1stフル・アルバムの題名が示す世界観を、
激しくスリリングに体現したツアー・ファイナル!!

noTOKYO
November 28th , 2015 at Shibuya Cyclone, Tokyo

90年代後半から2000年代前半の日本のシーンで、異彩ぶりを発揮したCULT OF PERSONALITY(COP)、そのCOP、そしてsmorgasのメンバーだった強者を含む4人による、noTOKYO。それこそ8月にリリースした1stフル・アルバム『日本の雑味と純粋~JAPANESE SWEET AND SOUR~』は、ミクスチャー・サウンドとは何なのかを改めて問い、さらなる可能性を示した1枚となった。 彼らは11月28日、渋谷CYCLONEで“noTOKYO presents 1st Full Album Release Tour FINAL!『日本の雑味と純粋~Japanese Sweet & Sour』”を開催。当日はラッパ我リヤ(我リヤ)、BOMB FACTORY(BF)、さらにはオープニング・アクトとして再結成したCOPも出演するなど、文字どおりミクスチャーでディープな夜となった。その時の模様をここにレポートしたい。

最初の登場は、オープニング・アクトということでCOP。2005年の活動休止以来、4人が揃ってステージに立つのは、この日の1週間前にFULL MONTYのZAxBUを追悼して行われた、“ZAxBU R.I.P Memorial Event in Ebisu”に続いて2度目のこととなる。
ライヴは“私界”から勢い込んでスタート。のっけアグレッシヴにしてスリリングなグルーヴがガツン。エッジの効いたミクスチャー・サウンドに心をかき乱された。往年を彷彿とさせる長髪姿で瞬間の感情を露わにするLINDA(vo)。後ろを向いてKNOB.(ds)と目と目、そして音と音で会話するhATCH(g)。noTOKYOのエロパンサー3世(ds)もフロアで暴れまくり、その後のnoTOKYOのステージでは「(今現在、一緒にバンドをやっている)メンバーながらカッコいいなぁと思った」と真顔で話していた。筆者自身も、当時もっと評価されていて良かったというのが本音。そして改めて日本のシーンをもっともっとかき回してほしかったと思った。
加えては、COP自体を4人が楽しむ姿も印象的。「殴り合いの喧嘩をして終わったんだよね」。バンドの最後をそう話すK.E.N.S.A.K.U.(b/noTOKYOでは安藤健作名義)に対し、笑って頷くhATCH。時間を経ることでそれぞれが過去を消化し、フラットな姿勢でCOPと向き合えるようになったのだろう。最後も濃密な“MEAT IS MEAT”で締めくくられ、彼らはわずか4曲で嵐のように去っていった。

続いてはQ(mc)が健作と高校時代からの仲ということで、我リヤ。6年ぶりの活動再開を5月に果たした中、ヒップホップ界の雄らしくオーディエンスをヒート・アップさせた。少なからずアウェイなフロアを柔軟に扇動するあたりは、さすがベテランである。豪速球投手のように言葉をまくし立て、DJ TOSHI(turnteble)によるドープなトラックに体を揺らすQ。一方、IRON MAIDENのTシャツを着た山田マン(mc)は、飄々としたラップが印象的だった。そんな我リヤに対し、場内もジャンルの枠組みにとらわれることなく、彼らの“Do The GARIYA Thing”の一節ではないが、「腕は確か」な3人の一挙手一投足に呼応。noTOKYOを「勝手にサンプリングしての…」(Q)、「いやいや、共作だから(笑)」(山田マン)と語るナンバーでは、ステージとフロアで「noTOKYO」の熱いコール&レスポンスも繰り広げられた。

BFは、10月にリリースしたミニ・アルバム『HOSTILITY』を引っさげたツアーを行いながらの参戦だ。そうした勢いに乗り、男臭くパンキッシュに突進。シンガロングな一面やヘヴィな一面を織り交ぜながら、場内に熱っぽい一体感を生み出していく様が痛快だった。フラッシーなソロをきめるKAZUYA(g)。「Oi! Oi!」とオーディエンスを煽り、拳を突き上げるJOE(b)。そしてハードにバンドの屋台骨を支えるSHIRA(ds)。JUN-YA(vo)も2トーン・カラーのマイクスタンドをフロアに突き出し、ありったけの情感を咆哮に込める。思いっきり後ろに転倒するシーンもあったが、それもまたご愛嬌。KAZUYAにツッコミを入れられ、JUN-YA自身、「歳だから」と苦笑いを見せた。BFも我リヤ同様、自らのスタイルとアティテュードを見せつけることで、noTOKYOを祝したと言える。


