SLIPKNOTはもちろん、MARILYN MANSON、DEFTONES、
日本勢ではSiMらが熱狂の2日間を!

KNOTFEST JAPAN 2016
November 5th & 6th, 2016 at Makuhari Messe, Chiba

SLIPKNOT

前回の2014年から約2年。SLIPKNOT主催によるダークカーニバル「KNOTFEST JAPAN 2016」が、日本に帰ってきた。 公式サイトには「SLIPKNOTが続章に向けて遂に始動」のキャッチも躍り、開催が発表されて以降、新たな情報がアナウンスされるたびにが然期待が高まっていったことは言うまでもない。 確かに、開催前日となってSLIPKNOTのが身内の不幸によって不参加、さらにはA DAY TO REMMBERも出演キャンセルとなったのは残念と言うほかない。だが、海外及び日本の精鋭が、2日間にわたってヘヴィ・ロック/オルタナティヴ・メタルの「今」を見せつけてくれたこともまた事実だ。

会場内にはSLIPKNOT MUSEUMとして、傷ついたり色の剥げたパーカッションやマスク、ステージ・セットなどを展示。約20年にわたって最前線でシーンを牽引してきたSLIPKNOTの歴戦を物語った。

coldrain

初日はcoldrainから参戦。彼らは2014年の前回同様、日本代表として気合を漲らせたガチンコ勝負のパフォーマンスを展開。場内を一気に熱くした。Masato(vo)はSLIPKNOTの『IOWA』(2001年)リリース当時、「こんな音楽を聴いて、お前は悪魔を崇拝しているのか」とアイオワ出身の母親に驚かれたエピソードも披露。バンドは最後まで扇動的に畳み掛け、オーディエンスも拳を突き上げて合唱。モニターにはプリミティヴな衝動に任せて荒々しく回るモッシュが大写しとなった。

HOOBASTANK

HOOBASTANKは、ジェシー・チャーランド(b)が場内に手拍子を促し、ダグラス・ロブ(vo)が「イチ、ニ、サン、シ!」と音頭を取ってライヴをスタート。オーソドックスな4人編成による一音一音の饒舌なダイナミズムで小気味好く、キャッチーな佳曲、好曲を連発した。人懐っこい笑顔とともに、全身に躍動感が漲るダグラス。ギターネックを立てて力強くジャンプするダン・エストリン(後半、エフェクターのツマミをいじってスペイシーなサウンド・メイクも)。ジェシーもハードかつフックのあるサウンドに合わせて頭を振るなど、フロント陣の一挙手一投足にもライヴ・バンドとしての一日の長が見て取れた。そんなバンドにオーディエンスも共鳴。フロアではモッシュも起こり、終演後は観客をバックにダンがダグラスを撮影。2人とも満足げな表情だった。

RIZE

そして後先を考えない力業で最後まで爆走したのがRIZE。ゴリゴリの音塊と化したヘヴィ・グルーヴ、そして瞬間瞬間のエモーションを剥き出しにしたパフォーマンスが圧巻。JESSE(vo,g)曰く「日本に何万とあるバンドのひとつ」の、たかがなれどされどなミクスチャー・サウンドで場内を扇動した。終盤では「そこのSLIPKNOTのTシャツ着てるヤツ!」(JESSE)と観客をステージに上げ、その彼がラップ。サポート・ギターの下畑“Rio”良介とともに、バンドは5人組として狂乱の最後を迎えた。

ROTTENGRAFFTY

トンテキ、沖縄料理、ケバブ、ピザ…ひと通り屋台を物色し、続いてはROTTENGRAFFTY。彼らはツイン・ヴォーカルを擁し、攻撃性とポップ感を交錯させてのハイブリッド・サウンドで約30分を一気に駆け抜けた。エモーションなヴォーカリゼーションで場内を翻弄するNOBUYA&N∀OKI。「踊り狂え!」「日本人の誇りを見せてくれ!」といった煽り文句にも、フロアを埋め尽くした観客の人海は激しく波打った。さらにはSLIPKNOTの“オ前ラ座レ”ばりに観客をいったん座らせ、気持ちを溜めたところでジャンプさせる場面も。メンバー・チェンジなしに結成17年を迎えたキャリアを十二分に感じさせるライヴでもあった。

