結成10周年を締めくくるにふさわしいワンマン・ライヴで、
SiMが印象づけたさらなる前進!!

SiM
December 3rd, 2014 at Zepp Tokyo

SiMのライヴを初めて見たとき、お世辞にも健康的とは言えないコワモテの
見た目とは裏腹に曲と曲の間、客席に向かって真摯にメッセージを訴えかけ
るMAH(vo)の姿に何か惹かれるものがあった。その後、そのMAHは真摯な
メッセージを訴えかける一方で、決して真面目一辺倒というわけではなく、見
た目どおり(?)天の邪鬼と言うか、ちょっと人を食ったところもあるキャラクター
の持ち主であることが、何度か彼らのライヴを見るうちにわかってきた。レゲ
エ・パンクを掲げる彼らが演奏する音楽ももちろんだが、そんなところもなん
だかいいなと、ますますSiMのことが好きになった。

音楽の話の前に人間性の話題になってしまい申し訳ないが、たっぷり時間の
あるワンマンで、かつ見事ソールドアウトになったこの日のライヴは、イベント
やフェスティバルで見るとき以上にMAHの稀有なキャラクターが持っている魅
力を印象づけたのだった。9月にリリースした3rdミニ・アルバム『i AGAINST i』
をひっさげ、各地を回ったあと、「i AGAINST i TOUR 2014 FiNAL SERIES
–ONEMAN SHOWS-」と銘打ち、東札名福阪で行ったワンマン・ライヴ。その
東京公演のことだ。

「音楽で人生を変えられるとは思わないけど、(今日、明日、明後日の)3日ぐ
らいは聴いた人の気持を前向きにできるんじゃないか。受け入れがたいこと
にもちょっとした光を見つけてください。そんな気持ちを込めました」

そんなふうに語ったバラード調の“Teardrops”をはじめ、曲に込めた、さまざま
な想いを語る一方で、MAHは「普段の生活では(たとえば遅刻の言い訳に)よく
ウソをつくけど(笑)、ステージではウソはつけない」とうそぶき、場合によっては
物議を醸しそうな本音をちょいちょい織り交ぜ、誠実さと不遜さが表裏一体とな
った、そのキャラクターで観客を魅了していった。こういうタイプのバンドにして
は、MAHはちょっと喋りすぎなのかもしれない。しかし、「待ってくれるみんなみ
たいな人たちがいなかったらこんな辛い人生とっくにやめてます。みんなみた
いに愛してくれる人がいなければ、ここまでがんばれてない」と序盤で言葉にし
た感謝の気持ちをはじめ、楽曲や演奏からこぼれてしまうぐらい面と向かって
伝えたいことがたくさんあるのだろう。それに音楽だけ聴きたければ、家でCD
を聴いていればいい。それだけじゃない――ライヴの会場にわざわざ足を運ば
なければ体験できない何かが、SiMのライヴにはある。

怒涛のごときビートで演奏を支えるGODRi(ds)。シャウトするMAHの脇で回
転ジャンプや軽快なステップをキメ、ステージを盛り上げるSHOW-HATE(g)
とSIN(b)。1曲目からエンジン全開でぶっ飛ばすバンドに、ファンもシンガロン
グやモッシュで応酬。あっという間に会場全体がひとつになった。『i AGAINST i』
の曲を軸に新旧のレパートリーをアンコールも含め、2時間にわたって計18曲
演奏したこの日、彼らがアピールしたのは、いわゆるラウドロック・バンドからの
さらなる前進だった。

 『i AGAINST i』はMAH曰く「転機になるミニ・アルバム」だったが、そういう作品
を作った理由を、彼らの存在をより多くの人に知らしめるきっかけになった1曲
“KiLLiNG ME”で会場を散々盛り上げた後、MAHはこんなふうに語った。
「“KiLLiNG ME”のような曲を書けば、ある程度売れることはわかってたけど、
それは俺ららしくない。ラウドロック・シーンのいちバンドとして、ラウドロックを
盛り上げてきたけど、ラウドロックが流行った今は似たようなバンドばかり。だ
から、ラウドロックをぶっ壊そうと思った。それが自分たちの次の役目。新しい
時代を動かせるジャブを打たなきゃと思いながら作ったアルバムです」
 そんな想いを象徴していたのが、自らのレゲエ愛を表現した“Slim Thing”に
続けて、暴れたくてウズウズしている客席にお見舞いした終盤の“GUNSHOTS”
だ! 同期で鳴らしたシンセのフレーズが印象的なSiM流のスカ・ナンバーである。
「2ステップはもう古い!」と宣言したMAHに導かれ、そこにいる(ほぼ)全員が軽
快、いや、性急なビートに合わせ、MAHが「新たに流行らせたい」と言ったモン
キー・ダンスで腕を上下に振り振り踊って、新たな一歩を踏み出したバンドを祝
福した。

その後は“Amy”“f.a.i.t.h”“Blah Blah Blah”といったお馴染みの曲をたたみかけ
るように次々に披露しながらラストまで一気に駆け抜けると、「来年はでかいこ
とをやります。詳しくは言えないんだけど、もう1個2個ぐらい上のステージに上
がれるように、もうすでに動いてるのでついてきてください。よろしく!」とさらなる
挑戦と跳躍をファンに誓ったのだった。


text by Tomoo Yamaguchi



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