9年ぶりの新作とともにカオス&スリリングな
ライヴを展開した、ソールドアウト公演!!

SikTh
December 19th , 2015 at Ikebukuro KINGSX TOKYO, Tokyo

GrindHouse、TOWER RECORDS、そして池袋KINGSX TOKYOのコラボにより、海外アーティストのプレミアムな来日公演を主催する「FOUR unite ONE」(以下FuO)。有島博志氏いわく「洋楽ロック・シーンが瀕死の中、ライヴハウスで海外のバンドと直に触れ合ってほしい」とスタートしたイベントの第4回が、2015年12月に開催。有島氏の思いから、ステージとフロアを分けるバリケードが取っ払われ、英カオティック・ハードコア/メタルの雄、SikThがキャパ300人クラスのKINGSX TOKYOでオーディエンスと“肉弾戦”を繰り広げた。
改めて言うまでもないが、SikThは2008年の活動休止後にジェントの先駆者として再評価の機運が高まる中、2013年に再結成。昨年10月にも強烈なインパクトの来日公演を行なっている。今回は9年ぶりとなる新作『OPACITIES』の日本盤リリースに合わせての大阪、東京のツアー。当日はチケットもソールドアウトとなり、メンバーも「これまで日本でやったショウの中でいちばんだった!」とご満悦のライヴとなった。

イベントはまず、ゲストバンドのHARVESTからスタート。彼らはオリエンタル・ヘヴィロックをコンセプトにした大阪出身の気鋭。SikTh側から「せっかくの来日公演なので、日本のバンドと共演したい」との要望があったとのことで、開演前の挨拶で有島氏は「SikThと張れる(だけの実力を持った)バンドを厳選した」と4人を紹介。バンドも激しくひたむきに約30分を駆け抜けた。
Shige(vo)は渾身のシャウトを見せ、Notch(b)もプリミティヴな咆哮で呼応。無骨なヘヴィさに、東洋的な雰囲気が息づくメロディが相まった音世界は、日本人としてのDNAに直接揺さぶりをかけてくるようだった。後半、「俺たちを初めて観るとかそんなの関係ない。お互いにSikThが好きという共通項があることが大事。日本のヤバいところを見せてやろうぜ!」と熱弁するShige。その言葉どおり彼らは、一緒になって盛り上がろうといった姿勢でフロアを扇動。随所で見せる笑顔も憎めなく、オーディエンスも熱狂的に拳を突き上げ、押しくらまんじゅうで共鳴した。

そしてSikThの出番となったが、その前にグラハム“ピン”ピニー(g)がセット・チェンジの際、健闘を称えるようにHERVESTのTotti(g)の肩を叩くシーンがあったことも記しておきたい。ステージに現れ、オーディエンスと握手を交わすダン・ウェラー(g)。ピンもハイタッチ。ジャスティン・ヒル(vo)はSLAYERのTシャツでキめ、マイキー・グッドマン(vo)もモニターに乗って「Are You Ready?」とフロアを扇動。密室感のある会場の雰囲気も相まった、スリリングかつカオスなライヴの幕開けである。
ミドルなヘヴィ・グルーヴに乗せてマイキー、ジャスティンが心の奥に手を突っ込んでくる“Part Of The Fiction”。さらには濃密なダイナミズムとともに感情をかき乱す“Philistine Philosophies”。のっけから場内が熱っぽくなり、混沌が深まるのを皮膚感覚で感じる。“Scent of the Obscene”には、ハイブリッドなヘヴィ・ユニット、OUTSIDE THE COMAでマイキーと活動するYuuri(vo)も登場。常軌を逸脱した音世界に、髪を振り乱しながら体を合わせ、直情径行なヴォーカリスト2人(しいて言うなら、マイキーのほうがより感覚的か)と勇ましく渡り合った。 この時点で筆者はメモを取るのもひと苦労。フロアには激しい地殻変動が起き、自分もラッシュ時の電車を思わせるステージ前で周囲に揉みくちゃにされた。いや、それ以上にこみ上げる衝動に任せ、いちオーディエンスとして頭のネジを吹っ飛ばしたかったというのが正直な気持ちだった。実際、“Pussyfoot”ではShigeが、もう我慢できないとばかりにフロアに勢い込んでダイヴ。そしてまたステージに戻ってくる場面もあった。

その後も新旧を織り交ぜ、マイキー、ジャスティンは瞬間の情感をアグレッシヴなパフォーマンスを体現。そんな2人に対し、バックの4人はSikThサウンドの牙城を守るように定位置で演奏に専念。それこそ時おりダン・ウェラーが前に出てくる以外に目立ったアクションもなく、黙々とチョッパーをきめるジェイムズ・リーチ(b)の姿が逆に目を引いたほどだった。
加えては、活動休止前の『THE TREES ARE DEAD & DRIED OUT WAIT FOR SOMETHIG WILD』(2003年)、『DEATH OF A DEAD DAY』(2006年)から受ける硬質でカオティックなジェットコースターといった印象とも異なり、この日のライヴはより肉体的でダイレクト。誤解を恐れずに言うならば、ドゥーミーな雰囲気も散見でき、サファリパークの真っ只中にいるような感すらあった。実際、最新作にもフラットなスタンスによる融通無碍な自由度が感じられ、改めて新作を聴いて合点。まあ、ライヴ中はこちらも必死で、冷静に分析できる余裕など全くなかったが…。 バンドは後半、有島氏がリクエストした“Suffice”をプレイ。この曲を日本で披露するのは2004年のFUJI ROCK FESTIVAL以来だという。まさにカオティック・ハードコアといった楽曲に、空気の密度がが然濃くなる場内。そんな中、GrindHouseの望月裕介氏はフロアに猛然とダイヴ。おいおい(笑)。彼は一瞬にして人の海に飲み込まれ、ステージに戻ってきたところをダン・ウェラーがお姫様抱っこでキャッチ。本編はマイキー、ジャスティンの去ったステージでダン・ウェラー、ピン、ジェイムズがライトハンド奏法でハモる“Skies of Millennium Night”で締めくくられた。

アンコールは“Sanguine Seas of Bigotry”以下、3曲。スタッフは場内の「アンコール!」に対し、無理だといったジェスチャー。そしてメンバーが出てきた途端、わざとらしく驚き、それがちょっとツボにも。モニターに登ってシャウトするジャスティン。メロイック・サインを掲げるダン・ウェラー。マイクをフロアに向けるマイキー。その先ではオーディエンスが押しくらまんじゅう。さらにYuuriもダイヴ。こうして熱狂のライヴは、“Bland Street Bloom”でクライマックスを迎えた。
なお、SikThは2016年夏以降、ニュー・アルバムをリリースする予定。終演後に行われたサイン会では、ひとりひとり丁寧に応対する姿も心に残った。

そして次回のFuOは、2016年1月23日にオーストラリアのオルタナ4人組として2年半ぶりに来日するLUCY'S CROWNを迎えて開催。2月20日にはニュージーランドのエクストリーム・メタル最高峰として鳴らすIN DREAD RESPONSEも来日する。その後については「4月以降、ちょっと楽しみにしていてね」と、終演後の挨拶で有島氏。不敵な笑みが思いもよらぬビッグネームとの出演交渉を物語っていただけに、2016年もFuOからは目が離せそうにない。


text by Tsunetoshi Kodama
photography by Kana Tarumi


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