SLAYER、MEGADETH、ARCH ENEMYらが参戦! 
10周年にふさわしい熱狂の2日間!!

LOUD PARK 15
October 10 & 11th, 2015 at SAITAMA SUPER ARENA

今年、日本最大にして唯一のメタル・フェスとして秋の風物詩となった“LOUD PARK”が10周年を迎えた。それだけに濃いメンツが集結したのはもちろん、さいたまスーパーアリーナには例年の2ステージに加え、メインアリーナとは別のコミュニティアリーナに2012年以来となる第3のステージを設置。ULTIMATE STAGE(US)、BIGROCK STAGE、KINGDOM STAGE(2日目の名称はEXTREME STAGE)の3ステージ体制で、全38組が10月10、11日の両日約12時間にわたって熱狂的なパフォーマンスを繰り広げた。
しかも、今回はスラッシュ・メタル四天王、いわゆるBIG4から6年ぶりにSLAYER、MEGADETH、ANTHRAXが揃って参戦。ARCH ENEMY、TESTAMENT、CARCASS、DRAGONFORCE、GOJIRAなどもラインナップに名を連ね、各日の最後を締めくくるSLAYER、MEGADETHに至っては、第1回でもトリを1日目、2日目を逆に務めている。

そんな2015年のラウパを筆者はOUTRAGEからスタート。往年のジャパニーズ・ロックのカバーと未発表曲からなる最新アルバム『GENESIS I』でも全編を通底する攻めの姿勢が刺激的だったが、4人はこの日もがむしゃらなエモーションで突進した。「世の中の80%のいけ好かないヤツの歌」(橋本直樹/vo)と“YOU SUCK”で、内に秘めた怒りを露わにし、どうよ? と言わんばかりに不敵な笑みを浮かべる橋本。また、「デビューした頃の曲。ぶっ飛ばしていくぜ!」(丹下眞也/ds)と“UNDER CONTROL OF LOW”にはメジャー・デビューから30周年分の含蓄を伴ってのアグレッシヴなエモーションが息づいた。ラストは「全員が歌うまで帰らない」(丹下)と“RISE”。日本のメタル・バンドとしての心意気を強く感じる約30分だった。

続いてはGOJIRA。初来日ということで本人たちも相当に気合が入っていることが一音一音、そしてひとつひとつの動作から感じられた。4人は約30分とコンパクトなセットながらも、圧倒的な構成力と密度の濃い演奏によってエクストリームかつプログレッシヴ、加えては脳裏にダンテの『神曲』に描かれた光景が広がるサウンドスケープを展開。一気に日本での評価を確固たるものとした。もげんばかりに頭を振り、ベースを振り回してターンするジャン=ミシェル・ラバディ(b)。ジョー・デュプランティエ(vo,g)のシャウトにも力がこもる。その一方では「アナタハ美シイデス。アナタノコトガ大好キデス」と翻訳機に言わせるなど憎めないキャラクターも印象に。終演後、「来年、新作とともにまた日本に来る!」と力強くジョー。もちろんその日を楽しみにしてるぜ!!

さらにメタル界(特に今回はスラッシュ・メタル)の強者が集結したMETAL ALLEGIANCE。メンバーはマーク・オゼグエダ(vo/DEATH ANGEL)、チャック・ビリー(vo/TESTAMENT)、ゲイリー・ホルト(g/SLAYER、EXODUS)、デイヴィッド・エレフソン(b/MEGADETH)、チャーリー・ベナンテ(ds/ANTHRAX)ら8人。このメンツでオリジナルに加え、IRON MAIDENやBLACK SABBATH等をプレイするのだからメタル魂が燃え上がらない訳がない。最後にはスコット・イアン(g/ANTHRAX)も加わり、METALLICAの“Seek And Destroy”を和やかに演奏するという事態に…。まぁ、楽しかったからいいけど。

観客をバックに記念撮影するMETAL ALLEGIANCEを尻目にKINGDOM STAGEに向かうと、すでにANTHEMがアグレッシヴなエモーションにデビュー30周年の貫禄が相まったパフォ-マンスを繰り広げていた。「フルセットではないけれど、日本代表として倒れるまでやる」と柴田直人(b)。森川之雄(vo)も「ANTHEMらしくガンガンいく!」「お前ら、(ラウパなのに)ラウドじゃねぇぞ!」などと言いながらオーディエンスを扇動。森川はラウパで11月に行う30周年記念のスペシャル・ツアーに向けて勢いをつけたいとも語ったが、バンドはワンステージと言うもおろか一曲入魂とばかりに猛進。柴田の言葉も煽り文句ではなかった。もちろんそんなバンドに対して観客も拳を突き上げたりと呼応。お互いのメタル魂を共鳴させ、終演後のあたりを熱っぽい余韻が支配した。

