FOUR unite ONE始動! 
波乱のなか、F.L.O.W.がその底力を発揮!!

FUTURE LEADERS OF THE WORLD
March 1st, 2015 at Ikebukuro KINGSX TOKYO

最近、洋楽に元気がない。もちろんいいバンドはいるのだけど、昔に比べるとリ
リースされる作品も、来日公演も数が格段に減った。日本と海外のバンド、どち
らがいい等は言うつもりはさらさらないけれど、やはり海の向こうからとんでも
ないやつらがやってきた…という「衝撃」を感じる場面が減ったのは、さみしいこ
とだ。その現状をどうにかすべく、GrindHouse magazineの創刊15周年を記
念し、グラインドハウスがオープン1周年を迎えた池袋KINGSX TOKYO、そして
CDショップチェーンのTOWER RECORDSと結託。海外アーティストのショウ
ケース企画「FOUR unite ONE」を立ち上げた。その第1回を3月1日に、アメ
リカからFUTURE LEADERS OF THE WORLD(F.L.O.W.)を呼び寄せて開催
した。

2013年に、MACHINAというバンドが日本ツアーを行ったことを覚えている人も
多いと思う。元EVANESCENCEのジョン・ルコンプ(g)が中心となったバンドで
ある。そのMACHINAのフロントマン、フィル・テイラーがもともとやっていたバン
ドが、このF.L.O.W.だ。そのF.L.O.W.が、フィル以外のメンバーを入れ替え、実
に11年ぶりとなる新作『REVEAL』をリリース。同作を引っ提げて、フィルが再び
日本に降り立ったのだ。現在の布陣はフィルに加えイアン・セヴァーソン(g)、
ジャレッド・モーズレイ(b)、ラッセル・ブロック(ds)。公演前日に日本入りしたと
きから、全員が初の日本でのライヴを心待ちにしている様子だった。

この夜にまず登場したのはBLIND BIRD。2年前にフィルがMACHINAとして来
日した際にも共演している。そのサウンドはLED ZEPPELINやDEEP PURPLE
といったブリティッシュ・ロックの要素をベースとしつつ、LAメタル的な華やかさ
や毒々しさもにじませたもの。加えて桐嶋直志(vo)の日本語にこだわった歌詞
と歌い回しには、元ANTHEMの坂本英三を思い起こさせるところもある。オープ
ニングの“hi-lite”からして、まさに小細工なし、普遍的かつ正統派なハードロック
といった印象だ。突き刺すような眼光でフロアをにらむ桐嶋をはじめ、メンバー
それぞれが長いキャリアとたしかな実力のあるバンドだけあって、ドッシリと腰の
据わった演奏の安定感はかなりのもの。かと思えば、曲間のMCでは人懐っこさ
をにじませるところも。最後のバラード“Still”まで、そのまっすぐな熱さをフロアに
放ち続けたのだった。
しかし彼らが熱演を見せている裏ではとんでもないことになっていた…。

さて、BLIND BIRDのステージがもうすぐ終わるということで、そろそろ準備を…
とF.L.O.W.の面々に伝えに行ったところ、なんとも不穏な空気が。なんでも、会
場オープン前に一度ホテルに戻ったイアンがまだ会場に姿を現さないというのだ。
迷子になったのか、それともなにか事故にでも巻き込まれたのか…と全員でやき
もきするも、イアンは一向に戻る気配がない。そうこうしているうちに本来の開演
時間から30分を過ぎ、業を煮やしたフィルが「せっかく観客が集まってくれている
のに、キャンセルはありえない。残った3人でライヴをやろう」と決断。3人のみで
ステージに立ち、まずは観客に事情を説明し、ギターレスのままライヴをスタート
させた。もちろん全力でプレイしているものの、やはりギターがないことには…と
思い始めたころ、息を切らしたイアンが会場に帰還。なんでもホテルで着替え、
一息ついたころに時差ボケに負け、そのまま眠りこけてしまったとか…(苦笑)。
とにかく顔面蒼白で頭を下げるイアンをなだめ、ライヴを冒頭から仕切りなおす
形となった。

そして改めて“Spotlight”から幕を開けたF.L.O.W.のライヴは、まさに彼らが「本
物」であることを証明するものだった。長い手足を振りかざしながらビートを叩き
出すラッセルと、その場からほとんど動かないながら、シンプルかつ的確なライ
ンをつむぐジャレッドによる重厚なリズム。トリッキーなエフェクトを随所に取り入
れ、楽曲を彩るイアンのギター。どれもしっかりと自分たちの存在を主張しつつも、
最終的にはフィルのヴォーカルを支えることに重きを置いている。そのフィルは
長いドレッドを揺らしながら、ときに柔らかに、ときに搾りだすように歌い上げ、そ
の存在感をいかんなくアピール。コンパクトながらドラマティックな楽曲を連打し
ていった。

新旧の楽曲のコントラストも面白い。ところどころヒップホップの要素も取り入れた
昔の楽曲は、ドロリとダークな質感。初期KORNを思い起こさせる、陰鬱なニュー
メタル的サウンドだ。対して新作『REVEAL』の楽曲はよりメロディを強化し、ダー
クさを残しつつもよりポップさをのぞかせる、よりポジティヴな作風に進化している。
彼らが90年代のグランジ/オルタナ~ニューメタルという、時代の移り変わりを間
近で見てきた世代なのだと実感した。とにかく過激な表現がエスカレートしていく
現代のロックシーンにおいて、彼らのサウンドは即効性が高くないように感じられ
るかもしれない。しかし“All In Your Eyes”、“Can’t Let Go”、“Live Again”といった
楽曲で顕著だったように、フィルの歌声には人の心と耳を掴む「力」がたしかにあ
る。彼の声があってこそ楽曲が映えるし、それをあのグルーヴとパワーで鳴らす
からこそ、フィルが活きるのだ。

本編を“Let Me Out”で締めたあと、ステージからはけずそのままアンコールに突
入。ALICE IN CHAINSの“Them Bones”に、新作のラストを飾る“Not Forsaken”
で、F.L.O.W.の日本初ライヴは無事に(苦笑)幕引きとなった。
小さいながらも力強い第一歩を、ここ日本で踏み出したF.L.O.W。この日のアクシ
デントや、集まった観客の温かさ、パフォーマンス、そして新作『REVEAL』が、次
の一歩につながっていくに違いない。
FOUR unite ONEが、アーティストたちの歩みを少しでも大きくするきっかけに
なることを願うばかりだ。



text by Yusuke Mochizuko
photography by Kana Tarumi



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