日本のシーンに新たな歴史が刻まれるとともに、
この2日間からまた何かが始まる予感も!?

Ozzfest Japan 2015
November 21 & 2th, 2015 at Makuhari Messe, Chiba

一昨年に続き、再びOZZFESTが日本で開催された。今回も千葉県・幕張メッセ9~11ホールにAとB、2つのステージが設置され、ライヴは両ステージ交互に行われる形で進行。11月21、22日とも各日15組が、12時間近くにわたって由緒正しき(?)フェスにふさわしいパフォーマンスを展開した。たしかに、大トリとして一時アナウンスされたBLACK SABBATHが、OZZY OSBOURNE & FRIENDSへと変更になったのは残念だった。しかしながら、KORNがトリを務めた初日、そして豪華メンバーによるOZZY~で締めくくられた2日目とも、いずれ伝説として語られるであろう場面が散見できたことも事実。ここにその瞬間の数々をレポートしたい。

1日目、筆者はCRYSTAL LAKEから参戦した。事前に自らの“NEO KHAOS”で、Ryo(vo)をフィーチャリングしたDJ BAKUを迎えたスペシャル・セットになるとの告知もあったが、曲によってはIkepy(HER NAME IN BLOOD)やHayato(MEANING)、Makoto(SAND)もステージに登場。バンドもがむしゃらに突進し、まだまだまったりした場内をカオスへと導いた。CROSSFAITHは、力業と臨機応変さで場内を掌握。いきなりKenta Koie(vo)が「全員座れ!」と言いだし、その後合図とともに1万人をジャンプさせる場面もあった。最後もフロアに巨大なモッシュ・ピットが出現。彼いわく「この世にあるフェスの中でいちばんヘヴィなフェス」に、気合とそれまでの活動に対する自負を見せつけた約30分だった。

SiMは“Get Up, Get Up”からひたむきに突っ走り、SLIPKNOT、STONE SOURのコリィ・テイラーとのコラボでも場内を沸かせた。この共演は、去年のKnotfest Japan でコリィとショーン・クラハンがバンドを気に入ったことが発端とのこと。披露したのはRADIOHEADの“Creep”で、原曲の狂おしいメランコリックさをSiM流に昇華。MAH(vo)とコリィはお互いの情感を交錯させ、そして歌声を重ね合わせた。昨年も自身の思いを語る姿が印象的だったMAHだったが、今年もまた「ここにいるバンドマンは(昨年、KNOTFESTの出演者オーディションに合格した自分たちのように、世界的な)このステージを目指してください」と熱弁。隙あらばSHOW-HATE(g)、SIN(b)もアクロバティックにターン。日本武道館公演を11月4日に終えた中、この日に対する意気込みがみなぎるライヴだった。

そんなSiMに引き続き、COREY TAYLOR OF SLIPKNOT & STONE SOURはアコギの弾き語りセット。STONE SOURの“30/30-150”“BOTHER”、SLIPKNOTの“SNUFF”などを歌心溢れるヴォーカルで聴かせた。心染みる歌の数々(ギターも胸をくすぐる)に、和やかさと緊張感が同居する場内。そして一音も聴き逃すまいとステージを見つめるオーディエンス。筆者もコリィというヴォーカリストの奥深さを再認識し、両バンドの楽曲の良さを改めて実感した。中盤からはSTONE SOURのサポートを務めるジェイソン・クリストファーが、ギターとコーラスで彩りをプラス。最後はU2、THE CURE、EAGLESのカバーで締めくくられた。「気の合う友だちと来年戻ってくる!」という言葉にも期待したい。まあ、SLIPKNOTなのか、STONE SOURなのかは分からないが。

そして8月リリースの5thアルバム『VENOM』を引っさげてのオズフェスとなったのが、BULLET FOR MY VALENTINE。「ノ゛ーウ゛ェイア゛~~ウト!!」。マシュー“マック”タック(vo,g)はオープニング、空間をこじ開けるかのようなドラミングに乗せ、最新作を超える凶暴さでタイトル・コール。それを合図に快進撃が始まり、勇ましさに貫禄の息づくステージでメッセを熱狂の渦に叩き込んだ。髪を振り乱し、ギターをかき鳴らすマイケル“パッジ”パジェット。ツイン・ヴォーカル体制として、マイケルと新加入のジェイミー・マサイアス(b)のコンビネーションも、楽曲をより劇的に聴かせた。フロアを埋め尽くすメロイック・サイン。緩急自在のスリリングさに翻弄されて回り続けるモッシュのメリー・ゴーランド。痛快なライヴだった。

