9年目を迎えた鋼鉄の祭典。
DREAM THEATER、ARCH ENEMYらの
熱く濃密なライヴをレポート!

LOUD PARK 14
October 18 & 19th, 2013 at SAITAMA SUPER ARENA

10月18、19日、2014年もまた日本最大にして唯一のメタル・フェスとして
お馴染みのLOUD PARKが、さいたまスーパーアリーナで開催された。
直前になって初日のトリを務めるはずだったMANOWARが、機材を積んだ
船便の遅れによって出演キャンセルとなったのは残念だったが、今年も交
互にライヴが行われるULTIMATE、BIG ROCKの両ステージに2日合わせ
て23組が出演。両日とも鋼鉄魂が燃え盛ったことは言うまでもなく、これか
ら日ごとにレポートしていきたい。

まずは初日。オープニング・アクトとして最初に登場したのは、DAITA(g/
BREAKING ARROWS)、山下昌良(b/LOUDNESS)、真矢(ds/LUNA
SEA)をバックに、地下アイドル魂で約20分を駆け抜けた仮面女子。そして
山下の本職であるLOUDNESSも揺るぎない姿勢と飽くなき野心を見せつ
け、SOILWORKもブルータル&プログレッシヴにオーディエンスを熱狂の
渦に叩き込んだ。

続くAMARANTHEは、10月15日に3rdアルバム『MASSIVE ADDICTIVE』を
リリースしたばかり。スクリーム・ヴォーカルがヘンリク・エングルンドに代わっ
て初の来日ということもあり、男女のクリーン・ヴォーカルと織りなすAMARA-
NTHE節にどのような変化があったのかも注目された。
それで結果だが、ハイブリッドなメタル・オペラとでも評したくなる世界を再確認。
各ヴォーカリストの個性も1+1、そして1+1+1でさらなる化学変化を起こし、
ドラマティックかつエモーショナルなライヴは、バンドの今後をも期待させるに
十分だった。
改めてエリーセ(female vo)は凛々しさとセクシーさを兼ね備え、そこにいるだ
けでステージ上が華やかに。彼女はソロを弾くオロフ (g)の横で映画『マトリッ
クス』ばりにのけぞり、ある時は虚空に強烈なケリをお見舞い。ヘンリク、ジェ
イク(clean vo)とともに激しく頭を振る姿も目を引いた。

さらにメタル以前にロックの根源的な危険さや妖しさ、スリリングさを体現した
のはDOWN。暗転の段階から場内には不穏で刺激的な雰囲気が漂い、筆者
も得体の知れないゾクゾク感を味わった。
とはいえ、無愛想に登場して「Tokyo!」と拳を突き上げたフィリップ・アンセル
モ(vo)に、『ドラえもん』のジャイアンを彷彿とさせてちょっと笑ってしまったの
も事実。彼はライヴ中もマイクを乱暴に叩きながらオーディエンスを煽るが、
これがまた「のーび太ー!」と理不尽な話を吹っかけるジャイアンのよう。投げ
キッスをする場面がスクリーンに大写しになった時も表情は不機嫌そうであ
り、俺様ぶりを遺憾なく発揮した。
ライヴは“Eyes Of The South”でスタート。その後も重く太いミドル・グルーヴ
で押しまくり、場内をスラッジーな煙たく埃っぽい空気が支配した。一音一音、
そしてその隙間までもが饒舌であり、ロックの快楽主義者としての我を見せつ
ける5人。ラストは“Bury Me In Smoke”で、途中から楽器をスタッフや関係者
がプレイしはじめ、ステージ上は公開打ち上げといった状態に。抱き合ったり、
関係者と談笑するメンバー。この時ばかりはフィルも笑顔でスティックを手に
シンバルを叩き、無邪気な一面(?)を覗かせた。

DRAGONFORCEも、ドラマーがジー・アンザローネに代わってから初めて
の日本。持ち前の叙情性とハイパーな疾走感に土台のしっかりしたドラミン
グが新たに加わり、メロディック・スピードメタルの第一人者として近未来の
ジェットコースターを思わせるライヴを展開した。人海と化したULTIMATE
STAGE前のフロアには、1曲目の“Defenders”から流れの速い渦潮が出
現。続く“Fury Of The Storm”では、それがふたつになった。
ときに流麗、ときにフラッシーにと随所で卓越したギター・プレイを聴かせ、
ハモりやユニゾンでも絶妙のコンビネーションを見せるハーマン・リとサム・
トットマン。そんな2人の協調とせめぎ合いにはショルダー・キーボードで
ヴァジーム・プルジャーノフ(key)が絡み、マーク・ハドソン(vo)も渾身のシャ
ウト。マークは「コンニチハ、ニッポン! オゲンキデスカ?」などと日本語MC
も微笑ましかった。
 “Symphony Of The Night”は、フレデリク・ルクレルク(b)が「俺ガ日本ノ
ファンノタメニ書キマシタ」とプレイ。最後も“Through The Fire And Flames”、
“Valley Of The Damned”と畳み掛け、濃密なエンディングを迎えた。