ここでロビーに設置されたフードコートでグリーンカレーを掻き込んで小休止。オフィシャルバーのコスプレ店員をチラチラ横目に(今年はみんなの露出度が低めで残念)メインアリーナに戻ると、TESTAMENTが激しくもフレンドリーなライヴを終えるところだった。

 

次に控えるのはANTHRAX。今年のラウパにはBIG4のうちのMETALLICAを除く3バンドが揃ったが、改めて考えるにTESTAMENTの後にANTHRAXが続くタイムテーブルも、強力のひと言に尽きる。
ANTHRAXは、持ち前の「FOR FUN」な姿勢が息づく激しく軽妙なステージを展開。故ロニー・ジェイムス・ディオに敬意を表すように、オープニングSEがBLACK SABBATHの“The Mob Rules”だったこともメタル魂を熱くさせた。バンドはオープニングからいきなり“A.I.R”“Madhouse”“Caught In A Mosh”と代表曲を連発。アリーナ前方で2つのモッシュ・サークルが激しく渦巻いたことは言うまでもない。
どこかコミカルで憎めない佇まいのジョーイ・ベラドナ(vo)。フランク・ベロ(b)もワイルドにアクションをきめ、スコット・イアンのかき鳴らすギターにもその場の感情がこもる。下手ではジョナサン・ドネイズ(g/SHADOWS FALLと兼任)が長髪を振り乱し、叙情的なフレーズで自己主張。バンドとオーディエンスはひとつになって最後まで突っ走った。終演後、「ブランニュー・アルバム、ネクスト・イヤー!」とチャーリー・ベナンテ。この日のライヴでこちらに対する期待もが然高まった。

 

ARCH ENEMYは、昨年に引き続いての出演。3月の来日も記憶に新しいが、さすが9回出場のラウパ男、マイケル・アモット(g)。しかも10周年にふさわしく、初代ヴォーカルのヨハン・リーヴァ(現NONEXIST)、さらにはクリストファー・アモット(g/翌日もARMAGEDONで出場)を迎えたスペシャル・メニューで、ULTIMATE STAGEのトリを務めた。 バンドのアグレッシヴな側面を体現するように、アリッサ・ホワイト=グラズ(vo)はドスの効いた歌声とともに勇ましく場内を扇動。バンドも一段とビルド・アップし、攻撃性と叙情性がより緊密にせめぎ合い、共鳴した。そんな中、アモットの泣きのギターはこちらをここではないどこかへと誘い、ジェフ・ルーミス(g)とのあうんの呼吸によるユニゾンやハモりも強く心をかき鳴らした。
ヨハンとクリスは“Bury Me An Angel”“The Immortal”、ラストの“Fields Of Desolation”に参加。アリッサにバトンタッチされ、プリミティヴな感情をヴォーカルに乗せるヨハン。それこそ“Bury”には、メロディック・デスメタルの第一人者の原点に触れる感もあった。7人揃っての“Fields~”では、ダイレクトなヨハンに、多面的なアリッサのエモーションがスリリングに交錯。アモット、ジェフ、クリスが並んでハモる姿も涙ものだった 。

 

そして初日のトリはSLAYER。ジェフ・ハンネマン(g)の死、デイヴ・ロンバード(ds)の脱退を乗り越え、新たにゲイリー・ホルト、ポール・ボスタフ(ds)を迎えた新たな布陣で初めて臨む日本となった。
不穏な空気をはらんだSEが流れ、赤い照明によって血塗られたかのように演出されるステージ。スクリーンには、人の海と化したアリーナのあちこちで天を衝くメロイックサインが映し出され、筆者も期待とともに高まる緊張感に思わず武者震い。ライヴは最新アルバム『REPENTLESS』のタイトル曲でスタートし、場内は一発目の音が鳴った瞬間から熱狂の渦に叩き込まれた。
では、このラインナップによる新たなダイナミズムはどうだったのか。まあ、ゲイリーは2011年からバンドに参加し、ポールも再々加入という立場ではある。そういった意味ではSLAYERはあくまでもSLAYER。根幹となる濃密でスリリングなヘヴィさ、さらにトム・アラヤ(vo,b)によるSLAYER節は揺るがず、MCでの慈悲深く穏やかな微笑みも相変わらずだった。
改めて“War Ensemble”“Chemical Warfare”“Hell Awaits”といったクラシック曲は、力業でメタル魂を鷲掴み。とはいえ、ポールによる猪突猛進型のドラミングがバンドの推進力となることで、今後新たなグルーヴへと発展していく可能性も大。誤解を恐れずに言うならば、この日の彼らには自らのスタイル守るがために逆に攻める姿を見た気がした。ラストはダメ押しとばかりに“Angel Of Death”。バンド・ロゴによるバック・テロップが落ちると、そこにはビールのラベルを模して“ANGEL OF DEATH”“STILL REIGNING”などとジェフに対する敬愛を表したテロップがもう一枚。首がもげそうになると同時に、胸が熱くなった。

