二皮も三皮もむけたKAGEROの、
さらなる大飛躍への前哨戦をリポート!

KAGERO
July 25th, 2014 at Shimokitazawa Shelter, Tokyo

現在配布しているGrindHouse magazine Vol.85にも、僕は自分のなかに
ある確信を書いた。KAGEROは今年、大化けする。もともとすごいバンドだっ
たが、今の彼らは、何かをやらかすに違いない空気を放っている。
そのKAGEROが、下北沢のSHELTERにて不定期に行っている自主企画、
FUZZ'EM ALLのVol.4を開催。各方面からおしみなく称賛とともに恐れられ
ているregaを迎えての、敢えてのガチンコ、2マンライヴに足を運んだ。

まずregaが打って出た。彼らを観るのは昨年11月にG-FREAK FACTORY
のツアーにサポートとして招かれた際のこと(このときも同じSHELTERだっ
た)。前回は完全にノーマークだったからこそのインパクトがあったが、多少
の予備知識をもって臨んだ今回も、やはりすごかった。
彼らの密度の高い硬質なサウンドは、感覚的には『Phantasia』までのLITE
等に近いと思う。研ぎ澄まされたシャープなリフに、リリカルで歌心のあるメ
ロディ、ファンクの匂いも漂う、はねるようなリズムで体を突き動かしてくる。
各パート、かなり手数が多いし、トリッキーなプレイも多用するものの、お互
いを邪魔しない、絶妙な間で音が並べられている。変幻自在のテクニックも
相当なものだけど、全員がニヤニヤしながら、心底楽しそうにプレイするか
ら、余計なことを考えずに身を任せていればいいのだ。G-FREAK FACTORY
のメンバーはもちろん、様々なバンドが「regaはすごい!」と絶賛するだけの
力を見せつけられた。2マンということでおよそ1時間のセットだったが、いや、
恐れ入った。

そしてKAGERO。そういえば彼らのライヴを観るのはいつ以来だったか…。
一時期は1日に6セット観る(『KAGERO III』リリース後のアウトストア・イベ
ント)くらいに通い詰めたものだけど、なかなか予定が合わず、もしかした
ら1年ぶりくらいだったかもしれない。その間に彼らを観ていた人たちから
「バンドの明らかな変化」を伝えられていただけに、余計に気になっていた。
で、実際に“GAS”からスタートしたライヴ、もうバカみたいな感想だけど、
呆然とするばかりだった。
もともと暴力的とも言えるほどの、つんのめった勢いには定評があったけ
ど、とにかくすべてがパワーアップ。固まりになって飛び出してくる音の分
厚さも、追い立てられるようなスピード感も、睨むような眼光の鋭さも、どう
考えてもお行儀のよくない佇まいも(笑)、とにかく全マシ。そのすべてをフ
ル出力にしてぶつけてくるものだから、「これで最後までペースが保てるの
か?」と不安になったほどだ。
すでに定番となった、何度も聴いてきたはずの曲が、なんだか別物になっ
たかのような感覚にも陥った。バンドのスキル、スケールアップのなにより
の証拠だ。ときおり“flower”や“Strawberry Shake”のように洒落たフレーズ
を用いた曲を挟み込んだりしつつも、緩急と加速度をつけるばかりで、燃え
上がるようなテンションは変わらず。白水悠(b)を筆頭に、汗を飛び散らせ、
もうもうと湯気をたたせながらガムシャラにプレイに没頭する様には戦慄した。

彼らは7、8、9月と配信限定でシングルをリリースし、秋のアルバムへの前
哨戦を仕掛けていく…という活動をしているところだ。すでに7月に“OVER-
DRIVE”が発表されているが、今回は8月に配信される“THE FOREST”も披
露。しかもPVの製作者が雲隠れしたとかで(笑)この場でライヴを撮影し、改
めてPVを制作することを発表。不穏なピアノが響く、いつになく重苦しい曲だ
が、彼らの表現の幅を見せるとともに、ライヴの勢いも伝えられるということ
で、結果的にはプラスに作用してくれることだろう。
そして終盤、“sheepless, but feel alright”ではあまりのプレイの豪快さから
か、白水のベースのストラップが外れるという事態に。考えてみたら、彼らは
サックス、ベース、ピアノ、ドラムという編成こそジャズのそれだけど、当初か
らプリミティヴな衝動や暴力性を強調したライヴと作風だった。この夜の、彼
らの二皮も三皮も剥けた姿には驚かされるばかりだったけど、やっているこ
との根本は変わっていないし、そんじょそこらのバンドよりも、数百倍パンク
でハードコアな、尖ったバンドなのだ。

ちなみにこの夜のセットには、必殺技である“SCORPIO”も“ROYAL KLOVER
CLUB”もなし。意外ではあったけど、名曲に頼らずに突き進む彼らの男気あ
ふれる姿にも、またしびれた次第だった。しばらくご無沙汰していた自分を呪
いつつも、また通いつめなければ。


text by Yusuke Mochizuki
photography by TARUMI


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