そして初日のトリはARCH ENEMY。もちろん“ラウパ男”の異名をとるマイケ
ル・アモット(g)は、昨年のSPIRITUAL BEGGARSに続いての参戦となった。
これはあくまでもMANOWARが出演キャンセルになっての結果論だが、新た
にアリッサ・ホワイト=グラズ(vo/元THE AGONIST)を迎えた最新アルバム
『WAR ETERNAL』も好評な中、フルセットでのステージは、バンドの現在、
さらには未来を日本のファンに示す絶好の機会になったと言える。
実際、ライヴはアリッサの勢い込んだ気合いが前面に溢れ出たもので、バン
ドも彼女のアグレッシヴなエモーションに触発されるように、新たな攻撃性を
伴った印象。結果としてよりダイナミックかつドラマティックに迫ってくる感が
あり、新たなベクトルへと進む可能性をも予感させた。
それこそアリッサのパフォーマンスは、男勝りといった表現がピッタリ。ドスの
効いた邪悪なヴォーカリゼイションはもちろん、髪を振り乱しながら頭を上下
させ、勇ましく場内を煽動する姿は、新たなARCH ENEMYの顔としての役割
を十二分に果たしていた。
そんな彼女に対し、マイケルは泣きのフレーズで心をくすぐり、さらにはニック・
コードルとのギター・ワークで持ち前の叙情性を爆発。壮大な叙事詩の世界へ
と誘われる感覚を味わう瞬間も1度や2度ではなかった。
ライヴ後、満足げな表情で観客をバックに記念撮影を行う5人。スクリーンに
は女性らしい笑顔でハートマークを作るアリッサの姿も映し出され、熱っぽい
余韻とともにラウパ1日目は終了した。

続く2日目は、PERIPHERYからの参戦。11時10分スタートのライヴだったが、
開演前のBIG ROCK STAGE前は8、9割の埋まり具合。2月にSCREAM OUT
FEST 2014で初来日を果たした彼らが、確実にファンベースを築いていること
が見て取れた。
それこそ高いプレイヤビリティに裏打ちされての、硬質にして叙情性のあるダイ
ナミズムが刺激的で、トリプル・ギター体制を擁して各人が共鳴すると同時に、
フロントの5人が濃密なグルーヴに合わせて体を揺らす図が圧巻。近未来を
描いたSF映画を観ているような感もあり、そこに暗黒世界で自問自答を繰り返
すかのようなスペンサー・ソーテロのヴォーカルが加わり、心のタガを外しにか
かった。
新曲“Psychosphere”もプレイされ、改めてそのポテンシャルを示した全7曲。
アリーナにモッシュ・サークルができるなど観客も熱狂的にバンドと呼応し、コ
ンパクトながらも濃い30分強だった。

そしてGrindHouse magazine Vol.85で「今年のラウパの台風の目になりそう」
といち推ししたBELPHEGOR。実際、オーセンティックなブラック/デスメタルの
醍醐味を体現したパフォーマンスに翻弄されっぱなしだった。その後は、ロビー
で屋台メニューを物色しながらいったん休憩。オフィシャル・バーの前を行き来
ししながら、コスプレした女のコたちの姿をチラ見。THE HAUNTEDに備えた。

THE HAUNTEDは2代目ヴォーカルのマルコ・アロ、初代ドラマーのエイド
リアン・アーランドソンが復帰しての8thアルバム『EXIT WOUNDS』を8月に
リリース。1曲目の“No Compromise”からアグレッシヴに疾走し、デスラッ
シュの雄としての貫禄を見せつけた。
“99”ではマイク・トラブルでマルコの声が聞こえなくなるものの、生き急ぐよ
うに猪突猛進する彼らはそう簡単には止まらない。スクリーンに目を映すと、
プロレスラーのようなマルコの額から鮮血が滴っているが、そんなこともお
構いなしだ。
快く心をかき乱されるライヴが続いた。アリーナでは無数の拳が突き上げら
れ、波打つ人海には何度となく、それこそメンバーが登場した段階から、大
小の渦潮が出現。加えては、メランコリックなパートやヘヴィ・グルーヴにも
含蓄が感じられ、約50分はあっという間に過ぎていった。
ラストは“Hate Song”。バンドはダメ押しとばかりにさらに攻撃性を増し、フロ
アには隕石が落ちたかのような巨大なモッシュ・ピットが生まれ、その外側に
いたオーディエンスが次々とその回転に飲み込まれていった。アリーナ最前
まで降りていくマルコ。その姿は群がる観客の拳の波に浮かんでいるように
も見え、圧巻のライヴは幕を閉じた。