さらにEVANESCENCEは、ビジネス面でのゴタゴタやエイミー・リー(vo,piano)の出産などによる活動休止を経ての3年ぶりとなる日本。ライヴ活動も11月13日の米ナッシュヴィル公演から再開したばかりだが、やはりメタル・オペラを観るような叙情的でスペクタクルなステージは圧巻のひと言。エイミーの圧倒的な歌声を軸とした、「型」を持つバンドの強みも再認識した。ライヴは東日本大震災に影響された“Never Go Back”でスタート。日本人の間ですらあの時の記憶が薄れていく中、それだけで胸は熱くなった。その後も彼女は、凛としてしなやかなパフォーマンスでこちらを翻弄。バック陣が織りなすヘヴィ・グルーヴもスリリングに響き、ヨーロッパの古城に迷い込んだかのような心持ちに拍車をかけた。

1日目を締めくくったのはKORN。この日は昨年のデビュ-20周年を記念し、冒頭から7曲目までを1stアルバム『KORN』(1994年)の曲順どおりプレイ。それだけに今作がリリースされた時の衝撃が蘇ってくるとともに、紆余曲折を経ながらも常に牽引車であり続けたバンドの凄さを再認識した。
マイクスタンドを鷲掴みにしながら体を揺らし、複雑な感情を融通無碍なヴォーカリゼーションに込めるジョナサン・デイヴィス(vo)。その表情がスクリーンに大写しになると、額は後退し、顔の輪郭もかなりふっくらした感は否めない。だが、唯一オリジナル・メンバーではないレイ・ルジアー(ds)がガッチリ屋台骨を支え、各人の一音一音が有機的に作用してのグルーヴは硬質にして濃密であり、改めて唯一無二。そして年月を重ねることで自由度を増しながら深化している感すらある。
頭のネジが飛びかけた表情でスラッピングをキメるフィールディ(b)。ヘッド(g)とは何やらひと言ふた言。バンド内の風通しも良さそうで、フロントの4人が揃って頭を振る様もスリリングだった。最後は紙吹雪が舞う中、“Freak On A Leash”でクライマックス。なかなかステージを後にしないメンバーの表情からも、充実のライヴだったことがうかがえた。

2日目は、HER NAME IN BLOODに間に合うよう会場到着。9月のメジャー第1弾アルバム『BEAST MODE』で気を吐く中、彼らは最後のOZZYに至るまでの熱狂の起爆剤となった。隣のステージ前にいる観客にまで「声を聞かせろ!」とIkepy。彼はいつか喉から血が出るんじゃないかと思うほどの邪悪な咆哮をあげ、プロレスラーのようなガタイでフロアを煽動。バンドも現在の勢いそのままに爆走した。
Fear and Loathing in Las Vegasは、転換時のリハから全力投球。そんなメンバーと一緒に踊る観客の姿も見受けられた。もちろんバンドは本番も気合い十分で、Minami(vo,key)は勢い込んで転げそうになりながら側転。がむしゃらなライヴには一緒になって楽しもうといった姿勢が息づき、フロアに対して誰かが常に何かを仕掛けているよう。それこそジェットコースターのような約30分だった。

続いてはA DAY TO REMEMBER。ポップ・パンクのキャッチーさに、メタルコアの激しさをミックスしたスタイルが、このフェスにあっては異色だった。フロントの4人は積極的に場内とひとつになろうとし、瑞々しいフックと濃密なヘヴィさが織りなす好曲を連発。叩き上げのライヴ巧者ぶりで場内を沸かせた。ビデオカメラをノリノリで追いかけるジャレミー・マッキノン(vo)。後半にはステージを降りてフロアを扇動する場面もあった。ネイル・ウエストフォール(g)、ケビン・スカッフ(g)のシャウト&咆哮も、ジェレミーのエモーションに呼応。最後もケビン、ジョシュア・ウッダード(b)がそれぞれ左右からダッシュ。熱狂のライヴを締めくくった。

BLACK LABEL SOCIETY(BLS)は、LED ZEPPELINとBLACK SABBATHを合体させたSEが流れ、照明に赤く染められたステージにスモークが焚かれた冒頭から場内をオーセンティックなハード・ロック世界へ。根源的なヘヴィさが荒々しく息づく楽曲群は、改めて新鮮に響いた。足をガッと開き、顔に髪がかかるのも気にせずギターを弾き、そして歌うザック・ワイルド。その一挙手一投足には無骨さに貫禄が同居し、長髪の隙間から覗く表情はまるで仙人。筆者はオジーのバックで初来日した、89年のまだ若造だったザックを懐かしく思ったりも。

