5年ぶりに実現した、DONOTS一夜限りの
超スペシャルな来日公演をリポート!!

DONOTS
May 23th, 2015 at Ikebukuro KINGSX TOKYO, Tokyo

開演直前、主催スタッフから「2時間やります」と聞かされ、正直「むむ。2時
間は長い」とちょっと心配になった。いや、だってホラ(冷や汗)、俺もうみん
なみたいに若くないから、2時間も立ちっぱなしはきっついな…と思ったのだ
が、蓋を開けてみれば、2時間があっという間に感じられ、これならもう1時
間ぐらいやってもらっても全然OKと思えるぐらい素晴らしいライヴだったん
だから、ちょっとびっくりだった。

今や本国ではパンク・シーンに収まりきらない人気を誇るドイツの5人組、
DONOTSによる来日公演がGrindhouse、Tower Records、池袋のラ
イヴハウス、KINGSX TOKYOががっつり手を組んだイベント、「FOUR
unite ONE」で実現した。DONOTSの来日は前回から数えて、実に5年
ぶりだとなる。
予定の時刻を10分ほど過ぎた頃、オーディエンスの手拍子に迎えられ、
メンバーがステージに飛び出してきた。最後に現れたインゴ・ノールマン
(vo)が「イラッシャイマセ。ヨロシクオ願イシマス!」といきなり日本語で挨
拶して、オーディエンスの気持ちをぐっと掴んでからライヴは最新アルバ
ム『¡CARAJO!』のオープニングを飾る“I Will Deny”でスタート。ライヴの
幕開けにふさわしいアンセミックなロック・ナンバー。「オーオー」という雄
叫びコーラスを、メンバーとオーディエンスがともに歌い、会場の温度が
一気に上がると、バンドは間髪を入れずに懐かしい“We Got The Noise”
をたたみかける。これもまた、シンガロング必至のコーラス・パートを持っ
たアンセミックなキラー・チューンだ。
前のほうでもみくちゃになっているオーディエンスの中にはその“We Got
The Noise”が収録されている『GOT THE NOISE』のTシャツを着ている
ファンが何人かいるではないか。10年以上も前のアルバムだぜ。今日の
ためにわざわざタンスの奥からひっぱりだしてきたんだろう。物持ちいい
ね。いや、それぐらいDONOTSのことが大好きだってことだ。

この日、DONOTSは2001年発表の4thアルバム『POCKET ROCK』から
10作目のアルバムとなる最新作の『¡CARAJO!』まで、日本のファンに馴染
み深い6枚のアルバムから選曲した代表曲の数々にRANCIDの“Olympia
WA”、THE RAMONESの“Pet Semetary”、TWISTED SISTERの“We’re
Not Gonna Take It”、そしてTHE UNDERTONESの“Teenage Kicks”の
カヴァーを加えた全28曲を、前述したとおり2時間にわたって披露した。メ
ンバー達は曲間のMCで何度か「今夜はDONOTS史上最長のライヴにな
る」と語っていたが、5年もの間、DONOTSの来日を待っていた日本のファ
ンのために、2時間たっぷりDONOTSのすべてを見せてほしいという主催
者のリクエストをバンドが快諾して、結成21年目にして最長のライヴが実現
したそうだ。

バンドの熱演にモッシュ、シンガロングで応えるファンの反応を見るかぎり、
会場には心底、DONOTSが大好きだというファンしかいなかったようだ。
リリースに先駆け、会場で先行発売していたとは言え、ほとんどのファンが
この日、初めて聴いたにちがいない『¡CARAJO!』からの新曲に対する反応
も上々だった。そして、そんなファンの熱烈な歓迎にバンドは何度も感謝の
言葉を口にしながら、熱演でもその想いを返した。

新旧DONOTSナンバーを聴きながら、大合唱になった“Saccharine Smile”
をはじめ、ライヴ映えするアンセミックな曲が多いことを改めて実感。もちろ
ん、もっともっと多くのロック・ファンにDONOTSのライヴを見てほしいと思う
し、何度も日本に足を運び、ファンベースを築いてきた彼らならもっと大きな
会場でもできたかもしれない。しかし、バンドとファンがかなり濃密な形で相
思相愛の関係を作り上げていたという意味で、ここにはロックのライヴのひ
とつの理想があったと思うし、それに立ち会えたことは、彼らがDONOTSで
No.1ヒットを飛ばす人気バンドであることを考えても、ロック・ファンとしてか
なり貴重な体験だったにちがいない。そういうライヴをファンに提供すること
が「FOUR unite ONE」というイベントのテーマのひとつでもあるんだろう。

客席に下りてきたインゴとギド・ノールマン(g)が床に座ったファンに見守られ
ながら2人だけで“Camden Station, 1AM”“The Tears Gone By”“Teenage
Kicks”の3曲を演奏するというスペシャルすぎるアンプラグド・セットが飛び出
し、再びステージに戻って“Good Bye Rutine”を披露するというダブル・アン
コールも、この規模のライヴでなければ実現しなかったにちがいない。

これまで見てきた彼らのライヴの中でベストと言えるものになったのは、スペ
シャルなライヴだったこともさることながら、バンドが成熟したことも大きかっ
たのだろう。結成から21年。あの頃がよかったと思わせずに、今がベストだ
と言わせるんだから、ロック・バンドとしてDONOTSは理想的なキャリアの重
ね方をしている。




text by Tomoo Yamaguchi
photography by Masanori Naruse


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