そして満を持して本日の主役、noTOKYOの登場となった。幕が上がると、安藤は場内に投げキッス。LINDAはCOPの時とは打って変わり、短髪に眼鏡といった姿で気合を漲らせた。 
ライヴは“brilliant + hunter”でアグレッシヴかつ軽妙にスタート。LINDAは複雑に絡み合った感情を解きほぐすように声を発し、その隙間にバック陣が鋭く切り込んでいく。各人が自らの役割を分かっての協調とせめぎ合いは、スリリングのひと言。いろいろな音楽を血肉化しての融通無碍なグルーヴ、そして緩急自在な躍動にフロアは沸き、自分自身も「日本の雑味と純粋」が渦巻くnoTOKYOの世界へと引き込まれていった。
“(m)other”から、ゲストを迎えた曲が続いた。2年ぶりのステージだというcathy(vo/aozoa)は“(m)other”で力強く凛とした歌声を響かせ、“rest of memories”では音楽学校時代の先輩だという梅垣ルナのピアノが曲をよりドラマティックに彩った。“n.o.”ではNao☆(vo/Who the Bitch)が、さまざまな人格が憑依したかのようなLINDAのヴォーカリゼーションに対し、小さな体でストレート勝負。ボトムの効いたミクスチャー・グルーヴに乗り、2人のエモーションが交錯した。
 
そもそもnoTOKYO結成当初のコンセプトは、「(80年代後半から90年代前半のバンドブームを牽引した)BARBEE BOYSのオルタナ版だった」とMCで話し出したのはLINDA。結局、男女のツイン・ヴォーカルを擁するアイディアはなくなったものの、安藤も「いろんなスキルを持った人とたくさんものを作っていきたい」と語った。確かにゲストを迎えた3曲からは、さまざまな要素を取り込んでいけるバンドの強度と懐の深さを体感することができた。 そんな中、バンド・コンセプトを補足する安藤の言葉が後半でグダグダになったことを、LINDAは「ね? 根が真面目なんですよ(笑)」と揶揄。実際、安藤はツアー中に一度やらかしたこともあり、本番前に酒を全く口にしなかったという。そこにはリーダーとしての責任感もあったに違いない。
後半は小板良輔(g)のソリッドなリフから“ROCK ICON OF THE DEAD”でスタートしたが、曲の前には雑誌『YOUNG GUITAR』に載ったことを他の3人にイジり倒され、褒め殺しにあう場面も。こうしたメンバー同士のやり取りにも笑わされたが、逆に言えば、1stフル・アルバムに対しての手応えがあってのことと思う。
本編ラストは真摯な問題提起でアルバムの最後を締めくくる“TOKYO”。こみ上げる情感をこちらに投げかけるLINDA。向き合ってプレイし、指先にも力のこもる小板と安藤。その反面、フロアではバンド仲間が悪ノリ気味にダイブやモッシュ。お祭り的な盛りあがりを見せた。
さらにはアンコールを求める声も、「アンコール」がいつの間にか「ベン・ジョンソン」に代わり、安藤に「側転」コールがかかったかと思えば、「側転」が「楽天」になったりと暴走。そんな中、安藤も感謝の思いと新たな決意を綴った手紙を読むこととなり、場内のカオスぶりにはただただ笑うしかなかった。

アンコールは“LET’S GO! Dreamin’”。スパーク気味にギターを弾く小板。オーディエンスの上に乗るLINDA。安藤もベースを振り回すようにパフォーマンス。もちろんフロアもダイブやモッシュで応戦。筆者も頭のネジが弾け飛びそうになる瞬間が何度となくあった。 
そして最後はツアー最終日を終えてホッとしたのか、終演後にオーディエンスから手渡されたビールを美味しそうに飲む、安藤の姿が印象的だったことも記しておきたい。


text by Tsunetoshi Kodama


シェア