DISTURBED

DISTURBEDは、2003年以来の来日。それだけに場内の期待も高かったのだろう。ROTTENGRAFFTYが終わった瞬間に反対側のBステージから歓声が上がった。その声はスクリーンにバンド・ロゴが映し出され、場内が暗転するごとに大きくなり、そこに手拍子やメロイック・サインも加わった。“10,000 Fists”からバンドは、オーセンティックにしてモダンなメタル・ワールドを展開。ヘヴィかつ硬質なグルーヴで威風堂々とフロアを掌握していった。そんな中、デイヴィッド・ドレイマンのヴォーカルは、力強く朗々。特にストリングスやピアノ等を加えたアコースティックによるSIMON & GARFUNKELの“The Sound Of Silence”が、深く叙情的に響いた。最後も「WE ARE」(デイヴィッド)、「DISTURBED!」(観客)で場内はひとつに。


SiM

さらに、この日に対する思いを選曲に込めたのがSiM。彼らは「(歌詞に次に出番を控える)DEFTONESの名前が入った曲をやる」(MAH/vo)と“The problem”、「特別な日にしかやらない曲をやる」(同)と“Rum”をプレイ。後者では深海で群れをなす発行魚のごとく、フロアではいくつもの携帯電話のライトが揺れた。もちろんバンドのパフォーマンスにも熱がこもり、ハイブリッド&キャッチーなダイナミズムで激しく観客を扇動。SHOW-HATE(g、key)、SIN(b)によるお馴染みの楽器回しても随所で決まり、バンドと観客は一体となった。

DEFTONES

DEFTONESは、チノ・モレロ(vo,g)のヴォーカルにエフェクトがかけられ、照明もSF映画のワンシーンを彷彿させたことから、近未来的でスペクタクルなヘヴィ・ロックのライヴといった印象。それこそ1曲目からフロアをDEFTONESワールドに引き込んだ“Diamond Eyes”をはじめ、各曲に通底するアグレッシヴさや硬質さが、くぐもって伝わってくる感覚もあった。それだけに、目の前で繰り広げられる感情任せなパフォーマンスとのギャップがスリリング。そういった意味ではガツンとを期待し、バンドに快く裏切られた感もあった。
巨体を揺らしながらオーディエンスを扇動し、狂おしくシャウトするチノ。その直後にはいたずらっぽい笑顔がスクリーンに大写しとなり、その屈託のない表情がまた憎めない。そして「GORE」ではフロアへ降りていく場面も。カオスな熱狂に支配される場内。その後も彼の扇動に合わせてフロアが地殻変動を起こした“Be Quiet And Drive (Far Away)”、チノの咆哮にセルジオ・ヴェガ(b)のスクリーミングが交錯した“My Own Summer (Shove It)”…。ラストの“Engine No.9”まで翻弄されっぱなしだった。

もちろんトリはこのダークカーニバルの主役、SLIPKNOT。だが、この日のレポートは2日目と合わせて後述したい。

CRAZY 'N SANE

そして2日目。筆者は謎のミクスチャー7人組として話題のCRAZY 'N SANEからフロアに。彼らは前回のKNOTFESTでとあるバンドを観たことが結成のきっかけだという。そんなフェスでバンドは、ウサギの覆面を被ったファニーな出で立ちとは裏腹に、底知れぬポテンシャルをふてぶてしく(?)アピール。素顔が誰なのかはわからないが、筆者も強者集団であることを改めて体感した。ブルータルさとキャッチーさの飄々とした交錯に、得体の知れなさも相まったスリリングさ。曲によっては覆面なしのゲストも参加し、約30分はちょっとしたカオスに。