2日目は知り合いの知り合いということで、オープニング・アクトとして登場したGYZEから参戦。随所に叙情的な要素を盛り込んでの疾走感が痛快だった。その一方、初っ端から軽快に転がり出し、オーセンティックなハードロック系ロックンロールの醍醐味を味あわせてくれたのが、WE ARE HARLOT。ダニー・ワースロップ(vo/元ASKING ALEXANDRIA)を中心に、SILVERTIDEなどの強者が集まり、1+1+1+1のエモーションが有機的に作用してのダイナミズムが躍動。メンバーも気さくに場内と接し、この日のライヴ、ひいてはバンド自体を楽しんでいる姿が印象的だった。赤いレザージャケットを着込み、スタンドマイクを相手にアクセル・ローズばりのターンを決めるダニー。ジェフ・ジョージ(g/SEBASTIAN BACH BAND)と1本のマイクで歌う姿も、さまざまな先達とオーバーラップした。キャッチーでフックのある好曲の連続で、QUEENの“Tie Your Mother Down”も、改めて新鮮に響いた。

この日はここでインターバル。台湾名物のルーロー飯(豚肉の煮込み丼)を食べたり、グッズ売り場で各バンドのTシャツをチェックした後、CARCASSやNAPALM DEATH、DARK TRANQUILITYなど濃いメンツで固められたEXTREME STAGEへと向かった。

改めて思うにメロディック・デスメタルを代表するARCH ENEMY、CHILDREN OF BODOM、DARK TRANQUILITY、そしてこれから観るAT THE GATESまでが揃ったのも、今年のラウパの凄いところ。そんなことを考えていると、SEの“EL ALTAR DEL DIOS DESCONOCIDO”とともにメロイックサインがあちこちで掲げられ、ステージ前が一気に圧縮した。バンドは戦車のごとくブルータルに疾走。同時に心がハッとする叙情性を織り込み、こちらを翻弄した。トーマス・リンドバーグ(vo)も、プリミティヴな感情を掻き立てるように場内を扇動。フロアで勢いを増す巨大渦巻き。反応の良さに笑顔を見せるトーマス。だが、これからという時に同時進行のSABATONに向かう時間に。残念。

後ろ髪を引かれながらメインアリーナに戻ると、SABATONはMCというか、言ってしまえばコント(?)を披露中だった。かいつまんで説明と、ヨアキム・ブローデン(vo)がDEEP PURPLEの“Smoke On The Water”のイントロをおっかなびっくり弾き出すと、クリス・ローランド(g)が本職の技で横槍。するとトッペ・エングランド(g)も2人に絡み、こちらも腕利きぶりをアピールするといった具合。ロバン・バック(ds)に目を転ずれば、こちらもドラム台が戦車型。もう笑うしかなかった。その後も人の良さが滲み出たパフォーマンスが展開され、5人もキャッチーで劇的な楽曲に乗せ、一緒に盛り上がろうといった姿勢を見せた。そんなメンバーに対する場内の熱烈なリアクションが嬉しかったのだろう。ヨアキムは滅多に外さないというサングラスを取り、つぶらな瞳で満面の笑みを見せた。

