SiMが悲願だった野外フェスをついに開催!! 
その挑戦と成功の2日間をリポート!!

DEAD POP FESTiVAL 2015
July 11 & 12th, 2015 at Kawasaki Higashi-Ohgijima Park, Kanagawa

2010年に第一回を渋谷のclub asiaで開催。そのときの動員は150人だったという、DEAD POP FESTiVAL。それから毎年開催ごとに会場と動員数を拡大してきたこのイベントが、2015年、メンバーの地元である神奈川県で、悲願でもあった野外開催へと踏み切った。いきなりの野外での2デイズ開催とあって、不慣れなことや不安もあっただろう。しかしSiMはやり切った。その記念すべき2日間を、時系列順にここに記していきたい。

オーディションを経てオープニング・アクトを勝ち取ったodd five、“GUNSHOT”のイントロを鳴らす等、人を食ったようなピコピコなサウンドを生かしつつもSiMへのリスペクトを表明したキュウソネコカミが、DEAD POP FESTiVALの本格的なスタートを告げた。気温がグングン上昇するなか、CAVE STAGEに登場したのはクリープハイプ。あのドロっとした雰囲気や、うつむいて演奏するメンバーの姿が見えるようなサウンドで、昼過ぎの野外とは…と思ったが、意外や意外、持ち前のポップネスが心地よく響いているではないか。尾崎世界観(vo,g)も積極的なMCで、観客としっかりコネクトしている(ラブホテルの件はちょっとアレだが:笑)。SiMと作り上げた関係値、そしてお互いのフィールドでの共演で得た経験が、新たな展開を作っていく一助になることは、間違いなさそうだ。 またクリープハイプに続いたMighty Crownは、QUEENやMAN WITH A MISSION、THE CLASHにSKINDREDとロックな楽曲で煽りまくる。かと思えば氣志團が京都大作戦に引き続き、SEKAI NO OWARIの曲に乗って登場。SiMの“KiLLING ME”のカヴァーから妖怪ウォッチ、果ては予定調和すぎる強制退場まで、会場を笑いであふれさせた。

しかしCHAOS STAGEも、またひとクセもふたクセもあるアクトが並ぶ。girugameshはヴィジュアル系という出自を持ちつつ、男らしいパフォーマンスにDjentも取り込んだ、まさにボーダレスかつ時代の空気を読んだサウンドだ。見れば左迅(vo)の着ているバンドのオフィシャルTシャツは、GREEN DAYのリップオフ。サウンドのセンスさだけでなく、そのさりげないアピールにも思わずニヤリとした。

続いたMINOR LEAGUEはグラインドコアやデスメタル由来の突進力だけでなく、豊かな経験値に裏打ちされたステージ運びの妙が魅力だ。ステージ両脇の鉄骨の上からドスのきいた声で吠えまくる大工原亨に、SiMへの感謝を目いっぱい詰めこんだシャウトとMCを轟かせる柴田匠。快晴のこの日にピッタリの名曲“青い空”や、およそ5年ぶりという新曲とともに、本人たちの言うところの「優しいカオス」で、混沌としつつもピースフルなひと時を作りだした。

マイナーリーグが長いキャリアを誇る職人だとすると、Crystal Lakeは最新型のマシーンといったところか。かつてはニュースクール・ハードコア界の猛者として恐れられていた彼らだが、今や鋭角的で破壊力満点、そしていい意味で分かりやすいモダンなラウド/ヘヴィネスを展開。とはいえ目の前のすべてをなぎ倒さんとするアティテュードは健在だ。LIMP BIZKITのカヴァーを含め、硬派ながら門戸が大きく開かれた力強いパフォーマンスで、この日彼らを目撃した人たちの多くを、さらにヘヴィな音世界へと引きずり込んだはずだ。

猛暑も少し落ち着き、いよいよ終盤、SiMへとなだれ込んでいく流れは、素晴らしかった。まずCAVE STAGEに10-FEETが登場。言うまでもなく、MAHがフェス開催において大きくインスパイアされた京都大作戦を主催するだけでなく、幾度となくサポートされてきた大先輩だ。TAKUMA(vo,g)の「ワッショイ! ワッショイ!」からの放送禁止用語のコール(笑)で幕を明け、“VIBES BY VIBES”からの“RIVER”で、一気にヴォルテージをマックスに持っていく。“2%”のイントロでは漫談めいたやり取りもあったが、とにかくいつも以上に一気呵成に攻めまくるライヴだ。TAKUMAの声も、気持ちが先走りして上ずっているほど。後輩の晴れ舞台を、最高の形で盛り上げていった。

変わってCHAOS STAGEのラストにして、SiMの直前。G-FREAK FACTORYがステージに立った。レゲエとロックを混ぜ合わせたドレッド・ロックの代表格であり、彼らもまたSiMにとってはリスペクトすべき先輩だ。GUNMA ROCK FESTIVALの前身イベントであるCOLOSSEUMからの付き合いだ。ジャムに続いての“日はまだ高く”、“SOUL CONNECTION”で大きなうねりを生み出し、“島生民”では茂木洋晃(vo)が「音楽は非力だが、無力ではない」とアジテート。最後を締めくくる“EVEN”まで、真っ赤な夕日がゆっくりと沈みゆくなかという、絶好のシチュエーションのなか、その鋭く、強く、だが優しいサウンドとメッセージで、SiMへのバトンをつないでいった。

