結成20周年を迎え、オリジナル・ギタリストが
復帰したINSOLENCEが5年ぶりの来日!!

INSOLENCE
August 7th, 2015 at Ikebukuro KINGSX TOKYO, Tokyo

暑い、いくら何でも暑すぎるよ。そんな歴史的な猛暑日の連続がいまも記憶に新しい8月7日、GrindHouseがTOWER RECORDS、池袋KINGSX TOKYOとのコラボによって3回目を迎える、洋楽ロック・ファンに向けたライヴ・イベント“FOUR unite ONE”(FuO)を開催した。

5月のDONOTSに続き、今回はレゲエ、ヒップホップ、メタル、ハードコア等を飲み込んだミクスチャー/ヘヴィロックの最終兵器とも評されるINSOLENCEが、ライヴハウス特有の密室感漂うKINGSXに登場。「今日はみんなのことを信じて、柵もセキュリティも付けなかった」とはまだライヴの興奮冷めやらぬ中で有島博志氏が語った言葉だが、そもそもが小箱の会場でのライヴの醍醐味、ひいてはアーティストのエモーションを皮膚感覚でオーディエンスに感じてもらうことを意図したのが、この「FuO」。実際、当日もステージとフロアの心の壁はのっけからいとも簡単に取り払われ、最後まで両者の楽しむことに対する貪欲な思いが交錯したと言える。
そんなライヴは、イントロとしてイッチー・ザ・キラー(turntable、sampling)のDJプレイからスタート。飄々とした佇まいから繰り出される軽妙なテクニックは、何かが起こりそうなその後のパフォーマンスに対する期待を一気に高めた。まぁ、開演時間を30分近く過ぎても始まらないステージに、「あくまでもカリフォルニア時間かよ」と楽屋から漏れ聞こえてくるメンバーたちの笑い声に文句のひとつも言ってやりたい気分にならなかった訳でもない。だが、次々に登場したメンバーが、イチの作り出すビートに乗っかって“1-2,1-2”でさらなるビッグ・グルーヴを生み、オーディエンスの魂を鷲掴みにしながら“Operation Irie“へと展開していく様からは、20年のキャリアで培ったチェンジ・オブ・バランスの妙に触れるようだった。


繰り返しになるが、ステージとフロアの垣根を積極的にぶち壊しにかかるバンドの瞬発力はやはり圧倒的。筆者もこの日はINSOLENCEのガツンとヘヴィ・ロックな側面に完全にやられた気がする。 全身タトゥーの巨体に汗を光らせながその場の感情をマイクに込め、オーディエンスとも濃密にコミュニケーションを図ろうとするマーク・ハーマン(vo)。一挙手一投足にいちいちひとクセもふたクセもあるメッカ1(vo)。そんな2人の情感をさらに掻き立てるのが、新加入したばかりのアロンゾ・ヘルナンデス(b)と、やたらに着古したLOUDNESSのTシャツをアピールするドラマー、ショーン・ボイルズによるリズム隊の剛と柔の妙だ。加えて、マークに「ソウル・ブラザー」と紹介されたジョーイ・ルイズ(g)は、1stアルバム『VICIOUS CIRCLE』(95年)のレコーディング直前にバンドを脱退し、2月に約20年ぶりの復帰を果たした結成メンバー。ジョーイもまた積極的にフロアと関わりながら、重心のあるボトムの効いたグルーヴの中、耳に残るフレーズをプレイ。そしてステージ後方に目を転ずれば、相変わらずのイッチーの姿が。

そんなバンドに対し、フロアも熱狂的に呼応。突き上げられる拳、おしくらまんじゅう、モッシュ…マークもフロアに降りていき、ライヴはともすれば肉弾戦の様相を呈していたとも言える。その一方では、簡単な曲紹介とともに唐突な流れでBAD BRAINSの“Sailin’ On”をカヴァーする場面も。筆者としてはイントロと同時にペンとメモを放り出し、モッシュの一員に加わりたい衝動を抑えることに必死だったが、全体的に反応がイマイチだったのが残念。INSOLENCEとして出自を示したかったのだろうが、個人的には80年代のアメリカン・ハードコアと、2000年代のミクスチャー/ヘヴィロック、さらには現在がオルタナティヴ・ロックの連続性という点で改めて一本の線で結ばれた感もあった。


前半はハードコア然とした疾走感が痛快な“Project Konflict”で終了。イッチーのDJセットを挟むと、熱気を帯びた心身も心地好くクールダウン。イッチーの横でオーディエンスを煽るメッカ1の姿が無邪気に映り、マークもフロアをバックに自撮り。その後はマーク、メチャ1、イチによる2MC+ターンテーブルによってバンド・フォーマットともまた違った軽妙さも見せ、無骨なハードコア・ナンバー“Runaway”から小気味好くヘヴィなグルーヴがその場の一体感を生む“Syncronize”、ポジティヴなメッセージがキャッチーに響いた“Beats Not Bombs”等を交えてクライマックスへ。
観客の被っていた鬼の面を自らも被ってみるマーク。ラガ・スタイルで絶叫するメッカ1。拳を合わせるイッチーとアロンゾ。ハッピーな笑顔でコーラス参加するギター・テクニシャン。加えては、マークが「子どもたちにピースを」などと前日の広島平和記念日に言及する場面も(彼のお爺さんは真珠湾攻撃に関連してアメリカの歴史の教科書に載っており、マーク自身も海兵隊員の経験あり)。ラストはINSOLENCEを代表する“Poison Well”で完全燃焼。みっちりかっちりばっちりの約1時間半だった。

終演後はGrindHouse Recordingsからリリースされたベスト盤『FULL CIRCLE THE BEST OF INSOLENCE』の会場購入者に対するサイン会。とにかく飾らずフレンドリーにファンと接するメンバーの姿が印象的で、会は和やかに幕を閉じた。
現在、INSOLENCEは新作をレコーディング中。この日のライヴの圧倒的なインパクトもさることながら、今年結成20周年を迎えたということで、シーンにどんな存在証明を新たに示してくれるのか楽しみ。特にジョーイのギターが20年の歳月を経てバンド・サウンドにどんな科学変化を及ぼすのか興味深々である。
 また、“FuO”も年末と年明けにそれぞれ開催を予定しているとのこと。次はどんなバンドと“肉弾戦”を繰り広げられるか期待しつつ、その日に向けてガッチリ体力をつけておきたいと思う。


text by Tsunetoshi Kodama
photography by Kana Tarumi


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