AIR SWELL、新ツアーがキックオフ! 
磨きあげたシリンダーの馬力を証明!!

AIR SWELL
April 4th, 2015 at Shibuya Tsutaya O-West , Tokyo

以前から、AIR SWELLという名前は知っていた。だがノーチェックだった。自分
の勉強不足を恥じるばかりなのだが、だからこそその音楽性と初めて観たライ
ヴが、余計に印象的だったのだと思う。
彼らは3月にフルアルバム『MY CYLINDERs』をリリースした。久しぶりのフル
作というだけでなく、しばらくサポートメンバーだったhiromitsu(b/RADIOTS、
HËYTでも活動)が正式メンバーとして加入した、節目の作品でもある。これが
LINKIN PARK以降のメロディアスなヘヴィネスとメロコアの疾走感、効果的な
プログラミングの味付けが絶妙な形で融合した、カラフルな好盤なのだ。新作
についてhamaken(vo,g)とhiromitsuのふたりにもインタヴューを行ったのだ
が(GrindHouse magazine Vol.89掲載)、そのレコ発初日、渋谷TSUTAYA
O-WESTに足を運んてきた。
フロアに足を踏み入れた時点で、すでにANOTHER STORY、MERRYによっ
て暖められたのか、あたりにはかなりの熱気が立ち込め、ドリンクを受け取る
列がズラリと長くのびていた。

セッティングが終わると、SEもなしにそのまま会場が暗転。hamakenが「MY
CYLINDERs TOURへようこそ!」とぶち上げ、“No going back”のサビのコー
ラスを歌いだした。さぁここから一気に走り出す…かと思いきや「これじゃねー
んだよー!!」。完全に不意を突かれた(笑)。改めて、PVが公開されたばかりの
“spit it back out”からライヴをスタートさせた。いきなりのだまし討ちも手伝っ
てか(笑)、会場は一気にヒートアップ。それをhamakenとhiromitsuが右に
左にと走り回りながら、さらにフロアを扇動していく。サビではシンガロングが
大きく響き渡り、『MY CYLINDERs』の楽曲も、しっかりとファンの心をつかん
でいることも感じさせた。次にhiromitsuのコールに導かれる形で“MINES”を
プレイ。火がついたフロアに、さらに油を注いでいく。

「みんなのおかげで、新しい3人で新しいスタートが切れた」「新しい旅の一歩
を、いっしょに踏み出してくれ」と、フロアに感謝とこれからへの意気込みを送
るhamaken。「新しい3人」と語ったものの、hiromitsuは、サポートを経て新
しく加入したメンバーであることを感じさせないほどの存在感だ。酒を飲みな
がら(機材の上に酒を常備してる:笑)派手なアクションを決め、コーラスもキ
メるhiromitsuは、単純に華があるし、目を引く。RADIOTSやTHE CHERRY
COKE$といったバンドで培ってきたキャリアを思えば、さすがの一言だ。とは
いえhamakenとYudai(ds)も、決してhiromitsuに負けていない。それどころ
かhiromitsuに対抗するかのように、渾身の音と声を繰り出していく。3人の間
で相乗効果が生まれ、お互いを高めあっているのがよくわかった。

それからもラップコア的バウンシーさと2ビートを織り交ぜた“No going back”
や、ダンサンブルなサウンドのなかでhamakenが「俺は天才だ!」とドヤる歌詞
が面白い“Broke as shit”、ホーンの音が豪華な“デイドリーマーズバラッド”と、
新旧の楽曲が続く。それにしてもこうして聴いてみると、AIR SWELLの楽曲の
情報量の多さに気付かされる。楽曲の展開も目まぐるしいし、プログラミングも
ビシビシ入っているだけでなく、hamakenもマイクを2本用い、通常の声とエフェ
クトをかけた声を使い分けている。とはいえ変に忙しさや複雑さは感じさせない。
プログラミングもサウンドを支配することはなく、楽曲をもう一段持ち上げるため
の、絶妙な取り入れ方だ。彼らの楽曲はメタルど真ん中でもなければ、直球の
メロコアでもないが、様々な要素を緻密な計算と類まれなセンスによって、あく
までヴォーカルのメロディを主軸にした、キャッチーかつラウドなロックに仕立
てあげている。だから楽曲そのものが強いし、メロディが印象に残るのだ。

「車で来ているヤツは飲むなよ!」と念を押しつつ(笑)、フロアに瓶を渡し、酒を
ふるまうhiromitsu。hamakenも「最高の出発になった!」と、うれしそうだ。そし
て新作のタイトル曲にあたる“My Cylinder”で本編を締めるも、当然のようにア
ンコールを求める声があがる。バンドとファンの間の絆をたしかめるかのように、
壮大でありつつもメロウな“ツナガルキズナ”をプレイし、これで本当に終わり…
かと思いきや、まだ足りないとフロアの怒号がやまない。hamakenも「やんな
きゃダメか」等と言いながらも、にやけ顔だ(笑)。「本当に最後に1曲だけ!」と
披露されたのは“バッドボーイズセレナーデ”。ステージ袖でライヴを観ていた
ROACHのtaama(vo)がステージダイブ(しかもステージに戻ろうとしてセキュ
リティに止められていた:笑)までするなか、AIR SWELLのツアー初日はフィ
ナーレと相なった。

スタートダッシュをきめたMY CYLINDERs TOUR。だがhamakenとhiromitsu
がインタヴューで「ツアーをやっていくことで、バンドも曲も育っていく」と語ってい
た通り、ここを始まりとし、彼らはさらに仕上がっていくはずだ。


text by Yusuke Mochizuki


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