HER NAME IN BLOOD

HER NAME IN BLOODはオープニングからがむしゃらに突進。ヘヴィなグルーヴが濃密に迫ってきて、場内の空気は1曲目の“Free Me”から激しくスリリングなものとなった。フロアに向けて手をグルグル回すMakoto(b)。お立ち台の上でお互いのエモーションをギターに込めるDaikiとTJ。Ikepy(vo)も巨体を揺らし、「俺の3カウントで幕張、ぶっ壊していこうぜ!」などと終始オーディエンスに挑発的。そして野生的なヴォーカルを響かせ、スクリーンには邪悪な咆哮をあげる姿が大写しとなった。


IN FLAMES

IN FLAMESは、9月に加入した元REDのジョー・リカルド(ds)を伴い、12thアルバム『BATTLES』の発売を直後に控えた来日。バンドがステージに立つのも約1年ぶりのことで、最新作収録の“The End”、“The Truth”などは世界的にも初プレイとなった。ライヴは叙情性とブルータルさがスリリングにせめぎ合うかのような、ヘヴィなダイナミズムが圧巻だった。感情を絞り出すようなヴォーカリゼーションで、魂に揺さぶりをかけるアンダース・フリーデン。ビョーン・イエロッテ(g)ら弦楽器隊が、濃密なグルーヴに合わせて体を揺らす姿にもそこはかとない貫禄が感じられて壮観。ステージも狭く見えた。そんな中、ビョーンが情感的なソロを決め、そこにニクラス・エンゲリン(g)のエモーショナルなフレーズが重なる。約40分は“Take This Life”で濃密に幕を閉じた。

Crossfaith

続いて幕張メッセに壮絶な嵐を巻き起こしたのがCrossfaith。「影響された海外のバンドに、日本人の凄さを見せてお返ししてやれ!」。koie(vo)は海外での活動経験を踏まえて気合い込み、バンドも頭のネジがぶっ飛んだようにレッドゾーンの先へ爆走した。観客に対しkoieは、観客に座るように指示するが「座らへんとやめへんぞ!」と要求。その後もふてぶてしくウォール・オブ・デスやモッシュを扇動し、フロアもバンドの狂乱ぶりに全力で共鳴した。気づくとTeru(vision, program)が人海に浮かぶ場面もあり、会場全体が熱に浮かされた約30分だった。

LAMB OF GOD

そんなCrossfaithのライヴの余韻がまだフロアに濃厚な中、LAMB OF GODは“Walk With Me In Hell”でライヴをスタート。IN FLAMESとも違ったアメリカンなカラッとした叙情性とブルータルさのせめぎ合いで場内の空気を変え、濃密なヘヴィ・グルーヴでプリミティヴな感情を呼び覚ました。お立ち台の上で挑発的なヴォーカリゼーションを見せ、狂おしく咆哮をあげるランディ・ブライ(vo)。さらに彼は荒々しくジャンプ。ジョン・キャンベル(b)、ウィリー・アドラー(g)の全身にも瞬間瞬間の情感がこもり、マーク・モートン(g)は随所で心をも激しくかき鳴らすソロを弾く。もちろんそんなバンドの屋台骨をガッチリとテクニカルに支えるのが、クリス・アドラー(ds)だ。最後は「ワンモア…イチ? サヨナラ」(ランディ)と“Redneck”。悦楽的なカオスの40分弱だった。

MAN WITH A MISSION

coldrainやcrossfaithをはじめ、我が国のバンドとオーディエンスの凄さを海外勢に見せつけようと闘志を燃やす日本勢が少なくない中、MAN WITH A MISSION(MWAM)は飄々としたスタンスで場内をひとつに。まあ、彼らは日本人ではないが…。ハード&キャッチーな佳曲、好曲の連続に人海は波立ち、バンドは12月3日に配信リリースされる“Hey Now”も披露。場内からの「(過去にコラボ、共演経験のあるSLIPKNOTの)シドは出ないの?」の声に、Jean-Ken Johnny(vo,g)が「準備体操デモシテルンジャナイノ? 君タチガ思ッテル以上ニ声ガ聞コエナイノヨ」と返す場面は、個人的に笑いのツボに。そして“FLY AGAIN”ではサビに合わせて観客が両手を上げ、ラストの“Raise your flag”ではフロアを無数のMWAMタオルが埋め尽くした。

