3度目の来日を実現させたLUCY'S CROWNが、
日本の個性派オルタナ・バンドと共演!

LUCY'S CROWN
July 2nd, 2014 at Shinjuku Freak, Tokyo

「昨夜のライヴが最高だったから今夜もとても楽しみなのよ!」
リハーサル終了後、開場までの時間を使って、LUCY’S CROWNのフロント
ウーマン、ルーシー・ブルーにインタビューさせてもらったところ、開口一番、
彼女が言った言葉からもバンドが3度目の来日を楽しんでいることが伝わっ
てきた。
「しかも今夜は4月にオーストラリアで共演したカイモクジショウ、101A、Jill
という日本のバンドたちとのリユニオン・ライヴなのよ!」
2012年、13年、そして今年14年。3年連続で来日公演を行っているオースト
ラリアの4人組、LUCY’S CROWN。今回は7月1日の下北沢公演を皮切りに、
ほぼ毎日、全8公演を行う予定なのだが、その2日目となる新宿Live Freak
公演を見せてもらった。

共演は前述したカイモクジショウ、101A、Jillにenn、心音Makerを加えた5バ
ンド。さすがにLUCY’S CROWNを含む計6バンドすべての演奏を見るのは体
力的にキビしいこともあって、見られなかったバンドには申し訳ないと思いなが
ら、LUCY’S CROWNとこの夜、彼女たちと再会を果たす3バンドを見せてもら
ったのだが、図らずも…いや、今思えば、明らかにそういうテーマがあったにち
がいない。女性ヴォーカリストがフロントに立つオルタナ・ロック・バンドの共演
を存分に楽しませてもらう結果となったのがおもしろかった。
もちろん、一口にオルタナ・ロックと言っても共通点は女性ヴォーカルであるこ
とと、いわゆる90年代のオルタナティヴ・ロックに影響を受けていることぐらいで、
ヴォーカル、ギター、ドラムというベースレス編成でフリーキーと言うか変態チッ
クな爆音を奏でたカイモクジショウをはじめ、それぞれに違うやりかたで、単に
オルタナの一言では語りきれないユニークさをアピールしたのだった。

白状すれば、共演の3組はこの日、初めて名前を知ったバンドばかりだった。
しかし、轟音を奏でながら耽美的とも妖艶とも言える魅力を印象づけた101A、
多彩な曲に加え、シンガーの女王様、いやマダムキャラでもキャッチーに訴え
かけたJill、そしてカイモクジショウどのバンドも一見・一聴に値する実力と個性
の持ち主ばかりで、改めて日本のアンダーグラウンド・ロック・シーンの充実ぶ
りと言うか層の厚さに感心させられた。
彼らに比べれば、LUCY’S CROWNはむしろ正統派のオルタナ・ロックと言え
るかもしれない。しかし、そんな認識は曲が進むにつれどんどん揺らいでいき、
ライヴが終わる頃にはすっかり覆されることになる。
午後10時を回った頃、LUCY’S CROWNの演奏は“Drowning”でスタート。
ルーシーの白塗りメイクや腕を奇妙な形に捻じ曲げるアクションからはインタ
ビューでも言っていたように日本の舞踏からの影響が窺えた。その後もNIR-
VANAを連想させる“Lace”。ルーシーが実際にキーボードでハープシコード
の印象的なフレーズを弾いた(てっきりライヴではシーケンサーを使うんだと
ばかり思っていた)“Skinn”“Closer”、そして映画『エクソシスト』のテーマを思
い出させるハープシコードの不気味なループとノイジーなギターに導かれるよ
うに熱度満点の演奏が曲が持つ世界観をダイナミックに描き出した“Watching”
――と、バンドはたたみかけるように曲を次々と披露。ダイナミックな演奏でラ
イヴ・バンドとしての実力をアピールしながら、ルーシーは仮面やフラッシュラ
イトを使ったパフォーマンスも織り交ぜ、正統派のオルタナ・バンドという表現
には収まりきらない見どころを作っていった。

そしてラストの“Chained”では男性スタッフがルーシーに無理やり拘束衣を着
せ(もちろん演技だ)、タイトル通り囚われの身となったルーシーが演奏中に自
力で拘束衣を脱ぐというシアトリカルかつアクロバティックなパフォーマンスを
見せ、観客を大いに沸かせたのだが、バンドがヘヴィなインプロビゼーションを
続ける中、拘束衣を脱ごうと必死になるルーシーの姿はなかなかにショッキン
グで、彼女達のライヴがデヴィッド・リンチの映画と比べられたというのも大い
に頷けた。ライヴの規模がもっと大きなものになれば、ライヴをパフォーミング・
アートと考えるLUCY’S CROWN(と言うか、ルーシーか)が持つ可能性はさら
に広がるにちがいない。

アンコールではBe-Bこと和泉容と女性ギタリストのつきぞぉ、そしてLUCY’S
CROWNの共演というサプライズも飛び出した。LUCY’S CROWNのラウドか
つヘヴィな演奏をバックに和泉は持ち歌であるテレビアニメ『るろうに剣心 -明
治剣客浪漫譚-』のエンディング・テーマ「ダメ!」を熱唱。それからルーシーを
もう一度呼び込み、LUCY’S CROWNは観客のアンコールの声に応え、最後
にもう1曲演奏すると、仲間のバンドや観客と作った和気藹々としたピースフル
な雰囲気の中、計4時間を超えるこの夜のライヴを締めくくったのだった。



text by Tomoo Yamaguchi
photography by Kana Tarumio


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