GUNS N' ROSESが長いキャリアにおいて
新章に突入したことを知らしめた夜!

GUNS N' ROSES
January 25th, 2017 at Yokohama Arena, Kanagawa

GUNS N’ ROSESの5年ぶりとなる8度目の再来日、Not In This Lifetime World Tour 2017の横浜アリーナ公演を観た。

開演時刻18:30ピッタリに客電が落ち、場内が暗転。荘厳なSEに乗り、あの定番のメッセージ映像がステージ後方のスクリーンに映し出され、場内の雰囲気に熱が伴った。その映像に乗るナレーションはいつもと違う全編英語だった。サポートアクトのBABYMETALの登場だ。1曲目は“BABYMETAL DEATH”。昨年末にかのRED HOT CHILI PEPPERSと一緒にイギリス国内各大都市を巡演し、その後間髪入れずにMETALLICAの韓国公演のサポートアクトも務めるなど、日本のロック史にさらなる新章を刻んだ彼女たち。まさに“もはや向かう先に障害物なし状態”に完全突入したわけだけど、左右PAスピーカーそれぞれ横に設置された巨大スクリーンに細かいカット割りで映るSU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALの表情や動きにもより“りりしさ”“頼もしさ”が加わったように思えた。横浜より先の大阪、神戸公演じゃ「アウェイ感ひたひた漂うなかでのパフォーマンスだった」みたいな書き込みをSNSで何度か見かけた。それもわからなくはない。ガンズファンはガッチガチの洋楽ロック/メタルファンが大半を占める。かつ年齢層も高く、経験値も濃ゆいゆえ目も確か、耳も肥えてる“メタル/ロック猛者たち”だ。いくら彼女たちが日本国内はもとより世界でも実績を確実に大きくしてるという歴然とした事実があるとは言え、だからと言って「はい、さようでございますか」といきなり諸手を上げてフレンドリーに歓待、とはいかない。そうなるわけがない。初めて彼女たちのライヴを観たという人も少なくなかったはずだ。そう、彼女たちはこの夜なかなか手強い大観衆を相手にしたのだ。「メタルとダンスの融合だぁ? あり得ねぇー」みたいな(笑)。だけど、自分は場内から“アウェイ感”なるものはほとんど感じなかった。むしろ「彼女たちが噂のBABYMETALね。どこまでやってくれんのかお手並み拝見といこうか」的な“静観の構え”で観てた人たちが多かったように思った。しかし“ド・キ・ド・キ☆モーニング”“Catch me if you can”“メギツネ”と曲が進んでいくに従い、歓声も拍手も少しずつだけど着実に大きくなっていった。“ギミチョコ!!”で締めた短い持ち時間で、彼女たちがそうした“硬派ファン”になにかを訴えかけ、残したことは間違いない。これを機にBABYMETALの日本でのファン層がさらに広がっていくことを確信した30分だった。

そして、いよいよガンズの出番だ。開演時刻なんてあってないようなもの、予定は未定を地でいく“大遅刻常習バンド”なんていうまったくもって誇れない“称号”はもう過去のもの、と聞いてたけど、それは本当だった(笑)。セットチェンジ後の夜7時45分頃に彼らは“It's So Easy”で勢いよく駆った。ステージ向かって左側にダフ・マッケイガン(b,vo)、右側にスラッシュ(g)、その左横にリチャード・フォータス(g,vo)が立ち、後方の高いところに左からディジー・リード(key,vo)、フランク・フェラー(ds)、メリッサ・リーズ(key,vo)が並んだ。そして、もちろん中央にはアクセル・ローズ(vo,piano)。初期の頃と比べるとずいぶん大所帯になったものだ。スラッシュ、ダフ、リチャードがステージ上を所狭しと動き回り、アクセルがあのオハコのアクションを披露しつつ、いくつもの声色を使い分けつつ歌い、瞬時にして大観衆の注視を根こそぎステージ上へと持ってくるところはさすがだ。続いて“Mr.Brownstone”へとなだれ込み、場内のテンションはさらに上がった。

