「バンド」としてのポテンシャルを
改めて見せつけた、1stアルバム発売に伴うツアー!!

Equal
April 10th, 2016 at Shibuya Club Quattro, Tokyo

RYOTA(vo)と、ギタリスト、ボカロP等で活躍する164(g)による注目のバンド、Equal。GrindHouse magazineの最新号Vol.95で、筆者は1stアルバム『REASON』リリースに伴って彼らにインタヴューをした。その中で164は「そもそもEquqlの始まりが、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムというバンド・スタイルでライヴがやりたいということだった」と話していた。RYOTAも「(昨年の)ツアーを通して自分たちがこうあろうと思った姿が、このアルバムには表れている気がします。(中略)『REASON』を作ったことでライヴでまたいろんなことができると思います」とコメント。それだけに、今作を引っさげて東名阪のCLUB QUATTROを回る“Equal LIVE TOUR 2016 -REASON-”にかける思いには、並々ならぬものがあったはず。ここにツアー初日となった4月10日の渋谷公演の模様をリポートしたい。

まずは「最後のEqualまで(思いの)バトンをつなぐ」(ROOKiEZ is PUNK'DのSHiNNOSUKE)べく、共演のALL OFF、But by Fall、ROOKiEZ is PUNK'D、SABOTENが熱のこもったステージを展開した。トップバッターのBut by Fallは、場内を巧みに扇動。SABOTENは、ラウド/パンク系ライヴの経験が浅いオーディエンスに暴れ方を伝授。実際、自分のそばにはライヴを観ること自体が初めてだと友達と話す女のコがいて、ぎこちなく回る(?)モッシュを物珍しそうに見ていた。続いて直後のフランス、メキシコ公演、さらには6月の10周年記念ライヴに弾みをつけたのが、ROOKiEZ is PUNK'D。ALL OFFも、kossyの交通事故によって出演をキャンセルした、昨年11月の"Equal LIVE TOUR 2015 -Introduction-”東京公演のリベンジを果たしたと言える。

ALL OFFがステージを後にすると同時に、フロアでは人の輪が一気に圧縮。開演前は圧倒的に女子率が高かったステージ前も、確実に野郎の姿が増えたように見えた。そんな中、場内が暗転すると、オーディエンスは熱狂的な歓声と手拍子。登場した164、髙橋良介(b)、山﨑大輔(ds)は下を向いて時を待ち、SEに肉体のダイナミズムを交錯させ、“REASON”のイントロへと展開。荒涼とした大地のイメージを脳裏に想像させた。手を挙げてステージに現れたRYOTA。開口一番「渋谷、調子はどうよ?」とフロアに問いかけ、観客も声を上げ、拳を突き上げて共鳴。こうして劇的にして、バンドとフロアが一体となったライヴが幕を開けた。

RYOTAはモニターに足をかけ、マイクを鷲掴み。邪悪なスクリームからセンシティヴなクリーンまで、振れ幅の大きなヴォーカリゼイション、さらには情感的なパフォーマンスでフロアを煽動した。その横では164が飄々とした佇まい(?)の中にも気合が見え隠れ。時おりメロディを口ずさみ、アグレッシヴにギターをかき鳴らした。山﨑はタイト&ヘヴィなドラミングでEqualの推進力となり、髙橋も全身で瞬間瞬間のエモーションをむき出しに。そうしたひとりひとりのダイナミズムが交錯し、先の「Equalはバンド」発言が体現されていった。

またインタヴューでは「確かにりょーくんがRYOTAとして新たに活動していく中、僕に求められているのはラウドロック的なものであり、Equalもそういう方針でやらなくちゃいけないと思っていた時期もありました」(164)との発言もあり、既発シングルに対して「正直、当時はホントはこうじゃないのにと感じる部分もありました」(同) とまで。だが、この日のライヴからは『REASON』を制作したことで明確になったEqualの立ち位置が具現化。意欲的にラウドロックの枠組みを逸脱し、普遍的な意味でのロックへ向かう姿が見て取れた。逆に言えば、彼らをきっかけにラウドロックに興味を持ったファンも少なくないはずで、今後もEqualにはジャンルの垣根を越え、幅広く活動していってもらいたいと思った。

そんなライヴで圧巻だったのは中盤。“migratory”から“Thread”までを一気に聴かせるドラマティックな展開だった。
「生きていると分岐点や変化に迷ったりする。音楽をやって暮らしていると選択することが増え、このまま進んでいいのか、あの時にこっちを選んでいなかったらと考えることも少なくない」とRYOTA。その後も「もがいたり苦しんだりといった気持ちをみんなとこのライヴハウスで共有したい。痛みや悲しみ、ここにしっかり置いていこうぜ」とフロアに優しく語りかけるような言葉が続き、ミドルテンポのヘヴィなグルーヴが胸に迫る“migratory”へ。RYOTAの歌声はソウルフルに狂おしく響き、バック陣の演奏も曲が進むにつれて熱気を帯びていく。そんな彼らを見つめ、サビで我に返ったように手を挙げるオーディエンス。ステージ上は“lies”へと展開し、RYOTAは暗闇の中をさまようように歌い出し、照明のパッシングとともに混沌とした感情を爆発させるように咆哮。もがきながら自問自答を繰り返すように、1曲の中で場面場面で表情を変えていった。

その後もスラッジーなギター・イントロで攻め込む“up to you”、本能のまま疾走するかのような“ignorance”、ハードコアなゴリゴリ感が刺激的な“Thread”と、スペクタクルなロック・オペラを思わせるパフォーマンスを展開。ステージ上は激しくスリリングに躍動した。RYOTAは髪が顔にかかるのも気にせず熱唱。164もロック・ギタリスト然とエモーショナルなソロを決める。「ひと暴れしようぜ!」と場内に言葉を投げかけるRYOTAには、オーディエンスは頭を振って呼応。モッシュも確実に上達し、RYOTAは濃密な時間を「ついてきてくれてありがとう」と締めた。

その後も「楽しさ、苦しさをみんなとシェアできて幸せ。一生懸命歌います」(RYOTA)とメランコリックな「mask」。先ほどのパートの熱っぽい余韻の中、RYOTAの心の叫びは胸に優しく響き、こちらが日常で感じる喜怒哀楽と重なり合った。フロアには曲に合わせて振られる手、手、手…。チラ見すると先ほどライヴ初体験だと話していた女のコも、目を潤ませているようだった。

本編はオーディエンスが手を挙げて笑顔で合唱した“I'm here”で、場内をポジティヴな空気が包んで終了。だが、アンコールを望む手拍子が鳴り響くと、すぐにRYOTAは一瞬でステージに帰ってきた。そんな彼に「お前、出てくの早いよ。水ひと口しか飲んでない」と愚痴る164。RYOTAは「元気よく呼んでくれたってことは、まだ(エネルギーが)残ってるってことだよね。何かあるんだったらここに置いてけ!」と最後の扇動。ラストは1stシングルの“SCAPE”をプレイすることで、逆に現在のEqualのポテンシャルを見せつけた。

ロックに対するガッツを改めて入れ直された夜だった。終演後、出演者全員とオーディエンスをバックに行われた記念撮影も、和やかな雰囲気。だが、楽屋を訪ねると、RYOTA、164ともこの日の出来には全く満足していなかった。さらに上を目指すEqual。月並みな言い方だが、そんな彼らの活動からはますます目が離せない。


text by Tsunetoshi Kodama
photo by Viola Kam (V'z Twinkle)



シェア

■LINK