そしてベテランらしいライヴ巧者ぶりの妙に唸らされたのが、HATEBREED。さすがは浮き沈みの激しいシーンを20年以上にわたって生き抜いた強者である。ジェットコースターのような緩急、そしてオープンマインドな姿勢で場内を揺動する術には一日の長があり、場内は痛快なカオスに支配された。ジェイミー・ジャスタ(vo)のジャンプに呼応し、地殻変動を起こすフロア。何度なく巨大渦巻きも出現した。熱っぽい余韻の中、5人はオーディエンスをバックに記念撮影をしてステージを去っていった。

さらにはオズフェスにとって諸刃の剣なBABYMETAL。確かに究極の企画物なのかもしれないが、彼女たちは海外での評価を後ろ盾に正面突破。ライヴは回を重ねるごとにパッケージショーとして練りあげられ、3人もいたいけなアイドルと言えない域に達している。「レッツ・シンギング・トゥゲザー!」と思いっきりの日本語英語で場内を煽り、凛とした歌声を響かせるSU-METAL(vo、ダンス)。キリッとした流し目に大人の表情を覗かせるYUIMETAL(スクリーム、ダンス)。逆にふとした瞬間に無邪気な笑顔を見せるMOAMETAL(スクリーム、ダンス)。そんな3人に呼応し、腕利きバックの激重サウンドに乗せてモッシュやヲタ芸を繰り広げる観客。楽しくキュート、そしていろいろなものに圧巻されっぱなしの約40分だった。

JANE’S ADDICTIONは解散と再結成を挟み、2002年のフジ・ロック以来2度目の来日。妖しく刺激的に“Stop!”で始まったライヴは、BABYMETALによる場内の興奮冷めやらぬ空気を狂気性をはらんだ猥雑なものに。ダンサーが悩ましげに踊る場末のキャバレーといった演出も、退廃的な雰囲気を盛り上げた。飄々とナルシスティックなペリー・ファレル(vo)に対し、クールにエモーショナルなフレーズを奏でるデイヴ・ナヴァロ(g)。“Classic Girl”にはYOSHIKI(X JAPAN)もピアノで参加。ラストの“Whores”ではダンサーが宙乗りとなり、異形(?)のオルタナ・ショーは大団円を迎えた。

もちろん熱狂の2日間を締めくくったのは、このフェスの主役であるOZZY。重ね重ねBLACK SABBATHの出演がキャンセルになったことは、残念というしかない。だが、フレンズにはBLACK SABBATHのギーザー・バトラー(b)、RAGE AGAINST THE MACHINEのトム・モレロ(g)、JANE’S ADDICTIONのデイヴ、そしてかつて盟友だったBLSのザックまでもが参加。これはこれでスペシャルだと言わざるをえない。オジーもフロアを水鉄砲でずぶ濡れにしたり、誰のライヴだと思ってるんだ! ばかりに「I can’t hear you!!」と場内を扇動。アラ古希(この12月4日で67歳)にしてなおのマッド・エンターテイナーぶりを発揮した。
オジーはまず、ガス・G(g)らいつものバックと“I Don’t Know”。声もしっかり出ていて、今日は調子が良さそうだ…と思った矢先、トムを迎え入れた“Mr. Crowly”“Bark At The Moon”で音程が怪しくなるものの、それもご愛嬌。トムも楽しそうで、歯でギターを弾くとボディ裏には“OZZY RULES”の文字。そして耳に馴染んだランディ・ローズやジェイク・E・リーのフレーズに、手で弦を擦ったりといった自分の味を加えた。
“Iron Man”からはBLACK SABBATHの曲が続き、ベースもギーザーに交代。スクリーンには弦の上で踊るような指さばきが大写しとなり、威厳のあるプレイにバンド全体も締まった。“Iron Man”“N.I.B”にはトムも参加。“War Pigs”“Fairies Wear Boots”ではデイヴがフラッシーなソロをキメた。
さらに“I Don’t Want To Change”にはザック。現在のパートナーであるガス・Gには申し訳ないが、やはりオジーの右隣にザックがいる図は収まりがいい。本編は“Crazy Train”で終了。ギターを通して濃密に協調とせめぎ合いを繰り返す、ガス・Gとザックも印象的だった。
アンコールは2曲。ザック参加のセンシティヴなバラード“Mama, I’m Coming Home”に続き、トドメは“Paranoid”。それこそオジーを挟んで下手にギーザー、上手にギタリスト4人が並ぶステージ上は壮観のひと言だった。ギターのソロ回しをする4人。気づくとギーザーの横ではゆるキャラのふなっしーも飛び跳ねており、オジーは彼(?)に容赦ない水鉄砲攻撃。スクリーンにはボロボロのふなっしーを見てほくそ笑む、大きな悪ガキといったオジーが大写しになっていた。


text by Tsunetoshi Kodama


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