その後にはスラッシュメタル創世期からの立役者であるDEATH ANGEL、
KREATORが登場。デスラッシュのTHE HAUNTEDに対し、ベテランの
凄みを改めて実感させた。まずはDEATH ANGELからだが、個人的には
2日間を通してのベスト・アクトだったと言える。

バンドは年齢を感じさせぬがむしゃらさで無骨に攻め、音塊と力業で圧
倒。重戦車が周りの物をなぎ倒しながら突進してくるかのようだった。そし
て随所に酸いも甘いも噛み分けたメタル魂の生き様が息づき、こちらをも
鼓舞。一度解散を迎えたことも関係しているのだろう。「夢を諦めるな」
などとマーク・オセヴエダ(vo)は熱っぽく、何度も感謝の言葉を述べる姿
も胸に迫った。
全身から気迫がみなぎるマーク。その横ではサミー・ジョスダド(b)が髪を
振り乱しながら頭を振り、ロブ・カジェスタニィ(g)も本能的な荒々しいダイ
ナミズムの隙間をこじ開け、フラッシーなソロを決める。
トドメは日本用“荒城の月”からの“The Ultra-Violence / Thrown To The
Wolves”。スクリーンには舌を出して裏拳でメロイック・サインをするサミー
が大写しとなり、アリーナでは2つの渦潮が激しくグルグル。筆者もメモと
ペンを放り出し、モッシュの一員に加わりたい衝動にかられた。マークは
最後、渾身の一息で「アリガトーーーーーーー!」。いいものを観せてもらっ
たと思う。

一方、KREATORは円熟味に溢れたステージが圧倒的だった。
さすがはメタル・シーン自体の浮き沈みを経験しながらも、SODOMや
DESTRUCTIONとともにジャーマン・スラッシュ界を牽引してきたバンド
である。ダイナミックかつドラマティックな攻撃性には30年以上のキャリ
アに伴った含蓄が息づき、場内を掌握。まあ、オーディエンスも開演前
から手拍子や野太いKREATORコールでバンドを待ち、暗転とともにア
リーナにモッシュ・ピットが出現するなど臨戦態勢バッチリではあったが。
 「音楽はさまざまな人をひとつにする。そういった意味で音楽はリアル
な政治であり、宗教である」とはMCでのミレ・ペトロッツァ(vo、g)。最新作
『PHANTOM ANTICHRIST』(2012年)も「真実だと思われていたことも、
実はマスコミや支配者たちの操作だったとしたら」といった考えから生ま
れたアルバムが、たしかにKREATORとオーディエンスが魂のコール&
レスポンスを繰り返す光景に嘘偽りはなく、彼の言葉にも一理あると実
感した。
エンディングで観客の熱狂ぶりに「信じられない」とミレ。スクリーンには
貫禄のパフォーマンスに感動したのか、泣き顔の女性が大写しとなり、
筆者は筆者で時代を超えたメタル魂を改めて肌で感じていた。

もちろんこの2日間を締めくくったのは、ジェイムズ・ラブリエ(vo)も「ゴジ
ラをぶっ倒すライヴをやる」と意気込んでいたDREAM THEATER。ライ
ヴ前からBIG ROCK STAGE前のアリーナがぎっしりとオーディエンスで
埋まっているのはもちろん、スタンド席にも、それまでの出演者には皆無
だった立ち見の観客が少なくなく、開演時間が迫るにつれて場内の期待
感で空気の濃度が高まっていくのが分かった。
そして暗転。ステージを覆う幕には、これまでのアルバムのジャケットを
モチーフにした映像が流れ、場内は壮大なスケールの映画が始まるかの
ような期待と興奮の交錯。緞帳が落ちるとともにライヴはスタートし、バン
ドはそれまでの「暴れる」「熱狂する」「心が解放される」といったベクトルと
はまた別次元の、アーティスティックなメタル・ワールドへと手招きした。
改めて言うまでもないが、超絶なテクニック集団が協調してのダイナミズ
ムは緻密にしてスペクタクル。その場その場のプレイに観いってしまう瞬
間が多々あった。しかもメンバーは常に余裕の表情で、ジョーダン・ルー
デス(key)などは手元を映すカメラに向かっておどけた顔を見せたりした。
そんな中、一歩引いたところで煽り役を引き受け、バンドとオーディエンス
を繋ぐのがジェームズ。彼の呼びかけによってフロアで揺れる無数の腕。
正直、筆者はDREAM THEATERを観るのが初めてだったが、プログレッ
シヴ・メタルの枠を超えたメタルの究極形を目の当たりにした気がした。


text by Tsunetoshi Kodama
photography by (C)LOUD PARK All Rights Reserved.


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