『FROM DEATH TO DESTINY』における変化を
ステージでも印象づけた3年ぶりの来日公演

ASKING ALEXANDRIA
April 22th, 2014 at Shibuya Club Quattro, Tokyo

2011年のScream Out Fest以来となるASKING ALEXANDRIAの2度目の
来日公演が、3年ぶりに実現した。
デビュー当時、「ピコリーモ・ブームをこれからリードするのはこいつらだ!」と
目されていたイングランド出身の5人組もアルバムをリリースするたび、ピコ
リーモの“ピコ”の要素を減らしていき、昨年8月にリリースした3作目のアルバ
ム『FROM DEATH TO DESTINY』では、もはやピコリーモとは言えないメタ
ルコア・サウンドをアピール。その『FROM DEATH TO DESTINY』は、現在
の彼らが活動の拠点にしているアメリカで、全米5位というバンド史上最高の
チャート・アクションを記録した。

本ツアー初日となる東京公演で、その彼らを迎え撃ったのがAnother Story
とgirugameshという2組の日本勢。ASKING ALEXANDRIAと彼らの共演は、
エレクトロの導入という共通点を持っている3組がそれぞれに異なるメタル観
を印象づけるという意味で、とておもしろいものだった。

図太い出音に驚かされたトップバッター、Another Storyは08年結成の5人組。
筆者はこの日が彼らのライヴ初体験。ダークさも持ったメタルコア/スクリー
モ・バンドという印象ながら、どこかグラマラスかつスリージーな80年代メタル
を連想させるようなところが興味深かった。
観客の反応に確かな手応えを感じたのだろう。「もうちょっとやりたかった」と名
残惜しそうにステージを下りたAnother Storyから続いたgirugameshは、彼ら
が元々活動していたヴィジュアル系のシーンから飛び出して、積極的に幅広い
ジャンルのバンドと対バンしながら、活動の幅を広げている4人組。アニソンや
J-POPを思わせるヒロイックかつドラマチックな曲調は、なるほどそれっぽいと
ころはあるものの、グロウル、スクリーム、クリーンヴォイスを使い分けるヴォー
カルにしても、シーケンスによるエレクトロな音色や、いい意味でチャラいダンス
ビートを交えながら意外にヘヴィな演奏にしても色濃いモダンなメタルの影響
が窺える。逆に言えば、そういうサウンドでヒロイックかつドラマチックな曲を演
奏するところが彼らの個性、いや、武器なのだ。
思えば、メタル、アニソン、アイドルが並列に聴かれる時代である。彼らを異色
バンドと思う人などいないのだろう。その証拠にスタンディングの客席フロアで
は一際、大きな盛り上がりが生まれていた。

そして、『FROM DEATH TO DESTINY』と同じように“Don't Pray For Me”でス
タートしたASKING ALEXANDRIAの熱演はAnother Storyとgirugameshが作
った盛り上がりを受け継ぎながらもそれをはるかに上回る熱狂を序盤から作り
上げたのだった。

セットリストは『FROM DEATH TO DESTINY』を含む3枚のアルバムからほぼ
満遍なく選曲したものながら、この日、彼らが印象づけたのは野郎臭いタフなメ
タル・バンドの姿。長髪をばっさりと切り、ヒゲをたくわえ、貫禄さえ感じられるよ
うになったダニー・ウォースノップの歌声も往年のスティーヴ・マリオット(HUM-
BLE PIEほか)やフィル・ライノット(THIN LIZZYほか)を連想させるスモーキー、
あるいはソウルフルという表現がふさわしいものだった。曲間にウイスキーのボ
トルをラッパ飲みする姿もなかなか様になっている。

ピコリーモの名残と言えたのは、曲間、たちこめる霧のように鳴らして、ダークな
世界観を演出したシンセと終盤“Breakdown The Walls”で飛び出したダンスビー
トぐらいか。
それぞれにライダーズ・ジャケットと袖をぶった切ったジージャンを着た2人のギ
タリストのいでたちも含め、ステージの彼らにかつてNWOBHM(ニュー・ウェイ
ヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)と呼ばれた80年代のメタル・バンドの姿
を思わず重ねてしまったのは筆者だけだろうか。

この日、ASKING ALEXANDRIAがアピールした新作における変化は、ファンの間
ではきっと賛否が分かれたにちがいないし、この日のライヴにアゲアゲという言葉
で表現されるもっとギラギラしたパフォーマンスを期待していたファンもいたかもし
れない。しかし、熱狂の坩堝と化したフロアの反応から判断するかぎり、この日の
ライヴに足を運んだファンはバンドの選択を支持しながら、心からバンドの演奏を
楽しんでいたようだ。
そして、バンドは現在のASKING ALEXANDRIAの今の姿をダメ押しでアピールす
るように新作から“Killing You”、“The Death Of Me”の2曲をたたみかけ、1時間の
熱演を締めくくった。完全燃焼の、潔いエンディングだったのである。


文・山口智男/text by Tomoo Yamaguchi


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