祝10周年! 桜満開の春が訪れる中、
今年もまたパンクロックに幕張メッセが燃えた!!

PUNKSPRING 2016
April 3rd, 2016 at Makuhari Messe, Tokyo

東日本大震災の影響で2011年は中止になったものの、今年で10周年を迎えた春の風物詩、PUNKSPRING。今回は復活したSUM41、日本人初のヘッドライナーを務めたTOTALFATを中心に、東阪公演合わせて12バンドが出演し、パンク・シーンの「今」を体現、濃密なライヴ・パフォーマンスを展開してくれた。ここに千葉・幕張メッセで4月3日に行われた、東京公演の模様を徹底レポートしたい。

SHADOWS

トップバッターは、元FACTのHiro(vo)、Kazuki(g)、Takahiro(g)が新たに始動させたSHADOWS。オーディエンス不在のライヴ録音によるEP『Extrance』リリースしたばかりで、観客の前に立つのは前日のパンスプ大阪公演に続いて2回目。バンドとしてより情感的なベクトルに向かった印象があり、3人の一挙手一投足には気合が漲り、何度となく楽しそうな笑顔がスクリーンに映し出された。全9曲中3曲は新曲で、NIRVANAの“Tourette's”もSHADOWS流にヘヴィにカバー。今後を期待させるに十分な約30分であり、ステージを後にする彼らも手応えを実感しているようだった。

WANIMA

豚丼、ラーメン、ケバブ…昼飯時の屋台をチェックしてステージ前に戻るってくると、WANIMAのステージが始まるところだった。3人は憎めないキャラ、そして軽妙さと哀愁が織りなすサウンドでフロアを掌握。「(パンスプの)日本代表ということで、長渕剛さんも呼んでます」(KENTA/vo,b)と、FUJI (ds)が“乾杯”を熱唱する場面もあった。「大切な歌を歌って帰ります」(KENTA)と演奏したのは“TRANCE”。まっすぐな思いの余韻に浸る間も与えず、KENTAは自ら「アンコール! アンコール!」と煽る。最後もファストな“Hey Lady”でフロアとひとつになり、パンクロックの楽しさを体現した。

face to face

続くface to faceは、2010年以来のパンスプ参戦。彼らは3月リリースの最新アルバム『PROTECTION』で、解散を挟んだ25年のキャリアによる含蓄が息づく佳曲、好曲を披露。この日もたかがなれどされどなメロディック・ハードコアを連発し、10周年を迎えるこのパンク・イベントに深みを与えたと言える。
正直、密林と化したダニー・トンプソン(ds)のアゴヒゲを除き、メンバーの佇まいは地味。街で見かけたとしても、アメリカ人のおっさんたちが歩いているなぐらいの印象しか残らないと思う。ライヴ自体も時おり手拍子を促す程度。必要以上の呼応をオーディエンスに求めることもない。逆に言えば、叩き上げのダイナミズムによっていい曲を演奏する、それだけで成立するライヴ・バンドとしての説得力があり、彼らも熱の込もったステージを展開。スクリーンには汗だくのトレヴァー・キース(vo,g)や、前髪の乱れも気にせずビートに体を合わせるスコット・シフレット(b)の姿が、何度も大写しになった。曲を追うごとに筆者のパンク魂も高揚。気づくと完全に鷲掴みされていた。

MISFITS

そんなface to faceを上回る、約40年のキャリアを誇るMISFITSは、ゴリゴリの音圧で我が物顔だ。エリック“チュパカブラ”アルセによるヘヴィでパワフルなドラミングがバンドのエンジンとなり、ドドドドドにバッキンバッキン、そしてザクザクザク。ジェリー・オンリー(vo,b)は、1曲ごとに「1、2、3、4!」と気合のカウント出し。ドスの効いた歌を聴かせ、ベース・プレイも指が弦の上で暴れ回るようだった。その横ではオンリーの息子、ジェリー・カイアファJRが一歩引いたスタンスでギターを弾き、要所で父親と共鳴したコーラスで楽曲をより多面的に響かせた。
ライヴは、ホラーテイスト&キャッチーなバンドを象徴する“American Psycho”でスタート。その後はMETALLICAでお馴染みの“Last Caress”や、GUNS & ROSESも取り上げた“Attitude”といったクラシック曲がちりばめられた。構成が複雑な“Die, Die My Darling”をかなり端折って演奏した点は、まぁ、ご愛嬌。現在、往年のメンバーはオンリー1人だが、最新曲“Vampire Girl”からも過去と地続きのMISFITS節を感じることができた。