そして日もとっぷりと暮れたころ、ついにSiMが登場した。まずは“Get up, Get up”に“Faster than the clock”と、少し懐かしめのアグレッシヴな曲でたたみかける。ストロボに照らされた特大のサークルやモッシュピットは、さながら合戦のよう(笑)。しかし、MCでずっと夢だった野外でのフェス開催が、多くの仲間や先輩、ファンのおかげで開催できたことを吐露するMAHの目には思わず涙が浮かぶ場面も。いわく「緊張でガチガチだった」そうだが、いざステージに立つと、いろいろな感情が押し寄せてきたのだろう。何度も何度も感謝の言葉を口にしつつ「みんなのことを信じている」と言うMAHは、とても満ち足りた顔をしていたように見えた。

そして引き続き晴れた空が広がるなか、2日目はサンボマスターによる「勝手に梅雨明け宣言」とともに幕を開けた。この日の目玉のひとつは、やはりCAVE STAGEのHEY-SMITH。前週、京都大作戦にて復活ライヴを行ったが、関東圏で一発目のライヴだ。やはりともに切磋琢磨してきたSiMのイベントということもあってか、京都以上に前のめりなライヴを展開。最後にはSiMやcoldrainのメンバーもステージに飛び入りして騒ぎ立てる等、改めてシーンへの帰還を宣言した。

次に早くもMAN WITH A MISSIONが登場。京都大作戦では気づかなかったが、サポートメンバーの白い仮面を付けたギタリスト、E.D.ヴェダーが、かなり観客にアピールするようになった印象だ。やはりヨーロッパでの経験からか、とにかく以前以上に激しいプレイで、Jean-Ken Johnnyを筆頭とするメンバーにも負けない存在感だ。また“database”ではTAKUMAが飛び入りし、“FLY AGAIN”ではMAHと、ゴジラのお面を付けたGODRiまで乱入し、大騒ぎを巻き起こした。

個人的に驚いたのが、coldrain。彼らもまた、SiMとはよきライバルとして追いつけ追い越せを繰り返してきたバンドのひとつ。DEAD POP FESTiVALでも、たゆまぬ音源制作と海外ツアーで鍛え上げられた姿を見せつけた…というか、もはや「来日公演」とでもいいたくなるほどだ。その風格とサウンド、立ち居振る舞い、実力は、明らかにフェス出演陣のなかでも群を抜いている。“The Revelation”から始まり、新旧バランスよく取り入れたセットで、目の前のすべてを粉砕。現在も新音源を制作中とのことで、シーンの次の担い手としての存在感を目の当たりにした思いだ。

そして迎えた最終アクト、もちろんSiMだ。MAHの「二日間、ありがとうございました!」という感謝の雄たけびとともに、“Blah Blah Blah”で飛び出したかと思えば「2010年のDEAD POP FESTiVALで初めてやった曲」である “Anthem”でさらに加速していく。あたりは海風で少し肌寒いくらいだが、そんなことはおかまいなしと、バンドと観客がぶつかりあっていく。とはいえ、この日は多くのサプライズが。まずは「レペゼン横浜」というMAHの紹介に導かれ、FIRE BALLの面々が登場。MAHが作曲をしたコラボ曲“Pump Up The Sound~太陽が昇るまで吠えろ~”を生で披露した。このフェスならではの事件に、さらにあたりは沸いていく。またアンコールでは「みんなからたくさんの愛をもらった。その愛に応える方法は、素直にみんなの前で弱いところをさらけだすこと」と語り、バンドをやることがもっともつらい時期に作られたという“Rum”をプレイ。しかしスポットライトのもとでパントマイムを交えながら歌うMAHの姿に、弱さやみっともなさは微塵も感じられなかった。そして大ラスでは、やはりこの曲だと“KiLLING ME”。これまたサプライズで、coldrainのMasatoを招いてのスペシャル・バージョンだ。…と思いきや、中盤でHEY-SMITHの猪狩も登場。SHOW-HATEからギターを譲り受けてのプレイと、ダブル・サプライズだ。

こうして盟友たちの力を借り、DEAD POP FESTiVAL 2015を駆け抜けたSiM。最後の出演者も呼び込んでの記念写真撮影では、合図をなんとGODRiの祖母が行うという、最後の最後の珍事が(笑)。SiMはもちろんのこと、その場にいた全員が、どこまでも晴れやかな顔でステージを後にしたのだった。初の野外開催ということでの課題はあったかもしれないが、ひとつの夢が叶ったこと。そしてその夢がさらに続いていくこと約束されたこの二日間を、誰も忘れることができないはずだ。


text by Yusuke Mochizuki
photography by Yasumasa Handa(showcase / CAVE STAGE),
Kouhey Suzuki(CHAOS STAGE) and Daisuke Sakai (FYD inc. / MAN WITH A MISSION)


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