MARILYN MANSON

MARILYN MANSONは、オープニングの“Angel With The Scabbed Wings”から各曲にマンソン美学が息づく、猥雑でシアトリカルなライヴを展開した。
独裁者を演じるとともにフロアに降りていった“mOBSCENE”、聖書を松明で燃やしての“Irresponsible Hate Anthem”、そして竹馬に乗って見世物小屋(?)感満点だった“Sweet Dreams (Are Made Of This)”…。グラマラスにトンがったパフォーマンス、それこそ白塗りの顔にピカソが絵を描いたかのようなペインティングからは70年代のデヴィッド・ボウイを想起。実際、マンソンは“mOBSCENE”の前にボウイの“Moonage Daydream”を歌い上げたりした。
加えて濃密なエレクトロ・グルーヴには、デイヴィッドと同じく今年亡くなったPRINCEに通ずるものも。このライヴからは音楽スタイルの違いはあれど、過去から未来へと繋がる異才同士のアーティスティックな連続性を見た気がした。 ラストは“The Beautiful People”。マンソンは再度フロアに降り、自らの肖像の入った米札もどきを特効で場内に撒き散らしてクライマックスを迎えた。最後の最後まで流石である。

最後は2日分をまとめ、SLIPKNOTのライヴについて書こうと思う。

SLIPKNOT

ここだけの話、2日目はステージ全体がよく観える位置を探しているうちにフロアの最前線に巻き込まれ、メモを取る余裕など全くなかった。正直、ラストの“Spit It Out”でコリィ・テイラー(vo)が「オ前ラ座レ!」を求めてきた時も、こんなに人が詰まってるのに勘弁してくれよとも(笑)。とはいえ、1日目に感じたことを2日目により“体感”として感じられたことも事実だった。

加えては、ほぼ真下から見上げることで、お馴染みのパーカッションに絶叫系マシーンを側で見るような恐怖感も。ショーン“クラウン”クラハンがいない分、曲によって2台のパーカッションを行ったり来たりしたクリス・フェーンには悪いが、自分はあのセットでの演奏は無理だと思う。さらには、ドラム台の後ろに作られたサブ・ステージをコミカルにウロウロしたり、DJブースを設置した檻からはみ出して場内を激しく煽るシド・ウィルソン(turntable)の姿も印象的。ミック・トムソン、ジェイムズ・ルートが並んでギターを弾く姿も威圧的で、コリィがショーン用のパーカッションに乗ってシャウトする場面も間近で接することができた。

ライヴ自体は、さまざまな映像を流しながら(中には昆虫系や手術系のかなりエグいものも)の90分強。9月にアメリカで開催されたOZZFEST MEETS KNOTFEST 2016」では発売15周年を記念して『IOWA』の完全再現も行われたようだが、日本では新旧を織り交ぜた選曲で2日間ともセットリストは一緒だった。ひいては「心はいつも一緒だ」(コリィ)とショーンの不在について語る言葉(その時、シドはパーカッション台に突き刺してあったショーンのマスクを高々と掲げた)、さらにはアンコールでコリィがゲップするタイミングまでも同じ。彼らがライヴにパッケージショウとしての完成度を求めていることを改めて実感した。

そんな中、前回のKNOTFEST JAPANで自分は、ポール・グレイ(b)、ジョーイ・ジョーディソン(ds)の不在にこだわりすぎていたのかもしれないとも思った。実際、この2日間のライヴからは、彼らが変わり続け、逆に変わり続けることで普遍的なSLIPKNOTであり続けようとする。そんな生き様を見た気がした。次回は全員で『.5:THE GRAY CHAPER』(2014年)に続くアルバムを引っさげて!


text by Tsunetoshi Kodama
photography by ©KNOTFEST JAPAN