個性あふれる出演陣とともに、異端の証明が
なされた一夜を徹底リポート!!

ANGAGEMENT, Arise in Stability and The Rabies presents
3way split『The Heretic's Proof』release show
January 9th , 2016 at Shinjuku Antiknock, Tokyo

ANGAGEMENT(アンガージュマン)、Arise in Stability、The Rabies。関東のメタル/ハードコア・シーンでも異彩を放つ彼らが、それぞれの個性を発揮するとともに、次のステージへと足を踏み入れた3ウェイスプリット『The Heretic's Proof』。タイトルの通り、異端であることをアピールした本作リリースを記念して、1月9日に新宿ANTIKNOCKで盟友を集め、レコ発企画が行われた。2015年末にANGAGEMENTから、まさかのKZT(vo)が脱退するという事態になったが、初代フロントマンであるWAJOEが限定復帰という特別編成にて出演。見事トリを務めた。この濃密過ぎる日を、全バンドリポートしよう。

まず先陣を切ったのはBREAK YOUR FIST。正統派かつドラマティックなメタルコア・サウンドはさすがで、いきなり振り下ろすようなブレイクダウンで、フロアをぶっ潰しにかかる。ハードコアゆずりの厳つさと同時に、メタル由来の大げさな部分というか、ある種ベタな部分もしっかりと表現しうる技量はさすがだ。長いキャリアを積んでいるだけある、安定感抜群のステージングで、イベントの初っ端をビシっと務めていた。1月をもって無期限の活動休止となってしまったが、メンバーの新たな活躍を願うばかり。

















そこに続いたのがbilo'u。相変わらずの卓越したテクニックと、目まぐるしい曲展開、そして和音階も不協和音も飲みくだしたおどろおどろしいサウンドで、フロアを凍りつかせる。高橋慎一のバケモノじみたヴォーカルを基盤にした、身じろぎすることさえ戸惑うような、コンセプチュアルなライヴには、息を飲むしかない。「異端の証明」というコンセプトの企画において、やはり欠かせない存在だったと実感。その飛びぬけた技量と世界観を前にして、モッシュ上等のタフガイも身動きが取れなかった様子だった。

















そのbilo'uのダークなサウンドを、いっそ地の底まで深く、さらに叩き落してみせたのが、The Rabiesだ。『The Heretic's Proof』でもひときわヘヴィかつ残虐なサウンドを提示した彼らだが、ステージでそれは倍増し。90年代のデスメタルやグラインドコア、ブラックメタルを消化しつつ、日本の激情ハードコア、そしてちょっとだけのモダンさをもって、フロアに絨毯爆撃をしかけていく。叙情性の入り込むすき間もなく、ブレイクダウン…というよりはスラミングと言ったほうが適切と思える暴力的な音を武器に、とにかく暴れまわる様は圧巻でしかなかった。ドラムの叩き方から、ギターおよびベースのシェイプ等、見た目からして90年代スタイルというか、メタルやハードコアがもっとも野蛮で危険だった頃の殺気だったスタイルを継承しつつ、回顧的なサウンドに終わらない。ラストの“Cave In"まで、フロアをとにかく真っ暗闇に染め上げつつ、傍若無人に突き抜けていった。

その空気を塗り替えたのがAzami。ここ数ヶ月で、一気にバンドマンや早耳のリスナーから高い評価を受けているバンドだ。METALLICAの“Enter Sandman”をイントロに用いつつ、つんのめるような勢いのハードコアを、まさに全身全霊としか言いようのないテンションでぶちまける。曲の中盤にもうけた、ポストロック的な美麗パートでも、そのテンションが落ちないのだからすごい。胸を締めつけるようなメロディも盛りだくさんで、これは話題になるのもうなずける。要注目株のひとつだ。

















Azamiを観て驚きを隠せずにいたら、今度はArise in Stabilityがやってくれた。細部まで緻密に、執拗なまでに計算されつくしたプログレッシヴな要素が、ブルータルなメタルコアと合わさり、端整ながら筋肉質という、まさに文武両道なサウンドを展開。デスヴォイスと歌、変拍子、各パートで拍子をずらしたポリリズム、ブラストビートまで用いつつ、奇想天外なフレーズを次々と繰り出していく。たしかに1曲1曲が長尺かつ壮大ながらも、しっかりと聞かせどころや暴れどころ、盛り上がりを考慮しているのはさすがだ。ここ2年でメンバーチェンジが続いたが、新メンバーたちもバンドに馴染んだようで、グルーヴも引き締まっている。3月を持って、Tastuya Kobayashi(g)が脱退してしまうことになったのは残念だが、すでにサポート要員も目星がついているとのことで、活動は止めるつもりはさらさらないようだ。2月20日のIN DREAD RESPONSEとの共演を含め、ひとまず現編成の集大成を見届けたい。

ここで格の違いを見せつけたのがT.C.Lだ。すでにシーンでは重鎮である(対バンもしきりに彼らへのリスペクトを表明していた)KYONOとYAMADAのツイン・ヴォーカルを筆頭に、前のめりかつド直球なスラッシュ/ハードコアを、文字通り叩きつけていくかのようだ。ギター、ベース、ドラムの三人も、ふたりに対抗できるだけの実力をもつだけあって、グイグイ攻め立てるサウンドはまさに鉄壁。“BURST AND RISE”や“DIS THE POWER”のような押しの強い楽曲だけでなく、“SO WHY?”のような引きも見せる曲、“LOST A COLOR”のようなキャッチーさを盛った曲で、絶妙な緩急をつけつつ駆け抜けていった。ライヴ後、KYONOこそ「今日はちょっとアウェイだったかも」と言っていたが、いやいや。長いキャリアをもちつつ、攻撃性を緩めることのない彼らの存在は、フロアにも対バンにも、大きな刺激と指標になったはずだ。

そして大トリを飾ったのがANGAGEMENT。重鎮T.C.Lの後かつ、長らくプレイしていなかったWAJOEの復帰戦とあって、どうなるかと思ったが、いやこれがすごかった。これまたMETALLICAの“Creeping Death”をイントロとして引用しつつ、一気に炸裂! 格闘家のような見た目のWAJOEが積極的にフロアに降り、観客に挑みかかるなか、バンドもこの日一番の爆音を投下する。KZTが悪かったわけではないが、やはり結成メンバーであるWAJOEの存在感は随一だ。自身が参加していない楽曲もなんのその。押しの強いヴォーカルを駆使しつつ、モッシュやマイクジャック、サークルピットを煽り、ハードコアのルールに乗っ取ったライヴを展開。会場や対バンへの感謝を述べるMCも含めて、あくまでサポート・メンバーであることを忘れてしまうほどだった。WAJOEの存在感に対抗するかのように、バンド側もソリッドかつタイトなサウンドをぶつけていく。メンバーもフロアの観客も笑顔ながら、お互いに正面衝突するかのような緊張感を持つフロアの様子には、胸が熱くなるしかなかった。

スプリットに参加した3バンドはもちろん、全バンドが独自の感性とサウンドをぶちまけたこの夜。それぞれの個性が逆に浮き彫りになったようにも思う。活動こそ山あり谷ありだが、今後も誇りを持って、異端であることを証明し続けてほしい。


text by Yusuke Mochizuki
photography by Jun Tsuneda(hôzvki)


シェア