さらにDRAGON FORCE。「SECRET ACT」として開催直前に出演が発表させ、2年連続、9月のジャパン・ツアーからわずか1ヵ月でのラウパとなった。しかも、その翌々日にはフロリダでライヴを行うハード・スケジュール。とはいえ、「日本語チョット勉強シテキタ」となかなかの発音で語りはじめたマーク・ハドソン(vo)によれば、9月の来日が楽しく日本のファンが素晴らしかったので、感謝の気持ちを伝えに戻らなきゃいけないと思ったのだとか。全くもって義理堅いバンドである。
だが、ライヴ自体は、ハーマン・リ(g)に機材トラブルがあったようで大幅にスタートが遅れ、1曲目の“Tomorrow's Kings”後にも演奏が中断するなど波乱含みの幕開け。メンバーはその間、ジー・アンザローネのジャズっぽいドラミングにヴァジーム・プルジャーノフ(key)、さらにはフレデリク・ルクレルク(b)が乗っかっての即興演奏や、「ゴメンナサイ。(日本酒の熱燗で翌朝も)チョットベロンベロン(笑)」(フレデリック)といった先の来日でのエピソード・トークで繋くなどして対処。そんな光景を目の当たりに筆者は、怪我の功名の意味を初めて体感した気がした。 
 問題解消後、バンドはスペクタクルに躍動。快調に飛ばしてジェットコースターのようなライヴを展開したことは言うまでもない。いつも以上に勢い先走り気味に感じたのもご愛敬。ハーマン、サム・トットマン(g)は協調とせめぎ合いを繰り返し、マークはハイトーンでシャウト。ハーマン、サムらバック陣が輪になり、左手は他人のネックを押さえ、右手はめいめいの手元を爪弾くといった弦楽器の大渋滞(?)を起こす場面もあり、終始場内を沸かした。

DRAGONFORCEが押したこともあって、ダッシュでEXTREME STAGEに向かう。すると昼間は天窓から陽がさすコミュニティアリーナも妖しい夜の表情を見せ、邪悪な熱気が場内を支配。そんな中、このステージのトリを務めるCARCASSがすでに「リバプールの残虐王」ぶりを発揮していた。
バンドは2013年のラウパで、ダニエル・ワイルディング(ds)に引っ張られるように明らかに走ったライヴを展開。それが個人的には刺激的だったが、今回もまた、彼はフィルインでの手数の多さと逸る気持ちの表れたドラミングでカーカスを推進した。4人はIRON MAIDENを彷彿とさせる叙情性を織り交ぜながら、ブルータルかつスリリングに爆走。ステージ前では近くにいると生暖かい風圧を感じるほどのモッシュが起こった。 
それこそスクリーンには真っ赤な照明の効果もあり、ぐちゃぐちゃの髪も気にせず鬼の形相のジェフ・ウォーカー(vo,b)が大写し。その一方、曲間ではフロアにペットボトルを投げ込み、観客の反応の良さに笑みをこぼして饒舌だった。ビル・スティアー(g)、ベン・アッシュ(g)もある時は攻撃的、またある時は情感的に奏で、要所で共鳴。スペクタクルな演奏が続く中、ビルは“Exhume To Consume”でリード・ヴォーカルも。2番を歌うジェフとのアグレッシヴな交感は快く心をかき乱し、自分もプリミティヴな感情に任せて暴れたい衝動を抑えるのに必死だった。

そして密度の濃い2日間を締めくくったのがMEGADETH。バンドはキコ・ルーレイロ(g/ANGRA)を新メンバーに迎えた布陣で来日。この4人で録音したニュー・アルバム『DISTOPIA』のリリースを2016年1月に控えていることもあるが、スタート時間が刻一刻と近づくにつれて座席のあちこちで立ちあがる観客の姿が増え、筆者も彼らの根強い人気を改めて実感。とはいえ、デイヴ・ムステイン(vo,g)とキコがソロを取るたびに上手からキコ、デイヴ、デイヴィッド・エレフソンという並びをいちいち変える意味は最後まで謎。また、新作に加え、今年でリリース30周年を迎えた1stアルバム『KILLING IS MY BUSINESS...AND BUSINESS IS GOOD』から1曲も披露されることがなった点もちょっと残念ではあった。
しかしながら、ストイックにMEGADETH、ひいてはメタルのさらなる可能性を追求する姿は孤高であり、時に崇高。ステージの大部分を占める3面のスクリーン(ドラムなどは画面と画面の隙間にコンパクトに収められているといった印象)で流れる映像もサイバーティックな各曲のイメージを膨らまし、クールで無骨なパフォーマンスを補うステージ・セットとしての役割を効果的に発揮していた。
拳を突き上げるデイヴッド。終盤にはキコのおどけた表情が大写しになる場面もあったが、やはりデイヴだけは掴みきれない。フラットな姿勢で語りかけようとするMCからは、ずいぶん取っつきやすくなった印象もあったが…。

さて、来年のラウパはどんなバンドが出演し、どんな伝説が生まれることか。そして11回目もマイケル・アモットの参戦はあるのか。ちなみに、彼の別バンドSPIRITUAL BEGGERSが2016年初頭、ニュー・アルバムをリリース予定にはなっているが…。

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text by Tsunetoshi Kodama
photography by (C)LOUD PARK All Rights Reserved.


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