圧巻のスケールを持つサウンドとともに、
MONOが作り上げた歓喜の瞬間

MONO
January 11th, 2015 at Daikanyama UNIT, Tokyo

昨年『The Last Dawn』と『Rays Of Darkness』という2枚の連なった作品を
同時リリースしたMONO。ふたたびバンドサウンドへと立ち返りつつ、明と暗
の両極端な世界を表現することで新しいレベルへと到達したこの2枚を引っ
提げ、久しぶりに日本でツアーを行った。日本のバンドでありながら、なかな
かライヴを見ることができないということもあり、勇んで東京公演に足を運ん
だが、予想以上に多くの人が代官山UNITを埋め尽くし、開演を今か今かと
待ち構えていた。

青いライトがステージを照らすなか、ライヴは“Recoil, Ignite”で静かに始まっ
た。Takaakira "Taka" GotoとYodaのギターがアルペジオを編みこみ、少し
ずつ楽曲を構築していく。その悲痛なメロディが胸を締めつけるなか、Tam-
aki(b, piano)とYasunori Takada(ds)のリズムが加わり、突如爆風のよう
な轟音でこちらの意識をなぎ倒す。続く“Unseen Harbor”で、会場はMONO
の世界へと飲み込まれていった。
そこから一転、Tamakiの奏でるピアノの柔らかなメロディを軸に、ほかのパー
トが彩りを加えていく“Kanata”が、あたりに優しく染み渡っていく。爆発的な轟
音を用いずとも、デリケートなアンサンブルとともに、豊かな情景を描いていく
ことができるのも、また彼らの魅力だ。タイトルの通り真っ白な雪を思わせる
“Pure As Snow”では、その情緒的な空気を引き継ぎつつ、再び音が爆発。
しかし今度は破壊的というよりも、全身を包み込むような温かさだ。

ここまで披露されてきた曲は、どれも過去のライヴでもプレイされたことがある
ものだ。しかし、以前とは聴こえ方や印象が、かなり変化している。思えばTaka
は、新作について「フル・オーケストラを導入した楽曲は、たしかにスケールの
大きい、ダイナミックなもの。だけど、ロックが本来持っていた破壊力やダイナミ
ズムが、失われていたような感覚にもなった」と語っていた。たしかにTakaは以
前、MONOの当初の目標として「ロックの持つエネルギーと、クラシック音楽の
持つエネルギーを融合させること」をあげていた。その彼らにとって、ロックのパ
ワーが減退してしまうことは、大きな矛盾としてのしかかったはず。だからこそ
新作ではシンプルなバンドサウンドに回帰したわけだ。そうして作品を作り上げ、
ツアーをしてきたことが功を奏したのだろう。以前よりも音のひとつひとつに重量
感が増し、またディストーションの轟音の威力も増している。なのに、荘厳さや美
しさはまったく損なわれていない。むしろ、衝動的な破壊性と荘厳な構築性が、
お互いにせめぎあっているかのようだった。

以前、DEFTONESのチノ・モレノ(vo)が、MONOのことをこう言ったことがある。
「彼らは歌詞のないインストゥルメンタル・バンドだけど、サウンドだけでとても多
くのことを語っている。せいぜいアルバムや歌詞のタイトルでしか言葉を使って
いないのに、とてつもなく大きな感情を伝えて、ディープな体験をさせてくれるん
だ」。まさに目は口ほどにものを言う…ではなく、音は歌詞ほどにものを言うのだ。
その、サウンドだけで多くの言葉を語る彼らが、ステージで初めて「歌詞」と「人
の声」を導入したのが、MONOの楽曲のなかでも、随一のダークで壮絶な破壊
力を持つ“The Hand That Hold The Truth”だ。もともとenvyのTetsuya Fuka-
gawa(vo)がゲスト参加している曲だが、今回の日本ツアーの全公演に、その
Tetsuyaも帯同。彼とともに“The Hand That Hold The Truth”を再現するという、
特別セットだ。
普段は椅子に座ってプレイしているYODAとTakaが突然立ち上がり、ギターを
弾くなかTetsuyaが登場。そして音が暴発するとともに、悲痛な叫び声を轟かせ
た。やはり普段は完全インストなMONOのライヴにおいて、明らかに異質な瞬間
だったが、同時にこの夜のハイライトのひとつだったことは間違いない。
Tetsuyaがステージを後にすると、“Where We Begin”で、再び空気がガラリと変
わる。先ほどの破壊的なサウンドから一転、雄大なメロディが再びポジティヴな空
気を呼び起こしていく。そして小さな火種が少しずつ燃え上がり、渾身の一発で
会場を揺るがすかのような“Ashes In The Snow”を経て、最後に選ばれたのは
“Everlasting Light”。またまたTamakiのピアノに導かれて始まり、雲の間から光
が差し込んでくるようなメロディとサウンドがどんどん膨れ上がっていくなかで迎
えたフィナーレは、ただただ圧巻で感動するばかりだった。

無名のころから自分たちの力だけで世界中を飛び回り、世を振り向かせてきたバ
ンドだけに、その実力は折り紙つきなのだけれど、新作2枚で両極端な情景を描き
きったこと、そしてロックバンドとしてのエネルギーを鍛えなおしたことが、まさかこ
んなにもバンドのイメージを変えるとは。とにかく、MONOはまた最高値を更新し
てみせた。これからまたツアーが始まり、次の日本でのライヴがいつになるかは
なんとも言えないが…次もまた、最高の景色を見せてくれるに違いない。




text by Yusuke Mochizuko
photography by TEPPEI



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