全部詰め込んだ作品。もちろんYU-KIが入って最初のフルアルバムってこともあるんですけど、そもそもいろいろなタイプの曲が入っている音源って飽きないじゃないですか。まあ、音源ごとにdustboxらしくないサウンドというか、そういったチャレンジはしてるんですけど、ふざけたり小馬鹿にしたりする側面がありつつ、締めるところは締めると。そんなアルバムを目指したところはあります」
SUGA「それで全体をバーッと聴いた時に、トータルで勢いがある。言わば1stアルバムのような作品が作りたかったんです」

――“Pity Party”は最初、驚きましたよ。この小粋なグルーヴ感は、完全に60年代のモータウン(マイケル・ジャクソンやスティーヴィ・ワンダーなどを輩出したブラック系のレーベル)・サウンドだよなって。
SUGA「“Pity~”は、レコーディングの2日前ぐらいに“こういう曲を作ろう”とJOJIに言われ、その場のノリでできた曲なんですよ」
JOJI「この曲こそがさっき話した“らしくない”部分。ああいうコード感やテンポ感って出尽くしてるじゃないですか。“あれっぽい、それっぽい”って言うヤツもいるんだろうけど、俺としては“だったら言う前にお前がやれよ。お前は自分なりに噛み砕いて、オリジナルのカラーを出せるの?”って言ってやりたい(笑)。逆にメロコアだったらメロコアのジャンルやスタイルに凝り固まって曲を作るほうが全然つまらないと思うし。実は俺自身、モータウンも全く通ってなくて、その時のインスピレーションなんです(笑)」

――ええー!!
JOJI「次はRAGE AGAINST THE MACHINE(RATM)みたいなことをやるかも(笑)。俺、CDをほとんど聴かないタイプなんです。理論や固定概念がない分、感覚と理論のSUGAに対しても、“だったらこんな曲があったら面白いんじゃない”と感覚的な思いつきで言えるんです。俺も一時は、いろんな音楽を聴いてベースのフレージングを研究しようと思ったことがありました。だけど、“お前がそっちに行ったら、バンドがダメになる”とSUGAに止められました(笑)」

――その一方で“Dive”なんかは、瑞々しく痛快なザ・メロコアですよね。
SUGA「確かにどストレート。とはいえ、僕のタッピングをJOJIが“短けえよ。もっとやっちゃえよ”と言ってきて、あんな感じに(笑)。ドラムも“もっと流れみたいに”とかそんな言い方だったよね(笑)。YU-KIもいろいろ引き出しがあるんで、そんなニュアンスでいいフレーズを考えてくれるんです。“Reflain”のAメロに出てくるシンバルも、自分は打ち込みではできないんで、“それっぽいことやって”とYU-KIに。あれ、録るのにけっこう時間かかったよね」
YU-KI「ああいうところはこだわりたいんです。なのでフレーズをちょっと変えたりもしています。自分としてはサビではメロディを生かすようにシンプルに叩き、Aメロとかではメロディの隙間を縫いながら自分を出すようにしています」

――リズムが面白いという意味では、オーヴァーチュア的な表題曲は、ドラムンベースを思わせるビートが印象的ですよね。
SUGA「あそこは生ドラムのループを使ってます。YU-KIにまず8ビートを4小節叩いてもらい、その後もスネア4発、バスドラ4発といった具合にお願い。そうやって1個1個録ったものを切り貼りしているんです。メインのリズムはYU-KIが叩いてるんですけど、よく聴くといろいろな場所にあれこれ音が入っています」



――今作には、2014年7月に15周年記念として行われた晴海埠頭野外ライヴで無料配布した“Here Comes A miracle”の再録ヴァージョンも収録。dustboxにとって「miracle」は、キーワードなのかとも思うのですが、そこらへんはどうなんでしょう。
SUGA「これだけ長く続けられていること自体が、ミラクルですからね。ライヴでもよく“奇跡を起こそうぜ!”って言ってますし(笑)。実際、このアルバムを作ろうと思った時から、『Thousand Miracles』というタイトルは頭にありました。単純に“Thousand”という言葉がカッコいいと思って(笑)。まあ、メンバー交代があっても、前のREIJIの最後のライヴからYU-JIの初ライヴまで10日間しか間がなかったですからね(笑)」