実はガンズのライヴを観戦したのは、2002年のサマソニ以来のこと。2008年の『CHINESE DEMOCRACY』にはあまり入り込めなかった。ロビン・フィンク(g:NINE INCH NAILS)、バケットヘッド(g)、ロン・サール(g)、ブライアン・“ブレイン”・マンティア(ds:PRIMUS、GODFLESH)などの名うてのミュージシャンがこぞって参加し、何人かはツアーにも同行したものの、個人的はGUNS N’ ROSESと名乗るアクセルのソロバンドとのイメージが拭えず、来日しても気持ちも足も会場には向かなかった。正直吐露すると、今回素直に観たいと思ったのはスラッシュとダフが復帰したから。アクセル、スラッシュ、ダフという“旧友”“同朋”の間で必ずやスペシャルなケミストリー、マジックが生まれ、“ガンズ節”がより生々しく、輝かしく、リアルに放たれると思ったからだ。そう期待し、願った人は決して自分だけじゃなかったろう。そして、それは現実のものとなった。アイサイン、ハンドサイン、阿吽の呼吸とかでその3人だからこそのヴァイブ、フィーリングなどが確かにステージ上にはあり、パフォーマンスに大輪の華を添えてた。

この夜場内に集った大観衆の数は約1万人。言うまでもなく横アリはデカ箱だ。演る側にすれば、長丁場の間その大観衆の意識、気持ちなどをどうやってパフォーマンス、楽曲、そしてバンドに集中させ続けられるかに苦慮するもの。近年は派手でまぶしいくらいのライティング、プロジェクションマッピングなどを積極的に導入し、パイロ、火柱といった特効を連発/連打し、ライヴパフォーマンスというよりひとつのショー、エンタテイメントとしての演出が色濃くなってきてる。もちろんそれはそれで楽しいし、ビックリさせられることも多く、“観た感”“楽しんだ感”の充実度も高く、強い。が、しかし、ガンズはそういった類のものに頼り切ることはなかった。上から見るとカタカナのコの字のような巨大なお立ち台風セットが後方に組まれ、時折スラッシュ、ダフ、リチャードがそこに代わる代わる上がりプレイしさらなる躍動感を出し、後方スクリーンに今風の映像を間断なく流してたくらい。過剰な演出はほぼ皆無で、身ひとつで2時間40分もの長尺をヤリ倒し、しっかり求心力もキープしてたのはひとえにスゴかったし、アリーナバンドとしての存在感、風格も強烈だった。そして、やはりガンズは80'sバンドなんだとも思った。80年代にはプロジェクションマッピングもクレイジーなライティングもなかった。






「ギターソロ長いなあ」「ずいぶんソロパートが多く設けられてるなあ」とかの言葉が何度か頭をよぎったけど、そのたびに次の曲で再びテンションが半ば強制的に上げられた(笑)。いわゆるいい曲、強い曲をたくさん持つバンドの最大級の強みのひとつだ。なかでも“It’s So Easy”“Mr.Brownstone”“Welcome To The Jungle”“Live & Let Die”(WINGSのカヴァー)、“You Could Be Mine”“Sweet Child O’ Mine”“Knockin' On Heaven's Door”“Paradise City”には完全に持っていかれた(笑)。

ガンズが結成されてから今年で32年。もう立派な大ベテランバンドだ。しかし、スラッシュ、ダフの復帰により間違いなく彼らは“新章”に突入した、と言える。アクセルが笑顔を見せる場面も少なくなく、曲終わりでお辞儀をし、客席に向かって手を振るなんていう初期の頃なら絶対にすることのなかった一面も見られたことも、それを如実に物語ってた。


text by Hiro Arishima
photography by Yoshika Horita(GUNS N' ROSES) & Tsukasa Miyoshi (Showcase/BABYMETAL)