早くも伝説!? 貫禄と含蓄でライヴハウスを
圧倒した日本初のヘッドライン・ショウ!!

CANCER BATS
March 6th, 2015 at Ikebukuro KINGSX TOKYO

3月11日に5thアルバム『SEARCHING FOR ZERO』をGrindHouse Recordings
から日本発売したCANCER BATS。2010年9月にBULLET FOR MY VALENTINE
のサポート・アクトとして来日して以来、約5年ぶりの日本となる彼らが、同月6日に
日本初のヘッドライン・ショウを敢行。しかも、確固たる地位を確立している欧米では
考えられないキャパ300人クラスの池袋KINGSX TOKYOでのライヴである。4人は
圧倒的なパフォーマンスを展開した。
「ずっと彼らを日本に呼びたいと思っていた」と終演直後の熱気が残るステージ上で
マイクを握ったのは、このライヴを主催したご存知GrindHouseの有島博志氏。その
後も「CANCER BATSはヨーロッパやアメリカに比べ、日本ではイマサンぐらいの評
価しか得られていない。だからこそ汗やツバが飛び散るライヴハウスのような距離感
の場所でやりたかった。目と耳でライヴでしか味わえない感覚を大事にしてほしかっ
たんだ」と熱っぽい言葉が続いた。
加えては、最初こそ有料ライヴとしてチケット販売を行っていたものの、「ある日、“タ
ダにせぇ”と天から声が降りてきた」(有島)とのことで急遽フリー・ライヴに。このこと
からも、CANCER BATSをより多くの人に知ってもらいたいという有島氏の強い思い
が伝わってくる。

そんなライヴでゲスト・アクトを務めたのが、HONE YOUR SENSE。ブルータルな
メタルコア/メロディック・デスメタルを軸に、スウィング・ジャズやロックンロールの
要素を加味した気鋭で、昨年7月の1stアルバム『ABSOLUTE SENSES』でも破格
のポテンシャルを見せつけている。
BGMとしてNAPALM DEATHの“Crash The Pose” (オリジナルはジャパコアの重
鎮、GAUZE)が響くなか、暗転とともにライヴはスタート。ゴリゴリザクザクとヘヴィ
なダイナミズムが快く、のっけからバンドはがむしゃらなエモーションを押し出して
きた。
腰を落とした低い体勢でリフを刻むKenta Baba(g)とKousuke Matsuzaki(g)。観
客に手拍子を促し、長髪を振り乱すSatoshi Matsushima(b)。満面の笑みでドラ
ムを叩くTakuya<takuyaboy-picasso>Nakataも目を引く。そんなバンドに対し、
フロアも“Black Lotus”から中国拳法ばりのアクションで暴れるヤツが出るなど応
酬した。
楽しそうにジャンプするフロントの4人。Toru Bara(vo)は邪悪な咆哮をあげる一方、
最前列にいた女子の頭をポンポン。激しく力業なパフォーマンスからはメンバーの
憎めない人の好さも見て取れ、気がつけばCANCER BATSのジェイ・R・シュワー
ツァー(b)がステージに顔を出してパフォーマンスを見守る場面も。今後のさらな
る活躍を確信した約30分だった。

続くCANCER BATSは、最新作のオープニング曲でもある“Satellites”でスタート。
ボトムの効いた太くヘヴィなサウンドがスリリングに躍動した。天井が低くて密室感
のある会場だからということもあるのだろうが、それこそ密度の濃い音圧を全身で
浴びるような感覚があり、筆者自身、一発目の音が鳴った瞬間に「うわっ、音太す
ぎ!」と思わず声に出してしまったほどだった。
“Hail Destroyer”、“Road Sick”、“Arsenic In The Year Of The Snake”…新旧を
織り交ぜながら、叩き上げの貫禄と含蓄に裏打ちされたパフォーマンスが続く。
ライアム・コーマイアー (vo)は長髪が顔にまとわりつくのもかまわずステージを動
き回り、場内を揺動。その瞬間の感情を吐き出していく。まぁ、時々微妙なアクショ
ンも見受けられたが、そこらへんは人間味に溢れた(?)ご愛嬌ということにしておこ
う。そんなライアムに対してスコット・ミドルトン(g)は上手でドンと構え、巨体からヘ
ヴィなフレーズを繰り出していく。一方、下手に位置して全身でベースを弾くのは
ジェイ。プリミティヴなエモーションをまき散らす姿は、時に凶暴ですらあった。彼
はマイクを鷲掴みにしてシャウトし、ライアムの激しさと交錯。照明を吊るすため
の鉄パイプに掴まり、オーディエンスに襲いかからんとばかりに体を揺らしたりし
た。また、マイク・ピーターズ(ds)もドラム・セットに体をコンパクトに収め、パワフ
ルさと安定感でバンドを推進。リアムやジェイから目を転じた瞬間、タイトなドラミ
ングを見せるマイクに圧倒的なダイナミズムの原動力を実感する瞬間も少なくな
かった。

カオスな盛り上がりを見せる場内。会場の温度も曲を追うごとに上昇していき、バン
ドとオーディエンスの感情が小箱のライヴハウスで濃密に協調とせめぎ合いを繰り
返した。いくつもの拳が突き上がるフロア。フラッシーなソロを決めるスコット。ダイ
ブする観客。一回転したジェイの全身からは汗が飛び散り、ライアムは渾身のシャ
ウト。場内の熱いリアクションには、ライアムが信じられないといった表情を見せ、
マイクを通さず「アリガトウ、トーキョー!」と口にする場面もあった。
とはいえ、こちらとしては武骨に攻めながらもキッチリと場内を掌握していく、ライヴ
巧者の術にハマっていたというのが正直なところ。実際、タフなシーンを生き抜いて
きたことを実感せずにはいられないライヴであり、BEASTIE BOYSの“Sabotage”
もCANCER BATS流のヘヴィ・グルーヴに昇華され、場内もさらにヒート・アップ。
その後もフロアでおしくらまんじゅうが始まったり、ステージ袖にいたGrindHouse
の望月裕介氏をライアムが半ば強引にコーラス参加させたりで、本編は熱狂のう
ちに終了。オーディエンスとハイタッチしてステージを後にしたライアム、スコット、
ジェイの表情も満足げだった。

そしてアンコールは、彼らによるBLACK SABBATHのトリビュート・バンドであるBAT
SABBATHとして2013年に配信でリリースされた『BAT SABBATH - BASTARDS
OF REALITY EP』が好評ということもあり、BLACK SABBATHのカヴァーを3連発。
ハードロック・クラシックの妖しいヘヴィさに、カラッとした(?)“今”を生きるフィーリン
グと先達に対するリスペクトが交錯した。ベースアンプの横で観ていた有島氏のと
ころまで行くジェイ。口に含んだ水を虚空に向かって吹き、マイクに合わせてエア
ドラムを叩くライアム。マイクを向けたライアムに対し、手を挙げて呼応するフロア。
凄いものを観てしまった。そんな感覚の約1時間半だった。

終演後には先行販売されたニュー・アルバム購入者を対象にサイン会も開催。人
懐っこくフレンドリーに応対する4人の姿が印象的だったこともここに記しておきたい。
「こうしたライヴをまたやる!」と有島氏。確かに百聞は一見にしかずではないが、
自分も実際に観て聴いて感じたものがすべてだと思う。


text by Tsunetoshi Kodama
photography by Masanori Naruse



シェア