目もくらむような、多種多様な
轟音に飲まれ続けた一夜

leave them all behind 2014
July 12th, 2014 at Daikanyama UNIT, Tokyo

これまで奇跡的なブッキングを実現させ、エクストリーム・ミュージックシーン
に爪痕と実績を残してきたleave them all behind。第4回の開催となる今年
は、再び代官山UNITにて開催。2012年の前回にはGODFLESHにて出演し
たジャスティン・K・ブロードリック率いるJESUを筆頭に、また濃密なラインナッ
プが集結し、轟音が耳と体を揺さぶり続ける一夜となった。

まず先陣を切ったのはCOHOL(コール)。個人的にも数回、これまでライヴ
を観る機会のあったバンドで、ブラックメタルに激情ハードコアやポストロック
の要素を付加した「ポストブラック」と評されている。たしかにところどころで、
空間を意識したアトモスフェリックなパートを設けてはいるけれど、基本的に
はデス/ブラックメタルの残虐性を前面に出しているバンドだ。フロントの二人
が、かわるがわるえげつないデスヴォイスを発しつつ、攻撃的で凶暴なリフと
ブラストビートで耳を切り刻みにかかってくる。メンバーの密教的というか、北
欧のブラックメタル然としたヴィジュアルも印象的だ。本人たちもこのステージ
に立ったことが本当にうれしかったようで、これからも自分たちの信念を曲げず
に活動していくことを宣言。年内には新しい音源もリリース予定だそうで、今後
に期待のかかるライヴだったと思う。

次に登場したのが、RUSSIAN CIRCLES。アメリカはシカゴ出身、3ピースの
インストゥルメンタル・バンドだが、音源の質の高さや、デビュー早々にTOOL
のサポートに抜擢されるなどの前評判から、とても楽しみだったバンドのひと
つ。BOTCHやTHESE ARMS ARE SNAKESといったバンドでの活動で知ら
れるブライアン・クック(b)も在籍している。結果から言うと、まさに期待以上の
ライヴだった。不穏なフレーズを軸に展開していく楽曲は、機械的に緻密かつ
正確無比でありつつも、筋肉質で豪快なグルーヴに支えられている。全員の
才気あふれるプレイと、3ピースでここまでできるのか…という音の密度とダイ
ナミズムには、圧倒されるばかり。照明もメンバーを足元から照らすのみで、
異様な雰囲気を演出。約40分と短いセットは正直物足りなかったが、その実
力は充分にアピールしていたと思う。

続いたのが日本代表のMONOだ。日本でのライヴは今年の3月以来。個人
的にも、『FOR MY PARENTS』(2012年)のレコ発以来、およそ2年ぶりのラ
イヴだった。彼らもやはり、想像を軽く越えるライヴを展開。ダークかつ不穏
な空気のRUSSIAN CIRCLESから、ピンとした緊張感は引き継ぎつつ、より
荘厳で清冽な空気へと塗り替えていった。新曲“Recoil, Ignite”からスタート
したステージは、やはり格別。ロック然とした爆発力と、クラシックの気高さが
一体となって、会場を埋め尽くしていく。空から降り注いでくるようなサウンド
には、身を任せて飲まれていくしかない。今回はピアノを多く使用したセットだ
ったが、強く、優しく、切ないメロディには胸を締め付けられる思いだった。こ
の秋にリリース予定だという新しいアルバムへの期待も、膨らむばかり。これ
までもオーケストラとの共演を含め、様々なアプローチとともに未開の地を突
き進んできた彼ら。最近は登山家の栗城史多氏のプロジェクトに、“Where
We Begin”ほか楽曲を提供する等、これまでになかった試みも行っている。
これからも、また新しい何かに挑戦し、成し遂げるはずだ。“Everlasting Light”
の力強いラストから、これからの更なる飛躍を確信した。

そして最後に、JESUだ。今回はドラマーは同行せず、ジャスティン・K・ブロー
ドリックとディルムッド・ダルトンの2名のみ。ドラムマシーンを用い、ステージ
後方にスクリーンを設置…という、2年前のGODFLESHでの来日時と同じ編
成だ。それもあって、“Your Path To Divinity”から始まったライヴは、地を這
うようなヘヴィネスが覆いかぶさってくる。しかし幻想的な和音や素朴だが甘
いメロディによって、情感豊かに、繊細に展開していった。冷徹かつ無慈悲な
リフを叩きつけるGODFLESHとは、当然ながらまったくの別物。ジャスティン
の職人気質と、彼の懐の深さを再確認させてもらった。
また、この日の出演者のなかでは最小の人数編成ながら、繰り出す音のデカ
さは最大だった。Tシャツのすそが時折ビリビリと震えるほど。それでも耳にス
トレスのかかることのない、非常に心地よいサウンド・メイキングがなされていた。
それもあって、音の粒のひとつひとつがハッキリと聴こえ、CD音源では見えて
こなかった音のレイヤーに気付かされ、「あぁ、これはこういう曲だったんだ」と
気付かされる場面が何度もあった。
最後にアンコール“Friends Are Evil”では、ひしゃげたベースとともに、強靭な
リフを叩きつけ終了。代官山が多幸感に満ちた轟音であふれかえるなか、およ
そ5時間に及んだフェスが終了を迎えたのだった。



text by Yusuke Mochizuki
photography by Miki Matsushima


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