SIMPLE PLAN

SIMPLE PLANは、登場とともにフロントの4人が台の上に。ピエール・ブーヴィエ(vo)は、準備万端のフロアに向かって「トキオーーー!」。バンドはのっけからカラッとポップなグルーヴ、そして人懐っこいパフォーマンスでオーディエンスと繋がろうとし、改めて全編にわっって軽妙なライヴ巧者ぶりを見せつけた。
“Jet Lag”では、TONIGHT ALIVEのジェナ・マクドーガルが原曲のナターシャ・ベディングフィールドのパートで参加。凛としてしなやかな歌声は軽快なポップ感に映え、フロアでは無数の手が上がり、オーディエンスの人海が曲に合わせて楽しげに波打った。彼女はピエールと肩を組み、抱き合ってステージを後に。その後も“Jump”ではバンドと観客が一体となって、タイトル通りにジャンプ。「1stアルバムからの曲」(ピエール)と紹介された“I'd Do Anything”は改めて初々しく響き、“Farewell”ではデヴィッド・デロシアーズ(b)がフロアに降り、オーディエンスにもみくちゃにされる場面も。夏を先取りするような“Summer Paradise”ではいくつもの巨大ビーチボールが人海の上を転がり、ライヴは“Shut up”でハッピーな余韻に包まれた。

SUM41

そして今年のパンスプも大詰めとなり、ダブル・ヘッドライナーの2バンドを残すのみとなった。まずは前日の神戸ワールド記念ホールではトリだったSUM41。ご存知のように彼らは近年、2014年にデリック・ウィブリー(vo,g)が一時的に意識不明に陥るなど、こちらを心配させる出来事が続いた。現在、デリックは心身ともに復調。2006年に脱退したデイヴ・バクシュ(g)も昨年バンド復帰を果たし、5人組として『SCREAMING BLOODY MURDER』(2011年)以来となる新作の制作が進む中での来日となった。
バンドは“Over My Head (Better Off Dead)”から快調。新旧、さらにはSUM41流パンク・ヴァージョンに昇華されたQUEENの“We Will Rock You”を織り交ぜ、約50分を駆け抜けていった。
楽しそうな笑顔がスクリーンに大写しになるデイヴ。彼が帰ってきたことで、バンドはダイナミックにスケールアップした感がある。そのデイヴがスリリング&メタリックにギターソロを決め、トム・タッカー(g)と台の上で寄り添って弾き合う場面もあった。

嬉しそうにデイヴを紹介するデリック。その横にはいかにもパンク・ベーシストといった佇まいのジェイ・マクキャスリンが。復活とともにブランニューな意気込みの息づくステージにはフロアも呼応。まあ、デリックがまくしたてるあまり、場内に何を求めているのか分からない瞬間も何度となくあったが、それでもオーディエンスは彼の音頭に合わせて手拍子、合唱、そしてジャンプ。“We Will Rock You”での“I Love you!”“Do you love me?”にも、熱いリアクション。デビューから続くバンドとオーディエンスの強い絆を感じた。
残念ながらニュー・アルバムからいち早く新曲を披露することはなかった(ZEPP名古屋での単独公演でもなかった模様)が、次はニュー・アルバムを引っさげた1日も早い再来日を待ちたい。

TOTALFAT

最後は、日本人として初のヘッドライナーを務めるTOTALFAT。4人は登場とともに台の上で手拍子を促し、場内を扇動。そしてBunta(ds)のところに集まり、拳を合わせて気持ちをひとつにした。「ここに夢を叶えに来た!」とJose(vo,g)はすでにハイテンション。ライヴは“Room45”でダイナミックにスタートした。
Joseの腕の動きに合わせて隆起するフロア。Shun(vo,b)の「暴れちまえよ!」には激しいモッシュが。Joseの「歌えるか?」には合唱が起こり、オーディエンスも第5のメンバーとしてバンドと熱っぽくひとつになった。
近づいてきたカメラに変顔をするKuboty(g)。Shunは本能のまま歌い叫び、スクリーンには笑顔のJoseとbuntaが大写し。気合いに溢れたパフォーマンスが続く。Shunは「めちゃくちゃ楽しいよ」と話しはじめ、東阪の会場でCDを無料配布した“ONE FOR THE DREAMING”について語った。「この歌は俺たち、そして君たちの夢を歌った曲。MISFITS、SIMPLE PLAN、SUM41、かつてテレビの中でしか会えなかった人と同じ、しかも(大トりとして)後のステージに立ってる。今まででいちばんでかい勲章をもらった気がするぜ!」。その後も「一緒に夢を叶えようぜ!」といつにも増して熱いShun。軽快な“ONE FOR THE DREAMING”に場内が沸き、合唱が起こる。そんな中、筆者は目の前でCDの歌詞を噛み締めるように追うティーンエイジャーの後姿が印象的だった。

本編は「音楽、パンクが教えてくれたメッセージ、それは君は1人じゃないってこと」(Shun)とプレイされた“Place to Try”で終了。改めてバンドとフロアはお互いの絆を確かめ合った。アンコールの“Good Fight & Promise You”では場内いっぱい直径約50メートルの巨大モッシュ・サークルも出現。オーディエンスは笑顔で肩を組み、10周年を締めくくるにふさわしいクライマックスを迎えた。


text by Tsunetoshi Kodama
photography by (C)PUNKSPRING All Rights Reserved.


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