――それ自体がミラクルですよ(笑)。“Here~”を再録したのも、過去から現在までバンドの連続性を表す意味がありそうですね。
SUGA「それはありましたね。音源としてちゃんとリリースしてないけど、ライヴで曲は知っている。そんな人も多いんで、このタイミングで入れるべきだとも思ったんで」

――そんな“Here~”の前にはインタールード的なアコギのインスト“All We Need Is Hope”も入っています。
SUGA「実はこれ、“Here~”の最後のメロディをもじって作った曲なんですよ」

――そう言えば…。
JOJI「この曲を“Here~”の頭にするのか、それとも別曲にするのか。その点はかなり迷いました。でも、“Here~”のいきなり歌から始まるインパクトが強くて。最終的にはそれを生かそうということになったんです」

――また“NO MORE TEQUILA”は、dustboxの「ふざけながらのカッコ良さ」をまさに体現した曲ですよね。「もうたくさん」と歌いつつも、結局は「もっと飲もうぜ!」といったノリの曲になっているし(笑)。
JOJI「実は曲中のガヤガヤした音、SUGAがツアー中の様子をこっそり録っていたものなんですよ(笑)」
SUGA「曲として“NO~”はできあがっていたので、今日は打ち上げが面白くなりそうだって時は毎回録ってましたね。そうしたらHawaiian6と一緒の時にあんなことに。“テキーラ行くぞ!”って、(Hawaiian6の)畑野(行広/ds)さんの声ですからね(笑)」
JOJI「それで俺も“行っちゃいましょうよ!”と(笑)」

――曲としても、出禁スレスレの打ち上げの盛り上がりが伝わってきますよ(笑)。
JOJI「みんなでテキーラをショットで飲み、誰がどこを向いているのか分からない。そんな日もありました(笑)」
SUGA「歌詞もこんな打ち上げはもう嫌だって内容。その場は楽しいけど、やっぱり翌日が辛いじゃないですか(笑)。それでツアー中にその様子を録音しといて、ようやく使える日が来ました(笑)」
――今後は打ち上げがスパークする際の合図に、“NO~”が使われそう(笑)。
JOJI「当然そうなるでしょうね(笑)」

――加えては“Maze-Struggling In The Darkness”から“NO~”への展開も印象的。それこそマイナー調の“Maze~”には「困惑」や「もがく」といった言葉がタイトルに使われていたりと、ポジティヴなバンドの状況を表わした今作にあっては異色な感じも。
SUGA「そもそもdustboxにマイナー・コードの曲が少なく、そういう曲もやっていきたいなと思って作ったのが“Maze”なんです。4曲目の“Thunder”もマイナー・コードなんですけど、そういった意味では新しく感じられるかもしれないですね。攻撃的な印象もあるし。マイナーって作り方によっては暗くなっちゃうし、これまで苦手だったんです。聴く分には好きなんですけどね」

――ズバリ、歌詞に表された葛藤とは?
SUGA「最近の話ではなく、僕らが駆け出しの頃のこととか、ある時、売れてる某バンドを観て、カッコいいなとライヴ後に彼らを訪ねたら門前払い…正直、その際のことを歌っています(笑)。ステージ上の言葉は上っ面かよ。ダッセーなって(笑)」
JOJI「逆に俺らは挫折を知っているんですよ。それこそ音楽自体が訳も分からなくなって、何のためにやってるのかを見失ってた時期もありました。自分たちはカッコいいと思ってるのに全く伝わらないばかりか、周りからもあれこれ言われるようになって。そんな中、他のバンドは売れていくんです。だったら最後に全てを覆してやる。そう思ってやりたいアルバムを作っ
たら、ようやく自分たちを思い出すことができたんです。だからこそ“Maze”みたいな曲も書けるんです」 SUGA「確かに…一時のもがいている感じが出ている曲だと思いますね」

――最後に、2017年の展望を。
SUGA「まずは(2月17日に始まる)「Thousand Miracles TOUR 2017」。その後はみんなで話し合って面白いことをしたいですね」

――漠然とながらも考えていることは?
SUGA「それはまだないです」

――個人的には、次作でRATMみたいな曲が収録されることを期待しています。
JOJI「いや、LIMP(BIZKIT)になるかも(笑)」



text by Tsunetoshi Kodama


 dustbox
 『Thousand Miracles』
 発売中